耐量子計算機暗号
将来の量子計算機でも解読できないと考えられている、新しい公開鍵暗号のアルゴリズムです(英語では Post-Quantum Cryptography、PQC)。今の公開鍵暗号(RSA や楕円曲線暗号)は、十分な規模の量子計算機ができれば解読されるおそれがあるため、置き換えが進められています。
量子力学の性質を使って鍵を配る
量子暗号(量子鍵配送)とは別物です。耐量子計算機暗号は、今のコンピュータで計算できる数学的な手順で、ソフトウェアでもハードウェアでも実装できます。
NIST の標準(2024年8月13日公開)
| 標準 |
名前 |
用途 |
| FIPS 203 |
ML-KEM |
鍵カプセル化(通信の鍵を共有する) |
| FIPS 204 |
ML-DSA |
デジタル署名 |
| FIPS 205 |
SLH-DSA |
デジタル署名(ハッシュ関数に基づく) |
- 鍵カプセル化:公開鍵を使って、通信で使う共通鍵を相手と共有する方式
- NIST は2025年3月11日に、鍵カプセル化の予備として HQC を標準化の対象に選んだ。署名の Falcon も、2026年10月時点で標準化の途中
- NIST IR 8547(初期の公開草案、2024年11月12日。2026年10月時点で草案のまま)は、移行の予定を2段階で示している。たとえば RSA と ECDSA は、112ビットの強度のものは2030年より後は非推奨・2035年より後は不許可、128ビット以上の強度のものも2035年より後は不許可
日本
CRYPTREC 暗号リストの2026年3月30日の改定で、「耐量子計算機暗号(PQC)リスト」が新設された。鍵共有の ML-KEM(ML-KEM-768・ML-KEM-1024)のほか、AES-192・256、SHA-384・512、SHA3-384・512 が載っている(AES-128 と SHA-256 は載っていない)。署名はまだ載っていない
移行の進め方(CISA・NSA・NIST の共同文書、2023年8月)
- 移行の計画を担うチームを作る
- そのチームが、量子計算機に弱い暗号を使っている箇所を棚卸しする。デジタル署名を作る・確かめる仕組み(ソフトウェアやファームウェアの更新を含む)も対象
- 棚卸しに基づいてリスクを評価し、移す順番を決める
- 製品の供給元に、いつ、どう対応するかを確かめる
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出典
確認日:2026年10月15日
最終更新:2026年10月15日 14:38