CISSPドメイン5 IDとアクセスの管理
CISSP の8ドメインのうち、「誰(何)が、何に、どこまでアクセスしてよいか」を決め、守り、見直すドメインの学習ページです(英語では Identity and Access Management、
IAM)。このwikiの用語ページを、学ぶ順に並べています。
このドメインの問い
- 相手が誰かを、どう確かめるか(識別、身元確認、認証)
- 確かめた相手に、何を許すか(認可、アクセス制御の方式)
- 外部のサービスと、身元と認証の情報をどう受け渡すか(フェデレーション、シングルサインオン)
- 入社・異動・退職に合わせて、権限をどう付け、どう外すか(アカウントのライフサイクル)
- 強い権限を、どう絞り、どう見張るか(特権アクセス管理)
ISC2 の試験アウトライン(2024年4月15日発効)は、このドメインを6つの項目(物理と論理のアクセスの管理、識別と認証の戦略、外部のサービスとの
フェデレーション、認可の仕組み、IDとアクセスのライフサイクル、認証システムの実装)に分けています。なお、ISC2 は2027年4月15日発効の新しいアウトラインを公表しています。このドメインでは、パスワードレスの認証が独立した項目になって FIDO・WebAuthn・パスキー・生体認証の例が付き、リスクに基づく
アクセス制御が RAdAC(Risk-Adaptable Access Control)に置き換わり、5.6 は「認証と認可のシステムの実装」になります。
要点:3つの確からしさと、ライフサイクル
NIST SP 800-63-4(2025年7月)は、デジタルの身元の確からしさを3つの機能に分け、それぞれの確からしさを段階(1〜3)で表します。
| 種類 |
何の確からしさか |
このwikiのページ |
| IAL(identity assurance level) |
名乗った身元が本当にその人のものか(身元確認) |
身元確認 |
| AAL(authentication assurance level) |
認証した相手が、登録された本人か(認証) |
多要素認証 |
| FAL(federation assurance level) |
フェデレーションで、認証の結果と属性を受け渡す過程の確からしさ |
フェデレーション |
権限は、付ける(入社)、付け替える(異動)、見直す(定期)、外す(退職)の一連の流れで管理します(
アカウント管理)。
学ぶ順序
- 全体:IAM
- 確かめる:識別、身元確認、認証、多要素認証
- 許す:認可、アクセス制御、最小権限の原則、職務の分離
- 許し方の方式:任意アクセス制御、強制アクセス制御、セキュリティモデル、RBAC、ABAC
- 判断と施行を分ける:ポリシー決定点、ゼロトラスト
- 外部とつなぐ:フェデレーション、シングルサインオン、認証・認可技術
- 付けて、見直して、外す:アカウント管理
- 強い権限を守る:特権アクセス管理
- 記録して説明できるようにする:AAA、責任追跡性
- 守る相手を知る(攻撃):フィッシング、ビッシング、ソーシャルエンジニアリング
解説と演習
このドメインの用語と基準は、このページと上の用語ページで解説しています。現場の判断を問う演習(8つの場面。場面1は無料で読めます)は note で公開しています。
日本で働くなら:対応する法令とガイドライン
| 考え方 |
日本で対応するもの |
| アクセス制御と認証 |
個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」の「10(別添)講ずべき安全管理措置の内容」:個人情報取扱事業者が、情報システムで個人データを扱うときに講じなければならない技術的安全管理措置(法第23条)として、(1) アクセス制御(担当者と、扱う個人情報データベース等の範囲を限る)、(2) アクセス者の識別と認証 などを挙げている |
| 識別符号(ID とパスワードなど)の扱い |
不正アクセス禁止法 第4条(他人の識別符号を入力する不正アクセス行為〔第2条第4項第1号〕に使う目的で、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を取得することの禁止)、第5条(業務その他正当な理由がないのに、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を、アクセス管理者と利用権者〔利用を許された本人〕以外に提供することの禁止)、第6条(第4条と同じ不正アクセス行為に使う目的で、不正に取得された他人の識別符号を保管することの禁止) |
| 識別符号の入力を不正に求めること |
不正アクセス禁止法 第7条:アクセス管理者になりすまして、識別符号の入力を求める情報を Web で公開したり、電子メールで送ったりすることの禁止(フィッシング) |
| アクセス管理者の努力義務 |
不正アクセス禁止法 第8条:アクセス管理者は、識別符号と、それを確かめるために使う符号(照合用のデータ)の適正な管理に努め、アクセス制御機能の有効性を検証し、必要なときは機能の高度化などの措置を講ずるよう努める |
罰則は、第4条・第6条・第7条の違反と、相手が
不正アクセス行為に使う目的と知って第5条に違反した場合が1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金(第12条)、それ以外の第5条の違反が30万円以下の罰金(第13条)です(
不正アクセス禁止法)。
確認問題
- NIST SP 800-63-4 で、身元確認(identity proofing)とは何をすることですか
- シングルサインオンとフェデレーションの関係を説明してください
- NIST SP 800-53 Rev. 5 の AC-2(3) は、どんなアカウントを無効にするよう求めていますか
模範解答
- 主体(人など)についての情報を集め(collect)、その正しさと本物であることを確かめ(validate)、本人のものであることを確かめて(verify)、名乗った身元への確からしさを得ること。身元の確からしさの段階を IAL として定めている。
- フェデレーションは、身元と認証の情報を、ネットワークでつながった複数のシステムの間で受け渡す仕組み。シングルサインオンは、1つのアカウントとその認証器で、複数のアプリケーションにまとめて入れるようにする認証の流れで、多くはフェデレーションのプロトコルで実現される。
- 期限が切れたもの、利用者に結び付かなくなったもの、組織の方針に反しているもの、組織が決めた期間使われていないもの。これらを、組織が決めた期間のうちに無効にする。
出典
確認日:2026年10月17日
最終更新:2026年10月18日 09:30