(嵐の豪邸殺人事件1)

「ねえ式、クリスティア・トレイシー・阿笠さんを知ってる? 良くこの学校の事件を解決してる」
「知っている。彼女は昔から有名だった。話せば長くなるけどどうする?」
「聞きたいわ、聞かせて」
「わかった。これはある嵐の夜の日だった───」

◆◆◆

 クリスティア・トレイシー・阿笠の名前は昔から有名だった。彼女の周りでは常に事件が起き、彼女はそれをすべて解決に導くが、人が死ぬことも多かったから。そしてこれは私が啓子を護衛し始める前の話。突然に嵐の夜の豪邸で死体が発生することから始まる。

「雨が強くなって来たね式君、これは今日中に帰ることは難しいかな?」
「そうですね。ここで一泊してから朝に帰る方がよろしいかと。それよりあのクリスティア・トレイシー・阿笠がパーティーに来ています。決してクリスティアさんから離れず。私からも離れないでください」
「うむ、君ほどの人間がそういうのならそうしよう」

 クリスティアに関して確度の高い情報がひとつある。それはクリスティアの周りで事件は起こるが、クリスティアから離れない限りはほとんど死なないということ。探偵の目の前で白昼堂々事件を起こす犯人はほとんどいないために最初の一人になりさえしなければ、周りの状況に目を配っていれば、死ぬことはないと言われていた。

「あら、ごきげんよう式さん。お久しぶりですわね。あの事件以来かしら? 送った紅茶は飲んでいただけました?」
「クリスティアさんこんばんは。その節はありがとうございました。紅茶も今までに飲んだ中でも香り高く上品で、また飲みたくなるような味でした。すいません、こちらはクリスティア・トレイシー・阿笠さん。探偵の方です」
「私は山本海だ。貿易会社を経営している。クリスティアさんとお呼びすれば良いのかな?」
「はい、好きなように呼んでいただければ。探偵業の依頼もお待ちしておりますわ」
「はは、クリスティアさんに依頼するような難事件があればこちらから依頼しよう。そういえばあの事件とはなんだね。話を聞かせてもらえないか? 式はそういうことをあまり話してくれないのでね」
「わかりましたわ。山本様を満足させられるかはわかりませんけれど···あの事件についてお話「キャアアアー!!」

 その瞬間女性の悲鳴が響き渡った。え、あの事件の話? それはこの話が終わってからまだ時間があれば。とにかくここで人が死んで事件が始まったんだ。
最終更新:2018年08月14日 09:58