コメントアート投稿の際に必要であるとよく言われるもの、「空気を読む」。
この言葉、実際はどういった事を表しているのでしょうか。
前回は「動画の空気を読む」といった事について、一例を紹介させていただきました。
しかし「動画の空気」以外にももう一つ、読まなければいけない「空気」があります。
それは「コメントの空気」。
コメントアート投稿の際は、視聴者の人たちが普通にコメントをしている
コメント欄の状態を把握することも必要です。
「ニコニコ動画のコメント」と一言でいいますが、
実際はいくつか異なるコメントの種類があり、それぞれ特徴が異なります。
まずは「通常コメント」におけるコメントアート投稿の注意点を見ていきましょう。
※基礎編・知識編・制作編の内容を理解している事を前提として解説をさせていただきます。
分からない事項がございましたら、該当項目をご参照ください。
◎目次
①安全確認と衝突回避
通常コメントとは「ニコニコ動画」上で一般のユーザーが投稿できるコメントの事です。
コメント欄は自分専用の遊び場ではありません。
そこには同じ動画を見た多くの人があなたと同じようにコメントをしています。
動画に付いているコメントの内容・位置によって
自身が投稿するコメントアートも臨機応変に対応していく必要があります。
理想は「他の人のコメントに干渉せずに自分のコメントアートを投稿する」ようにすること。
そのためには少なくともコメントアートを投稿する時点における
「通常コメントの最新の状態」を把握する必要があります。
具体的には以下の点に注意するとよいでしょう。
・NG共有機能の設定を確認する
2011年10月5日、コメントのNG共有機能が実装されました。 → 公式リンク
この機能を使用していると、既にNG対象となっているコメントが見えなくなります。
特にNG共有レベルを「中」または「強」にしていると、既にコメントが投稿されていることに
気付かないで上から投稿を重ねてしまう(=衝突してしまう)可能性が高くなります。
普段からこの機能を利用している人は
必ずNG共有レベルを「切」にして、コメントの有無を確認してから
自身のコメントを投稿するようにしてください。
(ちなみに、NG共有レベルのデフォルトは「中」となっています。)
・自分が投稿しようとしているコメントアートのコマンドが既に使われていないか?
コマンドが既に使われていたら、当たり前ですがコメントアートを投稿しても
正常に表示されず、崩れてしまいます(高さ固定除く)。
投稿時点のみならず、3秒の表示時間の中で
他のコメントが自身のコメントアートに干渉しないかをチェックする必要があります。
※各コマンドの特徴
「ue」:使用する人が少ないため比較的自由に使うことが出来るコマンド
「shita」:「ue」に比べてよく使用される。
「naka」:デフォルトのコマンド。最も使用率が高い。
ちなみに高さ固定コメントを使用すれば、自身のコメントアートが崩れることはなくなりますが、
他のコメントが「弾幕モード」になり、画面上にランダム表示されるようになるため、
結果的に動画視聴に影響することがあります。(その状態を不満に思っている人も少なからずいる。)
・「shita」コメントの動向
動画についている「shita」のコメントの内容を見てみましょう。
「shita」コマンドは比較的多くのユーザーが使用するため、
不用意に使ってしまうと、その後に投稿されたコメントによって
自身のコメントアートが崩れてしまう危険性があります。
※「shita」コメントの連鎖
⇒何かを語りかけるような内容のコメントが「shita」でされると、
それに対する反応コメントも「shita」でされる事が多い。
例えば「○○は俺の嫁」→「↓阻止」などといった流れ。
このような状態になっている動画では、
しばらくは「shita」での反応コメントが投稿される可能性が非常に高いため、
「shita」を使ったコメントアート投下は避けるべきでしょう。
・他の人が貼ったコメントアート
コメントアートが同時点に投稿された結果、
お互いに干渉し崩れてしまう事を「衝突」と呼びます。
「衝突」を回避するために、前のコメントアートがどのコマンドを使用しているか、
いつ投稿されて、あとどれくらいで流れるかを調べ、お互い干渉しないようにして投稿する必要があります。
もし、どうやっても衝突してしまうような状況の場合は
投稿を急がずに、前のコメントアートが流れるのを待ちましょう。
(同じ種類のコメントアートが同時点で二重に表示されるのは好ましくありません。)
通常コメントはいつ・どこに投稿されるか予期できないため、衝突を確実に防ぐ方法はありません。
基本的に「コメントアートは崩れるもの」と考えておいた方が良いでしょう。
しかし、先の「shita」コメントの動向のように、
「通常コメントの最新の状態」から、「近い将来の状態」をある程度予測することで
コメントアートが崩れる可能性を少なくすることができます。
また、コメント欄の状態を正確に把握できるようになると、
他のコメントアート制作者の方と協力してコメントアートを投稿する、ということも出来るようになります。
いわゆる「コラボCA」と呼ばれるものですが、多くのコメントアート制作者の方が集まる
「祭り」の時など突発的にそのようなコメントアートが生まれることが多いです。
たくさんの方と協力して投稿するのもコメントアートの醍醐味です。
②ユーザーID表示の選択
多くのコメントアート制作者はコメントアート投稿の際、
匿名(184)を外し、自身のユーザーIDを表示させています。
※ユーザーIDの調べ方
画面上に表示されているコメント、あるいはコメント欄上にあるコメントの上にカーソルを合わせ、
右クリック→「NGユーザに追加する」を選択する。
※匿名(184)機能の外し方
プレイヤー右上にある「コメント(コメントに関する設定)」タブを選択すると出てくる
「常に匿名(184)コメントで投稿」のチェックを外す。
コメントアート制作者はなぜユーザーIDを晒すのか。
以下のような理由があります。
・コメントアートが見られない人への「配慮」
これまで見てきたとおり、コメントアートは全ての人が同じように見られるものではありません。
常に崩壊してしまう環境で動画を見ている人にとっては、
コメントアートは即NG登録すべき存在である可能性も十分考えられます。
動画ごと(※1)にIDが変わってしまう匿名コメントでは
その都度その都度NG登録しなくてはならず、リストもすぐにいっぱいになってしまうでしょう。
IDを晒して投稿しておけば、一度のNG登録で自身のコメントアートは永遠に見られずに済むことになります。
(※1)正確には、同じ投稿者の動画では暗号化IDは使い回される。
暗号化されたIDは一週間(毎週木曜日午前9時)で更新される。
・匿名コメントの「気楽さ」を排除する
ニコニコ動画のコメントは誰でも「気軽に」出来るという点が売りです。
しかし、コメントアートの場合、この「気楽さ」が「甘え」となり、
動画投稿者や他の視聴者に迷惑をかけてしまう場合があります。
IDを晒すと誰がコメントアートを投稿したか一目でわかるようになります。
必然的に、匿名コメントよりも「失敗できない」「生半可なものは作れない」といった気持ちが
強く働き、結果的に匿名コメントでのコメントアートよりも高レベルなものが生まれる事が多いと言われます。
必ずそうである、とは言えないものの、レベルアップの1つの条件と考えることも出来ます。
・誰が投稿したのか、という「責任」の所在を明確化させる
IDを晒すことは、「このコメントアートは自分が投稿した」という証明となります。
もし、自分のコメントアートが全く別の動画で予期せぬ形でコピーをされた場合であっても、
オリジナルでIDを晒していれば「これは別の人によるコピーである」とすぐにわかります。
(実際はコピペCAの大半はオリジナルよりも劣化するため(理由は後述)、一目で判断できる場合がほとんどとなりますが。)
ユーザーIDの表示は「推奨」ではありますが「必須」ではありません。
個人の考えのもとで判断するとよいでしょう。
③「コピペCA」と「アレンジCA」
通常コメントでは時折、既存のものをコピーしたと思われるコメントアートを見かけます。
これを俗に「コピペCA」と呼びますが、そのコピー元は
別の動画から持ってきたものであったり、またはとあるサイトで公開されていたものであったりと様々です。
しかし、いずれにしてもそれらのクオリティはオリジナルと比べると"劣化"をすることがほとんどとなります。
コメントアートのコピーは初心者を中心に気軽に手を出される傾向にあります。
確かに始めたての頃は、レベルの高いコメントアートの構造を把握するために
そういったコピーで構造を把握することも1つの方法ではありますが、それはあくまでも研究・練習の段階での話です。
実際に動画上で本番のコメントアートとして投稿するならば、
オリジナルを作ったコメントアート制作者と同等以上の知識を持ち合わせている必要があります。
コメントアートをコピーするためには少なくとも以下の情報を正確に把握することが必要です。
・文字列&改行数など
最も簡単に取得することが出来る情報です。
NG設定機能などを通じて把握する事が出来ます。
⇒文字列を調べる際には、
使用されている空白文字の種類もきちんと調べましょう。
過去に投稿されたコメントアートの場合、
現在では使用を推奨されていない(特定環境で文字化けする)空白文字が
使われている場合があります。
(空白文字の表示については「
知識編Ⅰ【空白文字】」を参照のこと。)
・色
デフォルト色を使用していれば目視で把握することが出来ます。
カラーコードを使用していると、目視での確認は困難となるため、
コメント情報を別途取得して調べる必要があります(非公式ツールなどを使用する必要があります)。
・タイミング
目視で確認します。
コメントアート投稿者しかわからないタイミングが存在する場合もあるため
何度も繰り返し再生して確認する必要があります。
(非公式ツールなどを使用し、コメント投稿の時間「vpos値」を直接調べる方法もあります。)
本来コメントアートのコピーは以上の情報を正確に把握し、
また再現出来る実力を持ってから始めて出来るようになる高度な技術です。
しかし、現状は文字列のコピーしか出来ていないものがほとんどであるため、オリジナルよりも劣化します。
特に「色」は普通の方法では把握できない場合もあるため、むやみなコピーは推奨できません。
そもそも、その動画に合うように色彩や配置・タイミング等が考えられたコメントアートを
他の動画にそのままコピーすること自体無謀な行為です。
もし、他の動画に既存のコメントアートをコピーしたいと考えたのなら、
その動画に合わせてコメントアートを改良することが必要となります。
これを「アレンジCA」と呼びます。
※アレンジの例
- 色を動画に合わせて変更する。
- 情報を動画に合わせて変更する。
- その動画ならではの追加要素を加える。
意味のない劣化コピーはオリジナルのコメントアート制作者に対しても、
動画の投稿者に対しても失礼な行為です。
なぜそのコメントアートをコピーするのか、なぜその動画なのか。
投稿する前によく考えてください。
最終更新:2014年08月07日 22:04