「追われているのですか?」

廊下を走っている私に声をかけてきたのは、軽くウエーブのかかった金髪、インバネスコートに鹿撃ち帽という古典的な探偵スタイルの女の子。
クリスティア・トレイシー・阿笠さんだ。
ドッと冷たい汗が出る。
イリーナいわく、クリスちゃんに事件が起きてると思わせると、それはそれは大変なことになるらしい。
この学園で平和に生きていくのは難しいことなのだ。

なんでもないよ! ちょっと急いでるだけ!

「そうですか……あんまり必死なので、てっきり殺人鬼が徘徊しているのかと」

ないない! そんなことない! ああ、早く行かないとイリーナに怒られちゃうよう……。

「まあ、それは大変。引き留めてしまってごめんなさい」

優雅に頭を下げるクリスさんの後ろに魔法ステッキが光るのが見えた。
こんなところにいられるか、私はラボに帰る!
…………あっ。


最終更新:2018年08月14日 12:01