物語


――30XX年、世界にはゾンビが溢れ返っていた。

31XX年、世界からゾンビが消えた。

そして32XX年――

かつて栄光を極めていたリボーン社は今では影も形もなく、ゾンビなどはもはやお伽話の領域。
人類は何事も無かったかのように平和に暮らしていた。

しかし、そんな人類を再び「ゾンビ」が襲った。

もはやゾンビと戦う力など備えている筈もなく、為す術もなく蹂躙される人類。
そんな時、桃色の髪を持つ一人の少女が立ち上がる。

「……フン、人類など所詮この程度か。いいだろう、私が手本を見せてやる」

そう強気で乗り出した彼女は、しかしすぐに戦わず周囲を見渡しはじめる。
そして――ゾンビと相対していた“あなた”と目があった。

「人間にしては良い目だな。よし、貴様に決めた」

あなたに近寄ってくる桃色の髪の少女。
眼鏡と白衣が与える知的な印象とは裏腹に、その両手はまるで獣のようだった。

「……人間、私に命令を下せ!」

――人類の、そして“あなた”の運命が今、大きく狂い始めた。
最終更新:2016年06月10日 18:32