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第3話 前編
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ストーリー
| ――光文明の神殿 | |
| 床には砕けた鎧と鉱石が散り 青い炎が静かに燃えている | |
| 壁際に並べられた魔導具が 神殿の中央へ力を送り続ける | |
| 魔導具から伸びる力は 床の巨大な術式へ集まり | |
| 回転する光の輪となって ノインの足元を囲んでいた | |
| 神殿へ踏み込んだ二人を見て ガ・リュミーズが目を細める | |
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クク……来たか |
| ガ・リュミーズ | |
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留まるべき時を失い 死ぬことさえ許されぬと 教えてやったはずだ |
| ガ・リュミーズ | |
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力を失った残滓と 壊れかけの出来損ないが |
| ガ・リュミーズ | |
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それでも自ら死地へ踏み込むとは 期待を裏切らぬ愚かさだ |
| ガ・リュミーズ | |
| 言葉とは裏腹に 女は二人の到着を 楽しんでいるように笑う | |
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既に見たはずだ |
| ガ・リュミーズ | |
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時の理が崩壊し 様々な事象が混ざり込み 都市が破滅してゆくのを |
| ガ・リュミーズ | |
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あの程度 私にとっては造作もないことだ |
| ガ・リュミーズ | |
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時を蹂躙し、弄び 破滅へと導く |
| ガ・リュミーズ | |
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これこそが お前にもできない破壊だ |
| ガ・リュミーズ | |
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ほざけ 弄ぶために力で戯れるものに 破滅を説かれる道理はない |
| デ・スザーク | |
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ふっ、その言葉こそ 人間の尺度へ堕ちた証だ |
| ガ・リュミーズ | |
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ノイン! 俺だ、わかるか? |
| アハト | |
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アハト……? |
| ノイン | |
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凄く、大人になったね? |
| ノイン | |
| 声の調子だけは 昔と何も変わっていない | |
| アハトの拳から 一瞬だけ力が抜ける | |
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ノイン 何で、こんなことをした |
| アハト | |
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私達は実験材料にされて 闇文明の命令に従わされて 道具みたいに使われた |
| ノイン | |
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闘うために育てられて 役に立つかどうかだけを見られた |
| ノイン | |
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死ねば、また別の人間を育てる そう言われた |
| ノイン | |
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私だけじゃない |
| ノイン | |
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アハトも 一緒にいた子達も、みんなだよ |
| ノイン | |
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だから、全部終わらせる |
| ノイン | |
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だからって 俺達がいた場所まで焼いたのか |
| アハト | |
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あそこに残っていたのは 私達を戦わせ 身体を作り変えた設備だよ |
| ノイン | |
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残せば、クリーチャー達は また別の人間へ同じことをする |
| ノイン | |
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あそこには 俺達がいたんだぞ |
| アハト | |
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私達もまた 利用されるかもしれない |
| ノイン | |
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……違う お前は、ノインじゃない |
| アハト | |
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決めたのは、私だよ |
| ノイン | |
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ハッハハハハハ! 聞いたか!? |
| ガ・リュミーズ | |
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どうだ、この娘は 我ら好みに育っているだろう? |
| ガ・リュミーズ | |
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冷酷で、非情で……従順 理想の選ばれし者だ |
| ガ・リュミーズ | |
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……………… |
| デ・スザーク | |
| 自分で決めたことは曲げない この身勝手さは確かにノインだった | |
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(……これが ノインの望みなのか?) |
| デ・スザーク | |
| このまま自分が消えたとしても 破壊の化身は残る | |
| ノインは力を振るい 世界は闇で覆われるだろう | |
| かつてノインが望んだものは 形を変えて果たされる 何の不足がある | |
| デ・スザークの翼が 一瞬、輪郭を失う | |
| 透けた翼の向こうで ガ・リュミーズの青い炎が揺れていた | |
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……まさか |
| デ・スザーク | |
| 私は、自分が消えることを 恐れているだけなのか | |
| 不死の炎である自分が 死を恐れているとでもいうのか | |
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馬鹿な…… |
| デ・スザーク | |
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そんなはずがあるものか |
| デ・スザーク | |
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クク…… |
| ガ・リュミーズ | |
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よもや、答えを返せぬほど 心を折ってしまったか? |
| ガ・リュミーズ | |
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おい、魔凰! 力を貸せ! |
| アハト | |
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俺が、ノインを倒す |
| アハト | |
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壊れかけた出来損ないが 何を証明するつもりだ |
| ガ・リュミーズ | |
| アハトの指が 胸元の古い傷へ触れる | |
| 施設に残された幼い自分と 英雄になると言い張った声 | |
| そして、ノインへ届かなかった 傷だらけの未来の自分が 傷の痛みと共に重なる | |
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結局選ばれたのはノインだった だが……そのノインを倒せば 俺の方がふさわしい、そう思わないか |
| アハト | |
| アハトは胸元の傷へ 指を差し入れる | |
| 指の隙間から闇が溢れ 震えていた手を黒く覆う | |
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俺の中にある闇の方が ノインより上だって力で証明してやる |
| アハト | |
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はぁ……つまらん |
| ガ・リュミーズ | |
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お前など興味はない |
| ガ・リュミーズ | |
| その一言で アハトの胸の傷が強く脈打つ | |
| 神殿の入口で拒まれた声と 今、自分を見ない女の横顔が重なる | |
| アハトは傷へ入れた指を深く沈め 胸から黒い魔力を むりやり引きずり出す | |
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お前など 相手をする価値もない |
| ガ・リュミーズ |
| ガ・リュミーズが腕を払うと 神殿の空間へ亀裂が走り その向こうから子ども達が現れる | |
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こいつらは……! |
| アハト | |
| かつて施設で ノインやアハトと共に育てられた 実験体達 | |
| 見覚えのある顔が 一人、また一人と立ち上がる | |
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救うか? それとも、己が最も優れていると 証明するか? |
| ガ・リュミーズ | |
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証明するならやってみるがいい 『ノインと同じように』 |
| ガ・リュミーズ | |
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……どけ!! |
| アハト | |
| アハトは子ども達へ 正面からクリーチャーを差し向ける |
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ノイン あれらは、お前の選んだ破壊を 邪魔するつもりらしい |
| ガ・リュミーズ | |
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どうする? |
| ガ・リュミーズ | |
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邪魔をするなら……消す これは私が選んだこと |
| ノイン | |
| ノインの胸元で 無月の門の欠片が黒く輝く | |
| 闇が巨大な刃となり デ・スザークへ振り下ろされる | |
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――! |
| デ・スザーク | |
| 刃が触れれば 今度こそデ・スザークは完全に消える | |
| その直前、ノインの影から 黒い貴婦人が這い出るように現れ―― | |
| 闇の刃を受け止める | |
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何で、私の力が…… |
| ノイン | |
| ノインはもう一度 闇を刃へ集めようとする | |
| だが、影から現れた貴婦人が 小鳥の前へ出た | |
| ノインへ振り返ることもなく 焼けた両腕を広げ デ・スザークの前に立つ | |
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……ほう |
| ガ・リュミーズ | |
| ガ・リュミーズは ノインではなく貴婦人を見る | |
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お前は……奇妙な奴だな 我らに歯向かうというのか |
| ガ・リュミーズ | |
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知ってか知らずか 面倒なクリーチャーを 呼び出したようだな |
| デ・スザーク | |
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良い、力を貸せ ノインを取り戻すぞ |
| デ・スザーク | |
| 黒い貴婦人は無言で頷く | |
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待て!! |
| アハト | |
| 子ども達を押し退け アハトが戦場へ戻る | |
| 傷から溢れた闇で 足元の術式を踏み割り | |
| ノインとガ・リュミーズの 両方へ刃を向ける | |
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ノインを倒すのは、俺だ……! |
| アハト | |
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ああ、まったくうるさい…… 加減は難しいというのに 思うようにいかぬものだ |
| ガ・リュミーズ | |
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お前達には、まだ利用価値がある 簡単に消滅してくれるなよ? |
| ガ・リュミーズ | |
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邪魔するなら 全員倒す…… |
| ノイン | |
| ノインの足元から闇が走り 三人の立つ床を引き裂く | |
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――いいや、私は迷わん |
| デ・スザーク | |
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ノインを取り戻し、本人の意思を 確認するまでは お前の戯言は信じぬ!! |
| デ・スザーク | |
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では奪ってみせろ |
| ガ・リュミーズ | |
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この人間が貴様を選ぶと まだ信じられるのならな |
| ガ・リュミーズ |
















