手榴弾と火炎瓶

幾分、朝日が差しているとはいえ、城の大広間は未だに仄の暗い、
そんな中、はぁはぁと戦いの息遣いが聞こえて来る。
「ふんっ!」
ヘンリーは片手で持った斧を勢いよく振り下ろすが、その起動はわずかに波打っている。
それをティファは素早く飛び退って距離を取るが、次の瞬間肩を押さえて苦痛の表情を浮かべる。
そしてまた、はぁはぁと呼吸の音だけが続く。

「たあっ!」
今度もまたヘンリーから仕掛ける、すり足で距離を詰めると今度は斧を振り下ろすのではなく、
穂先をティファの方へ向け、突き出していく、
(後ろには避けると間に合わない、ならっ!)
ティファは瞬時にしゃがみこんでヘンリーの突きを交わすとそのまま向う脛にローキックを入れる。
「ぐわぁっ」
鍛えようの無い急所に一撃を見まわれ、思わず斧を落とし足を押さえるヘンリー、
それには構わずティファは扉が設置されている広間の奥の小部屋へと急ぐ。

(チャンス!)
ヘンリーは足を押さえながらも笑みをもらすと、火炎瓶を取りだしティファへと投げつける。
しかし・・・
ティファは何と火炎瓶をオーバーヘッドで蹴り返した、火炎瓶はひゅるひゅると音を立てて、
ヘンリーの頭上を超えて、廊下の方へと飛んでいった。
しかしそこに2つ目の火炎瓶が放たれる、着地寸前のティファには今度こそ命中するかと思われたが、
またしても、今度は何処かから放たれた石礫が火炎瓶を中空で砕く。
火炎瓶は爆発することなく床を濡らし、そしてティファは扉の中へと飛びこんでいった。

「誰だ!誰が邪魔をした!」
「私だ・・・まぁ、話を聞け」
ヘンリーの叫びに応じるかのように、いつの間にか開け放たれていた反対側の扉の影から、
女騎士-----アグリアスが姿を現した。

ティファとヘンリーが戦っていた頃、廊下ではイリーナとソロの追いかけっこが続いていた。
「あっ・・・そうだ、手榴弾があったんだ」
ようやく思い出したイリーナはすばやく手榴弾のピンを抜くと振り返りもせず後ろに投げる。
5つ数えたか、数えないうちに大爆発。
もうもうと煙が立ちこめる中、それでもイリ-ナは走り続ける。
と、その時

「!!」
自分のすぐ目の前にどこからともなく火のついた火炎瓶が飛んで来るのが見える。
イリーナは素早くスーツを脱いで手に持つと、それで火炎瓶を払い飛ばす。
火炎瓶は壁に当たって燃えあがり、周囲を明るく照らす。

と、明るくなった廊下に影が踊る、イリーナが振り向いたときには
すでにソロは床を蹴って空中に飛び上がり、剣を振り下ろそうとしていた。
「なんの!タークス奥義っ!真剣白刃取りっ」
イリーナは両手を頭の上にかざしソロの剣を見事に受けとめ反撃する・・・はずだったが、
ソロの斬撃の鋭さはイリーナの予想を遥かに超えたものだった。
「え・・・」
そう、ソロの剣はイリーナの手をすり抜け、その頭上を直撃したのだった。
そのまま頭頂部から顔面の半ばまでを断ち割られ、こうしてイリーナは絶命した。

「お前が悪いんだぞ!お前が僕を裏切ったから悪いんだ!」
ソロはイリーナの死体に向かって罵声を放つ。
ラムザに・・・・そしてアリーナまでもが自分を裏切りデスピサロの走狗と成り果てて、
(ソロはそう思いこんでいる)いるのだ。
そして今、またしても、だが・・・・
「違うよね・・ティファさんだけは違うよね、あの人だけは僕の味方だよね?」
うつろな瞳で自分に言い聞かせるようにソロはぶつぶつと呟く。
「会いたいよ・・・・早くティファさんに会いたいよぉ」

頭を抱えて悲しげにうめくソロの耳に何やら話し声が聞こえてくる
この先の大広間のようだ。
再び剣を抜いたソロだったが、痛みに顔をしかめる、先程の爆弾は何とか避けたものの無傷とはいかなかった
ここは自重すべきだ、そう考えたソロはベホイミを唱えるとしばらく床にもたれて休憩に入った。

そのころ大広間では、
「貴様ぁ!何故邪魔をした!」
ヘンリーは突如現れたアグリアスに向かって叫ぶ。
アグリアスは表情を変えぬまま答える。
「獲物を横取りした事については謝る、だが、あの娘は私のプライドに賭けて、私が仕留めねばならん!」
無手の相手に聖剣技を止められた・・・・初めての経験にして屈辱だった。
その屈辱は再戦をもって仕留める以外に晴らす方法は無い。

それに・・・アグリアスは額に巻いていた包帯を外す、そこには深々とした裂傷があった。
投げ飛ばされた時、ティファの指がアグリアスの額をえぐったのだ
これだけ深いと治癒呪文でも傷跡は残ってしまうだろう。

「只倒すだけではあきたらん!私のプライドに、私の顔に傷をつけた報い、思い知らせてくれる!」
と、そこまで言ったところで、アグリアスはヘンリーに向い奇妙な提案をした。

「私と組まぬか?獲物を奪った詫びだ、手を貸してやる、その腕では満足に斧も振るえまい」
予想外の申し出にヘンリーはかなり面食らったようだ。斧を構えたまま、アグリアスの話を聞いている。
「私にはもはや何も残ってはおらぬ、今この胸中にあるのは己の命脈続く限り戦い抜き、
 生き残りたいという渇望のみ」

ラムザの死を聞かされたとき、アグリアスの全身を言い様の知れ無い喪失感が駆け巡った
そう、もはや生き残りフレイヤの元に戻る以外に、彼女にとっての救いの道は残されていなかったのだ
それにあの娘を追うにしても、盾はあったほうがいい。
そのためには利用できる物は利用させてもらう。どんな手を使ってでも・・・・。

しばらく考え込んだ後、ようやくヘンリーが口を開く。
「生き残れるのは一人だぞ」
「ならば最後に決着をつけるのがお前と私ならいいわけだ、最も寝首を掻いても構わんぞ
 出来るならな」

「そうか・・・いわばお前も俺と同じなのだな、いいだろう・・・力を貸してくれ、俺はヘンリー」
もちろんヘンリーもアグリアスを利用するだけ利用し、頃合を見て寝首を落とす
そういう計算が成り立っての判断だった。
「私はアグリアスだ・・・では行くか、それと一言だけ言っておく、あの娘は私に譲れ」

こうして、奇妙な同盟は成立し、二人は連れ立って扉をくぐり
そしてそれから遅れること5分、回復したソロも扉へと入っていった。

【ティファ(負傷) 所持品:ボムのかけら×5
 第一行動方針:傷の治療
 第二行動方針:クラウドたちを探す】
【現在位置:新フィールドへ】

【ヘンリー 所持品:ミスリルアクス イオの書×3 火炎瓶×1
 最終行動方針:皆殺し】
【アグリアス@ホーリーナイト(アビリティ:時魔法、カスリ傷)
 所持品:スリングショット ダイヤソード なべのふた
 基本行動方針:ゲームにのる
 最終行動方針:生き残る】
【現在位置:新フィールドへ】

【ソロ 所持品:エンハンスソード スーツケース核爆弾 イリーナの社員証
 第一行動方針:ティファに会う
 最終行動方針:デスピサロを倒す】
【現在位置:新フィールドへ】

【イリーナ 死亡】
【残り 64人】


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最終更新:2011年07月18日 06:50
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