「……あの」
夜。
寝室へ向かうあなたは、突然テイルに呼び止められる。
「すみません……◯◯さん。
少し、お話……よろしいでしょうか」
その姿はどこか自信なさげで、控えめで。
まるで、出会った当初のテイルのようだった。
「実は……今まで、黙っていたことがあるんです。
……どうしても、言い出せなくて。でも、逃げちゃいけないって思って……」
あなたは、テイルの話を聞く。
テイルに、“隠していた事”を告げられる。
テイルは元々は別の世界の住人だが、この世界ではクローン体のような形で「生成」された事。
記憶が殆ど存在せず、ただただ自分の「執着」相手を求めるようになっている事。
期限が来るまでに、執着相手に自分の「全て」を受け入れて貰わないといけない事。
そしてその「期限」がもうすぐそこに迫っているということ。
愛が成就しなければ、全て「消去」され最初にこの世界へ来た状態に戻る事。
彼女の真剣な眼差しに、嘘偽りは一切無かった。
いや、今まで彼女と絆を深めてきたあなたなら、
彼女が嘘であなたの気を引こうなんてしない事ぐらい理解していた。
迷うあなたに、テイルは2つ付け加えた。
1つは、受け入れてくれるなら自分だけを見ていて欲しいと言う事。
もう1つは、不誠実な事をされるぐらいなら一度消去され、新たな執着相手を見つけさせて欲しいと言う事。
あなたは――
最終更新:2016年07月07日 21:35