Dolphinの設定

Dolphinの初期設定は一般用途向けになっており、TAS制作には不適切なため、チューンし直す必要があります。
なお、ここに書いてある設定はあくまで多くのタイトルで問題なくTASを制作できる標準的なTAS用設定です。タイトルによってはこの設定が適さない場合があることを留意ください。

使用するDolphinのバージョン(推奨)

  • Dolphin 5.0開発版(5.0-114以降)
  • Dolphin 5.0
  • Dolphin4.0-3595

基本的に5.0開発版を利用することをお勧めします。
特別な事情のない限り、4.0系統のDolphinは利用しないでください。また、利用する場合も4.0-3595以降のビルドを利用してください。 

Dolphin本体設定

※スクリーンショットはすべてDolphin5.0のものです。なお、独自にUIを再翻訳したリソースを配布しています。こちらより入手できます。

  • [一般]タブ

□ デュアルコア動作有効
デュアルコア動作を有効にした状態で制作したTASはDesyncします。必ずオフに。

■ アイドルスキップ処理有効
アイドルスキップ処理はTAS Videosではオフが推奨されているが、実際には問題ない場合が殆ど。処理タイミングのシビアな一部のタイトルでDesyncが激しい場合はオフにするとよい。
最近の(時期調査中)5.0開発版ではこの設定は削除されています。

□ チートコード有効
チーTASを作る場合はチェックを入れないとチートを利用できない。

☑ コンソールを日本向けに設定
国内版タイトルでTASを作る場合、この設定になっていなければ起動できないタイトルが少数存在します
海外版でTASを制作する場合、この設定は不要なのでオフにすること。

  • [サウンド]タブ

オーディオエミュレーション方式はHLEで基本的に問題ない。ノイズや再生に著しい問題がある場合はLLEにするとよい。

  • [ゲームキューブ]タブ

システムの言語
日本語設定はないので英語でよい。海外版のTASを作る場合は正しいリージョンにセットすること

☑ NTSCタイトルの言語設定をオーバーライドする
国内版GCタイトルでTASを作る場合は必ずチェックを入れること。言語設定の不一致は思わぬバグの原因になりうる。

言語設定の不一致による不具合の例
ペーパーマリオRPG:タイトル画面で"No Messages."と表示されゲームが開始できない。

その他多数タイトルで大小さまざまな問題あり。

デバイス設定
メモリーカードや拡張ハードウェアを利用する場合、正しい仮想ハードウェアを接続すること。メモリーカードのセーブデータファイルも正しいものを指定すること。

  • [Wii]タブ

□ スクリーンセーバーを使用する
いらない。

□ PAL60モードを使用する
国内版で制作する場合は不要。欧州版などPAL版で制作する場合のみチェックを入れる。(国内版および北米版はNTSC信号方式のため不要)

アスペクト比
実機の画面比率に対応する。通常16:9を指定したのでよい。

システムの言語
WiiメニューなどWiiのシステム全体の言語設定。TASを制作するタイトルのリージョンにあわせること。不適切な言語設定の場合、起動できない(もしくはフリーズする)タイトルが存在する

星のカービィWii:フリーズする場面が出てくるほか、文字が「?」と表示される。

デバイス設定
外部メモリを使用する場合、仮想SDカードなどのエミュレーションが必要になるため正しく設定すること。

  • [フォルダ]タブ

デフォルトISO
いわゆるWii実機のドライブに入っているディスクを指定する。Wiiメニューのディスクドライブチャンネルからこのタイトルを起動できるようになる。

Wii NANDルート
Wii実機から吸い出して展開したNANDメモリ(512MB)のルートディレクトリを指定する。適切なNANDダンプを指定できていれば、Dolphin上でWiiメニューを使用できるようになる。
注意:NANDやそこに保存されているチャンネルやセーブデータの存在によるTAS関連機能の不具合が確認されているため、通常、利用しないほうがよい

ダンプ先フォルダ
Dolphin5.0-112以降の版のみ存在する。録画・録音の出力先フォルダを自由に設定できる。なお、パスに2バイト文字が含まれていると保存に失敗するため、必ずパスは半角英数字のみとすること

  • [高度な設定]タブ

□ オーバークロック
絶対に使用しないこと。実機より処理速度高めたらもはやTASの意義ないですよ?

■ カスタムRTC時計を使用する (Dolphin5.0-226以降)
Wii/GC実機の内蔵時計のことです。この設定を有効にすると、指定した時刻にDolphin側が強制的に設定します。
起動時のRTC時計の時刻が乱数の初期値に影響するタイトルがあるため、乱数調整に利用できます。
注意:Dolphin5.0-448よりも前の版では2038年問題が発生します。Dolphin5.0-448以降の版では、2038年問題は対策されています。

ビデオ設定

  • [一般]タブ

ビデオAPI
Direct3D (Windowsのみ)、OpenGLなどから選べます。通常、OpenGLで問題ありませんが、Direct3Dでなければ致命的な描画バグが発生するタイトルも存在します(スーパーペーパーマリオなど)。実際にAPIを変えて試し、一番描画の安定性がよいものを選ぶとよいでしょう。
一部、どのAPIを利用しても描画バグが深刻なタイトルが存在します(スーパーマリオサンシャインなど)。

ビデオカード (Direct3Dのみ)
グラフィックカードを挿している方は選べます。エミュレーションで一番負荷がかかるのは当然描画関連なので、この設定は直接的に快適性に影響します。
まあ、Frame Advanceしている分には変わりませんが・・・

フルスクリーン時の解像度
モニタ解像度にあわせましょう。

アスペクト比
自動選択で構いませんが、明示的に16:9あるいは4:3を強制することも可能です。

□ 垂直同期
画面がちらつく場合はチェックを入れることで改善することがあります。

  • [画質向上の設定]タブ

内部解像度の変更
ただの補間のかかった引き伸ばしなのでゲーム自体には基本的に影響しません。重くなるだけなので録画時のみ高解像度化するとよいでしょう。
アンチエイリアス・異方性フィルタリングに関しても同様。

ポストプロセス (OpenGLのみ)
画面のレンダリング後に後処理するエフェクトを選ぶことが出来ます。重くなるだけなので使いません。なお、エミュレーション自体には影響しないはずです。

☑ EFBスケーリングコピー
特に高解像度時にテクスチャの品質を著しく向上します。基本的に影響がない場合がほとんどなのでつけておくことをお勧めしますが、深刻なバグの原因になるタイトルも存在します(スーパーマリオサンシャインなど)。

□ ピクセル単位光源処理
□ テクスチャフィルタリング強制
□ フォグ効果無効
実機本来の描画は失われますが、くっきりとした絵になり見やすくなることがあります。好みで設定するとよい。
注意:フォグ効果無効にチェックを入れると、この機能に依存している演出は軒並み崩壊するので注意(カービィのエアライドの霧など)。

□ 擬似ワイドスクリーン化
4:3のGCタイトルのための設定。描画範囲を拡大し、擬似的に16:9で描画します。
カメラ範囲を基準に配置されるオブジェクトなどは軒並み位置がずれます。
この機能はプログレッシブモード有効、かつ明示的にアスペクト比を16:9に指定しなければ利用できません。

立体視
いらない。

  • [高速化]タブ

■ CPUからのEFBアクセスをスキップ
CPUによるEFBアクセスが必要なタイトルは少数だが、この機能を利用するタイトルでは、ゲームシステムの大部分をこの機能に依存していることがある。
(例:マリオギャラクシーのポインタ、大神の筆しらべ など)
これらタイトルでは必ずチェックをはずすこと。

□ フォーマット変更無視
□ テクスチャにのみEFBコピーを保存 (4.0初期のビルドにはこの設定はない)
これらの設定は基本的にすべてオフにすること。タイトルによって副作用のないものがあるため、ひとつずつ検証し、問題がなければチェックを入れてもよい。
なお、この3つの設定はエミュレーションに直接作用する

□ テクスチャキャッシュ
基本Fastで問題ないが、描画に問題がある場合はSafeにすると改善することがある。(例:マリオWiiのコインの回転など)

□ 外部フレームバッファ無効
通常は無効でよい。必要なタイトル(主にHomebrew)ではチェックをはずすこと。

外部フレームバッファエミュレーション設定
Virtualで通常問題ないが、Realは正確にエミュレートを行う。なお、副作用としてRealエミュレーションの場合、高解像度化設定が出来ない。

☑ 高速深度計算
オブジェクトの前後関係がおかしい場合はチェックをはずすことで改善することがある。

☑ Bounding Box無効化
ペーパーマリオRPG、スーパーペーパーマリオの2作のみチェックをはずすこと。それ以外のタイトルではチェックを入れたままでよい。

  • [高度な設定]タブ

デバッグ向け機能のため、使うことはまずない。

□ フリールック
チェックを入れるとカメラに干渉して自由な角度で見ることが出来る。検証には役に立つかもしれないがはっきり言ってチートでカメラ座標を書換えたほうが早い。

□ プログレッシブ表示
実機のプログレッシブモードにあたります。

最終更新:2016年10月22日 21:07