→両方欲しいと言ってみる
「……。」
スプリング・デイはその返事を聞くと飲み物を一旦白衣のポケットに入れ、両手の平の肉球であなたの頬を挟む。
「……いいか? 二兎追うものは一兎をも得ず……と言う言葉がある。
強気の選択をできるのは嫌いじゃないが、この状況で欲張ると死につながる事もあるんだ」
二足歩行しかしない彼女の手――もしかしたら前足と呼ぶのが適切かもしれない――の肉球の、
あなたの頬に吸い付くような柔らかさに、彼女の小言も話半分しか入ってこない。
押し付けられる肉球をどうにかしようと彼女の獣の手に触れるなら、
あなたはその手の毛並みが整えられており、犬のようにふかふかしている事に気付くかもしれない。
「そういうわけで、今回はどっちもなしだ。」
スプリング・デイはそう言いながらあなたの頬から手を離し、鋭い爪で器用にビンの蓋を開けてコーラを飲み始める。
懐に仕舞われたスタミナドリンクをあなたに渡す素振りも結局なかった。
【スプリング・デイのHPを3回復】
最終更新:2016年05月28日 05:31