「で、電気が……!」
「真っ暗よ、何も見えないわ!」
「もうおしまいだー!」
深夜、拠点に人々の悲鳴が響く。
あまりの騒動に飛び起きるあなた達だったが、周囲は真っ暗。
どうやら、街中の明かりが切れてしまったようだった。
この拠点は平地にあり敵襲も多い。
夜の間、協力な光で周囲を照射する事により
ゾンビたちの侵攻を阻害し、見張りからの狙撃で食い止めていた。
その明かりが無くなった、ということはつまり、希望の灯火が消えたの等しい。
迫り来る絶望に人々が混乱しての大騒ぎ。
しかし、そんな時だった。
「ボクに任せて!」
星も月もでない暗闇の中、地上の一番星が名乗りを上げる。
自分の事をボク、と言っているが、声質からは少女である事が伺える。
「さーて、ここ……かなっ!」
直後。
バチバチと言う激しい音と共に、拠点中の電気が再び灯る。
「おお、凄ぇ!」
「電気が戻った……!」
かくして明かりを取り戻した拠点は、無事にゾンビを退けた。
拠点の住民達は雷光花と名乗った電撃使いのメイデンを祀り上げる。
雷光花は拠点に受け入れられ、騒動は平和に解決――
――する事は無かった。
今、あなた達は雷光花と共に拠点の外に居る。
雷光花の身体には、無理矢理に取り付けられたコードがいくつか残っていた。
あの後何が起こったかは言うまでもない。あなた達は彼女と共に逃げて来たのだ。
「……ごめんね、巻き込んじゃって」
雷光花は微笑みながら言うが、その表情は暗かった。
少なくとも、ここに置いていく訳にはいかないだろう。
最終更新:2016年07月25日 21:49