その正体は意思を持った暗黒闘気の集合体「ミスト」。
魔界で飽くことなく繰り返される戦いの中で、死してもなお戦おうとする壮絶な意思(怨念?)から生まれたモンスターで、
【あやしいかげ】や 【シャドー】といったモンスター達の王とも呼ぶべき存在である。
実体を持たず、他者の肉体に憑依することで活動する。
憑依する相手の力量によっては相手の意思を無視して魂を封印し、無理やり憑依することも可能である。
実体を得たミストは、憑依した身体の痛みを感じないため肉体のリミッターを外して驚異的な力を発揮でき、相性がよければ光の闘気を防ぐこともできるが、
その半面憑依された肉体は無理な運動によって損傷し、暗黒闘気に蝕まれて黒く変色してしまう。
これらの反動に耐えられるのは後述する、時を止められたバーンの肉体のみである。
また、自身の分身としてシャドーを産み出す能力を持つ。
男性魔族の姿は、ミストが「バーンの若さと力のみを残した肉体」=バーンの抜け殻に纏わりつくようにして憑依したものであった。
ミストバーンという名前も「大魔王バーンを覆い隠す影(ミスト)のバーン」、つまりバーンの分身、代理人という意味である。
また、 【キルバーン】の素性を周りに隠すための「主人と同じバーンの名前を貰った腹心の部下(幹部)」という表向きの理由を作るための名でもある。
普段はバーンの肉体を外側から操っているだけだが、緊急時には肉体に入り込み、それを操る事により超絶的パワーを発揮する。
前述の通り実体を持たず、自力で戦闘のできないミストは他の生物に憑依して傀儡として操るという他人頼みな方法でしか強くなる事ができず、
彼はそんな自分の力を忌み嫌っていた。
自らの力、鍛練により強くなる事に恋焦がれており、自身を鍛えて強くなった相手を尊敬するのはこのためである。
大魔王バーンはそんな彼の能力に着目し、彼にバーンの若い肉体を保持し守護する任務を与えた。
自分にしかできない任務と生きる理由を与えてくれたバーンには絶対的な忠誠を誓っており、魔王軍の中でも指折りの忠誠心を持つ。
素顔を見せることや会話することを極端に避けているのは、彼の正体がバーンの肉体であることを看過されないため。
彼が素顔を見せたり不特定多数の者に自らの声を聞かせたりするのは、相手を絶対に生還させないと誓った時であり、言わば死刑宣告と同等の意味を持つ。
また、バーンの許可なく戦闘しないのもその正体を隠蔽するため。
並外れて強靭な肉体でこそ繰り出せるバーンの技の1つ 【フェニックスウィング】を使うこともできるが、これの使用も勿論タブーである。
作品終盤、ダイとレオナを除くダイパーティー一向との決戦が繰り広げられる中、バーンに肉体を返還した彼は新たな依代としてヒュンケルに憑依を試みる。
ミストバーンがヒュンケルを拾い上げ 彼の師を買って出たのは、肉体をバーンに返還した際に憑依するスペアボディを用意するためだったのだ。
そして完全に我が物にするため魂を砕こうとするも、事前にミストの目論見を察知していたヒュンケルが
魂に収束し溜め込んでいた大量の光の闘気に呑み込まれて消滅するという、ある意味自身の願い通り(自らが鍛えぬいた肉体の中で最期を迎える)に散っていった。
それはヒュンケルの忌まわしい因縁の終わりをも意味していた…。
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