「……おい、どこ見て歩いてんだ」
あなたは今、一人の少女を目の前に死の予感に襲われていた。
目の前の少女は、まだ若い、いや、幼いと言ってしまえる程の見た目をしている。
が、その佇まいや眼光、更に言うならオーラのようなものから漂うのは、
触れてはいけない、踏み込んではいけないような危険な香り。
事実あなたが目の前の少女に抱いた第一印象は、“気に入らなければ躊躇無く相手の頭を撃ち抜きそう”と言うものだった。
「チッ、珍しいな。私が誰かにぶつかるとは……
……なんでもない。喧嘩売りに来た訳じゃないならさっさと行け」
気まぐれを起こしたのか、それともあなたが抱いているイメージほど危険な人物ではないのか、
少女はそう言って道を譲る――
「……いや、待て。」
――かと思いきや、あなたの手をつかんで止める。
その直後。巨大なトラックが、あなたが向かおうとしていた場所に突っ込んで来た。
爆発。轟音。だが、“運よく”あなた達に被害は無かった。
当然、目の前の少女も。
「引き止めて悪かったな。」
驚くあなたを尻目に、少女は平然とした様子でそう言った。
悪かった、どころか、あのまま進んでいればあなたの命は無かったかもしれないし、
少し場所がずれていれば自分自身も危なかったというのに。
「……悪かった、のついでだ。
少しの間、お前らに同行させろ……いや、付いて行かせてくれ」
何の突拍子もなく、彼女はまるで“そちらの方が良い事が起こると見越した選択をしたかのように”あなたに告げる。
「私はマリア……口が悪いのは育ちが悪いからだ。
お前に付いて行く間はできる限り気をつける……
戦力にはなってやる。だから何も聞かずに連れて行ってくれ」
一応命を救われた手前、むげに断る事はできなかった。
果たして彼女は、一体どんな思惑で“選択”したのだろうか――
最終更新:2016年07月23日 14:11