漸劇のハルジオン 過去ログⅠ

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―― 2028年6月4日 カルナーク号車内 ――


ガタンゴトンッ……ガタンゴトンッ…―――――(雪が降り注ぎ、真っ白に染まった荒野を蒸気機関車が走っている)


ネモ「♪~…(淡い桃色の髪に猫耳フードを被った少女は、車内でスマホをつついていた。端末に繋いだイヤホンから流れる音楽に合わせて小さな頭を左右に揺らしていた) 」

はらぺこあおむし「(弁当の車内販売を行うハロウィンのアルバイトをしている) 」

ネモ「………(ふと、外に映る白銀の景色へ視線を向ける。水兵の彼方まで白く伸びる開けた大地の先を見据え、ふと物思いに耽る――――) 」


……すべては、「あの日」からはじまったんだ―――――


―― 2016年12月17日 フォータムル宅――


ネモ(当時7才)「…刀剣武祭ー…?(リビングのソファで漫画を読んでいたところ、やや不機嫌そうに手にしていた漫画から視線を覗かせる) 」

父親「ああそうだ!世界中から名のある剣士たちが集い戦う大会だ!来年の2月に開催されるんだとよ。…どうだ、パパと一緒に観に行かないか!?(スマホ画面に写された大会の記事を意気揚々と見せつけながら) 」

ネモ「…言っとくけどパパ、ネモは「伐刀者」になんかならないよ。 」

父親「………(…まだ、「ママ」のこと、気にしてるんだな……) 」


リビングにある写真立て。父と母と幼い少女の三人が写っている。


父と母は伐刀者…魔導騎士であり、教師であり、一人の子供を持つ夫婦だった。そんな二人から産まれたボクもまた、その素質を持っていた。いずれ大きくなれば、ボクは学生騎士として、二人と同じ道を歩くものだと思っていた。それでもよかった、二人のことが、大好きだったから。


だけど数ヶ月前、母はこの世から去った。父と一緒に紛争地帯へ駆り出され、原住民を庇い、父の目の前で命を落としたんだ。


あの日以来、ボクは父と二人で暮らしている。父は今まで以上に必死に働いた。今まで以上に笑うようになった。今まで以上に、不器用さがにじみ出るようになった。…きっとぜんぶ、ボクの為だったんだと気づいたのは、もう少し後のかな。


父親「……ま、まあ…!行くだけ行ってみようじゃないか?気晴らしにはなると思うぞ~(はははとぎこちなく笑いながら) 」

ネモ「そう言って、本当はパパが観に行きたいんでしょ。 」

父親「(ウッ…)…そ、そろそろ支度しないとな…!まあ考えておいてくれよな…!(いそいそと部屋を出ていった) 」

ネモ「………… 」








―― 2017年2月27日 百刀剣武祭会場――


父親「うおおおおぉっ!!いいぞッ、そこだッ!!もっと攻めろォーッ!!(観客席で試合を観戦している) 」

ネモ「パパ、うるさい……(暑苦しい父に引きながらアイスクリームをちろちろ舐めている)………こんなの、つまんない…(舞台で切り合う剣士たちを見て、ぽつりと呟いた) 」

父親「…………(娘との距離感に、どこか悲愴が過ったような複雑な表情を浮かべた) 」








父親「…いやぁ~、今年も大盛り上がりだったなー!(夕暮れ時、すべての試合が終わった百刀剣武祭の会場を後にする) 前回序列一位の柊木雪も衰え知らず!それにあの翡翠雛菊という剣士、俺の同級生と同じ苗字や雰囲気もどことなく似ていたし…もしかすると娘なのかもしれないな~… あとはあの……(ふと、前を歩く娘の背に視線を落とす) 」

ネモ「………(夕日が差す帰り道、路上の石ころをつまらなそうに蹴り飛ばしながら、俯いた顔で歩き続ける) 」

父親「……じ、実はなネモ…!来年のこの日にな、今回の大会で選ばれたベスト10の選手たちによる決着大会、「十刀剣武祭」ってのが開かれるんだ!来年もパパと一緒にあの会場で最後の試合を見に行こうな! 」

ネモ「………… 」







―― 2018年2月27日 十刀剣武祭会場 ――


ゼロリア「――――― ギ ュ゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ァ゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ッ゛  !  !  !  !  !  !  !  」

キリギリス「十刀剣武祭は一旦中止とさせていただきます!観客の皆様、選手の皆様!!落ち着いて避難をお願いいたしま…ひっ、ひぃぃぃいいい!! 」

ネモ「…ねぇ…っ、パパ…なんなの、あれ……?(大混乱に陥った観客席の中で、父親にしがみつきながら空に浮かぶ大罪剣に酷く怯えている) 」

父親「っ…これは…ッ…!?(…ここは私が出るべきか…いや、今は…――――)(涙目ですがる娘を横目に、職務を全うするよりも避難を優先) ネモ、こっちだ…!!(同じく逃げ惑う客の雪崩に飲み込まれないように娘を抱きかかえ、その場から逃げ出そうとする) 」

ゼロリア「ズズ…ッ…――――――― ヒ ュ ド ド ド ド ド ド ド ド ド ァ ッ ! ! ! ! (球体に開眼した無数の眼が一斉に閉じ、そして眼より無数の斬撃が光線状に、四方八方に解き放たれた) 」


きゃーッ!!うわあああぁっ!! ぎゃああああぁぁッ!!!(大罪剣の光に呑まれていく観客たち。その凶刃はついにネモたちにも向かれ――――)


ネモ「……!!パパッ……!! 」

父親「―――――ッ!!! 」


初めて死を悟った。もうすぐボクたちも、ママのもとへ行くのだと思った。目を閉ざす。再び目を開けた頃には、きっと天国にいるのだろうって…

何かが閃く音がした。空に響く大きな金属音。それは逃げ惑う人たちの断末魔よりも強かに、この耳に届いた。


一瞬、世界が止まったような感覚を暗闇の中で感じた。ボクはそっと目を開けた。


ネモ「――――――!! 」

氷冬「―――――――――――――――――― 」


一人の剣士がいた。こちらに背中を向け、一本の刀を手にあの凶刃を切り払ったかのように伸ばしていた。


美しく靡く髪の内側に見えたあの鋭い眼、白い横顔を、今でも鮮明に覚えている。剣士には迷いはなかった。そんな風に見えた。


ネモ「…ぁ………っ……! 」

氷冬「…………―――――――――――― 」


何か声を掛けようとその背に小さな手を伸ばしかけた。しかし剣士はこちらに一度目を向けると、すぐにあの化け物に立ち向かった。


母も、あの剣士のように、誰かを守るために戦ってきたのだろうか。亡き母の姿がふと蘇った。


父親「…選手の方に助けられたな…ネモ、大丈夫か……?………ネモ……? 」

ネモ「……パパ………ネモ、"ここ"にいたい… 」

父親「………!!(何を馬鹿なことを!…そう言いかけたが、嫁の死後、決してわがままを言わなかった娘のその言葉に、何かを悟る―――)……わかった…何かあったら、今度はパパが守る。(そう言い、多くの人々が逃げ惑う中、親子はその場にじっと留まった) 」


ボクと父はそこで目に焼き付けた。剣士たちの戦いを、生き様を。世界が終わりを告げようとしていた、そんな状況で、ボクたちは臆さず彼らを見守り続けた。誰もいない観客席で、最後の最後まで――――










―― 2018年3月13日 十刀剣武祭会場 ――


後に、「罪剣事件」と呼ばれるあの大騒動は、剣士である選手たちの活躍によって鎮圧された。あの日から二週間が経ち、中止された十刀剣武祭は再開されることとなった。 」


ネモ&父親『 そ こ だ ー ー ー ッ ! ! 』


気が付くとボクは自分から父を誘い、再びあの舞台の熱狂へと飛び込んだ。


湧き上がる歓声、響き渡る鋼の残響、斬り合う者たちの強い叫び。ようやく届いたすべての音が、幼かったボクに新たな光を齎した。


母の死をきっかけに拒んだ剣の道、好きになれなかった戦い、何もかもが退屈だった日常…すべてが変わった。


あの災厄の日に見た一つの輝き。あの日のことは今でも決して忘れはしない。

父親「……楽しかったか? 」


あの日とはどこか違う夕暮れ。父に手を引かれながら歩いた帰り道。


ネモ「…ねえ、パパ……ネモね…―――― 」


いつか「三人」で見た夕日を重ねながら、ボクはやうやく決意した――――







―――― " パパやママと同じ《 伐刀者 》になる! " ――――









―― 2027年5月25日 某学園 ――


ネモ(15歳)「くー…すぴー……(机に突っ伏して爆睡している) 」

教師「……ということで、この白いアネモネは大気に分散するエーテルを蓄え循環することによって化学変化を起こし、赤色に変色し………って…おいこらネモーッ!!聞いてるのかー!? 」

ネモ「 ビクッ (あ、ヤベ…) ははははいッ、14×67は…え~~~~っと…900です!!(寝ぼけたままガタッと立ち上がる) 」

教師「 「938」だ。 数学は二限目だったろ?今は科学の時間だぞ。あとで職員室へ来い。 」

ネモ「……あは、あははは……(教室でどっと沸き上がる笑いの渦の中で後頭部を掻きながら苦笑いする) 」










教師「…まったく、お前という奴は…(やれやれと額に手を当てながら) 」

ネモ「むーっ…あんなに怒鳴らなくたっていいじゃんパパー。(ぷくーっと頬を膨らませながら) 」

教師「学園で「パパ」は止めろと言っただろ。(しーっと指を立てながら小声で放つ)……最近は修行もかなり頑張ってるし、部活動でも評判は良いと聞くが、学力の方はどうだ?父さ…コホンッ、俺は心配なんだが…? 」

ネモ「…だってパパの授業つまんないもん。(ぶーぶー) 」

教師「お前なぁぁぁぁ…(クソでか溜息)……ん、そうだ。お前知ってるか。来年の今ぐらいの季節か。とある国で伐刀者だけで行われる武闘大会…その名も《伐刀劇祭》が開催されるらしいぞ。 」

ネモ「……えっ?(あからさまに興味津々な顔を見せる) 」

教師「もしかすると、お前が憧れているあの「英傑」もやってくるかもしれないな~…? 」

ネモ「……「英傑」…っ……(ごくりと息を呑む) 」


―― 2026年2月25日 十刀剣武祭 会場 ――


父親「残念だったな、ネモー。もしかすればお前もこの舞台に立っていたかもしれないのにな~。一回戦で敗退してしまったんじゃあ仕方ないよな~。(けらけらと笑いながら客席に座っている) 」

ネモ(14歳)「うっさ~い!!相手が強すぎただけだもんっ!(腕を組み頬を膨らませながらそっぽを向く) 」

父親「まあ、ネモはよく頑張ったよ。そういや知ってるか?お前以外にも、大会に出場していた伐刀者がいたんだぞ?……ほら、ちょうど来た…! 」


パ  ァ  ン  ッ  !    パ  ァ  ン  ッ  !   パ  ァ  ン  ッ  !  (舞台に弾ける火花に立ち込めるスモーク。白煙の中に双影が対を成して揺らめいている――――)


ダイナ「―――― よぉー、「クロイツ」…!ここで会ったが百年目という奴だ。今まではちんけな大会で、何度かお前に惜しくもやられはしたが…この十刀剣武祭!ここで勝てりゃ今までの戦いなんかどうだっていい!決着を付けようぜ……なあッ!?(銀髪に褐色肌、そして「虎の目」を思わせるような獰猛な眼光を放ちながら、男は両腕を高らかに伸ばし、獣の如く爪を立てる) 」

クロイツ「——————(入場門を挟んで双柱を為す火柱。喝采、歓声、『勝利と敗北』の双方を望む残虐な渦の中、男は数多の星が如き『勲章』を、翻る真紅のマントへ一身背負いステージに立ち)———— 受けて立とう、好敵手<友>よ!我が『星の竜騎兵』は容赦無くお前を打ち砕く!!(この刹那、取り巻く全てが、相対する敵、観客の一人一人、草木の鼓動、目前にある勝敗、全てを隣人であるかのように、愚直なまでに真っ直ぐな笑みで相対した) 」

クロイツ「—————   ┣¨  ン  —————(『頂点は我一人、ここに在り。』そう天へ示すかの如く、腕を高く掲げる)——————さあ楽しめ。『キングタイム』だッ!!!!! 」

父親「……見てろよ、ネモ。ここから"伝説"がはじまるんだ…! 」

ネモ「――――――!!(天をも突き抜けるような高らかと上げられたクロイツの拳に、瞳孔の奥で火花のような眩い光が弾ける。それはかつて見た剣士の背に似た感情―――「憧憬」だった) 」

キリギリス「それでは始めましょうかァッ!!!2025年度十刀剣武祭決勝戦ッ!!! クロイツ vs ダイナ !!!正真正銘最後の戦いだあああああァッ!!!それでは両者構えてェ~~~~……試合――――― 開始ィァアッ!!!!! 」


ワ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ (空に響く大歓声は、二人の大いなる決戦にゴングを鳴らした―――――)













教師「…そうだ、伐刀者で初めて、あの十刀剣武祭で優勝を果たし、"英傑"と呼ばれた大物…『クロイツ・オルランド』。数々の大会で名誉を得たあの方だ、今回の伐刀劇祭にも顔を出さないとは思えない。 」

ネモ「…あの英傑に…会える…っ…!?(わなわなと声と体を震わせながら、湧き上がる興奮を必死に留めようとしている) 」

教師「フッ…当然行きたいよな?…だが、その大会は伐刀者ならだれでも参加できるとは限らない。まだまだ世界には少ない伐刀者…その中でも、かなりの実力が備わっていることの証明…すなわち、魔導騎士連盟からの「推薦状」無しでは出場はできない。そして教員である俺はその推薦状を渡す権利を持っている。……欲しいだろ? 」

ネモ「……!!(うんうんと上下に激しく頭を振るう) 」

教師「ならこうしよう。今度の中間・期末試験共に、クラス平均点を見事に超える結果を出せば、お前に推薦状を渡そう。度のみち、「こいつ」を渡すのはそれ相応の実力や知識を持った者じゃないと認められないからな。……やるか? 」

ネモ「もちろんっ……!!ボク頑張るよ、パパっ!! 」

教師「だからパパはやめろって!(大声で叫ぶ娘の口を無理やり防ごうと慌てだす) 」






―――――――……ガタンゴトンッ……ガタンゴトンッ……





ネモ「……(白銀世界からスマホの画面へ再び視線を落とす。ソロモン公国で行われる「伐刀劇祭」のこと、"英傑"がまたどこかの大会で優勝したこと、魔導騎士国際連盟が発表した新たな制度のこと…伐刀者にまつわる様々な記事をスクロールしながら流し読んでいく) 」

ネモ「………「あいつ」も、来るのかな……――――― 」


―――― " 優勝おめでとう…!ボクは「ネモ」!君、強いね…!…ねえ、いつかまた戦おうよ…! " ――――


―――― " …きやすく話しかけないで… 退いて…… " ――――


初めて会った時は、冷たくあしらわれたけど…


―――― " …あっ!また会ったね!この大会にも出場していたんだ…奇遇だね~!今回はボクが勝つからね! " ――――


―――― " …うるさい…何度やっても結果は同じ… " ――――


父から教えてもらった小さな大会へ手当たり次第に挑む度に、必ず出会うあの娘…


―――― " すごいねえ…君とはいろんなところで会うけど、全然勝てないや… " ――――


―――― " …私に傷を負わせたのは、貴女が初めて…腑に落ちないけど、少しは認めてあげる… " ――――


負けるたびに「今度こそは」と生き込んで修行に励むけど、それでも彼女はボクの一つ上をいく…


―――― " くぅっ……あと、もうちょっと…だったんだけどなぁ…… " ――――


―――― " ちょっとは私に追いついて来たみたいだけど、まだまだね。 " ――――


それでも、戦う中でボクたちは笑うことが多くなった気がした。


―――― " …明日、この国を旅立つわ。もっと高みを目指すために。 " ―――――――― " …明日、この国を旅立つわ。もっと高みを目指すために。 " ――――


―――― " そっか~…じゃあ、もう地区大会では会えなくなるんだね。 " ――――


―――― " そうね。貴女とは、これで最後になるかもしれないわね。 " ――――


―――― " ……ううん、きっとまた会える。…会いたいんだ。 " ――――


―――― " ………? " ――――


―――― " だって、ボクの目標は「君」だから。君に勝つまで、何処へ行ったって、何度立って、挑み続けるよ。 " ――――


―――― " ……ふっ…可笑しな人。けれど、たとえどこかで相見えたとしても、結果は同じよ。私の前に立ち塞がるのなら…容赦なく叩き落としてあげる。 " ――――


―――― " むぅ…!じゃあ宣言してやる!次はボクが勝つ番だ!!ぜっっっっっったいにッ!! " ――――


―――― " ……精進なさい。 " ――――


―――― " 誓ったからね!今度は絶対に勝つから…『 ペルシカ 』…! " ――――


ネモ「―――――………きっと、もっと強くなってるだろうなぁ… 」


スマホの待ち受けに映る二人組の少女。ボロボロながらも満面の笑みを浮かべるネモと、トロフィーを両手に抱えどこかぎこちない笑みを見せる「ペルシカ」という黒髪の少女が並んでいる。


ネモ「…うん、何であっても楽しみで仕方ないよ。(ようやく何もなかった白荒野に映りだした建造物の影。遥か先にある大都市に嬉々たる眼差しを浮かべる) 」


車内アナウンス「カルナーク号にご乗車いただきまして、ありがとうございます。次は、「ルーシュカロル駅」―――


ガタンゴトンッ……ガタンゴトンッ……(汽車は煙を蒸かしてかの地へと走る。誰も見たことのない物語の舞台へ――――――)





― ソロモン公国・ルーシュカロル駅 ―


ネモ「(西洋造りの広々とした駅の改札を抜け、人々が行き交う駅内広場へと出る)………さむっ……!(通路から吹き付ける冷たい風に身の毛がよだつ)北の北にあるって聞いたけど……夏場でもこんなに寒いものなの?(う~っと唸り声を鳴らしながら両肩を摩る) 」

はらぺこあおむし「(駅のキオスクでハロウィンのアルバイトをしている) 」

ネモ「んーっと……受付日は翌日だから、まずは事前予約したホテルでチェックイン、と…(スマホのメモ機能に記されたスケジュールに目を通しつつ、駅内の時計を見上げ時刻を確認)……チェックインまで時間があるな~…先にホテルの場所だけ把握しておくか……ん?なにこれ…(スマホに映る地図と睨めっこ)…駅周辺に宿泊施設が多すぎて名前まで被っているんですけど……え~…わかりづら… 」

白制服の少女「っはぁぁぁぁぁ~~~~、さむさむ。なんかちょ~冷えるんですけどぉぉぉぉ~~~?(同じく改札から出てくる。あったかそうな羽毛のコートを羽織りながらも全身を強く抱きしめるようにコートを手繰り寄せ、ぐぬぬとした顔で立ち往生している) 」

ネモ「…ん~……ダメだなぁ……?あ、あの~…?(偶然目にした白制服の少女に話しかける)ちょっとお尋ねしたいんですけど~…?このホテルを探しているんですけど、場所とか知ってたりしませんか…?(スマホの画面を見せつけながら) 」

派手なパーカーの女性「此処がルーシュ・カロル…へぇ、あの時ぶりにきたけど、いい街 ( とこ ) じゃないの……(ソフトカバーの本を手元の鞄に仕舞いながら、二人から遅れて改札から出てくる) 」

白制服の少女→ルルネット「うんっ?えっ、やだ、「サイン」~~~~!?いやああぁ~、出て来て早々それは困っちゃうな~!(あはあはと口元を抑えながらニヤニヤしている)でもでもぉ?こぉ~~~んな人里離れた北の大地でぇ?私が「ルルネット」ちゃんだと知ってるファンがいることだしぃ?ファンサしないとねぇ――――ほぇ?(突きつけられたスマホにきょとん)………………あー……うん。うん、うん、そうかそうか、そうよね。(納得したように振り返りながら、ネモの見えないところで恥ずかしさのあまり赤面する) 」

ネモ「………??? 」

白装束の人物「  リン…  (『紙の地図』を広げ歩いていた為か前方の注意が散漫になりネモと彼女が接触を試みていた少女とぶつかってしまう。 鈍音ではなく、さながら鈴の音に似たそれが響くだけで、衝撃も感触も殆どなく) っと……ごめんなさいね(その人物は『すり抜けて』、彼女達の正面から後方を歩いていた。踵を返し背越しに囁くその人物は声が凛と澄んでいて、北方の民族衣装のような白装束に身を包んでいた。フード越しに見え隠れする白髪、陶器のような肌はこの世の人間ではないような印象を(俗人であれば)受ける) 」

ルルネット「………こほんっ!(再びネモの方へと振り返りわざとらしく咳払い)あ~~~、何も言わないで。わかってる、わかってるから。君が探してるそのホテルはまさにこのルルネットちゃんがこれから宿泊しようとしているところ(※今決めた)…それつまーりっ!君は私の追っかけ!ということになるわ。光栄に思いなさい!世紀の大ヒロイン、ルルネットちゃんと同じ宿泊施設に泊まれるなんて、貴女ついてるわ☆(まー、ちょーど泊まるところ考えてなかったし…探すのもめんどくさいからこの娘についてこ…そーしよ……) 」

ネモ「え~~~~~っと……あ、君もボクと同じで地元の人じゃあないんだ。(はははと苦笑)えっ、そうなの?じゃあ一緒に行かない?一人だと迷いそうだからさ… 」

派手なパーカーの女性→泉北「最近は作家業の方にばっかりでこういうのは久しぶりだなあ……(前方の面々を見ながら)……降りた場所が場所とは言え、やっぱりお仲間…というか後輩かなあ 」

ルルネット「一緒にぃ~?ふぅ~~~ん……そぉんなに私と一緒がいいんだぁ?(むふふとしたにんまり顔で詰め寄る)まあ?どぉ~~してもって言うならぁ?一緒に行ってあげてもよろしくってよ!おほほほ―――――きゃんっ!(白装束の人物とぶつかり大胆に転倒)いったぁ~~~~い……ちょっとぉ!痛いじゃないの!どこ見て歩いてんのよこのアhウッ…寒い…っ……(急に吹き付ける冷たい強風に縮こまる) 」

ネモ「大丈夫…?(転倒したルルネットに手を伸ばして引き起こす)……?(この辺に住んでる人…なのかな…?)(白装束の人物を不思議そうに見つめる) 」

白装束の人物「トン(指でルルネットの肩へそっと、ゆっくりとした動作、しかし並みであれば回避仕様に間に合わない速度で指を当て) ぐりんっ(手首を捻る。それだけで何故か筋繊維が刺激されたのか、ルルネットの体は点灯する以前のように立ち上がっていた) ス……失敬、目が少しよく見えなかったもので(口元に指を当て、たおらかに目を細めて笑った) ス ッ (腰の高さまで垂れ下がる袖を北風に靡かせ、しなやかな指である建物を指差し)———『学生騎士』さんですかね 宿探しならあちらを行くといいですよ。学生さんの割引がありますから(ネモへゆっくりと一瞥をやりはにかみながら) 」

ルルネット「シャキーーーーーーン(!!?)(その時、不思議なことが起こった!地に落とされたルルネットちゃんの体が、天にも昇るように湧き起り、気が付くと平民たちと同じ視線に立っていたのだったァーーーッ!) 」

泉北「おっとぉ、学生騎士の子と一緒はアレだしなあ……胡桃ちゃんが見に来るって言ってたし宿の確保しないと……この辺あんまり詳しく無いんだけどな……(ススッと白装束の人物が指差した方を一瞥し) 」

ネモ「え…(「学生騎士」のワードにぴくりと反応する)…そ、そうです!あちら……おっ?(その人物が示す先に見えた宿泊施設に目が向く)なるほど…割引かぁ、良心的… あのあのっ、ご親切にありがとうございます!(ぺこりとお辞儀する) 」

白装束の人物「……。 クスクス(何を思ったのか童にそうするようにルルネットの頭を撫でる) 私は生憎と野宿ですので、物持ちも悪いし学割が効いていないようなホテルに泊まる程のお金もないのでその辺りは詳しくは……(泉北の声を聞き取っていたのか誰に向けてでもなく囁く) ————。(指をぶかぶかの袖の暗がりから、ネモの持つスマホへ向け)ここに来たということは『彼』のことも知っているのでしょう?お礼、と言っては恩義せがましいですが画面を見せていただけませんか 」

ルルネット「ふ、ふぅ~ん…まあいいんじゃない?駅近だし?周辺環境もよさげだし?満席になる前に早速チェックインしちゃお~~~っと☆ ……あ、そうだ。(ホテルへ向かおうと足を延ばしかけたところ、再度ネモへと振り返る)私の名前は「ルルネット」ちゃん♪ 知らないなら覚えておいて損はしないわっ☆ (自身のサイン入りチェキをネモに一枚差し出し、颯爽とその施設へ向かっていった) 」


―――ギュォォォォォンッ!!!(ジェット噴射音が遠くから響き渡り、駅の真上まで迫ってくる)


ネモ「え、あ…うん……?(唐突に差し出されたチェキの写真を受け取りやや複雑な表情を浮かべる) こんな極寒みたいなところで野宿…!?(どおりでその恰好…いや、そうだとしてもこの環境下で…!?)(改めて目の前の人物の服装をまじまじと見つめながら仰天する)…「彼」…?……えっと…うん…(言われるがままスマホの画面をその人物へ向けて見せつける) 」

白装束の人物「どうも。(距離感を把握できていないのか、何度かスマホを受け取ろうとした手が空ぶる。ようやく掴み取ると、画面上部『ブラウザバック』がある位置をタップし、ある画面を目にすると指が止まった)………。そうですか、あの泣き虫が……誰かの『夢』になれたのですね(その『少女』はフードの影で目を伏せて確かに微笑んでいた。追憶を懐かしむかのように、優しく)————ありがとうございます。おかげで良い思いをしました、ここまで来た甲斐があったというものです(そっと、僅かにネモより遠い位置にスマホを差し伸べ、首を傾げて笑いかける)———応援していますよ 」

ネモ「……?…は、はいっ…ありがとうございます……?(何が何やら状況を上手く呑み込めていないが、応援の一言で少しかしこまったように頬をポリポリ掻く) 」


――――戻されたスマホの液晶に映るのは、駅に至るまでの車内で閲覧していた『クロイツが各大会で優勝した』事にまつわる記事、そのページのトップを飾る彼の写真だった


ヒロ「えぇえぇ!!!旅のお供に最適な!!!!ファミチキいらんかね!!!今ならなんと!!100円だぁぁぁぁ!!!!(駅前で露店を開いている) 」

電話猫「どうして衣がカチカチに冷えているんですか、どうして…(カッチコッチに冷えたファミチキに号泣) 」

ヒロ「あ、温めはセルフになってます(電子レンジを指さして) 」

ルスキニア「ふっ―――スタッ(駅の真上から、機械外装に身を包んだ女が降り立ち、その外装がすぐさま暖かな冬服に変化する)ちょっと通り過ぎちゃった……え、ええと……すみません、ここソロモン公国のルーシュカロル駅で合ってます……?(その場にいる者たちに尋ねる) 」

現場猫「(コンセントが凍結しているので使い物にならないがマッチをレンジに入れてしまえば温められるので)ヨシ!(電子レンジに火をつけたマッチ棒とカチコチに冷えたファミチキを放り込む) 」

泉北「"Aランク”に"十二使徒"が来るって事は……荒れそうだなあ……こっちも作品のネタにする気満々だからあれこれ言えないけど……(上空から降り立つルスキニアが目に入り)…出たなあ…… 」

ヒロ「ヨシじゃねぇぇぇぇぇ!!!!!(慌ててマッチ棒とファミチキを取り出す) 」

ネモ「……!(はぁぁ~……やっぱりかっこいいなぁ…)(画面に移る憧れの"英傑"に思わず表情が綻ぶ)……?あ、そうですよ!実は自分もたった今降りたばかりでして… 」

現場猫「えー。 」




白装束の人物「(ルスキニア、泉北と視界に入れ人だかりが増えたのを『感覚』で把握すると、静かに保を進め) ———— 。ぽん(すれ違い様、ネモの頭に手を添えて軽く撫でる。体温は限りなく低く、雪解け水のように冷たい)————『超えて』行きなさい、彼も待っていますよ。そんな誰かを 」

佐市「ほうほうほう(ホームに降り立ち、造形の優美さに微笑みを浮かべながら周囲を見渡す)ルーシュカロル駅……物見遊山として来てみたが、最初のそれからこれほどまでに美しいものが見れるとは、いやはや 」

ルスキニア「なるほど、それは良かった。この辺まで飛んできたことはあまりないからちょっと迷っちゃいましてね…… 」

ヒロ「この本職の目が黒いうちは危ないことはさせないぞ!(メタ発言)…こっちであたためんしゃい(ストーブを用意) 」

はらぺこあおむし「あ~~~~~~~~(ストーブの熱に温まっていたところ着ぐるみが発火したことに気づいていない) 」

ネモ「ほわ(人のものとは思えないほどに冷え込んだ出を頭部に感じながら思わず目を瞑る)……そうかなぁ……そうだよねぇ……えへ、えへへへ…(によによ) …よしっ!だとしたらこんな寒さに負けてなんかいられないよね!あの人(クロイツ)は寒中水泳大会でも歴代で最高距離を叩きだした事例もあるし!ボクもホテルに行ってから自主トレしなきゃ!ありがとうお姉さん。 」

ヒロ「ゴルルルルァァァァァ!!!!(はらぺこあおむしに水をかける) 」

ヒロ「…おじょうさんもファミチキ買ってかない?あったまるよ(ネモに) 」


リ  ン   (ネモが振り向くと、白装束は鈴の音を残し跡形もなく消えていた。)  水上は思ふべきかな。 苔清水湧きしたたり、 日の光透きしたたり……♪ (そよ風に混じって、彼女の歌が僅かに耳をかすめたがそれも遠のいて消ゆ)


はらぺこあおむし「とても、さむい…… 」

ヒロ「そんな君には毛布!!!お歳暮で買ったやつ(ぇ 今ならたったの500円だよ!(あおむしに毛布を掛ける) 」

ネモ「―――――……れ?(お礼を言った頃には彼女の姿はなく、駅内を行き交う人々の群れ中で四方八方を見回していく)……何だったんだろう……まあ、いっか…! ファミチキ?あ~~……そういえばお腹空いたなぁ…じゃあ、二個くらい買ってこうかな。 」

泉北「(白装束の人物の視線を察して軽く手を振り)消えたか……多分知ってる人だろうなあ…… ファミチキ結構なんで稲荷寿司とかください、知り合いが好きなので(ササっとヒロの前まで歩き) 」

ヒロ「毎度!!!(ネモにファミチキ2つ渡す)ほいほい稲荷寿司ね!!!1人前300円!!(どっさりとはいった稲荷寿司を泉北に)お嬢さんたちこの辺の人?俺は違う!(ネモと泉北に) 」

ネモ「ありがとう~…ボクも違う!(ヒロと同じようなリアクションで応える)実はこの国で武闘大会が開かれるらしくて、それに参加するために来たんだ。 」

泉北「しがない作家風情ですよ、まあちょっとお祭り…(傍らのネモが目に入り、苦笑気味に)まあ、そういう大会で……仕事柄出なきゃ行けませんからね、無関係ですけど興味があるって友達が来る筈なんですけど中々来なくて…(ヒロに300円を渡し、稲荷寿司を受け取りながら)量多いなあ……最近元気ないみたいだし食べてくれると良いんだけど… 」

ルスキニア「あ、もしかしてあなた達も大会出場です?(ネモと泉北を見やり)……そちらのお方は若いのに、チャレンジャー精神旺盛なんですね。(微笑ましげな瞳) 」

ヒロ「あぁ、君らも外来だったんだ!なるほどね、武闘大会……どうりでこんなクッソ寒いところでセールの余りの売り裁きをやらされたわけだ。(ボソッと)…二人ともその参加者ってわけか!面白そうだな、俺もその大会の会場に乗り込むかな(大笑い) そうだ、名前聞いてなかったな。俺はヒロってもんだ。(2人に) 」

ネモ「へぇ、奇遇だね!(泉北に顔を向けながら)やっぱり世界各地からその関係者が次々と集まっているんだな~…(うんうんと頷きながら、購入したばかりのファミチキを口にする) 」

ネモ「そうだよっ!(振り返ってルスキニアに)会いたい人がいるんだ!あわよくば、実際に対決してみたい…なんてね。(へへへと舌を出す)んー?ボクは「ネモ」。ネモ・フォータムル。(猫耳フードがピコピコと動き出す) 」

佐市「おろ?(丁度見つけた面々を見て)これはこれはご婦人方。貴殿らも観光…のようではなさそうな。武闘大会と言われたな。そのような催しをどこでお聞きになったのかな? 」

ルスキニア「なるほど、それはそれは。素敵な夢ですね、細やかながら応援させて頂きましょう。(にっ、と笑う)といっても、私も参加志望なのでぶつかった場合の容赦は致しかねますけど。 」

泉北「ええ、まあ…一応正式な魔道騎士なので、出ないと……って感じですね 推薦状貰った学生さんが結構居るんだろうなあ、怖いなあ……(二人の実力をある程度察しつつ、苦笑いが続くまま)売店が建って人が呼ばれて、って位の催しなんですね、凄いなあ…… あ、私は泉北。泉北牧乃です。東部で犯罪捜査の任に就いていて、手慰みに物書きをしています 」

ネモ「ボクみたいな学生騎士はパp…学園の先生から教えてもらって、出場のための推薦状を貰ったんだ。……結構大変だったけどね…は、ははは……はぁ…(不得意な勉学の苦行が脳裏を過り、表情が陰る)なな、なんとォー!(驚くあまり猫の目になる)めちゃ強そう……でもボクだって……!さ、寒い……このままだと凍死しそう…(極寒の地とは思えない軽装故に)さっき教えてもらった宿に、行かないと……ちぬ……そ、それでは……(がたがたと震えながら宿を目指した) 」

ヒロ「…ふむ、ネモちゃんだな。よろしくな!あ、お大事に…(ネモを見て)東部?ってこたぁおんなじとこだな。犯罪捜査ってーと警察か何かかな?(泉北に) 」

ルスキニア「私は魔導騎士だからですね、職務上……というのもありますが自分自身の底が知りたくて。(佐市に答える)強さは実際に戦ってみるまで推し量れるものじゃないですよ、それに時の運というのもありますから。 」

泉北「(コネもあるだろうけど勉学が微妙でも貰えてるってそれ普通に逸材……)頑張ったんですね…あ、そうですね冷える前に、それじゃ…(ネモに向かって軽く手を振りながら) 守秘義務が絡むのであんまり詳しくはアレなんですけど、まあそういう感じという事で…(実際言えないのであろう、要領を得ない答えでお茶を濁す様に)その友達もまあ、ちょっと外れてますけどお仕事の絡みので、学生時代から仲良しで 」

佐市「ほうほう、魔導騎士……そうか。(そのワードを聞いて、目を細める)なるほど、多くの者がこの地に惹かれるわけだ。己自身の底、か。奇遇だな。俺も是非とも知ってみたいものだ(肩を竦めるようにして自嘲気味に) 」

ヒロ「………ま、色々な事情があるみたいだから聞かないでおくよ。…仲の良い友達なんだな、大切にしてやるんだぞ(泉北に) 」

泉北「底か……ある意味知りたくないですけどね、そういうの…… 大切に、まあ……しようと思いますけどね、最近落ち込んでるし。でも私がどうこうしなくても大丈夫な人ですよ、色んな意味で強いし……あっ、連絡来た。あー向こうの改札で降りたか……まあ、そういう事なんで、それじゃあ(ヒロ達とは逆方向、友人が間違えて降りたという場所まで足早に歩いて行く) 」

ヒロ「お、またな!(泉北を見送り)…さて、店じまいするか(露店を畳む) 」



―私立西舞学院 理事長室―


柚子「………これが、例の大会の魔導騎士連盟からの大会推薦者の名簿か…(紙を見ている)…この中から何人出場させるかは任せる。辻原先生とよく相談して決めるように。(ある人物に紙を差し出す) 」

陸「…はっ!(柚子が紙を差し出した主。紙を受け取る) 」


―私立西舞学院 魔導騎士部顧問室―


陸「………これが、魔導騎士連盟から送られた伐刀劇祭の推薦の対象者の名簿だ。睦理事長から、我々で協議してここから4、5名を決めてくれという指示が出た。…実際のところ倉山、坂村は開催日は王子大学の進学関連で参加できないため高等部の推薦者はこの中だと志村と金保しかいない状況…4、5人というのが何とも悩みどころだな…(頭を抱えながら) 」

里実「……中等部にも何人か推薦が来ているようです。1年の堀、3年の山沢、園崎、神田………めぼしいのはこの辺りですね。この中から4、5人…ってところですかね。 」

陸「うーむ、だが…3年生の3人はともかく堀はまだ早いのではないか?13歳の若さでCランクというのは立派だと思うが……



時は遡り…

――― 聖風学園 放課後 魔導騎士部 ―――


タクマ「―――ペラ……ペラ………ふふっ…はは!………ペラ……(部室の椅子に座りよ○ばとを黙々と読むふけっている) 」

改原「ヅカヅカヅカ……(校内だろうが、帽子を深く被り目元を暗く隠す)ヅカヅカヅカ…(廊下を忙しく、だが平静な足取りで右側を通行し)……ガラガラァ!ピッシャァーンッ!!(止まった矢先、【魔導騎士部】の表札がぶら下げられた扉を勢いよく開ける)……(登場するやいなや、タクマの部活態度を見下すような構図で眺め)お疲れ様です、タクマ先輩(一言、はっきりと発言)…紫先輩はまだいらっしゃらないんですか? 」

タクマ「う゛ァああぁぁい゛しょぉーーい!!?(ビクゥッ!! 漫画本を落としてしまいそうになる) うぁ…ああぁぁびっくりしたーもぉぉ!!おんまえそれやめろよぉ…!(情けない声で抗議しながら漫画本を本棚に戻す)紫ちゃんはまだ来てないですよ、ほらさっさとジャージ着替えてこいオrrrルァ(汗を浮かべて心臓バクバクさせながら巻き舌をかましていく) 」

改原「そうですか……(扉を後ろ手でピシャリと閉める)もう着替えてあります(制服をババッと脱ぎ、更衣室横のロッカーに制服を詰めたエナメルバックごと投げ込む)模擬戦では伐刀絶技と実体形態の使用は禁止でしたっけ(帽子は外さず、一年の証である赤のジャージを身に纏う) 」

タクマ「おい準備万端やないかぁい!やる気満々マンやな(驚いたように言い、『よっこいせ』と椅子から立つ)あー伐刀絶技はOKです。むしろそこをどう工夫していくかが学生騎士の本質ですからね。長所はガンガン伸ばしていきましょ(2年の証である青いジャージのジッパーを胸元まで上げる)あとは紫ちゃんがくればすぐ移動するんですけど――― 」

紫「―――カチャ おつかれ、シンタロー、タクマ。(扉を開いてジャージ姿で部室の中を覗き、胸元の高さでひらひらっと小さく手を振る)ごめん、あたし少し遅れた?(それから部室へ入り、自分のロッカー前に立ってエナメルバッグと鞄を揃えて入れる) 」

改原「お疲れ様です、久遠先輩(帽子を右手で降ろし、キリッとした姿勢で一礼)気になさらず、僕も今来たところです(顔を上げると同時に帽子を被り、目元を再び影に隠す) 」

タクマ「あ~気を遣わせてる、後輩に気を遣わせちまってるぞオイ意識低いなぁ! シンタローくんに舐められるのも時間の問題ですかね~(ひひひと笑いながら部室を出る)じゃあフィールド行きますよ! 」

改原「先輩(タクマ)と先輩(紫)では、ある程度接し方に差異を付けなくては――はい、お願いします(タクマに続き、部室を出る) 」

紫「今日も礼儀正しいな~キミは…(改原の挨拶の所作を見ながら) は?シンタローはアンタとは違うからそんなこと―――え?接し方に差異ってそういうこと?舐められてるあたし??(汗)(盛大な勘違いをしながら2人に続いて部室を出る) 」


~ すり鉢状のドーム ~


拓磨「―――――準備体操と軽いアップも済、ん、だ、の、で…そうだなぁ、今日は軽く模擬戦しますか。それもまぁバチバチにやり合うんじゃなくて剣道で言うところの掛かり稽古みたいな。シンタローくんいけます?紫ちゃんは一旦見学で。(温まった身体の熱を維持するように腕や足の筋を伸ばしながら問いかける) 」

改原「明後日の体育に支障を持ち込まない範囲であれば結構です。魔力制御はまだ不慣れですので、人体にかかる負荷を均衡出来ないので……(タクミに対して一方、運動慣れしていないのがわかる緩い体操を施している)早速手合わせしましょう、タクマ先輩 」

紫「うん、じゃあ見学してるよ。二人とも頑張ってね(特に異論もなくさらっと返して2人の立ち会いに集中する) 」

拓磨「おいなに甘えたこと抜かしてんだ改原ァ!」


――― 聖風学園 ドーム型闘技・訓練場 ―――


拓磨「――――まぁ稽古なのでそういう苦手なとこはいいです。だけど、そこはダメでも尖れるところで極限まで尖って下さい(位置に付き、手を目の前に出す)――――来てくれ、《虚鉄》。(魔力光が手の内に収束していき、柄から刃先までが黒く染まった日本刀を形作っていく)―――さあ、いつでもどうぞ。(デバイスを構え、不敵に笑む) 」

改原「――――奮え、《勇者》(ブレイブナイト)(魔力光は手の内ではなく、その片鎌槍の先端と柄尻から収束され、手中に収まる黒い柄と朱い柄の片鎌槍を生成する)それなら苦手なところで、貴方に挑戦(ぶつ)かります。拓磨先輩(生成されきったデバイスを双方握りしめ、皮膚が擦れる音を響かせ)行きます――ッ!(真剣な表情を崩すことなく、”稽古”を実践すべく、拓磨に駆け出す) 」

拓磨「 スゥゥゥゥ……フゥゥゥゥ――――――(刀を正眼に構え、浮かべていた笑みを消して深い呼吸をする。そこから覗く眼は一点の乱れもなく静謐そのもの。しかしその奥には鋭く猛る闘志が改原を捉えていた)――――(彼の固有霊装は二振りの片鎌槍。リーチでも手数でもこちらが劣っている。武器の相性として僕が勝っている点は―――"力"だ。君は片鎌槍を片手で振るうことで手数を手に入れているが、両手で振るう一刀流剣術には――使い手の膂力の差もあるが大抵――押し切られてしまうだろう。キミは自分の使い方を知っているか―――)(眼に宿る闘志はより一層鋭さを増し、改原の一挙手一投足を網膜に焼き付ける) 」

改原「ガチッ(左の長物を脇に差挟み、右の長物を刃物から浅く持ち、中間距離で最も堅実に立ち回ることの出来る戦闘態勢に移行)ズッ!(拓磨の獲物の間合いに入らぬよう、足は不用心に踏み込むことはなく膝の曲げ方、背筋の保持、全てにおいて絶妙な「形」で拓磨の右腹部へと刃先を初撃とは思えない程の速度で繰り出す) 」

拓磨「 ッ ギィインッ … … ! ! (その研ぎ澄まされた槍技の軌跡を正しく見切り、《虚鉄》で受け止める。《虚鉄》から手、腕、肩、胸、体の芯まで伝わる重さに―――拓磨は微笑を浮かべた。)(姿勢、間合い、スピード―――絶妙だ。恐らく鍛錬の賜物。この一撃―――決して軽くなどない!)ギンッ! フォンッ!!(受けた片鎌槍を弾き、下段の構えに移行して日本刀の間合いへと踏み込み下方からの逆袈裟を繰り出す) 」

紫「―――――(魔導騎士に武道や剣術を極める人は少ない。そんなことに時間を使うくらいなら、同じだけの時間を使って異能の鍛錬をしたほうがずっと強くなれるはずだから。……だけどこの2人はきっと違う。動きを見ていれば解る、彼らは"必要のないはずの武道まで修めている"。どうしてそんなことを……あたしにはわからない―――)(難しい顔を浮かべ2人の剣戟を眺める) 」

改原「ギ ャ イ ッ ! !(右の片鎌槍は天を仰ぐよう、刃先を頭上まで弾かれる)グッ(刀の得意とする間合いを補助するべく、弾かれた体の流れに合わせ、差挟んでいた左の槍で)ブ オ ン ッ ! (拓磨の逆袈裟斬りを封じる――が)ドゴォォッ!!(その袈裟斬りの威力は、脇に挟んだ槍などでは防ぎ切ることなど当然出来ず、危うく身を切られそうになるが)ガッシィッ!!弾かれた衝撃で動かなくなっていた右腕を反射的に引き戻し、双槍にてその攻撃を受けきり、彼の刀を重力もこめて下へとおいやる)(重い……ッ!乗っかっているのは俺なのに、下からくるこの重圧はなんだ……!) 」

拓磨「ググ、グ……!(刀を持ち上げようと抗い―――) パッ (突如としてその動きを中断し、改原の膂力を"バネ"にして流し鍔迫り合いから脱出し、高速で身体をコマのように回す)(秘剣――――)―――― ヴ ォンッ!!(【円】。)(自身の閃と改原の力を合わせた一撃を、先まで拮抗していた反対の方向から横薙ぎに繰り出す) 」

改原「ドスッ!!(双方の槍は、忽然と消失した力の矛先に暴走し、ドーム状の地面を抉る)しまった――ッ!(横薙ぎに対し、自身に降るダメージを軽減させるべく、その方向に対応出来る槍の柄を僅かだけでも支え上げ防御)   ガ   ッ    !(通常の攻撃であれば想像し得ない、デバイス越しに爆発的な衝撃が首筋に走る)ガハッ!!(自然と体はその激痛と共に衝撃方向へと飛ぶ)グッ!(地面を抉ったままの左槍の絵を力強く握りしめ)グルンッ!!(その衝撃すら利用し、槍を主軸に一回転)ド ッ ガ ァ ァ ! !(推進力も合わさった叩き落とすような飛び蹴りを拓磨の首筋へと繰り出す) 」

紫「な――――(なんて身体能力と機転…上手い…!タクマは大振りで体が泳いでいる。シンタローが仕掛けるノータイムの反撃は致命的!) 」

拓磨「――――!!(先程の大振りで体が泳ぎ、改原の強烈なカウンターが首筋へ炸裂―――)―――無駄ですよ。(―――した筈だった。否、確実にヒットはしていたのだが、泳いだ体すらコントロールして改原の叩き落とすような蹴りを肩で受け止めていた。彼の蹴り足を丸太でも担ぐようにがっちりと腕で掴み―――ニヒルな笑みを浮かべた。) 」

改原「なっ……!(浅はかな機転、反撃だったと猛省する。それもそのはずだ。たとえ伐刀者ランクで優位を取っていたとしても、専門的評価に値する身体能力の差。強力な伐刀者として彼の身体能力は「C]と判断されている、無作為に集められた1000人の伐刀者の内、約5%。この5%に入る程の実力派兼ね備えている。だがしかし、自身が対峙した相手の身体能力の評価は――) Aランク……ッ!!(反撃には出ず、歯を食いしばりその動作に備える) 」

拓磨「 ギッ ドスンッ! (彼の足を抱えるようにし、一本背負いの要領でフィールドに叩きつけ―――) チャキ…… (改原の喉元へ刃先を突き付けて静止する) ……さっきの飛び蹴り――カウンターは計算の内でしたか? それとも咄嗟に? 」

改原「ぐふっ…! ―― 8割感覚、2割は計算……です……(仰向けのまま、武器を握らず、意地でも剥がれなかった帽子の隙間から黄色い瞳を光らせる)拓磨先輩のデバイス……《虚鉄》の防御力は俺の身体能力に加え、拓磨先輩の伐刀絶技も合わされば貫通ダメージの期待が出来ました。しかし、その反撃をどう行うかは、考えていません。脊髄が勝手に信号を発生させただけです。その後、思いっきり後悔しましたよ、一番『忘れちゃいけない』ことを思い出したんですから。その反射を止められなかった僕の落ち度であり、拓磨先輩の強みです 」

拓磨「なるほどなるほど……いえ、大したものです。計算だろうが感覚だろうが、あの刹那でああも大胆な一手に出られる騎士はそう多くない筈ですよ。シンタローくんは『落ち度だ』と言いますが、シチュエーションや使い方次第では他と差をつけられる強力な武器になります(デバイス《虚鉄》を魔力光として消失させ一歩下がり、)僕は賞賛に値すると思いますよ。ありがとうございました。(試合の終わりとする礼を改原に) ―――…はー!いったん休憩挟みますか!クッソ暑いわマジで!(フィールドから離れ、端に置いていたスポーツドリンクを口に含む) 」

改原「よっとっ…(余裕のある跳ね起きで、すぐに立ち上がり)ありがとうございました。(淡白な礼を終える)……(バツが悪そうに頬を書き、帽子の影を利用して横目で観戦していた紫に視線を落とす) 」

紫「…お疲れタクマ。あんた後輩相手にも容赦ないね(ジト目を向ける) ……(ヒラヒラ)(いつも顔に浮かべているどこかアンニュイな様子で改原と目が合い、改原のドリンクを片手に持ってひらひらとこちらへ招くように手を振る) 」

改原「……(帽子を更に深々と被り、目の高さの半分ほどまで目元を隠す)……(視線の端で、自分宛の動作を認識してしまうと、肩を竦めて紫の元へと歩み寄る)観戦ありがとうございます、久遠先輩。もう少しいい勝負をしたかったんですが、まだまだでした 」

拓磨「いやいや、言うまでも無く当然わかってると思いますけど普通に手を抜く方が失礼ですからね?ロリが相手だろうが同じことです!あぁ^~でもちょっと可哀想かもしれないな、いやそもそも僕はロリと刃を交えない。古くから伝わるYESロリータNOタッチという格言があってですね…ちょっとトイレ行ってきまーす(たったったっとお手洗いへ走っていく) 」

紫「あ~はいはい、わかったわかった!さっさと行ってこいバカっ!(汗を浮かべ、拓磨の背に罵声を投げかける) はぁ~…うん、お疲れシンタロー。しょうがないよ、あいつムカつくけど…剣術の技巧や冴えは本物だから。騎士の評価にはならないのに…(改原を迎え、『はいこれ。』とドリンクを渡す)…あたしもボロ負けしたしね。あたしが入部した日、改原くんは居なかったけど…同じように模擬戦したことあったんだよ。(ベンチに座り、両手の指先を合わせて遠くへと視線をやる) 」

改原「久遠先輩が、ですか……(『頂戴します』とドリンクを受け取る)魔力や精度は話に聞くと下限に近いそうですね。反面、あの体の基盤は魔導騎士国際連盟のお眼鏡にもかないそうですが 」

改原「……(とはいえど、やはり紫先輩の前……いいところは見せたかったが……)南郷先生とも、もしかしたら拓磨先輩なら勝負できるかもしれませんね 」

紫「……優れた異能の前には、体技などは無価値。太陽のような灼熱、大河のような濁流、神罰がごとき稲妻……これらを前にして、ただの剣の達人が何ができるかな? ――答えは何も出来ない。ただ蹂躙されるだけ。…これが連盟の考え方なんだ。ただあいつは…その常識を覆している。はっきり言って異常だよ。身体能力も合わせた評価が総合ランクに影響すればFランクなんかじゃ収まらないんだろうけど…今の評価システムじゃ、ね。(肩を竦めるような仕草をし) 」

紫「可能性はなくは…ない、かも。でも南郷先生、元世界ランカーだしねぇ…部内で戦ったことあるはずだから今度聞いてみよっかな 」

改原「しかし魔力量は――いえ、なんでもありません……(なんとなく気づいてはいたが、身体的努力を軽視する人だったな……今の俺に必要なものは経験と魔力制御、あとは伐刀絶技の強化……)久遠先輩、今度は僕と一戦交えていただけますか? 」

紫「ん? あたしと? いいよ。一応あたしの伐刀絶技がどんなものか見せておきたかったし……言っとくけど、あたしもまあまあ強いからね、シンタロー。(試すような挑発的な笑みを改原に向ける) 」

改原「久遠先輩がお強いのは存じています。ですが、先輩とはいえど、やるからには勝つつもりで挑ませて頂きますよ(表情は崩さず、帽子の縁を摘んで角度を下げる)あとは久遠先輩との試合までの目標と、終えた後の目標を立てておきます……動画サイトに費やす時間をもう少し他のことにしなければ……ブツブツ 」

紫「そう来なくちゃ―――(秘されたバトルジャンキーとしての本能が微かに表に漏れ、口角を上げる)そうだね。とりあえず模擬戦の反省会とかを部内でして―――…ん?なに、どうがサイト?(きょとんとし、聞き返す) 」

改原「――ハッ……いえ、なんでもないです……早速先ほどの模擬戦は反省点の絞り出しに使えそうです。拓磨先輩にも意見を聞かなくては……一旦失礼します、久遠先輩。ドームは開けておいてください。少し「やちたいこと」が見えたので(ジャージの腕をまくり、拓磨の後を追う) 」

紫「うん…そう?わかった、ならいいけど(深くは追求せず、あっさり引き下がって納得する)あれ、シンタローも行っちゃうの?あっちょっと待っ……行っちゃった……(広いフィールドの端にポツンと取り残される)……外周走っておこう。痩せたいし(男子組を思ってため息をつき、半目になりながらベンチを立ってフェードアウト) 」


――― 聖風学園 ドーム型闘技・訓練場 ―――


改原「――(分厚いエナメルバックを地面に起き、スマートフォンを慣れた手つきで操作)……(訓練場の前、スマホで時間を確認しながら、待ち合わせていることがわかるように左右を一時ごとに確認している) 」

紫「―――(ジャージ姿でエナメルバッグを肩がけにし、訓練場への入場口へ歩いていると…)―――あ。やっほ、早いなぁシンタロー。ごめんね、ちょっと友達と話しててさ(入り口の前で待っていた改原を見て友好的な表情を浮かべ、胸部より下の低い位置で手を振りながら合流する) 」

改原「お疲れ様です、久遠先輩(彼女の声と姿を感じると、スマホを足元のバックに投げ落としてしまう動作と同時に、帽子を外して一礼)先輩を待たせないのも、後輩の役目ですから(顔を上げると同時に、帽子を深々と被り直す)……拓磨先輩は 」

改原「拓磨先輩は今日は不在でしたっけ? 」

紫「真面目だなぁ。もっと肩の力抜いてもいいんだよ?(苦笑しながら闘技場の扉を開いて改原に入場するよう促す)うん。あいつ、今日は剣道部の練習に参加するって。夏休みなのにご苦労なことだよね(呆れたようにため息をつき) 」

改原「健全な日々を過ごしているようですね。ですが、拓磨先輩だけではなく、僕らもこうして部活動に励んでいます。互いに苦労しているのは変わらないですね(制服を詰めたエナメルバックを隅に放置)(筋肉痛が抜けていない……胸部が痛い……) 」

紫「あはは、そうだね。体重を減らすのも簡単じゃな……いや、なんでもないなんでもない(誤魔化すような曖昧な笑みを浮かべ、改原が置いたエナメルバッグのそばに自分のものも固めて置く) ―――さて…じゃあ準備体操とか軽くアップしとこっか(改原に言いながら体の筋を伸ばし始める)――――あ。シンタロー、先生(公式の試合でも使われる訓練場――その上部、観客席にひとつの人影を見つけ、改原に話しかけながら指をさす) 」

改原「……(紫の今時の女子高生らしい発言や、エナメルバッグの距離感を視野に収め、目を閉じて一度帽子で完全に視野を塞ぐ)………はい(乏しい声量で返事をし、帽子を目を隠す程度の高さに戻し、腕を交差させて柔軟を行う)――(紫の発言から、その指の先へと一瞥をやる)……先にいらっしゃったんですね、南郷先生…… 」

蘭之助「――――よォ、おはようさん。(ニィとどこか脱力感が表れた笑みをし、観客席から2人に向かって声を掛ける)今日は模擬戦するんだって?先生が見に来てやったぜェ。―――特に改原。お前さんの実戦形式の動きは初見だからよォ…期待してるぜ。しっかりやりな。 」

改原「全力を尽くします。改善点があれば後ほど共有お願い致します(軽度に頭を下げて挨拶) 」

紫「おはようございます。…せっかくなんでレフェリーもお願いします、先生(蘭之助に礼をしながら挨拶し、アップに集中する)―――――…グッ、グッ、グッ……よし………(十分に身体を温め、フィールドへ上がり…開始線の上に足を置く)スゥ……フゥ…―――――"シンタロー"。(ただ名前を呼んだだけ。しかし、その声音には強い闘志が乗っており、改原に重圧を感じさせる) 」

蘭之助「ああ、そいつがオレの仕事だからな。いくらでも指摘してやるさ(ひっひっと笑いながら改原に返す) ――――よし。それではこれより模擬戦を始める。双方、開始線について固有霊装(デバイス)を《幻想形態》で展開しろ。(話し言葉よりもより固く、大きく張るような声で2人に呼びかける) 」

改原「――(同じく、対極の線を両足で捻る)……お願いします、久遠先輩(面には出さないが、その紫の圧力(プレッシャー)を直に感じ声に力が入る)震え、《ブレイブナイト》(双槍のデバイスを出現させると、拓磨戦でも利用した左の防御、右の攻撃の構えを取る) 」

紫「……よろしく。本気でいくよ(低いトーンで返し、西洋の騎士がするように胸の前で拳を握る) 力を貸して、《ライオンハート》。(自身に言い聞かせるように唇を薄く開く。光の粒子は徐々に細剣を象っていき、金獅子の装飾が施されたデバイスを召喚する) ピュンッ! ヒュ…(胸の前で一振り薙ぎ、オンガード――身体を斜に構えてゆっくりと細剣の剣先を改原へ向ける、フェンシングの最も基本的な姿勢を取る)――――魔導騎士の戦い方っていうものを教えてあげる。 」

改原「行きますッ!(宣言通り、構えた紫に対して突出。双方の槍のように、曲がり方を知らない真っ直ぐな駆け出しから、単調な右槍の突きを槍のチーリで繰り出す) 」

紫「ヒュンッ!!(改原の単調な突きからバックステップで後ろへ逃げ、更に後転し改原と大きく距離を空ける)正面から切り結ぶだけが『魔導騎士』じゃないよ――――(フ、と身体から蒼光が漏れる)――――はぁぁぁァッ!!! 」

紫「   ド  ギ  ュ  ン  ッ  ッ  !  !  !  (改原と距離を空けた次の瞬間、溢れんばかりの魔力が身体から迸り、フィールド全体を蒼光で覆い尽くしていく)  《血塔聳えし獅子の聖域(レオーネトリオンフ・サントゥアリオ)》―――――ッ!!  (自身の必殺技―――伐刀絶技を開幕速攻で発動する) 」


ズ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ … … … ! (フィールド全体を覆い尽くした蒼光から、等間隔で並べられた石柱がせり上げてくる。並び建つ石柱は強い閉塞感を与え、長物の動きを阻むような空間を作り出した)


改原「固有結界の伐刀絶技……!?(浅く持っていた右槍を深く持ち、長物としてのリーチを殺.す)――(こんな閉塞的な戦場で戦ったことなどない。昨日のような体術に身を任せた機転が効くのか?)ギリギリッ……(下手に動けず、双槍を深く持つことで防御態勢に移行) 」

紫「―――ふふっ……(この《血塔聳えし獅子の聖域》は細剣使いにとって非常に有利な地形を作り出す。閉塞的なフィールド、石柱により生まれる死角、否が応でも直線の打ち合いが多くなる地形―――更に"自身の魔力で作り出した陣地"という特性から"魔力量"を除いた全てのランクをひとつ上乗せする事ができる。この固有結界―――ライオンハートが持つ概念干渉系の伐刀絶技こそ、私がCランク騎士たる由縁!この《聖域》で私に敵うものはいない――――!)タンッ!(側方へ駆け出し、死角へ逃げ改原から姿をくらます) 」

蘭之助「ほォ……(初っ端から飛ばしてきたな。が、しかし…改原の持つ片鎌槍。『払い』は封じたが、槍が持つ最も基本的で有効な『突き』は封じることができていない。直線の打ち合いでは、まだ改原に利があるぜ……) 」

改原「――(初手から経験の差を見せつけられれば、不利を背負ったものの精神的負担は大きい。石柱を背にし、前方に集中すれば死角範囲は極端に減るものの、その考えに至らず、その場で周囲を全身を使って見渡す羽目になる)魔力構造の濃度や性質からして、概念干渉の類……ランクでいえば間違いなく、紫先輩は今、全てのステータスが俺を上回る……ちぃっ!(立ち止まって追撃を受けるのではなく、闇雲に走りぬけ、紫を見つけ出そうと無闇にそこらじゅうを駆け巡る) 」


―――― タ ン ッ ! (改原の側方から靴音が鳴り響く)――――


紫「(靴音の方向―――数十メートル先から現れる)―――《ステラ・カデンテ》ッ!!!  ギ ュ ン ッ !! (足元に溜めた魔力を爆発。これによって驚異的な推進力を得た紫の身体は水平に跳ぶように改原へ急接近し、前方へ突き出したレイピアによる超高速移動突きを彼の腹部へ繰り出す) 」

改原「バッ(注意は払っていた。靴音の擦れた響きを逃さず、双方の槍を交差させて紫の方向へと防御壁を隔てるが)ズ ビ ン ッ !(魔力も利用したその高速の突きを捉え切ることが出来ず、槍の隙間から腹部への侵入を許す)ぐ ヵ” ッ!(肉体に損傷はなくとも、激痛は全身に迸り、苦悶を浮かべる)……ッ!(至近距離の相手を槍で攻撃するのは難しい。更に、攻撃を受けた状況。不利展開に不利状況が重なる中、暴れるかのように短く持った左槍で目前の紫へと振り下ろしの突きを下す) 」

紫「 ビュウッ!!  タンッ (改原が打ち下ろす鋼の閃光を易々と後方へのステップアウトでかわし――)(オープニングヒットを貰った。シンタローはきっと混乱してるはず、攻めるなら今ッ!) シッ ッッピィン!! (改原の動揺を見透かしたか、混乱が収まらない内に素早く次の攻めの手を取る。再びステップインしてレイピアの最有効距離に入り、細剣の矛先を改原の膝元へ奔らせる!) 」

改原「ヴォヴォンッ!!キャインッ!!(片手、その手中で柄を回すことで、右の槍を風車のように回し、レイピアの細い剣先を通させないよう、セカンドアカックを防ぐ)シュンシュンッ!(同様は一瞬で収まった。既に攻勢に出ようと、左の槍で3度、紫へと突きを繰り出す)(痛みは耐えろ、なんとか攻撃を当てなければ!) 」

紫「キャインッ!!(レイピアを払われるも素早く腕を引き戻して基本姿勢を取る)(来い、来い、来い――――)(改原がとった『突き』のモーションに自身の勝利を確信する)(―――来たッ! 槍が得意とする『突き』の弱点は『戻りの隙』にある!動揺している彼ならどこかで死に太刀を振るはず――1本目―――かわす―――2本目―――ここだ! この2本目の突きで身体が伸び切った瞬間をカウンターで―――)―――ズシュッッ!! っくぁ…!?(――判断を見誤る。改原の精神力を甘く見ていた紫は、既に混乱を抑え万全だった改原の突きを脇腹にもらい、激痛に顔を歪める)(しまった―――――) 」

蘭之助「へっ…なるほどねェ。メンタルの強さは申し分なしってか(改原の反撃に歯を剥いて笑う) 」

改原「(手応え有りッ!)ヌッチャァ…(突き刺した槍を手元に引き)ヴォンッ!(油断せず、痛みに耐える紫の腹部に前蹴りをかまし、石柱の隅においやる)もらったッ!!(逃げ場もなく、転ばしたこの有利状況。右の槍を後ろから引っ張り上げるような横払いのモーションに入るが――) 」


ガガッ!!(改原の右から払おうとする槍は、《血塔聳えし獅子の聖域》のそびえ立つ石注の角に引っかかり、それも深く片鎌が突き刺さってしまう)


改原「ーーッ!!????(思わぬ事態、己の攻撃範囲が足枷になっている事を、身を持って理解し、戦慄する)グッ!!(勢い余って突き刺した右の槍は抜けず、硬直状態に陥る) 」

蘭之助「――うおッ!? …あっちゃァ……(改原の失態を見て、額に手を当てる) 」

紫「――――かふッ!? ドンッ…!(改原の蹴りを受け、肺にある空気が強制的に吐き出される。女性であるがゆえの軽さが仇となり、その身体は易々と吹き飛ばされ彼の狙い通りに石柱の隅に背を打つ)―――――ニ。(改原の硬直状態。彼の戦慄を見透かしたか、彼女は意地の悪い笑みを浮かべる)(そう。この《血塔聳えし獅子の聖域》は打ち合いに没頭すればするほど効果が増す。苛烈な剣戟に意識を集中させ、罠である周りの地形への意識を逸らす―――)――――ピュンッ(その動きは疾(と)く速く、改原の心臓へ《ライオンハート》の矛先を当てる)――――チェック(王手)。異議は?(小さく首を傾げ、にんまり笑う) 」

改原「――(普段、堅い表情の彼が、今回のこの失態に対し、心底悔しそうな苦悶を浮かべる)……参りました……(歯を食いしばり、激痛の走る部位に手を当てる) 」

紫「―――うん。これまでだね。ピッ キラキラキラキラ……(勝敗が決したことを確かめると、矛先を外す。作り出した石柱と《ライオンハート》はきらきらと輝きながら魔力光となって消失していく)―――シンタローがあたしとの差を感じるのは仕方ない、でも気にしちゃダメだよ。だってこれは才能の差―――――才能の差は、努力では埋められないから。(喜怒哀楽のどれでもない、曖昧な無に近い表情を浮かべ…どこか冷たく、ひどい諦観を感じさせる声音で吐き捨てた。) 」



――― いつもの公園 ―――


おっとりとした雰囲気の女性「―――――あらあら、少し遅くなっちゃったみたいね~。あの子はどこに居るのかしら~……(公園に入ってきて、にこにことしながらも困り眉で辺りを見回す) 」

凛とした雰囲気の女性「もう、だから早く仕度しないと遅れるって言ったじゃない……ちゃんと少し遅れるって連絡してあるから、待ってくれてると思うけど――――(ため息をつきながら続いて入ってくる) 」

サラ「(文庫本を片手にベンチに座っており、ぱらりと紙がめくられる音を立ててふと顔を上げる)――――あ……!(おっとりとした雰囲気の女性と凛とした雰囲気の女性を見るや否や、文庫本を肩掛けポーチにしまって席を立つ)姉さ~ん!こっちだよ~!(ぱあっと咲くような笑顔を浮かべ、手を振りながらぱたぱたと駆け寄る) 」

おっとりとした雰囲気の女性「――――あっ……サラちゃ~~ん!(サラの姿を見て同様に手を振りながら歩み寄る)ごめんなさい、遅くなっちゃって……シオンちゃんには何度も連絡貰ったんだけど~~……(傍らの凛とした雰囲気の女性を見て) 」

シオン「久しぶりね、サラ(ふっと微笑んで)エリヤ姉さんのおっとり癖は治らないみたい、少しはサラを見習ってほしいわね(少々呆れたように) 」

陽菜子「………(何やら、美しそうな人たちだな…)(公園のベンチで青雲のカタログを読みながら横目で3人を見ている) 」

サラ「ううん、だいじょうぶ。私もシオン姉さんから連絡もらってたから(気にしてないよ、と軽い手振りを交えながら) うん!会えて嬉しい、シオン姉さん(しばらくぶりの再会に表情が緩みっぱなしに)そんなところもエリヤ姉さんの良いところだよ。しょうがないなあって気持ちにはなるんだけどね、見てるとなんだかほっとするし……ちょっぴり心配はするけど(たはは、と苦笑し) 」

ルスキニア「はぁ……今日も、疲れた……おもい……(両手に大きいビニール袋をぶら下げ、帰り道中。口にフーセンガムを含んで膨らませる)……プクー、がっ (すると胸で遮られて見えなかったのか、小石にうっかり躓いて)パァン!!(フーセンガムの破裂とともに袋の中身をばら撒いてしまう) 」

エリヤ「ふふっ……サラちゃんは優しい子ね~、変わってなくて嬉しいわ~(サラの頭を優しく撫でる)そっちの学校はどう?お友達も出来たかしら?(にこにこと微笑みながら) あっ……あらあら、大変~(ルスキニアが袋の中身をばらまいたのを見て、頬に手を当てて驚く) 」

シオン「サラは姉さんに甘いわねぇ…(腕を組んで少し困ったように。暑い季節だというのに白い手袋をしているのが目立つ)ちょっ――――大丈夫ですか!?(ルスキニアが躓いたのを見て素早く駆け寄る) 」

陽菜子「…あっ!(ルスキニアが躓いたのを見て遠くにいたはずなのにシオンとほぼ同時にルスキニアのもとへ) 」

ルスキニア「たっ、とっ、とっとっとっ……ああぁぁぁ!(躓いたものの、前に後ろにとふらつきながらも倒れることはなんとか阻止)わった、っ、しは!大丈夫ですけど!できれば転がったものの方を手伝っていただければ……!(それだけ伝えて、地面に転がった袋の中身を集めだす。内容はカップ麺や缶詰、カ○メなどの食べ物類のようだ) 」

シオン「―――――!(陽菜子のスピードを見て驚きの顔を見せる)(この子……普通じゃないわね……) あぁ……だいぶ散らばってしまいましたね……えぇ、お手伝いしましょう(しかし……女の子が買う食べ物にしては随分簡素というか……野暮な詮索かしら) 」

陽菜子「……?(シオンの方を見て)私もお手伝いします…!(…簡単に食べれるものが好きなのかな?それとも…何かあるのか……?)(ルスキニアの落とした袋の中身を集めながら) 」

サラ「えへへ……うん、いっぱい出来たんだよ。素敵なご縁を巡り合わせてくださったのも、主の思し召しに違いないなぁって(目を伏せて有り難そうに合掌しながら) だ、だってえ~…シオン姉さんだって、ちょっとぐらい大目に見ちゃうでしょ?(ね、ね?と言いたげな顔) え゛え゛!?(ルスキニアを見てダミ声)だ、大丈夫ですかあ!?(はっと気が付いて駆け出そうとした時にはシオンと陽菜子が助けに行っていた)す、すばやい……私も手伝います(遅れてひろいひろい) 」

褐色黒髪の青年「ドドドドドドドド┣¨┣¨┣¨┣¨ ズサァァァア(それは翻るには重量感のあありすぎるマントをはためかせ、遠方から食べ物が散乱する音を聞き分け、土煙を上げ疾風怒濤の如く駆けつけた)—————任せろ!!King Golden Time だ!!(シルクのシャツに黒の高級感あるボトムス、何より前述の相当な重量のありながら翻る真紅のマント、権威を一身に背負いながら物ともせず清々しい笑顔を輝かせるその男は、 腕を天高く翳し指を立てた。ただそれだけで) 」


――― >> SUPAAAAAAaaaaaaaaSH☆ << ―――(男を中心に円を描く烈風が吹き荒れ、散らばった食べ物を浮かすと、一本の渦に束ねどういった理屈なのかビニール袋に散乱したものが治った)


エリヤ「まぁ、とっても素敵ね~。姉さんも嬉しいわ~(うふふと笑って両手の指を合わせる)あら……あらあら、何て素敵なのかしら~。みんな奉仕の心を持っているのね~……神よ、優しき人に祝福のあらんことを……Amen(呑気に十字を切って祈っている) 」

ルスキニア「ああ……よかった、大丈夫そう……これは……中身が砕けてそうだけど大丈夫……。(集めたものを確認している)すみません、行きずりで手伝って頂いて……。(なんだかんだで全部集まり、かしこまって礼をする。その所作からは確かな品位を感じられる) 」

シオン「えぇ……(見たものを理解できない様子で茫然としている) 」

陽菜子「……(どっかで見たような祈りだな)(エリヤの祈りを見て)いいえ、困っている人を助けるのは当然ですから…(ルスキニアに)………誰…?(謎の男を見て) 」

サラ「ヴッ……おち、落ち着くのよサラ…平常心…!(目の前で起こった色々と濃い光景に眉間を指でおさえる) 」

褐色黒髪の青年「むっ……(決めポーズのまま余韻を確かめるように沈黙していたが、中身が砕けてそうという言葉に目を丸くして顔を上げ、申し訳なさそうに表情が翳り片目を瞑る)すまない……音が聞こえてから全力でGolden dash☆したのだが……間に合わなくては意味がなかった。(頭をかきそれなりの年齢であるように見えるが、感情をそのまま表にする少年のように目を伏せしょんぼりとした)今度は予測危機回避ができるようにならないとな!新しい目標ができた! 」

黒髪褐色の青年→クロイツ「  ドンッッ (シャツ越しでも浮き出て見える分厚い胸板をドンと叩き歯を見せて微笑む)荷物のこと、助けられなくてすまなかった!俺は『クロイツ・オルランド』! もし迷惑でなければ何かで弁償できないだろうか。未熟故至らなかった埋め合わせをさせてほしい! 」

ルスキニア「いえいえ、寧ろこうしてお手伝い頂いただけでも私としては感謝の限りで……大丈夫ですよ、食べられなくはないですし。(遠慮気味に笑う)クロイツさん、ですね。私はルスキニアと申します。(カーテシーをし、瀟洒なお辞儀) 」

エリヤ「よしよし……サラちゃん、何でも思い詰めちゃいけないわ~。ありのままを受け止めるのよ~(動じない様子でサラの頭を撫でる)クロイツくん……クロイツくんね……どこかで聞いたことがある気がするわ~……(頬に手を当てて思い出すように上を見る) 」

佐市「おぉおぉ、梅雨の明けを待ちわびたとばかりつい散歩へと赴いてみたが……うむ、うむ(公園にいるメンツを見て目の保養中)・・・・・さて、なかには伐刀者もいるようだが、それはよい。梅雨の明けの花(おなご)を愛でるのは、カオス男児の誉れというモノ(ほくほく) 」

シオン「あぁ……クロイツ・オルランド……伐刀者ね。直接見たことは無かったけど、こういう人だったとは……(サラと同じように眉間を押さえている)Aランク級の伐刀者の筈よ、『あの戦争』では名前を聞かなかった気がするけど…… 」

エリヤ「シオンちゃ~ん……(戦争のことを口にしたシオンを見て、サラのことをちらっと見て自身の口に指をあてる) 」

シオン「―――あぁ……えっと、ごめんなさい(申し訳なさげに視線を伏せる) 」

陽菜子「クロイツ・オルクランド……千奈先輩が言ってたな、かなり腕のある伐刀者だって…(クロイツを見て) 」

ルスキニア「……伐刀者、戦争……?(伐刀者という単語にぴくりと反応し、続く"あの戦争"には反応が鈍い)皆様もありがとうございました、私はルスキニアと申します、どうかお見知り置きを。(一同に対して優雅に一例) 」

陽菜子「……大丈夫ですか?(眉間を指で押さえているサラに) 」

クロイツ「ん……? 何処かでお会いしただろうか……。………(一瞬だけエリヤ、シオンの『手形』を見納得したように頷く)『その道』の方かな。なら『百剣武戦祭』……いや『タイトル戦』の時?うーん、一度戦った相手は絶対に忘れるはずもないのだが……(顎に手を当て小首を傾げる)うん、ともあれ俺を知っていてくれているのは嬉しいことだ!ありがとう!(暫く考えに耽っていたがすぐに白い歯の目立つ笑みを浮かべ大きく頷いた)ルスキニアか!綺麗な響きだ、弟ならはー……はーもにか?とか言ってべた褒めするに違いない!ははははっ 」

サラ「す、すごく堂々としてる…快活な御仁ですねえ…(はえぇ…と圧倒され気味にクロイツを見て) え、エリヤ姉さん…その懐の深さにはいつも驚かされちゃうなあ…(撫でられつつ糸目で) 伐刀者……(クロイツがそうであると聞き、若干身構えるような空気を纏う) ――――……。……すごいですね、まるでヒーローみたいでした。(エリヤとシオンが『戦争』に言及すると微かに表情を固くし、シオンの謝罪の言葉にもまるで聞こえてなかったように振る舞う) 」

エリヤ「私はエリヤ・フロックハート。よろしくね、ルスキニアちゃん。それと、クロイツくんも(それぞれに微笑んで) 」

ルスキニア「ハーモニカ、ですか……鍵盤ハーモニカの素朴で牧歌的な雰囲気という事でしょうか?(ちょっと首かしげ)……私はそんな綺麗なものじゃないのにな。(ぼそり、と呟く) 」

シオン「……シオン・フロックハートです。よろしくお願いします(恭しく頭を下げる) ……えっと、その……サラ……(何と言葉をかけたらいいのか、といった感じで) 」

佐市「あー失敬。(やや申し訳なさそうにひょこひょこと腰を低く)先ほど出ていた『あの戦争』とは? 俺は津田佐市という。聖風学園の伐刀者だ。(伐刀者と戦争の関わりに興味を示したのか、自ら入る) 」

エリヤ「――――サラちゃん。何だか私、お腹空いてきちゃった~(唐突にほわほわとした雰囲気でお腹に手を当て)私たち、この辺りのことはよく知らないから。美味しいお店とか、知ってるかしら?(微笑みながら小首を傾げ) 」

陽菜子「ルスキニアさん、ですか。私は川添陽菜子です、西舞学院の魔導騎士育成部に所属している伐刀者です。まさか、他校の学生騎士がこんなに集まるなんて… 」

サラ「だ、大丈夫ですよっ。すみません、ちょっと驚いてただけですので…!(陽菜子に) いえいえ、気にしないでください。私はサラ・フロックハートと申します。皆様もどうぞよろしくお願いします(エリヤに次いで周囲の皆に自己紹介をして小さく頭を下げる) …………、………なあに、シオン姉さん。…あ、もしかして喉乾いた?私、水筒持ってきてるんだけど飲む?(シオンに何かを言いかけて口を開くが言葉を飲み込み、いつもの優しげな表情で話しかける) 」

クロイツ「『フロックハート』……。—————。ああ、こちらこそよろしく!行きずりだがこうして名乗り会えたのはラッキーだ、細かいことを知らずとも世界に友人が増えたんだからな!(その単語を復唱し口元に拳を当て考えに吹けるように沈黙、すぐに首を横に振ってお天気お兄さんのように笑って見せた) むっ————(カッッ)できる!!(その彼の脳裏に時雷光がほとばしる!佐市の横へスライド移動し、彼の腕へ顔を近づけた)かなり鍛え込んでいる!努力の結晶だ!!(くわっっ) 」

クロイツ「空腹か!!それはよくないッ!!(腕を組むという待機モーションのまま大口を開けた笑顔で集中羽扇とともに言い放つ)そうだ、さっきの不手際のこともある。ここにいるみんなでカレーを!食べに行こう!!(┣¨ンッ)俺の行きつけのし店があるんだ、ちょうどそこへ向かうところだったんだ。あそこのマスターが作るカレーは一度食べれば忘れらないGolden味だ!!みんなにも是非味わってほしい!(目を輝かせ力説) 」

佐市「ん~、こちらこそ、というものだ(サラに挨拶してもらい御機嫌)――――面妖な動きをするな、蟹か?(謎突っ込み)…鍛えているといってもほんの手慰み程度のものよ。俺では皆のいる頂まで到底及ばん(クロイツの評価にまんざらでもないようだが、どこか影のあるものいい) 」

サラ「………っ…。(佐市、陽菜子まで伐刀者であると分かり、身構えるような雰囲気がやや強まる) ―――あ…う、うん!美味しい料理屋さんなら知ってるよ。お腹空いたなら食べに行く?(エリヤに応え) 」

サラ「か、かれー…!良いですね、みんなで食べにいきましょっか。ね、エリヤ姉さん、シオン姉さんっ 」

ルスキニア「フロックハート、フロックハート……もしかしてお三方は姉妹なんですか?(ぴんときて尋ねる)それは……よろしいんですか?荷物拾いを手伝って頂いたのに、そんな素敵なお店を教えてくださるなんて……。(クロイツの善意に、やや遠慮してしまう)皆様は伐刀者なんですね……。(自分もそうである、とは決して言わない。必要がないから。) 」

シオン「――――えぇと……(佐市に問われ、視線を彷徨わせる)……グリム戦役……北方戦争、と。後で調べて頂ければ、分かると思います……その、妹のこともあるので、詳しくは……今は(小声で) ――――そ、そうね。私も姉さんと同じ!お腹が空いちゃって……一緒に食べに行きましょう(エリヤの放つ雰囲気にどこか救われたようにほっとした雰囲気で) 」

陽菜子「ですよね。いきなりあんな事があったら…誰でも驚きます(サラに) 」

佐市「伐刀者になって良かったと思う所は、こうした美人に会えるところだなフハハフハフハ(ルスキニアたち女性陣を見て)…ふむ、グリム戦役に、北方戦争、か。いやはや、田舎者ゆえどうも学には疎くてな。感謝する。調べてみよう……妹のこと、か。わかった自重しよう(シオンに) 」

エリヤ「あら~、それじゃあご厚意に甘えちゃいましょう(クロイツの提案ににこりと笑って)――――サラちゃん。きっとみんないい人よ。ね? そうなの~、あんまり似てるって言われないのが寂しいんだけどね~(ルスキニアの問いかけに穏やかに微笑みながら答える) 」

陽菜子「…………あまり変な目で見ないでください(佐市の視線に気づきズバッ ) 」

クロイツ「なんだとっっ……学生のようだな、君の周りにはそんなに鍛えている若者で溢れているのか……ッッ! くぅっ……羨ましい、思わず俺も学生時代をやり直す!と公言してしまうところだった!(目をキュッと締め歯を食いしばって震える右拳を抑えている)フロックハート……そうか姉妹か!そうりでみんな揃って綺麗なはずだ!!(邪念一つないのか堂々と言ってのけ大股で歩き出す)そうかそうか皆家族だったか!ルスキニアは違うが……いや!みんなでカレーを囲めばもう家族だ!家族で囲んで食べるカレーはGreat goldenだぞ!! 」

サラ「決まりだね!(シオンに応え) ええと…聖風というと…実は私も同じなんです。もしかすると知らないうちに顔を合わせた事もあるかもしれませんね(微笑を浮かべながら佐市に) あ、そうなんです…!2人とも自慢の姉なんですよっ(えっへん、とルスキニアに) あはは…でも格好良かったですね、颯爽と現れたのがまさにヒーローって感じで…!(陽菜子に) …うん、分かってるよ。ちょっと緊張してただけ(口角を緩く上げながらエリヤに) ―――スミマセン、ちょっとだけ失礼します。皆さんは先に行っていてください、後で合流しますので…!エリヤ姉さん、シオン姉さん、また後でね!(タタ、と小走りに去っていく) 」

佐市「オウフ、眼福のあまり注意されるもまたテンプレと言う奴だな(陽菜子の注意に残念そうに目を伏せる)うむうむ、すごいぞ~? 俺程度剣を使わずとも小指で弾いただけでフッ飛ばせるほどの実力者揃いだからな聖風は(大嘘)(思いを滾らせているクロイツに) 」

ルスキニア「美人なんて、お上手ですね。(佐市の言葉にくすりと笑う)お三方とも美人ですし、美人姉妹という意味ではたいへん似ていると思いますよ?(善意の言葉)カレー……すみません、その……私個人の要望なのですが、どれぐらいの辛さがありますか?私ちょっと、激辛が好きで……(ちょっと恥ずかしそうにクロイツに尋ねる)ふふ、そうですね。お二人共素敵なお姉さんだと思いますよ。(にこり) 」

エリヤ「えぇ、人類皆家族です。クロイツくんは神の教えを知らずとも神の教えを実践しているのですね(にこりと笑んで両手を組む)えぇ、また後でね。サラちゃん(サラに手を振る) 」

陽菜子「………(倉山先輩とか坂村先輩も一目置いてた学校なだけあってすごいんだな、聖風…)(佐市の話を聞いて)そういう視線には女性は敏感ですよ?モテなくなりますよ(ズバッ (佐市に)あ、はい!それでは!(サラを見送り)……まあ、珍しいでしょうね。伐刀者は…(ルスキニアが伐刀者だとは気づいていない)(ルスキニアに) 」

クロイツ「なん…………だと…………(線画だけの真っ白状態になり硬直)知らなかった……前年度の対抗戦で帝都を破ったということは聞いていたが、そんな強豪揃いだったなんて……!君、もし良ければ俺にデコピンをしてくれないか!!この身で次世代の力を体感しておきたい!!(クワッ) 当然!マスターは名前の通り『マスター』している、つまり火を吹くようなカレーだとしても訳ないということさ!俺は甘口しか食べたことないが!!(クワッッッ) そうか!あとでお姉さんの携帯から店の位置情報を送ってもらうとしよう。後でな!サラ!!(ブンブンとフラッグよろしく大手を振って見送る) 」

シオン「また後でね、サラ――――(どこかぎこちない笑みでサラを見送る)……ごめんなさい、姉さん。これじゃ姉さんのおっとりをどうこう言えないわね……(自らへのため息を吐き) 」

クロイツ「かみ……うぅんその辺りのことはよくわらないが皆が慕っているんだ、きっと素晴らしい方なのだろうな。俺もそんな皆が頑張れる『希望』俺もいつかなりたいものだ!いや、ならねばならないな!!絶対になってやる!!(グッと力強く拳を握りしめ気合い余って腕を高く振り上げる) 」

佐市「フフフ、女子には世辞を言わぬ主義。花鳥風月幾度愛でど、女子の佇まいには敵うまい(ルスキニアに)おう、また会おう(サラに)うぅむ、別に取って食おうなどとは考えておらぬのになぁ。――――花は無闇に手折らぬ。それがもののあはれと弁えておる 」

エリヤ「良いの、シオンちゃん。あの子も……いずれは、目を向けなければならない時が来るわ。今はその時ではない、それだけのことなの(両手を組みながら目を閉じて)ふふ……人の身から神のように崇められる方だって居るもの。クロイツくんもきっとそうなれるわ~(にこにこ) 」

ルスキニア「おお……それは、ちょっとわくわくします!(今まで年に見合わぬ落ち着きっぷりだったが、激辛があると聞いて年頃っぽさが出る)珍しい、んですか? 」

市「フフフ、女子には世辞を言わぬ主義。花鳥風月幾度愛でど、女子の佇まいには敵うまい(ルスキニアに)おう、また会おう(サラに)うぅむ、別に取って食おうなどとは考えておらぬのになぁ。――――花は無闇に手折らぬ。それがもののあはれと弁えておる。だが、やはり女子はそれに気付くか。うぅむ(考えていながらも特に反省はしていないような仕草で陽菜子に) おぉ、デコピンか。しかし残念ながら俺のデコピンなぞ並程度よ。主要メンバーのデコピンと比べれば月とすっぽんと言えばいい。…俺はしがない雑用。出来うるならば答えてやりたいが、どうも俺の力ではその熱意を更に滾らせることは出来ぬ(クロイツの要望に残念そうにしながら) 」

クロイツ「おお、信心深いエリヤのお墨付きときた、これは百人力だぜ!!(感極まって腕をまくってガッツポーズし片目を瞑った弾ける笑顔)ありがとう!だが認められて安心するようじゃダメだ、俺自身みんなを引っ張っていけるように頑張らないとな!だがそれでも……ああ、やはり嬉しいな!ありがとう!! はははっ、実際出来上がった激辛を見たことはないんだがマスターならなんとかするさ!俺のおごりだ、満足するまで食べていってくれ!(大きく暖かい手でワシワシとルスキニアの頭を撫で声高らかに笑う) 」

クロイツ「>> !? << そ……そうなのか……。ううん……残念だ……なんとかならないものか。次世代の息吹は俺にとって追い風になってくれる頼もしい味方だ。間近で体験したいがいやしかし学校に忍び込むのは……~~~~っ・・・・・。楽しそうだな!!(キラーンッッ) 」

佐市「おぉ、聖風に来るか? よいよい。皆大いに喜ぶであろう(他校に自陣のメンバーは強いとイメージ付ける部員の鑑にしてへんな荒事に巻き込む人間の屑) 」

ルスキニア「ふふ……あまりおだてると、木に登ってしまいますよ?程々になさってくださいね。(佐市に微笑みながら言う、ほんの少しだけ目をそらした。)わっ、す、ストップです。(クロイツに頭を撫でられ、反射的にその身を引く。常人ではそうそうない反射神経である)駄目ですよ、クロイツさん。出会って程ない女性に過度なスキンシップはご法度です。(指を立て、軽くではあるが叱る) 」

クロイツ「ふっふっふ……実際に乗り込むのであればデコピンでは帰れないな!真剣勝負を申し込ませてもらうとしよう、キングタイムを披露だ!(天高く腕をかざし決めポーズ、なぜか喝采が響く)おっと、気づいたらまるで足が進んでいない……。カレーは出来立てだろうがマスターが帰ってしまっては元も子もないな!少し急ごうか!(ついて来いと言わんばかりに腕を高く振り上げたまま駆け出し、フェードアウト————) 」

クロイツ「—————エンペラーゴメンナサイ……その辺りは弟にもよく叱られるんだ……(しゅん……) 」

佐市「いや、これは失敬。女子相手になるとついつい口が回るモノでな。これはいかん、うん。 うむうむ、真剣勝負ならあの者達も大喜びするだろうて(ニコニコ) 」



― ソロモン公国 城下町 ―

侑紗「エントリーも終わって観光に来たのはいいけど…やっぱ寒いわね(手をすり合わせながら) 」

文花「………観光じゃない、練習。この国にある特訓場でみんなで特訓するって言ったでしょ…(寒そうに手に息を吹きかけている)観光なら終わった後ゆっくりする時間あると思うから… 」

美優「しかしここの国にもコネがあるって…すっごい人脈だよ本当。(頭の後ろで手を組みながら) 」

碧「確か理事長秘書の人脈がすごいんだっけ。全国区でコネがあるっていうし…留学生って大体あの人の独自のルートから特待生勧誘してるって言うじゃん… 」

夢華「東西南北色んな島から連れてきてるんだよねー…よくもまぁあそこまでリストアップできるよ… 」

凪沙「上の人の存在が、うちが名門と言われる所以だよ。この前も留学生の伐刀者が魔導騎士部に…あ、たしかナホさんのクラスでしたっけ(侑紗に) 」

侑紗「私のクラス……あぁコリンナちゃん。力はあるけどまだ実績が未知数だからこの大会に呼ばれなかったんだよね… 」

文花「あたしら見ると、レギュラーから選ばれた感じだからねー……あ、ここだね(ある建物を指差し)んじゃ、行こっか(全員で建物の中へ入っていった) 」



― ソロモン公国・城下町 ―


ガヤガヤ…(夜の城下町。そこには何かの祭りが開かれているらしく、辺り一面に屋台が立ち並び、多くの人たちが往来していた)




ネモ「……?(右も左もわからない初めての土地、その城下町を左右に見渡しながら歩いていた)晩御飯食べに来てみたら…今夜は何かの祭り?なのかな…?(鼻腔を擽る香ばしいにおいに、思わず表情が綻ぶ) 」

コートを羽織った少女「すみませーん……通りますよー………ひゃぁっ!?(人込みを避けるように掻き分けながら移動していたが、小柄な体故か簡単に弾き飛ばされ地面へ転倒)あいたた……あっ!たた、たいへん!瓶が…!(転倒の衝撃で大きめのショルダーバックから手のひらサイズの小さな瓶が転がり落ちていく) 」

ネモ「ん~……どれも美味しそう…手当たり次第に大判焼きからでも……?(転がってきた瓶が足にちょこんとぶつかったのを感じ取り、足元を見下ろす)……なにこれ…?……?(瓶を拾い上げ、その転がってきた先である少女の方を見つめる)……あなたの?(彼女のもとへ歩み寄り、瓶を差し出す) 」

コートを羽織った少女「はっ、はっ、はっ……!……!(必死に追い求めるように覚束ない足取りで瓶を追いかけようとしたところ、ネモに拾われ差し出される)あ、あ……ありがとうございます……!(息を切らして走ってきたため、躍動する心臓部に手を押さえつけながら何度もお辞儀して受け取る)……!そうだ、罅は……よかった…無事みたい……(はぁ、と脱力。小柄な少女には似つかわしくない、重くてぶかぶかなコートが脱力と共にずっしりと垂れ落ちていくのがわかる) 」

ネモ「い、いえいえ……(うひゃあ…すっごい重そう…)(大きなショルダーバック、大きなコート、どれも自分と同じ背丈の少女が身に着けるものとは思えないその風貌に苦笑する) 」

コートを羽織った少女「本当に助かりました…!なんとお礼を申し上げたらよいか………?(ふと、ネモの服装を訝しむように目つきを変える)…もしかして、観光でいらっしゃった方…ですか?(自分とは正反対なまでに身軽な相貌をしたネモへ不思議そうに問いかける) 」

ネモ「え、いいよいいよ、そんな……あー、うん…観光というか、なんというか……今日の昼間にここへ来たばかりで… 明日開かれるっていう「伐刀劇祭」のため……(あははと頬を掻きながら) 」

コートを羽織った少女「……!(「まあ!」と手を合わせて納得の笑み)そうだったんですね!どおりで寒そ……寒さに強そうなお方だと思いました!…あ!それなら、「ようこそ!」ですね!伐刀者のお方だったとは…遥々お越しいただきありがとうございます♪ 」

ネモ「いやいや……(謙遜ながら手を振る)……これは…?(祭りの様子を尋ねるように辺りを見渡す) 」

コートを羽織った少女「あ、このお祭りですか?これは明日開かれる「伐刀劇祭」に合わせて開かれた前夜祭です。この国は昔から、伐刀者の武勇と叡智によって危機を免れてきた由緒ある歴史があるんですよ。 」

コートを羽織った少女「彼らの栄光を称えるためにと、国王が今年から初の試みとして導入した大きな祭典がその「伐刀劇祭」なんです。私たち国民はみんな、一丸となって祭典を盛り上げようと各々にできることを考えて行動しているんですよ。この前夜祭も、その一環ですね。 」

ネモ「へぇ~……(刀剣武祭みたいな長い歴史のある祭典じゃないのか…それにしても…)……「伐刀者」と所縁のある国、か……なんだか運命みたいなのを感じるね。(ぼそっと呟く) 」

コートを羽織った少女「(……!)…運命…!そう、これはきっと"運命"なのです!(突然ネモに対して目の色を輝かせる) まさかこんなところで、外国のお方とお会いできるなんて…嬉しいです~♪ 」

ネモ「ほへ…?(デフォ目)…あ~~~、うん…そ、そうなんだぁ~…(乾いた笑みに冷や汗を流す)……えと、ボクはネモっていうんだけど……もしかして、貴女も…? 」

コートを羽織った少女→メトロ「いえ、私は"違います"!(慌てて手を振って否定の意)ネモさんっていうんですね……はっ!ご挨拶が遅れました。私は「メトロ・シモーネ」と申します!( *´꒳`*) この街である研究をしている大学生です。よろしくお願いします~!(ぺこりとお辞儀) 」

ヒロ「(数多くの屋台の中、牛串を焼いている) 」

ネモ「メトロちゃ……ん??(大学生…!?うそ…同い年かと思ったからめちゃ年上じゃん…!!)ケホンッ…め、メトロさん…よろしくお願いします…(ぎこちない挨拶を返す) 」

はらぺこあおむし「(ヒロの屋台の隣でハロウィンのアルバイトをしている) 」

ルルネット「はーーーーーーーーー(クソデカ溜息)お昼寝したらも~お腹ぺこぺこ!何処かにこの空腹を満たしてくれる至福の御馳走はないかしらね~……あら?(ヒロの屋台に目が付く)ちょっとそこのお兄さん?その美味しそうなお肉はなぁに? 」

ヒロ「おーらっしゃい!これは特上の牛さ!どう?1本500円、買ってく?(ルルネットに) 」

メトロ「わっ、お気遣い大丈夫ですよ…!(わたわたと焦って両手を振る)私、とっても小さいので…よくいろんな人から誤解を受けやすくて… お友達や研究仲間もいないので、いつも一人で誤解を解くのは大変ですが…あはは……(困ったように苦笑する) 」

ルルネット「へぇ~、「特上」ねぇ…?(まじまじと、あぶり焼かれる牛串を凝視する)……ジュルリ……ん゛っ!(釣られかけていたところ顔をぶんぶん振り回す)ふ、ふん…まあ悪くないわね…!…でも、一本500円ねぇ…?もうちょっとお値段の方、何とかならないかしらねぇ?このルルネットちゃんの可愛さに免じて、まけてくれてもいいのよ?(ふふんと小悪魔な笑みを見せつけながら) 」

白装束の人物「————はぇー、悪魔崇拝もここまで極めるとむしろ生誕祭を忘却したクリスマスですね。これはこれで、何に由来したそれか忘れることさえできればよいものかと。はーむっ(屋台で注がれたおでんを食し、頰に手を当て満面の笑み)んー、ヒンナヒンナ(うましうまし) 」

ネモ「うーん……なんだかその気持ち、わかる気もする…ボクも高校生になったばかりとはいえ、クラスでもかなり低いから、周りの友達とかパパとかからまだまだ小学生扱いされたりして。(腕を組んでふんと鼻息) 」

UBデーモンキャロル閣下店長「 ま け る な ぶ ち の め こ ろ が す ぞ (ヒロの屋台奥に構える凶悪なマスコット) 」

ヒロ「………!(奥で構える店長を見て)んー、とは言っても商売だからなぁ…これでも安くした方なんだぜ、なんせプレミアなんでねぇ(肩を竦めるようにルルネットに) 」

電話猫「どうして辛子だけしかくれないのですか?どうして…(豊富な種類を取りそろえたおでん屋から渡された辛子しか載っていないお皿を両手に涙目) 」

『おでんチェーンスターフォックス』のファルコ「こんなおでん屋台より、俺はそうめん屋台がよかったぜ 」

マッシブゥゥゥーン「ラッシャーセー(ヒロの屋台で働くバイトくん) 」

笠間「(古い男物のコートを羽織り、耳当て付きのウシャンカから長い橙色の髪を垂らし、ビールの入ったカップを片手にほっつき回っている)あぁー、完全に祭りぃーっすねえ……油揚げは流石にないかなあ… 」

ルルネット「は~~~~~~~~~~~????(ガッと片足を屋台に乗せて威嚇)このルルネットちゃんのお願いが聞けないなんてちょ~~~~~ありえないんですけどぉ~~~????それで商売人を名乗るわけ?雑魚商売過ぎない?顧客の心を掴めないでな~~~~にが商売よ!冗談はそのマヌケ面だけにしといてくれるぅ???(黒く豹変した少女はがつがつと屋台を蹴り続ける) 」

UBデーモンキャロル閣下店長「 >>495円<<  (その時奥に構えていたデーモン小暮メイクでモルペコ顔の少女がカウンターへ出ず張ってきた。値段交渉に応じる) 」

メトロ「あーーー!わかりますわかります!私もお母さんやお父さんからもう長いことお子様扱いされて…はぁ……なんとか大きくなるお薬の研究が成功すればいいのですが…いかんせんそれは上手くいかなくて…(手にしていた瓶へ視線を落とす) 」

マッシブゥゥゥーン「ひえっ(ルルネットに怯えマッチョポーズを決めながら後ずさる) 」

ヒロ「………!?(ルルネットの豹変ぶりを見て) 」

ヒロ「あまり騒ぐとね、ちょっと周りの目もあるし…店長!?(値段交渉に応じたのを見て) 」

ルルネット「全然下がってないじゃない!!!(きーーーっ!)商売が雑魚なら交渉もざっこいんだけど!!ザコ of ザコ!信じらんない!!(グギュルルルゥ……)……………おっきな声出したら余計お腹が……ふ、ふんっ!もういいわ!雑魚肉如きじゃ私の腹にも満たないし!ファミマの雑魚店長んところでとことん値切ってやるもんねーだっ!(ヒロたちにあっかんべーして立ち去っていった) 」

ネモ「…あれ?あの娘は確か…揉め事かな…?(遠くで屋台の店員と揉め合うルルネットを見つけて首を傾げる)そ、そんな研究をしてたんだ…(ちょっと気になる…)……そういえば、この街で一体何の研究を…? 」

笠間「あーヒロくん久しぶりっすねー、そっちは見た目変わらんね(10年前は無かった微妙な訛り込みでヒロの店に向かい)串はいいや、なんか飲み物欲しいんすけどあるー?(手元のビールを飲み干し)暖かいの欲しいなあ 」

白装束の人物「  ガラガラガラ (荷台に何かの動物の冷凍肉を山積みにし引っ張りながら笠間の前を通りすがり危うくぶつかりそうになる)っとごめんなさいね。年なのか最近前がぼやけていけませんね~~ (笑みを転がし、再び荷台を引く。精々そこから二、三歩というところにある、ヒロ達が経営している屋台の前に足を止めた)納品でーす。今日は▪️▪️▪️▪️▪️肉を一切れ50円で売りますよ~ 」

メトロ「はい、様々な分野の研究を一人で行っているのですが…今は、伐刀者に眠れる「花弁の力」に集中して研究を行っているんです。よかったら、何か召し上がりながらお話でも…先程のお礼もしたいですし。 」

ネモ「……?(「花弁の力」……?パパからいろんな話はよく聞いていたけど、そんなものは一度も聞いたことがない……)……じ、じゃあ、お言葉に甘えて… 」

UBデーモンキャロル閣下店長「案外グイグイ押してくる系かと思ったけどすぐにひよったか、しくじったな(モルペコ顔のまま舌打ち) まーヒロ坊、次ああいう値切りきたら(白装束の人物が持ち込んだ肉を指差し)原材料費50円、充分元取れるんで色目使わない限りは適当にまけて売りさばくんじゃよ。ふぉっふぉっふぉ 」

メトロ「よかった。実はこうして本物の伐刀者の方とお話をしてみたかったんです。……すみません、その大判焼きを二人分で…はい、どうぞ…(付近にあった屋台の店員から一パック5個入りの大判焼きを二人前分購入)…はい、どうぞ。(ネモに一パックを渡し、ちょうど空いていた簡易式テーブルの席に誘導する)……実は私も、ここへ来てまだ数ヶ月前しか経っていないんです。(ゆっくり腰かける) 」

ネモ「(「ありがとう」とパックを受け取り、着席する)ここの出身じゃないんだ。もしかして、その研究のために…?(ぱかっと蓋を開けて大判焼きに被りつく)ん~~~~っ、おいしい…♪ 」

ヒロ「…ん、あ~笠間ちゃん久しぶり。ハハ、そうだな。まぁ今のところは、元々老けてたし、同い年と比べるとちょうどいいかな~(ヘラヘラ ん~、ホットコーヒーでいいかな?(笠間に)………怪しくないとしたらどんなルートを使ったんだ!?(白装束の人物が持ち込んだ肉を見て)まぁ…オッケーっす(ジト目) 」

メトロ「はい。私は南の国にある「キュラリア」という街で生まれ育ったんです。同じ研究員である父と母のもとで育ち、今は長期留学でこの地へ…という感じですね。ネモさんも、明日の祭典のために遠くからいらしたんですもんね。 」

ネモ「うん、そうだよ。ボクは東の国の「レゼリア」出身。父子家庭でね…パパはうちの学校で教員をしてるんだ。魔導騎士なんだ。(もぐもぐ) 」

笠間「変わらんもんがあるって良い事だと思うっすけどね、あっちょっとイケメンになったっすよ多分(財布を取り出しながら)んじゃあホットコーヒーで 」

メトロ「ということは、お父様から推薦状を…?(「すごい!」と感心して両手を合わせる)魔導騎士のお父様がいるなんて素敵です!…それじゃあ、ネモさんも留学でここへ… 」

ネモ「そんなところだね。(あーんと二個目を頬張る)…どうしても会いたい人がいるんだ。"英傑"と言われた最強の男…『クロイツ・オルランド 』…!あわよくば明日の祭典で手合わせもしてみたい…!そのためだけにここまで来た甲斐があるってものよ♪ 」

メトロクロイツさんと言えば…知らない人はいない、あの超有名なお方ですね!じ、実は私…!先日の十刀剣武祭の生放送を見ていたんですが、もう大迫力でしたね…!……ただ…… 」

白装束の人物「山で生きてるでっかい変な生き物の肉と覚えていただければ良いですよ(店長から手渡しで現金を受け取り、おもむろに腰を下ろす)私も何かお避けいただけます?できるだけ度数が高いのを、山篭りというか帰路が心配なので(にっこにっこ) 」

ネモ「やっぱり知ってるんだ!ボクもあの大会に直接参加して、生で試合を見てきたんだよ。……?(彼女の反応に咀嚼を止める) 」

ヒロ「お、ありがとうな(ホットコーヒーを笠間に渡す)笠間ちゃんも大会のために来たのかな?(笠間に)…これでいいかな?(マムシ酒を白装束の人物に渡す) 」

メトロ「まあ…!ネモさんもあの大会に出場されていたのですね…!そんなお方がこの地にまで…ううっ、やっぱり運命だ……(はっと我に返る)……ただ、私が見たかった「花弁」は、その時拝むことはできませんでした。彼ほどの大物であれば、容易くその瞬間をこの目に焼き付けることができるのではないかと踏んでいたのですが……やはり、所詮伝説だったんでしょうか…… 」

ネモ「……あむ…もぐもぐ…………その「花弁の力」というのは…?(本題に戻す) 」

白装束の人物「どうもありがとうございます(軽く会釈しマムシ酒を『瓶ごと』手に取り)ぐいーーーっ ゴギュッッゴギュッッゴギュッッ(喉を鳴らしラッパ飲みにする。その勢いたるやウワバミの如く)ゴンッッ ッッスウウウウウ……。ご馳走様でした。お祭りに並んでいるお酒にしてはまあそこそこ燃料にはなりましたね。おかわりいただけます?(涼しい顔で酒瓶を置き口元を緩ませたしまりのない笑顔を浮かべる)スン あれ、この香りどこかで (ローブと目元までかかった白髪腰に笠間を視界胃に入れスンと鼻を鳴らす)コーゾーさん?あれ、いつの間にTS主人公になったんです? 」

笠間「私はアレ、伐刀者じゃないから……友達が出ててな、その応援ついでに観光に(コーヒーを受け取り、代金を渡し) (白装束の人物にただならぬ気配を感じたのか、さり気なく足元を観察し) 」

笠間「うわっ一気行った……臭いも度数もキツっそうなのに……(堂々と一気飲みした白装束の人物にドン引き) いや、私はコーゾーさんじゃないっすよ、残念ながらこっちには来てない……来てないのかな…? 」

ヒロ「伐刀者、ねぇ。確か昔何人か友人にいたが…彼らは出るのかな……まいど!観光も楽しそうよね、この辺り…大会終わったら俺も観光してくわ(笠間に)……瓶ごと一気飲みだって!?あ、あぁ(もう1瓶を渡す)すげぇな、俺の知り合いはコップ2杯だけで奇声あげて高笑いして大暴れしたってのに… 」

メトロ…「花弁の力」……実態は明かされておりませんが、私は便宜上それを――――― 【 開 花 漸 閃 】(ハルジオン)と呼んで研究しています。 」

メトロ「開花漸閃(ハルジオン)は…伐刀者だけに眠るとされている大いなる力。近年、この国で起きたある大きな戦争の中で、たった"一度だけ"目撃された事例があるみたいなんです。調査したところ、当の本人は既に他界…死体安置所で見たその死体の首には、「花弁」の形をした痕がくっきりと残っていたんです。 」

メトロ「死因は、尋常ではない肉体負荷による過労死… つまり、意図せぬ形で目覚めた開花漸閃によるものだと私は思うんです。 」

白装束の人物「はれー……嗅覚までいかれちゃいましたかね?まあコーゾーさんとはこうしてどっかの屋台でフランクフルトもぐもぐしたっきりなんですケド、しかも一度だけ。(おもむろに追加瓶を先よりは控えめにぐいと煽り半分ほど飲み干したのか少しばかり軽くなった瓶を卓上に置く)ああでもコーゾーさんはわかるんですね。じゃあお知り合いか何かですか。なつかしいですねー、あの頃私はいたいげな美少女でした。いまも美少女ですが ゴッキュゴッキュ  ああ普段から私酔ってますんで、けせらせら。何かに酔い慣れてしまうとお酒は水と相違無くなりますよ。ていうか寒いとこに住んでるとお酒は円滑油も同然ですから 」

ネモ「大きな戦争…花弁…ハルジオン……でも、ほんとうにそんなものが…?(半信半疑な眼差しに三個目を口にする) 」

メトロ「……今は、はっきりとしたことは言えません…ですがもし…もしもの話なのですが、伐刀者の誰かが再びその力に目覚め、そしてまた命を落とすかもしれない…そのような危険性を孕んでいる今、私はその力の実態を徹底的に解き明かし、不運の死を払拭させたいんです。伐刀者には、まだまだ未知の領域がある。この未開拓の研究を成功させることが、私の夢なんです。……とはいっても、まだまだ荷詰まっているのですがね…(額に手を当てながら自分もようやく大判焼きを口にする)…ちょっと暗い話になりましたね…ネモさんも、何か夢はありますか…? 」

ネモ「ふぅ~ん……メトロちゃん、頑張ってるんだね……ぁ…(思わず「ちゃん」付けしてしまい、しまったと口を開く)…夢?ん~……夢、かあ……そういえば考えたことなかったなあ……とりあえず、強くなりたい!…そんなところかな?(あはあはと笑いながら) 」

笠間「ちょっと羽伸ばそうと思ってぇ……色々あったんで、色々……(コーヒーをちびちびと啜りながら) まあ匂いって事ならコーゾーさんとは、まあ、10年以上の長い付き合いっすからねえ、お姉さんみたいな美少女に粉掛けといてどこほっつき回ってるやら……ああ、まあ、寒い方の人はね……しょっちゅう飲んでますもんね 」

ヒロ「………すっごい酒に強いんだなぁ…(白装束の人物を見て)…確かどっかのテレビで、レスキュー犬が酒を持ってるのを見たことあるな…そういうことなのか、やっぱり。 」

メトロ「…メトロちゃん…!……嬉しいです…!(感極まって涙目になる)親しげに呼んでくれる友達が欲しかったんです…!…い、いやじゃなければ…是非お友達に…(´;ω;`)ブワッ 強く……きっとなれます!この寒さに強そうなネモさんなら、きっと強くなれますよ!(ふんふんっ) 」

白装束の人物「おやおや、信頼し合っているんですね。同じ顔と10年、私なら大概一週間でノイローゼになりそうですけど……そうですか、やっぱりコーゾーさんは面倒見が良い癖して距離感が適切な人なんですねぇ。おきつねs………。……こんなべっぴんさんたらしこんで隅に置けないなぁあのおじ様も(けらけら) あー、首輪に酒樽つけてる奴でしょ?私のとこのわんちゃんも同じようなのつけてますよー、大概ウィスキーとかああいうのでしたかね。お兄さんも一匹如何です?猟犬で溢れてますからうちの実家、一匹譲っても良いですよ『狼』 」

ネモ「え、えぇ…いいけど…(軽く引き気味にぎこちない笑みを浮かべる)私、土地勘とかよくないから、いろいろ教えてもらえると助かるし…それに……他にも聞いてみたいこと、たくさんあるし…ね? 」

メトロ「あのあのっ…じゃあ、「ネモちゃん」…って呼んでもいいですか?(照れくさそうに頬を両手で覆う)ほんとですか!?わ、私でよければ何でも尋ねてください!(ふんふんっ) 」

ネモ「う、うん…好きに呼んでいいよ……(なんだかこの感じ…いいな…)(最後の一個を噛み締めながら笑う)…あ、ごちそうさま!美味しかったよ。 」

笠間「同じ顔じゃあ無くなったりしたんすけどね……(遠い目)まあそれは置いといて……(きつね、と言い掛けたのが耳に入ったようで)まあ、距離感が良くて面倒見が良くて変なのも置いとけるタイプの人なのは間違いないっすかねえ…今考えると変人だなあ ああ、狼……怖いなあ 」

メトロ「わぁ…♪それじゃあよろしくです、ネモちゃん♪(うふふと嬉しそうに微笑む)いえいえ!こうしてお話しできる方がいて、私とっても嬉しかったです♪( *´꒳`*) ……あ、そうだった…!明日は大事な祭典でしたね!あまり遅くまで付き合わせてもよくないですし…今夜はこの辺にしましょう。明日、私も観戦に向かいますね!もしかしたら例の力を偶然にも目にできるかもしれませんし… 」

ヒロ「色々、か…深く聞かない方が、いいかな(笠間に)……考えとく。もしこういうとこに永住する事があったらお願いするかな(ハハッ(白装束の人物に) 」

ネモ「よろしくね、メトロちゃん。そっか…うん、そうだね。じゃあボクも真っすぐ宿へ戻るよ。今日はありがとう!また明日ね、おやすみ。(彼女にバイバイと手を振りながら歩き去った) 」

白装束の人物「(えっなにそれ気になると言いたげに同じ顔じゃなかった発言にそわそわし出すが、笠間の雰囲気からして深く追求できないと察しおし黙る)好きですよーそういう変なお方、少しばかり早く会うか年が近かったらなんとまさかまさかの私の初恋だったかもしれませんねー。いやーまさかですけどども、ふふふっ ああでもでも競争相手も多そうですねぇ(心底愉快そうに口元に拳を当て眼を細める) ああそれにしても、(ふと、前夜祭を象徴する横断幕を見上げ心なしかため息をつき)10年前より流行りましたね、魔導騎士。なろうとしてなるもんでもない筈なのですが 」

白装束の人物「ふふっ、手なずけるのは難しいですけど猟犬としても申し分ないですからね。お高くはつきますがご検討くださいな 」

笠間「あっこれ良く勘違いされるんすけど私はそういうんじゃないんで(指で軽くバッテンを作り)色々考えるまでも無くちょっとパスかな… まあ、競争相手は心当たりあるなあ……(遠い目) そうっすねえ、知り合いに一人居るけども、まさかこうして大々的な祭事になる程だとは露程も思わなかったなあ 」

メトロ「(おやすみなさいの声と共に手を振って見送る)…………見つけられたのかな…(ネモの背から、瓶へと視線を落とす) 」


コ ポ ン … … ッ … … (翡翠色の瓶。中の液体の中央部にふわりと浮かぶ一枚の「花弁」が街灯の光に反射し仄かな輝きを帯びる)


メトロ「………お腹いっぱいだから、あげるね。(足元へ寄ってきた野良猫に残りのものを分け与え、人混みの中へと消えていった) 」

白装束の人物「あらら違うんです?うーん、やっぱりダメですね……恋バナの人真似はそうそううまくいくものではないようです。ザンネンザンネン(伏見がちに苦笑し肩をがっくりと落とした) —————(先までネモ達が談話していた空の座席を見やり)————好きでそうあれかしと、生まれ落ちたわけではなかろうに(何処か、ある種の哀れみを含んだ暗い影の落ちる瞳でそう囁いた) 」

猟犬「(シベリアンハスキーに酷似したやや大柄な子犬が、いつの間にか屋台近くに腰を下ろし白装束の人物の衣装橋を顎で捉え引っ張っている)フゥゥウ ウォン!ウォン! 」

白装束の人物「————(軽くあやすような手つきで猟犬の下顎をひとなでし腰を上げ) キン (二瓶に対してはやや多い金貨を卓上に添え置く)ご馳走になりました。また近いうちお肉とお魚をお届けにあがりますので(軽く一礼し、猟犬に促されるまま人込みへ溶け込んで消える) 」

ヒロ「………猟犬か。防犯にも頼れる存在になりそうだな。それはどうも。…………こっちも何かお返ししないとな(多量の金貨を見て) 」

笠間「人真似って程の事じゃないと思うんすけどね……(人混みに消え行く白装束の人物を見届け)なんか…観光で終わら無さそうな気がするなあ…… っと、私も待ち合わせの時間がそろそろなんで……んじゃ、また会いましょ(ヒロに軽く手を振り、白装束の人物とは反対方向にコーヒーを片手に歩いて行く) 」

ヒロ「おうよ、またな(笠間に手を振り返し)………(ふと空を見上げる)明日が、楽しみだな 」


そして、祭りも終わり、人々が眠りについた頃―――――


黒尽くめの少女「 バ サ バ サ ァ … ッ … ―――― (風化した廃墟の窓から流れ込む夜風に、衣服が靡いている)…………(ガラスがすべて砕け、もはや枠だけしかない剥き出しの窓から差し込む月夜の光を一身に浴び、ただ泰然と立っている) 」

衛兵「コツ…コツ…コツ……―――― 失礼します。(月光の逆光により更なる黒味を帯びた少女の前に跪く) 設置準備、ただいま完了いたしました。「計画」は予定通り進行しております。次の指示をお願いします――――――― 『 ペルシカ 』様。 」

黒尽くめの少女 → ペルシカ「 フ ワ ァ ――――(その名と共に踵を返すと、血の如く真っ赤に染まった紅目が眩闇の中で不気味な輝きを放った)  早急に『 陛 下 』のもとへ帰還する。もう間もなくあの方が目覚める。 」

衛兵「御意。 」

ペルシカ「………(赤く染まる目に夜空の月を映し出す)――――― 月と共に世界が落ちる。 」



― ソロモン公国・城下町 ―


白装束の人物「ザク……ザク……(冷凍魚を乗せたトレーをソリで引きながら雪道に足跡を刻んで前へ進む。方向からして高く白く聳える『雪山』へ歩を進めていた)困った、売れ残ってしまいましたね。余り物というのは売れ残れば行き先を失うのですけれども…… 」

錬一「———着”い”た”ァ”ァ”ァ”————!!(濁った高音がしんしんと粉雪が降り注ぐ中に響いた。丁度ソロモン公国へ到着した『カルナーク号』から、何やら鬼気迫る表情で一人の少年が飛び出す)あぁぁぁまずい!絶対にまずい!これ遅刻する、エントリーすら間に合わない!!(昔からいつもこうだ!遠足前の夜とか目がギンギンに冴えてねれないやッッッ)————あだァ!!(キャリーケースが浮くほどの速度で脇目も振らず突っ走っていたせいか、猪突盲信に白装束の人物の背にぶつかりそうになる) 」

白装束の人物「ヒョイー(難なく一歩引いて回避。しかし距離を誤りつま先を引っ掛けてしまい錬一を盛大に転ばせてしまう)————なんです?この時期はよく人とぶつかるような呪いめいた引力でも働いているのですか(糸目で肩を落とし重い溜息を零した)あーあー、顔から派手に転んで。生きてます?勘弁してくださいよ~。遺体処理とか白昼でやるのあれ面倒なんですから 」

錬一「 へぐぅ!! ビターンッッ(派手にヘッドスライディングし雪だるまの前に突っ伏す)だ、大”丈”夫”です……頑丈なのが取り柄ですので……(鼻先を抑えながらよろめきつつも立ち上がり)いつつつ……泣いちゃダメだ泣いちゃだめあっtだめだ泣きそ………  ハッ し、失礼しました!お怪我とかありませんでしたか!(左頬の火傷跡がやや目立つが、これといって特徴のない好青年、いや少年。服装は対象浪漫に登場する文学男児のそれ。だが……) 」

白装束の人物「——————。いえ、あなたが勝手にバカ丸出しで転んだだけなので私はなんとも(手を棟前から真横へ一文字を描くように横へやり怪我の有無を否定)というか偉く急いでますね。北国仕様の靴でもあるまいに、また走ると転びますよ。まあさっきのは私のせいですが (————見覚えのある目ですね) 」

雪だるまにされたちゃちゃまる「ぴえん(ぴえん) 」

体部と離れ離れになった雪だるまの頭部「ぴえん(ぴえん) 」

錬一「 ガビンッ (デフォ白目で硬直。バッグにはギャグチックに雷がほとばしる 『なんかいろいろひどいなこの人!僕の方に非があるけど……なんかこう、すごく嫌だ!配慮が色々ひどい!僕が悪いんだけども!』)き、肝に命じておきます……。 ハッ そうだ、『伐刀劇祭』の会場の場所をご存知ないですか!できれば近道ですとかわかれば是非!開会式までにどうしても会っておきたい人が会場にいるんですッ う"わ"ぁ"この土地の雪だるますごく怖い。ゲーム実況で見た気がするこの顔(ドン引き) 」

白装束の人物「—————いや、あの。『伐刀劇祭』の開催は明日ですが。なんです、頭打つ前から記憶障害なんですか(養豚場の豚を見るような冷たい目) 」

錬一「————————。——————————………(三頭身SDめいたデフォ状態の点目で白装束の人物を二度見三度見。スマホの画面を確認し、笑顔を保ったまま大粒の汗を滝のように流し顔が瞬く間に上気する)————フルフルフル……あの…… 大変お見苦しいところを……  あ"っ。ていうことは宿のチェックインもズレてしまったのでは……!?あのっ、すいませんどこか安価な宿泊施設は—————— 」

白装束の人物「   こ つ ぜ ん   (点線でくり抜かれた人型のシルエットを残し、忽然と姿を消していた。 錬一が顔をあげた頃には、既に魚入りのソリを引いて山道の入り口に差し掛かっていた)——————。まあ赤の他人でしょうが、何にせよあの手の目をしたオオバカヤロウの相手はほとほと飽きました。どこへなりとも行って勝手に凍死してるといいんですケドねー…… ザク ザク  ザク      」

通りすがりの関羽「そんなものはない(無慈悲) 」

メトロ「ほっ、ほっ、ほっ…!(ネモと出会う数時間前。ダンボールを両手に抱えた小柄な少女がざくざくと厚い雪を踏み鳴らしながら運せっせと運んでいる)ひぃ~…!重たいですぅ~…っ…!><  ボフッ (思わず雪の上にどかっとダンボールを下ろして呼吸を整える) 」

ペニーワイズ「凍え死ぬ前に(雪だるまとなったちゃちゃまるを湖に放り込みそのまま凍死する) 」

錬一「 ポツーン \そんなものはない(無慈悲)/ (しんしんと粉雪が降り注ぐ中取り残され、トドメと言わんばかりに無慈悲な言葉を浴び絵にも言われぬ顔で立ち尽くす)とほほ……。仕方ない、初日で余り使いたくなかったけどカードで下ろすか……(しわピカのようにとぼとぼ小石を蹴るようにして歩く最中、偶然メトロを見かけ小首を傾げる) あの、こんにちは。大丈夫ですか、もしよろしければお手伝い致しましょうか(控えめに微笑し一歩引いた距離感を保って声をかけて見る) 」

メトロ「はぁ…はぁ……ひぃぃ…お手て真っ赤っか…(赤く腫れた両手にふーふー息をかける)…ふわっ…!?わ、わ…ご親切に、どうも…!で、でも大丈夫ですよ…っ… これくらいなんとも……いちっ……!(再び持ち上げようとするが赤く腫れた両手が麻痺してしまったのか僅かに痙攣しはじめる) 」

錬一「いえいえ、これぐらいお安い御用ですからどうぞお気になさらず。よっと……うひゃぁ結構な量ですね、代返だったでしょう(自覚はないが朗らかな笑顔を浮かべ、半ば強引に荷物を束を軽々と持ち上げる)何方へ運べばいいでしょうかー(言葉とは裏腹にこれといって苦しげもなく実に飄々とした様子で訪ねた) 」

メトロ「や、そんな…あ…っ…(すみませんとぺこぺこお辞儀する)あ、では…私の研究施設まで…ご案内いたしますので…(そう言って彼と並んで歩きだす)……他所の国から来られたのですか…?(ふと見慣れない相貌の彼に問いかける) 」

錬一「ええ、東の方から『伐刀劇祭』に出場するあn……身内の応援に来ました。(荷物を担いで足並みをメトロと合わせ、すぐに打ち解けたと判断したのか先より人懐っこい笑みを浮かべる)ああ、申し遅れました。僕は『風磨 錬一』と言います。あなたは? 」

メトロ「まあ…!では、もしかしてあなたも…?…錬一さんですね!私は、メトロ・シモーネと申します。この街でとある研究を行っているんです。ちょうど、あなたのような伐刀者にまつわる研究でして……私も、明日の祭典には研究のための観察も兼ねて観戦へ行くんですよ。(やや控えめな性格ではあったものの、彼の優しい笑顔に惹かれたのか表情が綻んでいく) 」

錬一「ええ、まあ……一応遺伝はしてるんですけどそうですね。一応は(こればかりは苦しい愛想笑いを浮かべお茶を濁しながら)ああ、ということは当日はメトロさんも会場へいらっしゃるんですか!よかったぁ、知り合いも誘ったんですけどみんな予定が合わなくて一人で観戦かぁっ!て少しがっかりしてましたから!(既にさも会場で会うだろうとでも言うような前提で話を進め、目を輝かせて嬉しそうにはにかむ)あ、ちなみに今は何を研究されているので?やっぱり固有霊装の起源とかでしょうか 」

メトロ「はいっ!…そうなんですね…何せ、この採点も今年から始まったばかりの催しですからね…やや突発的と言いますか…(たははと苦笑しながら) えっと…そうですね…!まだまだ未開拓な奥深い力…その根源は未だ完全に解き明かされていませんからね。ただ、実はその方面は私の両親が徹底研究をしているんです。私は…どちらかというと、起源よりも、その先…伐刀者の「進化」に着目してますっ。(腫れが収まり微かに動けるようになった両手を擦り合わせながら) 」

錬一「進化……———(ふと空に誰かの背を想起し考え込む)クルセイダースは変形するけど……(あの人の霊装は知名度が高い、メトロさん程の研究者がそれを知らないはずがないし、あれはその進化ではないのか……)ひょっとして、その『進化』って霊装ではなくて『伐刀者そのもの』の進化を指していたりします?(笑みが無意識に消える。無表情で呆けたように口を開けているが、その目は非常に真剣に彼女の言葉を聞き取ろうとしているように真っ直ぐに向かっていた) 」

メトロ「ふぇ…?(ふと、彼の声音が変わった点からきょとんと小首を傾げる)……えーっと……そうでもあり、ちょっと違うかもしれません。霊装は、伐刀者が持つ魂の具現体。本人の意思によって…いえ、魂が強くあればこそ、あらゆる方向へと変化を遂げていくものなんです。ですから、伐刀者本人がその水準レベルを超えた時…伐刀者・霊装ともに「大いなる力」に覚醒する可能性を秘めているんです。 」

メトロ「…実は、その事例が過去に一度だけありました。この国が抱え込んできた、大きな……て、いけませんね…初めて訪れた方にこの話をするのは…(あははと申し訳なさそうに)……そういえばさっき、「クルセイダース」と…?もしかして、錬一さんが応援したい人って… 」

錬一「————(その国が抱え込んでいた『問題』に思い当たる節があるのか、一瞬だけ表情に影が落ちるも、あえてそれに言及するどころではない問いが飛び慌てて左右を見渡し)あはははっ!はははははっ!……えーっと……(周囲に人影がないことを確認すると、荷物を『片腕持ち』に切り替えて指を口元に立てて片目を瞑る)————内緒、ですよ。隠してるつもりはないんですけど……『兄の名前に傷』だけは付けたくはないんです…… 」

メトロ「―――――!や、やっぱり……!(ほわわぁ~!と興奮の眼差しで手を合わせて錬一を見上げる)弟様だったのですね…!噂には聞いておりましたが、まさか錬一さんが……な、なんていう運命…!わわっ、わかりました!秘密、ですっ…!(興奮で赤く染まる頬を膨らませながら、自分でお口チャックのジェスチャー) 」

錬一「ほんっっっとお願いしますね……ッ!(恐らく兄のネームバリュー故なのだろう、誇らしさと彼女の様子から本当に大丈夫なのかという不安とが入り混じった複雑な苦笑を浮かべ)僕はもう慣れましたが、Fランクの弟がいるだなんて兄が揶揄されたらもうなんというか……吊りたくなりますから!首をッ!!(本当に死ぬというほどの悲壮感こそないが、しきりに自身の首の前で手を横に振り首を切るのジェスチャーをし必死の形相で訴え) 」

メトロ「……(世間的に大有名な兄と、それと対照的な弟…きっと、今までその差異による葛藤に悩まされてきたんだろうなと彼の必死の形相から静かに察した)…ぁ、あの…私、は…伐刀者でもなければ、戦士でもない、ただの一般人ですけど……その、ランク?というものがよくわからなくて…確かに、錬一さんのお兄様はとてもすごいお方です。…でも、なんでしょうね…世間が定めるようなランクにこだわっていなさそうなあの感じ…よくテレビで見かけるんですけど……きっとお兄様も全然気にしていないんじゃないかなって…なんとなく…そう思います… 」

メトロ「…それに…私…錬一さんのような優しい方、本当に素敵だと思います。………………あれ?…ぁ…っ……!(しばらくして自分が言った発言に恥ずかしくなる) やっ、あの…えとえとっ…!これは、えとっ…ちちちちがうんですっ…!錬一さんが素敵なのは本当ですが、そそ、そんな変な意味で言ったわけじゃありませんからっ(やや涙目でわたわたと両手を振りながら) 」

錬一「——————(思わず落としてしまいそう……だったので荷物を手ごろな民家の前に置かれている樽の前にひとまず置き、 パチクリと何度か瞬きし涙目ながらに否定する様子にあっけに捉え、不思議そうにしていたが)———クス……はは、あははは……っ!(柔らかく、どこか肩の荷が下りたように目尻に雫を浮かべ笑っていた。やがて一息つくと)あー……いえすみません、何もおかしなことは言ってないんですけど…… 」

錬一「————大丈夫ですよ。ええ、兄も僕も実のところ仰る通り気にしてないんです、ランクのことは。中も悪いって訳じゃないし、ああ心配はされますけど。ただ……『自慢の兄』だからこそ名実共に、皆からしても『弱点』のない前人未到絶対王者『クロイツ・オルランド』として見られていてほしい。それだけなんです(気丈に笑ってみせる。それは単に虚勢というだけでなく、言葉に偽りなく兄を誇らし気に少年のようなあどけないそれだった)———それに、たった今メトロさんが認めてくれましたからっ。それだけで少し自分を好きになれました。ありがとうございますねっ 」

メトロ「 錬一さん……(一度俯いて、それから再び彼の表情を見上げ―――)…『よかった』…(雪結晶のような小粒の涙で潤んだ瞳を浮かべ、彼に釣られるようにくすりと微笑んだ)……ぁ…ひとつ、大事なことを言い忘れてました…。 」

メトロ「………―――――― 目的の場所につきました…(「ここです」と言わんばりに、出入り口前に樽が置かれたぼろっちい民家の目で促した) 」

錬一「————ブンブン(ちょうど自分が荷物を置いた樽の目の前にある民家が『研究所』であると知り、風切り音を発して二度見三度見)————楽しくお話ししてるとあっという間ですね!どうしましょっか、中に運びます?(ぼろっちいことに関しては一切触れないことにした。とりあえずお手本のような愛想笑いをし、樽の上に置いた荷物に手を添え置く) 」

メトロ「ほんとですね…!あ、いえ…!あとは自分で運びますので…それよりも、ここまで運んでいただき本当にありがとうございます…!ち、ちょっとだけお待ちください…!(そう言うとそそくさと民家の中へ飛び込んでいく。中でいろんな衝突音が聞こえたり「ぎゃー!」という悲鳴が聞こえたり、彼女のなんとも忙しない暮らしの一部が垣間見えた…)ドタドタドタ…お待たせしました…!(「いたた」と額を摩りながら現れる)お礼と言っては何ですが…よければ、どうぞ…!(温められたホットティーのペットボトルを一本差し出す) この国はとても寒いですからね…どうか温かくしてください。 」

錬一「(—————ああ、すごく頑張ってるんだな……。 温かい目で、ドア越しで見えないのだがその様を見守っていた)わぁ、助かります……!ええ、実際甘く見てましたからねここの寒さ。とってもありがたいです、お言葉に甘えておいしくいただきますね(心底嬉しそうに感謝を伝え受け取ると、何かを思いついたようにはっとしおもむろに財布を取り出す。カード入れから『名刺』を取り出し)もしよかったら明日会場で落ち合いませんか。ツミッターのアドレスです、DMで連絡いただければ駆けつけますから 」

メトロ「はいっ、どうぞどうぞ…! …!お名刺交換!(わたわたとぶかぶかのコートの内側を何度も探り、取り出したカード入れから同じく名刺を取り出し、互いに交換し合う)も、もちろんです…!私もツミッターやってますので。 …で、では、明日は午後13時頃からの開催なので、お昼過ぎに連絡いたしますね! 」

錬一「ええ!どうぞよろしくお願いします!(そう快活に告げると、心なしか足取り軽く玄関先から離れ、今一度踵を返し大手を降理、また歩き出す。それを何度か繰り返し、やがて彼の姿は見えなくなった) 」

メトロ「(錬一の姿が見えなくなるまで手を振って見届けた)………素敵な人に出会っちゃった…かも……(彼から受け取った名刺をじーっと見つめた後、それをカード入れに大切にしまい込む)…んっしょ……!研究の続きを始めないと…(樽の上に置かれた段ボールを両手に抱え、そのぼろい民家の中へと入っていった) 」

ちゃちゃまる「(一方その頃ペニーワイズ川流しされたちゃちゃまるは十字に張り付けられまま水面を泳いでいた) ぴえん  」


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最終更新:2021年02月04日 11:46