#01「狂頭の試練場」
数日前、希望崎学園のグラウンドに巨大な穴が現れた。噂に聞くところでは、職員室で携帯電話のゲームに興じていた和戸教頭が、いきなり奇声を発して携帯電話を粉砕し、校庭へと飛びだして行ったという。三〇秒後、そこには巨大な洞穴が突如として出現していたとか。
いったい誰が最初に名づけたものか――いまでは、この洞穴は『狂頭の試練場』と呼ばれ、中には伝説の武器、防具、エロ本などのお宝が、そして最奥部には狂った教頭の預金通帳と判子が眠ると、まことしやかな噂が流れていた。
希望崎の学生たちはお宝目当てに放課後冒険者となりパーティーを組んでダンジョンへと向かったが、彼らの多くは二度と帰ってこなかった。ダンジョンにはいずこかから湧き出した魔物が溢れ、手芸部部員、近所の不審者などが徘徊し、さらには命知らずのコスプレイヤーたちが合わせを行い撮影会などを開いていたためである。
事態を重く見た生徒会長ド正義卓也は、魔人であるあなたにダンジョンの秘密を解明するよう依頼してきた。そう、数多の魔人をカード化して管理し、薄給と引換に奴隷労働を強いる3K召喚能力の使い手であるあなたに……。