そういえば式は敬語なのね。啓子が使うなと言っているだけでいつも敬語を使っている。他にも敬語を使わないことはあったけれど、それは珍しいね。

◆◆◆

「皆さん動かないで!!」

クリスティアの声が響いた。彼女はいつも事件に遭っているからかそうした対応が早いんだ。

「な、なんだ?」「今悲鳴が聞こえたが···」「ヒィ、ヒィ〜〜!? 死んでる!?」
「静かにして、落ち着いて下さいまし。私は探偵のクリスティア・トレイシー・阿笠と申します。私が居ればこの程度の事件、たちどころに解き明かして見せましょう」
「クリスティア・トレイシー・阿笠!? あの!?」
「では、そこからお離れになって、私を通して下さいな」

こうして彼女は悲鳴を上げて倒れた人物の所へ行き息絶えていることを確認し、こう言った。 

「さて、申し訳ありませんが皆様はもうしばらくそこでじっとしていて下さりませんこと? そうすることが皆様の潔白を証明致しますわ」
「知るか俺は帰らせてもらう! こんな物騒なところに居られるかよ!!」
「あら、そうなさるのは御勝手ですが···」

「式くん、ここはじっとして置いた方が良いのか? 殺人を犯す人間が居るようだが部屋に戻る方が良いのではないかね?」
「いえ、ここはあのクリスティアさんのそれも出来る限りそばに居る方が安全と言えるでしょう。あの帰る人物をよく見ていて下さい」

話は佳境に入っていた。

「───知るもんかよ! 俺は帰らせてもらう! 開けゲート!」
「本当にお帰りになるのですか? 危険ですのに······」
「へっ、なら一生そうしてればいいさ、これで俺はおさらばだ」

そうして男はゲートに入り······そして変わり果てた姿でその場に出現した。そう、これがクリスティアに関して予測されている魔人能力の一つ、なんらかの事件の際にクリスティアから離れると死亡する。というものだ。
最終更新:2018年08月18日 15:28