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特権アクセス管理


システムの設定を変える、アカウントを作る、セキュリティの仕組みを止める、といった強い権限(特権)を持つアカウントとその使い方を、絞り込み、必要なときだけ使わせ、使った記録を残して見張る管理です(英語では privileged access management。日本では「特権ID管理」と呼ばれることもある)。

なぜ特に守るか

NIST SP 800-53 Rev. 5 は、特権の機能の例として、実装したセキュリティやプライバシーの管理策を無効にする・迂回する・変えること、システムのアカウントを作ること、システムの完全性の検査、暗号鍵の管理を挙げています(AC-6(10) の解説)。特権のアカウントが乗っ取られると、守りそのものを外されえます。

主な管理策

SP 800-53 Rev. 5 の管理策から整理します(「AC-6(5)」は、管理策 AC-6 の5番目の拡張を表す)。
管理策 内容
特権アカウントを限る(AC-6(5)) 特権のアカウントを、決めた人やロールだけに限る。日常の利用者が特権の情報や機能に触れないようにする
特権アカウントに多要素認証(IA-2(1)) 特権のアカウントへのアクセスに、多要素認証を使う(多要素認証)
ふだんは特権なしで(AC-6(2)) セキュリティの機能に触れる権限を持つ人も、セキュリティに関係のない作業では、特権のないアカウントやロールを使う(例えば、メールや Web の閲覧。この例は筆者の補足)
特権の無い利用者に、特権の機能を実行させない(AC-6(10)) 権限の無い利用者が、特権の機能を実行できないようにする
特権の使用を記録する(AC-6(9)) 特権の機能の実行を記録する。SP 800-53 は、正規の利用者の誤用や、乗っ取られたアカウントによる悪用を見つける方法の一つとしている
権限を見直す(AC-6(7)) 割り当てた権限を決めた頻度で見直し、必要なら外す

必要なときだけ使わせる

ISC2 の試験アウトラインは、識別と認証の戦略の項目に「Just-In-Time」を挙げています(中身の定義はしていません)。米国の CISA のゼロトラスト成熟度モデル(第2版、2023年4月)は、ID の柱のアクセス管理の最も進んだ段階として、個々の操作と資源に合わせて、必要なときに必要なだけのアクセス(just-in-time and just-enough access)を自動で認める姿を挙げています。常に特権を持たせておくのではなく、作業のときだけ付けて、終われば外す考え方です(筆者の整理)。

一時的に特権で実行する仕組みと、その監査

ISC2 のアウトラインは、特権の昇格の例として sudo の使用と、その監査を挙げています。sudo は、Unix 系の OS で、許可された利用者が、設定で決めた範囲で、管理者(スーパーユーザ)や別の利用者としてコマンドを実行できるようにするプログラムです(sudo の公式マニュアル)。

ただし sudo のマニュアルは、既定では sudo が直接実行したコマンドだけが記録され、sudo でシェルを起動した場合や、シェルに抜けられるコマンド(多くのエディタを含む)を許した場合、その後のコマンドは sudo の方針の対象外になると注意しています。入出力の記録(I/O ログ)を有効にすれば入力や出力は残りますが、通常の記録は残りません。このため、許すコマンドが、意図せずほかのコマンドを実行できる道を与えていないかを確かめる必要があるとしています。誰が、いつ、どの特権の操作をしたかを残すには、許すコマンドの選び方と、記録の方法を合わせて決めます(筆者の整理)。

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出典

確認日:2026年10月17日
最終更新:2026年10月17日 17:54