「デジモンプレセデント」
- 作者:快晴
- 連載時期:2019年10月30日~2020年2月6日(完結)
作品リンク
編集中
概要
快晴氏の創作サロン処女作。
「デジモンアドベンチャー」及び同「02」と同一世界(※微妙に異なるとも)の二十数年後を舞台とした作品。その為、一部の描写で我々の知っている彼らの名前がチラリと登場したり、アニメ劇中で描かれた事件や出来事が関わってきたりと、不意打ちでニヤリとさせられることも多々。
「デジモンアドベンチャー」及び同「02」と同一世界(※微妙に異なるとも)の二十数年後を舞台とした作品。その為、一部の描写で我々の知っている彼らの名前がチラリと登場したり、アニメ劇中で描かれた事件や出来事が関わってきたりと、不意打ちでニヤリとさせられることも多々。
特徴は何と言っても「デジアド」「02」で共に大ボスの一人として登場・復活したヴァンデモンという種族に焦点を当てた物語構成であろう。「02」の最終決戦後、即ちベリアルヴァンデモンが倒された後の世界は全ての人間にパートナーデジモンがいる未来へと繋がっていくが、その途上でヴァンデモンという種族自体が邪悪な存在として扱われる世界、その中であろうことかヴァンデモンをパートナーとする女性の視点を中心に物語は展開されていく。
ウィルス種=敵とされる「デジモンアドベンチャー」世界へのアンチテーゼであり、同時にモブの言動すら含めて強烈に心を抉ってくる展開の連続で息苦しさを覚える中、彼らはウィルス種だろうと心根は「デジアド」のデジモン達と同様に優しくパートナーを思い遣る心を持っている。この緩急こそが妙であり、また作品としての救いでもある。少し落ち着いたらまた新たな息苦しい展開が待っているので油断はできないが。
ウィルス種=敵とされる「デジモンアドベンチャー」世界へのアンチテーゼであり、同時にモブの言動すら含めて強烈に心を抉ってくる展開の連続で息苦しさを覚える中、彼らはウィルス種だろうと心根は「デジアド」のデジモン達と同様に優しくパートナーを思い遣る心を持っている。この緩急こそが妙であり、また作品としての救いでもある。少し落ち着いたらまた新たな息苦しい展開が待っているので油断はできないが。
また「デジアド」世界に十闘士とハイブリッド体の設定を導入していることも特徴的で、パートナーデジモンの存在する世界の中で「人間がデジモンに進化する」ことの脅威がしっかりと描かれている。十闘士は明確な設定が定まり切っていない関係上、創作内では数多のアレンジが加えられる勢力であるが、原典の設定を活かしつつ上手く「デジアド」世界及び本作独自の要素としてブラッシュアップされている印象。
そんな彼らの中心となる“アイツ”は、老獪さと剽軽さを兼ね備えたある種のトリックスター的な要素も持っている。
そんな彼らの中心となる“アイツ”は、老獪さと剽軽さを兼ね備えたある種のトリックスター的な要素も持っている。
作品として中編程度の長さ(20話強)で纏まっており、非常に読みやすいので是非一読をお勧めしたい。
あらすじ
かつて選ばれし子供達によって世界の『闇』──ベリアルヴァンデモンが打ち倒されて二十年あまり。
全ての人間にパートナーデジモンが現れるようになって尚、未だ人類がデジモンを受け入れ切れていない時代。
全ての人間にパートナーデジモンが現れるようになって尚、未だ人類がデジモンを受け入れ切れていない時代。
そんな世界の中で。
これは、爪弾きにされてきた女性とそのパートナーが『前例』になるための物語。
これは、一人の研究者が残した『前例』への可能性を弄ぶ者たちに復讐する女の物語。
これは、今まで『前例』の無いデジモンアイドルが誕生する、彼と彼女のシンデレラストーリー。
これは、爪弾きにされてきた女性とそのパートナーが『前例』になるための物語。
これは、一人の研究者が残した『前例』への可能性を弄ぶ者たちに復讐する女の物語。
これは、今まで『前例』の無いデジモンアイドルが誕生する、彼と彼女のシンデレラストーリー。
そして。
これは、あるデジモンの勝手で『前例』になることを宿命づけられた少女が、止まり木を見つけるまでの物語である。
これは、あるデジモンの勝手で『前例』になることを宿命づけられた少女が、止まり木を見つけるまでの物語である。
舞台
「デジモンアドベンチャー」「デジモンアドベンチャー02」と同一世界で、作中年代は執筆時期と同時代と推察される。
完全に同一世界ではないという話もあるが、1999年にヴァンデモンがお台場を蹂躙し、その三年後にベリアルヴァンデモンが出現した世界ということは確定。
完全に同一世界ではないという話もあるが、1999年にヴァンデモンがお台場を蹂躙し、その三年後にベリアルヴァンデモンが出現した世界ということは確定。
登場人物
- タジマ リューカ
22歳。本作の主人公その1。……22歳!?
パートナーがピコデビモン、また進化先がヴァンデモンということで「デジモンアドベンチャー」世界の闇を背負わされた女性。そのような理由から就職活動に苦戦する中、カンナ博士と出会ったことで運命が動き出す。とにかく苦しめられたり泣きそうになっている印象が強く可哀想だが、これはそんな彼女が自分とパートナーを共に肯定できるようになっていく物語である。
穏やかで大人しく根は間違いなく善良だが、過去の境遇からどこか自罰的かつ自嘲的な言動が多い。
パートナーがピコデビモン、また進化先がヴァンデモンということで「デジモンアドベンチャー」世界の闇を背負わされた女性。そのような理由から就職活動に苦戦する中、カンナ博士と出会ったことで運命が動き出す。とにかく苦しめられたり泣きそうになっている印象が強く可哀想だが、これはそんな彼女が自分とパートナーを共に肯定できるようになっていく物語である。
穏やかで大人しく根は間違いなく善良だが、過去の境遇からどこか自罰的かつ自嘲的な言動が多い。
- ピコちゃん(ピコデビモン)
リューカのパートナーで成長期。彼(彼女?)が種族として暗黒系であり、更には進化系が作中世界で忌み嫌われるヴァンデモンであったことが本作の全ての始まりであったが、本人の性根は至って善良で迫害される謂れなど無い為、善良な彼がそれを気に病み、リューカと共に苦しめられるサマが本作のハイライトとして息苦しさを提供する。こと戦いにおいても苦境を強いられることが多く、基本的に不利な状況で戦わされているような。
「デジアド」において進化や成長はデジモン側が人間側を肯定することによるものだったが、彼女達は迫害されるべきピコデビモンをリューカだけは肯定するという色が強い。
「デジアド」において進化や成長はデジモン側が人間側を肯定することによるものだったが、彼女達は迫害されるべきピコデビモンをリューカだけは肯定するという色が強い。
- ウンノ カンナ
31歳。本作の主人公その2。通称カンナ博士。
デジモン研究の第一人者で、本人の言うところの『前例進化論』を主要な研究テーマとしている。大学卒業直前のリューカを助手として雇ってくれたこともあり、リューカには“姉”もしくは“母”や“家族”のような立場で接しつつ、例に漏れず彼女もまた仄暗い復讐心を抱えており、作中では登場時点でかなり精神が不安定な状況にある。
ド派手なピンク髪が特徴(元々は普通の髪色だったらしいが)で下記のウンコスカモンさんといい、太刀川ミミのオマージュ要素が多分に見える。
デジモン研究の第一人者で、本人の言うところの『前例進化論』を主要な研究テーマとしている。大学卒業直前のリューカを助手として雇ってくれたこともあり、リューカには“姉”もしくは“母”や“家族”のような立場で接しつつ、例に漏れず彼女もまた仄暗い復讐心を抱えており、作中では登場時点でかなり精神が不安定な状況にある。
ド派手なピンク髪が特徴(元々は普通の髪色だったらしいが)で下記の
- スカちゃん(スカモン)
口調も性格も乙女だがウンコ。彼女がいるだけで戦闘においては負けないだろって安心感が凄い。そういった面も含め、精神的に不安定であったり危なっかしい人物の多い作中では最も成熟している存在と呼べるかもしれない。進化先がアイツであることから戦闘力的にも最も頼もしい存在だが、更に──?
- カガ ソーヤ
本作の主人公その3。俺達のP。
通称カジカP。音楽関係者の中ではそれなりに名の知られた、生き様から何から何まで全てがカッコ良過ぎる男。自分の夢や欲望に正直でハッキリと口にしつつ、一方で自分にできないことや自分の弱さを苦しみながらも認められることはそれだけでカッコいいのだと教えてくれる。パートナーのオタマモンと共に他の誰にもできない物語上の役割を持ち、戦って勝つことだけがデジモンじゃないぜ!
通称カジカP。音楽関係者の中ではそれなりに名の知られた、生き様から何から何まで全てがカッコ良過ぎる男。自分の夢や欲望に正直でハッキリと口にしつつ、一方で自分にできないことや自分の弱さを苦しみながらも認められることはそれだけでカッコいいのだと教えてくれる。パートナーのオタマモンと共に他の誰にもできない物語上の役割を持ち、戦って勝つことだけがデジモンじゃないぜ!
- オタマモン
俺のミューズ、いや俺達の女神(ミューズ)。
水のスピリットを手に入れたことで作中の騒動に巻き込まれていく。進化先はゲコモン、スピリットを用いてラーナモンもしくはカルマーラモンと決して戦闘に向いた種族ではないが、カガPと共に強さだけが全てではないと教えてくれる縁の下の力持ち。
本作のパートナーデジモンは理解者の域を超えて、伴侶というか嫁の域に達している存在が多いが、その中でも特に嫁感にあふれた存在。カジカPにとって良き理解者であり良き相棒であり良き伴侶。
水のスピリットを手に入れたことで作中の騒動に巻き込まれていく。進化先はゲコモン、スピリットを用いてラーナモンもしくはカルマーラモンと決して戦闘に向いた種族ではないが、カガPと共に強さだけが全てではないと教えてくれる縁の下の力持ち。
本作のパートナーデジモンは理解者の域を超えて、伴侶というか嫁の域に達している存在が多いが、その中でも特に嫁感にあふれた存在。カジカPにとって良き理解者であり良き相棒であり良き伴侶。
- キョウヤマ コウキ
??歳。ワタクシ。メルキューレモンの姿で現れる真の主役。
本作のある意味で象徴であり、人間ではなく十闘士の器と自らを定義しているが、他の登場人物に負けず劣らず悩み迷い苦しみ時には間違ってそれでも自らの道を選び取っていく。エンシェントワイズモンとメルキューレモンが別存在であることに明確な意味を持たせつつ、その関係を父と子(※歪んでいるが)として父からの脱却も描かれていく。終盤の決意と選択は本作最大の名場面の一つ。シスコンではない、と思う。
作中ではダジャレで済まされていたが、鋼の後継機(コウケイキ)だからコウキなのだろうか。
本作のある意味で象徴であり、人間ではなく十闘士の器と自らを定義しているが、他の登場人物に負けず劣らず悩み迷い苦しみ時には間違ってそれでも自らの道を選び取っていく。エンシェントワイズモンとメルキューレモンが別存在であることに明確な意味を持たせつつ、その関係を父と子(※歪んでいるが)として父からの脱却も描かれていく。終盤の決意と選択は本作最大の名場面の一つ。
作中ではダジャレで済まされていたが、鋼の後継機(コウケイキ)だからコウキなのだろうか。
- キョウヤマ ハリ
コウキの“妹”として現れた少女。光もしくは闇のスピリットを用いる。
序盤にいきなり強敵として登場、と見せかけて──? 感情表現に乏しいように見えるが決して無機質な存在ではなく、むしろカジカPの音楽に興味を示したりファッションに挑戦してみたりと、意図的に封じ込めているだけでむしろ感情の機微には富んでいる。コウキのことはマスターと呼んで従順に従うがブラコンではない、と思う。
コウキ曰く本作は「少女が止まり木を見つけるまでの物語」なので、実質的に本作のヒロイン。そしてやっぱりシスコンなのではマスター、唯一「自分ではなく妹の物語」だと最初から断言してるし。
序盤にいきなり強敵として登場、と見せかけて──? 感情表現に乏しいように見えるが決して無機質な存在ではなく、むしろカジカPの音楽に興味を示したりファッションに挑戦してみたりと、意図的に封じ込めているだけでむしろ感情の機微には富んでいる。コウキのことはマスターと呼んで従順に従う
コウキ曰く本作は「少女が止まり木を見つけるまでの物語」なので、実質的に本作のヒロイン。