烏田 緋勇
性別
男性
表の職業
学生
黒太子・聖天武想
能力の発動と同時にクロガネの鎧を纏う。
武装を換装した場合その武装は1分で砕け散る。
クロガネの鎧だけでも高い戦闘能力はあるが、徒手空拳であるため直接的な殺傷能力には欠ける
能力原理
少女漫画『暁の聖騎士』に登場する主人公の側近エドワードの能力を得る。
『暁の聖騎士』における主人公はエドワードではなく彼の対であるウェールズとくっつくのだが、緋勇はそれが許せなかった。
ウェールズと主人公がくっつく回を読んだ彼は三日三晩うなされ、自認エドワードとなり――
黒歴史として刻み込まれることとなった。
しかし彼の中二力はその歴史を掘り返すように、彼にエドワードの力を授けた。
黒き翼の顕現、即ち黒翼の聖騎士エドワードの力を。
この能力を発動している際は自認エドワードの頃の記憶が呼び覚まされ声音が湿っぽい感じに。本人は能力試用時の自分が嫌いらしい。
様々な武装があり、それらを切り替えて戦うのがセオリー。
だが武装を切り替えるたびにその名前を叫ぶため恥ずかしいとかなんとか。
参戦動機
失踪した元パートナーを連れ戻すため
会員との契約内容
闘士として参加することを条件に、失踪した元パートナーを連れ戻すための情報を得る
キャラクター説明
魔人危機対応警備員、通称魔警を多数輩出する極東魔人保護校に所属する一般科の生徒。
極東魔人保護校は実践も踏まえたカリキュラムが売りで、特に養成科はそれが顕著である。
強力な能力と本人の意思によりスカウトを快諾され編入した。
誰もが平穏無事に生きられる世を願う。両の手に抱えきれぬほど助けを求める者がいれば総てに手を差し伸べようとする。
まさしく理想に燃える青き次世代の魔警にふさわしい人材…
であったがとある事件をきっかけに一般科への移籍をした。
養成科にいた当時は活発に動いていたが今は見る影もない。
とはいえ、その力量は一般科にいてなお埋もれることなく人助けに発揮されている。
本人としては穏やかに過ごしたいようだが持ち前の正義感は未だに消えていないらしく、クールぶっているものの心根は熱い。
プロローグSS
英雄になんてあこがれるもんじゃない。
だって、そういうのは往々にして慌ただしく面倒くさいものだ。
妄想やフィクションの中でおとなしく見ているのがイチバン。
だが悲しいかな、幼さとはそういったものまで想像がつかないのだ。
少なくとも――あの時の俺は、そんなこと考えていなかった。
「ひーゆーうっ!なーにシケた面してんだよう」
ガっと背後から忍び寄ってきていた気配になされるがまま俺は肩に腕を回された。
無駄にガタイのいいこいつは土井公太。
俺が養成科にいたころコンビを組んでいた男だ。
「どうした、今日はえらくご機嫌だな」
「そりゃいっつもさっさか帰っちまうヤツを見つけたら気分も上がるってもんよ」
こいつ、俺をメタルスライムか何かだと思ってんのか?
俺を倒したところで経験値は入らないぜ。
「今日はちょーっとハードな仕事だったんだけどな、運よく何もなくって感じで早めに切り上げられたんだ」
なんて言ってるが、その右頬についた絆創膏は見逃さないぞ。
だからいっつも口酸っぱく言ってたんだ…早くパートナーを見つけろってな。
折角組みたいって言ってるやつがいるのにもったいないっての。
「流石だよ。で、色男度合いを増した公太さんはいまだにワンマンで通してるのか?」
「そらな。俺は――」
「再三になるが、俺は戻るつもりないぞ」
何度聞かされてきたかわからないセリフを遮って俺は公太の誘いを断った。
「一歩間違えば、あれだけじゃすまなかったんだ」
養成科にいたころ、公太とツーマンセルで警備の仕事をしていた時だ。
いわゆる芸能人の護衛任務だったのだが、そいつがだいぶ女癖が悪く弄ばれた女が襲ってきたのだ。
運悪く魔人であったそいつの対処を俺と公太は行い…殺しかけたのだ。
俺の槍が肉を貫く感覚は、忘れたくても忘れられない。
「…わかった。お前がそういうなら、もう無理には誘わない」
…驚いた。こいつはいつの間にそんな聞き分けがよくなったんだ。
前までだったらもっとぐいぐい来てたってのに…
「でもっ俺はお前以上にかみ合うやつは見つけたことないってだけ言っとくぜ!」
「今は見つかってないだけだ。そのうち見つかるさ」
「だといいけどよ~。んまあ久々に会えたことだし、あっちの店で飯食っていこうぜ」
公太の指さした先には行きつけのファミレスが。
養成科で仕事を引き受けた帰りには大体遅くなっていたし、よく寄っていたっけ。
「そうだな。…今日は俺が奢るよ」
「いやいや俺が誘ったんだし、それに俺は金に困って…」
「いいんだって、いっつもお前の勧誘断ってばっかで申し訳なさもあるしな」
何か言おうと口を開いた公太だったが、いつもとちょっと違う困ったような笑顔でおう、と返してきた。
なんだか今日の公太はしおらしくて調子が狂うな。
ったく、俺にシケたツラとか言ってきたくせに自分がそんなんでどうすんだよ。
そうして俺たちはお互いの近況を語らい、よく食べていたメニューがなくなっていたことに愕然とし。
最近じゃ考えられないくらい楽しい時間を過ごして――
公太は、次の日から姿を消した。
✟✟✟
高校生の脚じゃあ限界がある。
調査するにしても、養成科にいたころに築いた連絡網は長らく機能していない。
一応学校側も調べているらしいが…最後に公太と会ったのは俺ということで、何かなかったと聞かれた。
確かにあいつはあの時いつもよりしおらしかったが、それくらいだ。
「くそっなんで急にいなくなってんだよあいつ…あとこういう時に限って面倒ごと持ち込むなよ俺」
気付けば俺は複数の気配に取り囲まれている。
養成科時代の俺がぶっ飛ばしたやつらの残党だろう。
ちょくちょくこういう目にはあってきてるから慣れてる。
慣れてるけどな。
「今はイライラしてんだ…怪我程度じゃすまねえかもしれねえぞ!」
俺の感情に合わせて吹き荒れる黒い羽根が体を包んでいく。
「此れなるは陛下より賜りし双翼の一対――
黒太子・聖天武想!」
鎧を身に纏い決めポーズとセリフを高らかに宣言する。
もうちょっと普通の喋り方はできないもんかね、俺。
「チェアアアア!」
相手の得物は身の丈程度はありそうな太刀だ。
即刻反撃してやってもいいが決めポーズのせいで動きが遅れている。ったく損な能力だよ。
振り下ろされる一太刀を躱し、そいつの顎にアッパーをくれてやる。
俺の能力は武装を呼び出すだけと勘違いしてる輩は多いが、実のところ俺自身も強化されてるのだ。
「地を這うがいい――貴様ら程度では仰ぎ見ることすら大罪と知れ!
聖天夢想・王弓!」
またもカッコつけたセリフとともに空へと飛びあがった。
「焔の咢にて汝らを灰へと帰さん――」
ギリギリと弓を引き絞るほどに煌めく焔が渦巻いていく。
極限まで引いた焔の矢はドウッ!と空気を震わせながら残党どもの中心へと突き立った。
炎といったってあくまでそれっぽいものだ、俺の認識が作り出した炎っぽい攻撃に過ぎない。
それでも威力は十二分である。
「ふむ、逃げ延びた鼠はいるようだが――」
手にした弓は煌めく粒子へと変化し、代わりに俺の手には剣が出現する。
「見逃してやるというのに、命知らずなものだ…
聖天夢想・王剣!」
振り向きざまに振るった剣が背後に迫っていたヤツの斧とぶつかり合う。
斧は軽く振るった剣に弾き飛ばされ、それでもなおと俺へ向かってくる。
「おおおッ!」
剣を使うまでもなく、突進をひょいと躱しその背中に拳を叩きつけた。
地面へ叩きつけられたそいつは動く様子もない。だが死んでもいないはずだ。
「此度の戦、心躍るものもなく…雑兵程度では足止めにもならん」
いや実際に足止めにはなってるんだけどな、つーかやめろよそんなこと言うの。
俺が戦闘狂みてえじゃねえか。
地面に降り立った俺の周囲には、満身創痍のやつらが幾人かまだ残っていた。
「だが俺に聖天夢想を使わせたことは称賛しておこう。
して、自らは戦わず高みの見物か?」
瞬時に振り返り俺は背後にいる気配へ剣を突き付けた。
首筋に刃が当たってるってのに、そいつは穏やかに笑っている。
「久しぶり、烏田君。養成科であって以来かな、元気だったかい?」
「前々から胡散臭いやつだとは思っていたがまさか、あのような連中とつるんでいたとはな…
見損なったぞ」
「いやだな、僕があんなのとつるんでるわけないだろ?今のは偶然だよ」
竜応大燐。養成科で情報収集や偵察などの仕事を良く引き受けていた男子生徒だ。
さっきの襲撃直後に現れるたあタイミングからして自分が手引きしたって言ってるようなもんだぜ。
コソコソ見てたのもバレてるしな。
この手の嫌がらせはやられてこなかったけど確か俺のことを嫌ってたような…
「俺をあの程度の雑兵で討ち取る気だったか?」
「まさか。君の実力は僕も知ってる、彼らに後れを取るなんて思わないよ。
でもちょっと、見せびらかしすぎたよ。君の武装は1つ1つが1分しか持たないんだから」
「…だからどうした」
大燐の言う通り、俺が突き付けていた剣は煌めく粒子となって消えていく。
うかつだったのはその通りだ。一般科にいたせいで平和ボケしちまったのか。
だが今の俺には関係のないことだ。俺はもう魔警にはならないのだから。
「それで、貴様は如何様な目的で俺を襲った。返答次第では我が刃の錆になると思え」
「土井公太君。探してるんでしょ?」
「…何が言いたい」
「僕と取引しようよ。そうしてくれたら、公太君の手がかりを渡してあげる。
だから、さ。能力を解除して話し合おうよ」
もっともらしいことを言いやがる。
「まだ貴様を信用したわけではない。今しばらくはこのまま聞かせてもらおうか」
「安心したよ。もし今すぐ解除なんてされたら…僕は幻滅してたところだ」
勝手にしろっての。俺はそもそも評価されるような高尚な人間なんかじゃないんだ。
まあ少なくとも、公太の失踪について何かを知っているのであれば聞き出すとしよう。
ブラフかもしれない以上警戒は怠れない。藁にも縋る思いってやつだな。
「それじゃあ僕が提示する君への依頼は『戦闘』だ。
君には戦ってもらいたいんだ。魔警校有数の実力者たる君なら、と見込んでね」
「我が力の一端を衆目にさらしたいと?そうやすやすと見せるものでもない故にな。
我が宿敵と同等の相手がいるのならばやぶさかではない」
あ、バカ野郎俺。何請ける前提で話を進めてやがる。そもそも戦うったって殺し合いなんてゴメンだぜ。
…正直このままだと黒太子モードの俺はホイホイついていきかねないな。やむを得ん。
「武想剥離…言っとくけどな、ルール無用の殺し合いなんてのは問答無用でダメだからな」
「あ、解除しちゃうんだ。大丈夫ルールはあるしもし死んでも蘇生する人がいるから」
「…それで殺しを容認できるほど俺は単純にできちゃいねえよ」
「じゃー特別サービス。報酬の一部を前払いするからそれを見て決めてよ。
受けてくれるならさらに見せてあげる」
今の俺にとって喉から手が出るほどに欲しいものだ。
そのために、俺はいくら蘇生ありきとはいえ他人を犠牲にできるのか…?
「……前払いの内容を見てから決める。それでいいなら、考えてやらんでもない」
「うん、烏田君ならそう言ってくれると思った」
投げ渡されたタブレットをキャッチする。
「これ、は…?」
「酔狂で魔人同士を闘わせる饗宴さ」
「それで、お前はこれに出すつもりなのか、俺を」
「うん。ちなみにそれ、公太君の目撃情報もあったよ。
だからこそ、君にも出てほしいわけだけど」
公太が、そんな血なまぐさい戦いに身を投じている…?
嘘だ、だってあいつはこんなダークゲームなんかには縁遠いはずで…
「前情報はここまで。嘘をついてるか自白剤とかで確認してもいいよ」
「大燐、お前、こんな情報を持っててなんで学校側に言わないんだよ」
「当たり前だろ、それで?どうする?」
「…やらねえならどうすんだよ。
俺はあの情報を知っちまったんだぞ」
「え、協力してくれないのかい?」
「なんであれで協力してくれると思った?」
バカなんじゃないのかこいつは。
「でもさ、今学校側も全然動いてない。僕らが動けば公太君に繋がるのかもしれないんだよ?」
「ンなことしててめぇに何の得があるってんだよ」
「僕だって彼のクラスメイトさ。それに、僕も一度は彼とコンビを組みたいんでね。
全く彼といえば君のことばかりだ。…その君の力を借りなければいけないというのは僕としても不服だけど」
そういって手を差し出してきた大燐。
…俺だってヤだよ。
けれどこいつの話にも一理ある。何より、こいつが公太と組みたいのは真実だ。
そんなこいつが俺を排除しようと動くのは悪手としか言えない。
俺はあいつとよく一緒にいたからわかる。
そんな手段じゃ一生公太は靡かないしそもそも拒否するだろう。
差し出された手を握りかえす。
一時的な同盟…とはいえ、俺の心情は少しばかり変わっていた。
「やっぱ、そっちの方がいい。俺は逆に気に入ったぜ、お前のこと」
「どういうことだい?」
「お前が俺を気に入らないって口に出してる時のほうがすっきりするっつってんだよ。
いっつも愛想笑いばっかり浮かべやがって」
そんな俺のセリフが気に入らなかったのか力強く手を握ってくる大燐。
俺も負けじと握り返す。
…しばらくそうやって我慢比べしていたのは割とどうでもいいことだな。
最終更新:2026年04月30日 22:09