イベント:彼ヲ我ハ見テイル

――視線。

視線を感じる。

強烈な、艶めかしい、冷たい、優しい、
包み込むような、甘い、恐ろしい、温かい。

たくさんの視線を感じるが、気配自体は一人のものだ。
あなたは一瞬固まった後、まるで無理やり向かされるようにして振り返る。

「……ああ、失礼いたしました」

振り返った先に居たのは、ネズミのようなシルエットの女性だった。
長い尻尾と大きな耳が生えているが、耳のほうは中が鏡になっている。
自分の姿が写って、少しだけ気味が悪い。

「私、彼我見テイル(かがみている)と申します。
 事情がありまして、少々観察させて頂いておりました」

テイルと名乗った女性は、営業スマイルで、営業口調でそう告げる。

「もう少し“観察”させて頂きますので、
 どうか暫くの間私の事は居ないものと思ってくださいね」

しれっと言ってのけるが、要は勝手に付いて来ると言うことか。
崩れることの無い笑顔からは、その真意を推察する事もできない。

その笑顔の奥に何が潜むのか、あなたが知る事になるのはもう少し後の話――


「……あなたが……かどうか、見定めないと……」


以後、メイデン:☆☆☆彼我見テイルがあなたを“観察”する。
事実上の仲間として戦闘にも参加してくれるだろう。
最終更新:2016年06月21日 05:37