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CHAOS;HEAD

【かおす へっど】
ジャンル 妄想科学ADV 5pb.:https://5pb.jp/ / ニトロプラス:https://www.nitroplus.co.jp/
対応機種 PC / Xbox 360 / PSP / PS3 / PS Vita / iOS / Android / Switch
発売・開発元 開発:5pb. / ニトロプラス 発売:5pb.
発売日 2008年4月25日(PC版)
定価 7,140円(税込)
備考 科学アドベンチャーシリーズ第1弾 / 『CHAOS;HEAD NOAH』等の移植・完全版あり
ポイント 妄想トリガーシステムによる分岐と予測不能なサイコサスペンスストーリー
筋金入りのオタクかつ引きこもりの過激な主人公設定が賛否を呼ぶ
PC版における選択肢の仕様や後半の駆け足気味な展開・未回収伏線に課題
判定 賛否両論
シリーズ 科学アドベンチャーシリーズ

「その目、だれの目?」――現実と妄想が交錯するサイコサスペンス

概要

5pb.(現MAGES.)とニトロプラスのコラボレーションによって誕生した「科学アドベンチャーシリーズ」の第1弾。渋谷を舞台に発覚する連続猟奇殺人事件「ニュージェネレーションの狂気」を軸に、妄想を現実化させる力「ディ・ソード」や陰謀が絡み合うサイコサスペンスADV。主人公の妄想をポジティブ・ネガティブへ切り替える独自の「妄想トリガー」システムを導入し、異彩を放った。

特徴

  • プレイヤーの意志で妄想をコントロールする妄想トリガーシステム
    • テキスト選択肢ではなく、画面上に発生するグリーン(ポジティブ妄想)とレッド(ネガティブ妄想)のトリガーを選ぶことでストーリーや演出が変化。
    • お色気要素満載のバカエロ展開になるポジティブ妄想と、猟奇的かつ精神的に追い詰められるネガティブ妄想の振れ幅が大きく、独特のプレイ感を生み出している。

  • リアルな渋谷の街並みと連続猟奇殺人事件を巡るダークな世界観
    • 2000年代後半の渋谷のロケーションをリアルに再現しつつ、そこで巻き起こるグロテスクで不気味な事件の数々を描く。
    • ネット用語やオタクカルチャー、都市伝説、量子力学や脳科学などの科学的知識をベースにした重厚な設定が特徴。

  • 極めて癖の強い過激な引きこもりオタク主人公
    • 主人公の西條拓巳は重度のコミュニケーション障害を持ち、コンテナハウスに引きこもって美少女ゲームとネットゲームに没頭する重度のオタク。
    • 徹底的に情けなく、自己中心的で妄想癖のある拓巳の視点で物語が進行するため、感情移入のしやすさや共感性において異色の存在感を放っている。

評価点

  • 引き込み性能の高いサスペンス性と先の読めない怒涛のストーリー展開
    • 序盤から中盤にかけての「自分が狂っているのか、世界が狂っているのか」という恐怖感と不気味さの演出が秀逸。
    • プレイヤーの予想を裏切る衝撃的なド直球のノベル展開や伏線回収により、一度引き込まれると途中でやめられない圧倒的な没入感を誇る。

  • 妄想トリガーとグラフィック・演出の一体感
    • ネガティブ妄想時のホラー演出や不気味なSE、精神的に削られる視覚的グラフィックのクオリティが高く、プレイヤー自身の不安感を煽る効果が非常に高い。
    • ファンタジーとSFが融合した「ディ・ソード」のビジュアルやバトル演出の熱さも高評価を獲得した。

  • 世界観を完璧に構築するボーカル曲とBGM
    • いとうかなこ氏やファンタズム(FripSide結成以前の岸利屋あみ氏等)が手掛ける主題歌・挿入歌が作品のダークかつ狂気的な雰囲気に完璧にマッチしている。
    • 作中BGMの使いどころも秀逸で、日常の不気味さからクライマックスの盛り上がりまで見事に演出している。

論争点

  • 主人公・西條拓巳の強烈すぎる不快感と感情移入の難しさ
    • 極度な卑屈さ、口の悪さ、保身に走る姿勢、独特のオタク語録(「その目、だれの目?」「ビシィ!」等)の連打に対し、「情けなさすぎて見ていられない」「受け付けない」と早期に投げ出すプレイヤーが続出。
    • 一方で「だからこそ終盤の覚醒と成長が熱い」「人間臭くて唯一無二の主人公」と絶賛する声もあり、主人公のキャラクター性を受け入れられるかが作品全体の評価を真っ二つに分けた。

  • ノベルゲームとしてのホラー・グロテスク描写の限界値
    • 「ニュージェネレーションの狂気」で描かれる事件の遺体描写や演出(「十字架」「張り手」等)がかなり猟奇的で精神的エグみが強い。
    • 刺激的なサイコホラーとして評価する層がいる反面、耐性がないプレイヤーからは過剰なグロ描写として拒絶された。

問題点

  • PC版(無印)における個別ルートの欠落と大量の未回収伏線
    • 初出のPC版では妄想トリガーによる演出の変化こそ存在するものの、シナリオ自体はほぼ一本道であり、咲畑梨深以外のヒロイン(蒼井セナ、楠優愛、折原梢、岸本あやせ)の個別ルートが一切存在しない。
    • セナと優愛の家族にまつわる過去や復讐の結末、あやせの精神的な救済、梢のトラウマの克服といった各キャラの核心的なシナリオが描かれず、唐突に主人公へ協力するポジションに収まるため消化不良感が強い。
    • さらに、作中で強烈な謎として提示される「将軍」の正体や真の目的、主人公・西條拓巳の出生の秘密や存在の真実、波多野ゼミやメディカルワークスを巡る陰謀の全貌といった最重要の伏線が未回収のまま物語が完結してしまう。
    • これらの未解決な描写や不十分な設定回収は、後に発売された完全版『CHAOS;HEAD NOAH』にて全ヒロインの個別ルートおよび真エンドが追加されたことでようやく補完されることとなった。

  • 終盤のバトルもの・能力バトル化によるジャンル変貌
    • 中盤までの極上のサイコホラー・サスペンス的な緊張感から一転し、終盤は特殊能力者同士が剣を交える王道バトルものへとシフトしていく。
    • この展開に対して「ジャンプ漫画のようで熱い」と喜ぶ声がある一方、「前半のジメジメとしたサイコホラーの空気感が好きだったのに大味になってしまった」と冷めてしまう声も少なくない。

  • 妄想トリガーシステムのゲーム的な分かりづらさ
    • トリガーを引くタイミングや、どちらの妄想を選んだかがストーリーにどう影響しているかが初見では判定しにくく、攻略情報なしでの狙ったルート攻略や回収が難しい。

総評

    • 重度のオタクで引きこもりの主人公、サイコホラーな狂気演出、科学的妄想設定という極めて尖った要素を詰め込んだ「科学アドベンチャーシリーズ」の偉大なる原点。
    • 主人公の極端なキャラクター性やグロテスクな描写、PC版におけるシナリオの未完成さなど人を選ぶ要素は非常に多いものの、刺さる人にはとことん刺さる強烈な魅力と中毒性を秘めている。
    • 後に登場する『STEINS;GATE』へ続く足がかりとなった作品であり、真の完成版である『NOAH』も含めて今なお語り継がれるサイコサスペンスADVの良作である。

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最終更新:2026年09月01日 01:26