(5月24日 05:00)
契約期間途中での休業や解雇は無効だとして、いすゞ自動車栃木工場の非正規労働者が賃金の支払いなどを求め、全国的にも注目された一連の仮処分申請。宇都宮地裁栃木支部が二十三日までに、いすゞ自動車と派遣会社一社に賃金の支払いを命じ、労働者側の"連勝"で幕を閉じた。「ワーキングプア」「格差」などの社会問題を踏まえ、正社員と非正規労働者との差別的扱いを問題視する司法判断も示され、「非正規切り」をめぐる同様の裁判にも影響を与えそうだ。
昨年十一月に解雇通告された栃木工場の期間従業員と派遣労働者のうち計七人が、いすゞ自動車や各派遣会社を相手に申し立てた四件の仮処分。
いすゞ自動車の場合、期間従業員の解雇を撤回した後に、期間満了まで約三カ月間、賃金を四割カットした「休業措置の合理性」が争点となった。
会社側は就業規則通りで「問題ない」と主張したが、裁判所は「労働者が被る不利益」「休業の必要性」などを総合的に判断すべきだと指摘し、いすゞ側の主張を退けた。
さらに「正社員の人員削減と非正規労働者の増加が進展し、『格差社会』『ワーキングプア』などと呼ばれ重要な社会的問題として指摘されている」として、期間従業員と正社員に対する休業措置の「差別的な取り扱い」も問題視。前例のない司法判断として注目された。
一方、派遣会社プレミアラインに対する決定では、派遣先であるいすゞとの契約が解除されたことだけを理由にした解雇を「明らかに無効」と断定。さらに同社が、派遣労働者を集めて一方的に解雇通告した後、「合意解約」に見せかけるため退職届を記入させたとして「信義則に著しく反し明らかに不相当」と批判した。
両社は二十三日までに、労働者への支払いを済ませたといい、今後の対応については「コメントを控えたい」としている。
この二件以外の仮処分申請でも、派遣会社が派遣労働者に契約期間内の賃金を支払うなどして、和解と申し立ての取り下げによって終結した。
仮処分申請した七人を含む計十二人は、いすゞ自動車に雇用継続や損害賠償を求め東京地裁に提訴。このほか、ホンダ栃木製作所で十一年働いてきた元期間従業員や、神奈川県内の日産自動車と日産車体で働いていた元派遣労働者ら五人も提訴している。