とんぬらの元へ

「何か、寒くなってきたッスねー」
「あったりまえじゃない、日が暮れてきたんだから」

マリベルティーダライアンは雪原を駆け抜けていた。
ティーダとライアンの後ろをマリベルがついていく形である。
さすがのマリベルも必死に後についていくで精一杯のようだ。
それでもブリッツボールの選手であるティーダと本職の戦士であるライアンにちゃんとついていく当たりは、負けず嫌いの彼女らしい。

一方、ティーダには別のことを考える余裕があった。
「…このまま外にいたら、セフィロスやっつける前に寒さにやられちまうんじゃねーの?」
マリベルに聞こえない小さな呟き。
口から白い息を吐き出しながら、初めてスピラに降りた遺跡の事を思い出した。
寒冷の中、水に漬かって凍え死にそうになり、リュックに助けてもらったのだが…
そのリュックは、今どうしているのだろう。

「リュック…本当に、殺すしかないのかよ」
そこで、ティーダは頭を振った。考えるのは後だ。
セフィロスを倒す、今はそれに集中しなくてはいけない。

「待って!」
途中、マリベルがティーダたちを呼び止めた。


立ち止まってみると、マリベルはある方向を凝視して動かない。
「む、アレは…」
ライアンが口髭を撫でながら呟く。
「何スか?何か………あ!」
マリベルの見ている先を見て、ティーダは声をあげた。
誰かがいる。極寒の雪原で、フラフラゆっくりと歩いている人影がある。

全然気付かなかった。ティーダは運動神経こそ抜群だが戦いのプロではない。
それで見落としてしまった可能性もある。それにしても…何か変だ、とティーダは思う。
マリベルはその人影に向けて駆け出した。
その後をライアンとティーダは追う。

アイラ!アイラでしょッ!」
マリベルは叫ぶ。アイラと呼ばれた女性は…答えなかった。
歩調を速めず落とさず、ただ前を見て歩いている。
「アイラ…?ねえ、どうしたの?何で返事してくれないのよ!?」
マリベルはアイラの前に回りこむ。
それでもアイラはマリベルを見ようともせず、止まろうともしない。
するりとマリベルの脇を抜けて、アイラは歩いていく。

呆然としているマリベルに、ティーダは言う。
「あの人、マリベルの知り合いっスか?」
「うん…アイラ。私の世界での仲間よ」
ライアンはふむ、とうなずいた。
「なるほど、マリベル殿の知己であったか。アイラ殿、ライアンでござる」
そこでようやく、アイラの動きが止まった。


びっくりしたマリベルはライアンの顔をまじまじと見る。
「アイラ殿とは以前のフィールドから同行していてな。
 最初に会ったときは襲われたのだが、とんぬら殿のおかげで大人しくなったのでござるよ。
 ときにアイラ殿は、とんぬら殿を探しているのでござるか?」
ライアンはアイラに向けて言う。アイラは微かにうなずいた。

とんぬら?」
「魔物使いの青年でござる。彼曰く、彼女はどうやら記憶を失っているらしく、アイラ、という名前しかわからぬと」
「魔物使い…そんな。モンスターになっちゃったの、アイラ…!」
アイラはライアンを見るだけで答えない。
今のアイラはとんぬらに関るものにしか関心を示さない状態になっている。
旧知である自分を無視し、赤の他人だったライアンに反応するアイラに、マリベルは苛立ちと悔しさを感じた。

マリベルはじっと地面を見つめた。その口元はきつく結ばれている。
そんなマリベルにライアンは気遣う視線を向ける。
「とんぬら殿の話では、治す方法はあるという話でござれば、気を召されるな」
「わかってるわ…わかってる」
そういい返すマリベルの語尾は弱い。


しばらくして、厳しい表情のままで顔を上げた。
「先を急ぐわよ」
「え、いいんスか?」
「こんな状態じゃ、保護もできないし。チャチャッとセフィロス倒して、直す方法を探すわ」
そういってマリベルは駆け出す。慌ててその後にティーダが続く。

駆け出す直前、マリベルはアイラをちらりと見て、
「すぐになんとかするから、待っててね…」
呟くようにいったが、聞こえていないのか、聞こえていても意味がないと思っているのか。
アイラはまったく反応を示さなかった。

駆けていく二人を見ながら、ライアンはアイラに言う。
「雪崩に巻き込まれた後、ワシはあの山地の南側をうろついて追ったが、とんぬら殿の姿、気配はなかったでござる。
 おそらく、とんぬら殿は北側に流されたのではないかと思う次第でござるよ」
アイラは聞くとすぐに北に向かって歩き出す。
「アイラ殿!そちらは…!」
そちらにはセフィロスがいる…だが、アイラの動きは止まらない。
マリベル達も遠ざかっていく。余計な事を言ってしまった、とライアンは後悔した。

「アイラ殿!ルーキー殿は何処かで倒れた、努々油断召されるな!」
闇の向こうに消えていくアイラに怒鳴ると、ライアンはマリベル達を追って走り出した。


【マリベル  所持品:エドガーのメモ
 第一行動方針:仲間たちと合流
 第二行動方針:打倒セフィロス
 最終行動方針:首輪を外してゲームを抜ける】
【ティーダ 所持品:いかづちの杖 参加者リスト
 第一行動方針:仲間たちと合流
 第二行動方針:打倒セフィロス
 最終行動方針:何らかの方法でサバイバルを中止、ゾーマを倒す】
【ライアン 所持品:大地のハンマー エドガーのメモ(写し)
 第一行動方針:セフィロス討伐パーティに参加、合流
 第二行動方針:デスピサロに同行する
 第三行動方針:ソロを探す
 基本行動方針:来る者は拒まず、去るものは追わず】
【現在位置:東の平原、南下】

【アイラ(ゾンビ) 所持品:チェス板、駒 死者の指輪 ダイヤソード
 第一行動方針:ゾンビ状態中はとんぬらを探してついていく。死者の指輪が外れたら???】
【現在位置:東の平原、北上】


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最終更新:2011年07月18日 07:32
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