夜魔口赤帽&夜魔口砂男幕間その2

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dangerousss3

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≪夜魔口赤帽=アキビンというのが定着しつつあるけど正史があーなったのでとりあえずなんとかしてみよう的なアレ≫

「……いやー、負けちまいましたね」
「じゃな。……あの小娘にしてやられたの」

ザ・キングオブトワイライト選手控え個室の一部屋。
ドアには『夜魔口赤帽様・夜魔口砂男様』と書かれた紙が貼ってある。

一回戦・海水浴場での戦いを終えた二人は、しかるべき治療などを受けた後
この控え室での待機を命じられたのだった。

「……まあ今更どうこう言うてもしゃあない、親父のことは改めて考え直しじゃ。帰るぞ」
「やー、そうもいかないみたいですよ?」

ぴら、と砂男が書類を取り出す。
『ザ・キングオブトワイライト参加契約書』と書かれた紙の束。
この戦いへの参加手続きの際に署名した書類である。

「ここの第9条に『大会参加者は大会全日程が終了する迄、大会参加者として扱われる』って
 書いてあるんスよね。……んで、色々他の項目と突き合わせて見ていったら……
 大会終わるまで帰るな、勝手に外出るなってことみてーです」
「……負けたワシらが何でそんな紙切れに縛られにゃあならんのじゃい。全く」
「まー、多分他の戦いへの下手な介入を防ぐとかの意味もあるんでしょ。
 負けた『元・大会参加者』が、勝った連中に盤面外での干渉をしてきたら
 この手の大会ってーのは茶番になりますしね」
「今更盤面外も何もないと思うがの。現に何人か、キナ臭い奴らもおったしのう」
「ははは、キナ臭いのは俺達もでショ? ヤクザなんだし」

ケラケラと気楽そうに笑う砂男を、赤帽が不機嫌そうに睨む。

「あと、これはまだ噂の段階ですが……
 負けた連中にももうひとチャンスある、とか」
「チャンス……フン。随分ムシのいい話じゃな。
 強者を選ぶトーナメントで負け犬を拾って、なんの益がある」
「ですよねー。万が一そんなムシのいい、あまりにもうさんくさーい話があったとして……
 乗っかるバカがいるわけが」
「アホウ。ヤクザっちゅうのはな、そういうムシのいい話を持ちかけたバカから
 身包み全部ムシリ取るもんじゃい。」
「……でも赤帽サン、その姿で……大丈夫ですか?」

一回戦での激闘において、自ら手首を切っての強制透析、並びに海中の鮫を操る程の大量の血を流した負担は
能力を乱用した『制約』という形で現れ――結果。

赤帽の姿は――『アキビン』と化してしまったのだった。

尤も、同じく制約によって『アキカン』と化した参加者、オーウェン・ハワードと違うのは――
アキビン化が永続的ではない、ということである。
体力・気力・ヤクザエネルギーが十分に回復すれば、やがては元の小人に戻るのだが……
それには少なくとも数週間かかる。酷いときは、一年ほどこの姿のままだったこともある。

ゆえに、この後巻き起こることになる“裏”の戦いにおいて――
彼は、アキビンのまま戦わねばならなくなった。
アキビンの身体には、無機物故のいくつかのメリットもあるのだが――反面、デメリットもある。
一発でも大きなダメージを食らえば割れて死ぬ、というアキビンとしての性質もその一つである。

だが、アキビンとなって尚。赤帽は不敵なヤクザスマイルを浮かべていた。

「アホウ。昔は休む間ァもなくカチコミ繰り返しとったんじゃ。
 この程度でいちいち怯んどったらヤクザなんぞやっとれんわい!
 ……それよりおどれこそ、大丈夫か?」
「……正直、結構シンドイッスよ」

砂男も一回戦において、大きなダメージを受けている。
遠藤によって、身体の大部分を『剥がされ』た上に『殺された』。
幸いにも、試合終了後、タイムリミット前に融合し、戻ることができたものの――
殺された肉体の分だけ、戦闘力は大きく削がれている。
赤帽の『紅い水』を飲むなど、ある程度は回復したものの……それでも、十分ではない。

「まー、出来ればゆっくり寝てたいンすけどね……
 実際のトコロ、そんなチャンスがあるかどうかもわかんねんですし」
「フン。もし向こうにやる気がないなら、やらせるまでじゃ」

ギラリ、とヤクザドスの鯉口を光らせる赤帽。
その姿に、砂男は肩を竦めるしかなかった。



そして、砂男の淡い期待とは裏腹に――“裏”の戦いは行われるのだった。