――30XX年、世界にはゾンビが溢れ返っていた。
発端は、死者蘇生の研究によって作り出された細菌型生体コンピューター「リボーン」。
人間の実験台第一号である「メイ」は、感染症により余命幾許も無い少女だった。
「リボーン」を埋め込まれた「メイ」の死後、彼女の身体が再び動いた事に全世界が驚愕した。
しかし実際に出来上がったものは、「リボーン」により動物的に動くだけのただの死体だった。
研究は失敗に終わり、「リボーン」は闇に葬られた――かに思えた。
しかし安置所に収められていた「メイ」の体内で、「リボーン」は進化していた。
まず、「リボーン」は「メイ」の身体の組織を栄養とし生きながらえた。
次に、体内に残っていた感染型のウィルスを食らい、成長し、増殖した。
「メイ」――いや、「リボーン」は棺を抜け出し、安置所の他の死体に食らいついた。
死体の肉を食らって自らの栄養とし、更に増殖した。
ウィルスを吸収して得た感染力で、他の死体に侵入して操った。
一晩の内に、安置所の死体20体全てが「動く死体」と化した。
後は――“よくある話”である。
「リボーン」について
幸いにもこの感染型生体コンピュータ「リボーン」には、生きた人間をゾンビに変える力は無い。
ゾンビ映画によくあるような、ゾンビに噛まれた者を感染者呼ばわりして隔離――と言った事も起こらない。
と言うより、この世界の人間は皆、何かしらの形で「リボーン」が身体に入ってきてしまっているのだ。
しかし、「リボーン」が製作された時に用意された「宿主の生体反応が無くなるまで活動しない」
と言うプログラムによって、不幸中の幸いにも、生きたままゾンビ化の恐怖に怯えることは無くなった。
ただしその反面、死んだ者は動く死体となって周りの者を襲う事になる。
おまけに動く死体同士で子作りまで行う。
子供は1日で卵子から胎児にまで成長し、更に2日で赤ん坊として産み落とされ、
そこからたったの4日で大人のゾンビに成長する。 つまり、ゾンビが一週間で生まれてしまうのだ。
この為ゾンビは鼠算式に増え、“世界にゾンビが溢れかえった”のだ。
要するに、あなた達が倒さなければいけないのは、
ゾンビに噛まれて悲劇的にゾンビになってしまった人間たち――ではなく、
ゾンビ同士が子作りして鼠算式に増えた、「ゾンビと言う名の生命体」なのである。
――まあ、たまには元人間も居るが。 元から死んでるからあんまり気にする必要はない。
「GREAT DEAD CAGE」
人間とは力強いと言うか図太いと言うかよくわからないもので、このゾンビを社会現象と捉えた。
そうすると後はよくある事で、金持ちがこれに目を付けて「娯楽」を作り出した。
それが「GREAT DEAD CAGE」――通称GDCである。
(注釈:ファンの間ではGDC派とグレデケ派に分かれているが、ここでは番組公式のGDCを略称とする)
内容は簡単。
ゾンビが大量発生して完全閉鎖されてしまった街に、主催である「リボーン社」が「サバイバー」を送り込む。
その様子を放送して「リボーン社」が資金と寄付を集め、「サバイバー」は救助した人の数に応じて「賞金」を得る。
あなた達プレイヤーは、リボーン社に雇われた「サバイバー」としてこのゲーム――「GDC」に参加するのだ。
賞金目的の者も居れば、少しでも多くの人を助けたいと参加する者、
街中で銃をぶっ放して暴れてみたい者、あるいはもっと他の目的を持つ者――
思惑は様々だが、やるべき事は1つ。
――「邪魔な“さえずる死体”をブッ飛ばせ!」
DEAD TWITTER
最終更新:2016年05月23日 23:00