友を守るため

「何!もう夜明けか」
放送を聞いてファリス一行は慌てて周囲を見渡す
雨の行為で何時の間にか東の空が明るくなってたのに気がつかなかった
それに時計を見るのも怠っていた・・・・・
さらにそれからしばらく進むと、突然エリアが立ち止まり小首をかしげる。

「反応が消えた?」
「はい・・・・先程までは感じることができたのですが、今しがた、全く感じることが出来なくなって
 おそらく先に扉をくぐったのか・・・それとも・・・・」
そこから先は聞きたくなかった、レナが死んだなどと
だがそうなると予定を変える必要が出てくる、もはや北に向かう意味は無くなったし・・・・
ここからツェンまでだと急いでようやく時間ギリギリで辿り着ける距離だ
だがベクタなら楽に戻れる。
「仕方ない、ベクタまで戻ろう・・・・次の世界で出なおしだな」

そうしてベクタまで戻った4人だった、街の入り口までは何事も無く辿り着けた・・・
しかし城に続く大通りに入った瞬間だった。
「!!」
ファリスがエリアを、ロックアモスを真横に押し倒す、わずかに遅れて剣風が彼らの立っていた場所を一閃する
あと0.1秒遅ければ4人の首は飛んでいただろう・・・・・
そしていつのまにか彼らの目前には銀髪の剣士、セフィロスが静かに佇んでいた。

「くそっ!」
先走ったロックがクィックシルバーを連射する
放たれた弾丸は狙い違わずセフィロスの身体に命中するはずだった
だが弾丸はセフィロスが正宗を一閃する事で全て弾かれていた・・・・しかも
「あああっ!」
ファリスが胸を押さえて床に倒れ込む、押さえた手の隙間から大量の血が溢れ出している
弾き返された弾丸は跳弾となってファリスの胸に命中したのだった。

予想外のアクシデントに顔面蒼白になる一同を尻目に
セフィロスは悠々と距離を空けると、どうする?といわんばかりに正宗を肩に担いでいる
その胸中は、デスピサロとの戦いでの鬱憤をここで晴らしてやろうとの思いに満ちていた。

そんな中、アモスが意を決したように一同に告げる
「ここは私が引きうけた、先に行くんだ!」
「アモッさん、でっ・・でも」
アモスはロックに自分の荷物を渡して、その肩を掴み言い聞かせる
「いいから行け!・・・お前まで抜けたら誰が2人を守るんだ!それに今のお前は動揺している
 これでは犬死するだけだぞ!!」
その言葉にロックは静かに頷くと、エリアと共にファリスを担いで城内へと入っていく
そしてアモスはセフィロスの行く手を阻むように道路に立つ

「貴様がどれだけ強いのか知らんが、その余裕が命取りだぜ!」
アモスの姿がモンストラーへと変わっていく
しかしそれを見てセフィロスは驚くどころかますます楽しそうに笑みを浮かべる
「ガァァァァッ」
咆哮と共にアモスの拳がセフィロスに迫る
しかしその拳はセフィロスのかざした刀によって防がれ、さらにセフィロスが刀に気合を込めると
拳もろともアモスの片腕は砕けて、千切れ飛んだ。

それでもアモスはひるむことなく体当たりを敢行する
だがセフィロスはすでに空中に逃れていた、そしてセフィロスの手から突き出された正宗が
アモスの大きく開いた口に突き刺さり、その先端は後頭部に抜けていた・・・・・
そしてスローモーションのようにアモスの身体が傾いていく。
物足りんな・・・少しは遊べると思ったのだが・・・・・
ひとまず正宗を鞘に収め、ロックたちを追おうとしたその時だった。

正宗によって脳を貫かれ、地に倒れたアモス
その濁った瞳に映っている光景は何なのであろうか?夢か現か・・・・・
「ここは・・・・・」
薄暗いようなそれでいてまぶしい、そんな不思議な世界にアモスはいた
そして彼の目の前には死んだはずのハッサンと彼の知らぬ全身傷だらけの伊達男が立っていた
アモスは懐かしいような表情でハッサンに話しかける
「なぁ・・・お前がいるってことは、俺は死んじまうのか?」
「ああ・・・お前はもう死ぬぜ、アモス」
「そうか・・・・」
悔いは無かった・・・わずかでも時間を稼ぐ事が出来たのだから
あとはロックがなんとかしてくれるだろう
それに心の何処かでこういう最期を望んでもいた、自分は果報者だ
戦士としてこれ以上は無い最期を遂げる事が出来たのだから・・・・・・

だが、ハッサンの隣にいた伊達男が鼻で笑う
「確かに戦士の死にザマとしてはなかなかだが・・・勝負師としては少し足りないな、見ろよ」
男の指差す方を見ると、刀を納めたセフィロスがロック達を追おうとしていた。
そしてロック達は未だに城の中でさまよっていた。
「あいつ・・まだ・・・・」
アモスは全身に力を込めてセフィロスを止めようとするが、すでに死に始めているその身体は動かない
その様子を見ながらハッサンは隣の男へと話しかける

「おめぇの言うとおりだぜ、アモスの奴やる気になったみたいだぜ」
「あの世での酒盛りはまだお預けだな・・・・仕方ない」
「へへ、俺たちが力を貸してやる・・・・・立てよ」
ハッサンとセッツァーがアモスへと手を差し伸べる・・・アモスは渾身の力でそれを握りしめ
そしてその瞳に再び灯火が宿った。

アモスの両目が生気を取り戻すと、突如地響きと共に飛びあがり
セフィロスの背中めがけキックを放つ。
それは、今は亡き盟友ハッサンが放ったのかと見紛うほどの見事な蹴りだった。

寸での所でその蹴りを避けたセフィロスだったがさらにアモスはセフィロスの襟首を掴み、壁へと投げ飛ばす
だがセフィロスは空中で体勢を直すとアモスの肩へと袈裟懸けに正宗を振り下ろす
肩から胸の半ばまでを一気に両断されたアモス・・・しかしそれでもその動きは止まらない
片手でセフィロスの首を握り、首の骨を砕こうとする
「いいかげんにしろ・・・・」
腹に据えかねたセフィロスの言葉と同時に再び正宗が振るわれ、
今度はアモスの腹が真一文字に切り裂かれ、大量の血と共に内臓が飛び出してくる。

セフィロスはアモスの手を解くと、そのままロックたちを追おうとする
終わった・・今度こそ・・・・だがしかし!
またしても背後の異様な気配に振り向いたセフィロスの腹部にアモスの頭がめり込む
今度はセフィロスといえども避けられない、錐揉みをしながらその身体が城壁へと叩きつけられ
バウンドしたところにさらに体当たりを受け、セフィロスは数メートル離れた道路へと墜落する。
ふらふらと起き上がり、正宗をかまえなおすセフィロスだったが
その顔には明らかに焦りの表情が浮かんでいた。

何故だ、何故コイツは倒れない?
正宗を一閃するたびに、アモスの肉体は確実に切り刻まれ、そのたびに血と骨と内臓が飛び散っていく
たとえ魔獣と化していてもとうに息絶えているはずの傷である
だが・・・それでもアモスは未だ倒れることなく、その力を持ってセフィロスをその場に留め続ける
その力の源・・・・それが何であるのかは分からないが、友も仲間も無く守るものすらも無い
そんなセフィロスには決して理解する事ができない物であるとだけは言えるだろう・・・・・


セフィロスは何時の間にか自分がじりじりと後退していることに気がついた
その身体からはじっとりと汗が流れ出て止まらない
何だ・・・この不快な気分は・・・・・これは恐怖か・・・バカな!
この私がこんな化け物風情に恐怖しているというのか!?

自分の背中が壁に密着する・・もう下がれない
もはやセフィロスはただ闇雲に正宗を振りまわしているだけだった
その顔に浮かぶのは恐怖の表情に他ならない
ずるずる・・ずるずると、もはや原型を留めぬほどずたずたに刻まれた身体を引きずって
アモスがセフィロスに迫る。

その速度はもはや亀のようにのろかったが、それでもセフィロスは1歩も動けない
「~~~~~!!」
セフィロスが声にならぬ悲鳴を上げ、目を閉じる
だが・・・そのときアモスの気配が急に消えた。
恐る恐るセフィロスが目を開けると、そこにはセフィロスのわずか数歩手前で力尽きている
アモスの姿があった。
奇しくもそれはロックたちが扉をくぐり新たな世界へと向かったのと同時だった。

人間の姿に戻ったアモスの身体は先程の巨体が想像できないほど小さかったが
その死に顔には満足気な笑みが浮かんでいた。
恐る恐るその骸に手を触れ・・完全に死んでいるのを確認し、胸を撫で下ろすと
足取りも重くセフィロスはゆっくりと扉に向かった。

もっとも扉をくぐる頃には恐怖は消え去り、またいつもの表情に戻っていたが・・・・

【エリア 所持品:ミスリルナイフ 加速装置
 第一行動方針:ファリスの治療
 第二行動方針:クリスタルの戦士との合流
 基本行動方針:できることをやる】
【ファリス@忍者(アビリティ:とんずら、瀕死状態)
 所持品:食料2ヶ月20日強分&毒薬 吹雪の剣 水1,5リットル×2 小型のミスリルシールド
 第一行動方針:治療
 基本行動方針:レナの捜索】
【ロック 所持品:神秘の鎧 クイックシルバー 小型のミスリルシールド フィアーの書×7
 第一行動方針:ファリスの治療】
【現在位置:新フィールドへ】

【セフィロス 所持品:正宗
 最終行動方針:全員殺す】
【現在位置:新フィールドへ】

【アモス 死亡】
【残り 65人】


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最終更新:2011年07月17日 16:39
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