とくべつなあまあま 12KB
虐待 理不尽 野良ゆ 都会 現代 虐待人間 あっさりしみじみ虐待
※独自設定垂れ流し
※ゆっくりが悲鳴ひとつあげないぬる虐待
「おはようございます。今日もですか?」
秋を終えつつある、早朝の街。静寂と寒さに張りつめた街の中。
新聞配達の青年に呼び止められ、年老いた男は振り返った。
「おお、おはよう。わしは今日も公園に行くところじゃよ」
にこやかに老人は答えた。
青年の視線は男の肩掛けのバッグへと向く。バッグの口からはペットショップの包装が見
える。
「正直言って、俺はどうかと思うんですけどね、あいつらに餌やるのって。あいつら、全
然かわいくないし」
「そうかのう。じゃがの、わしはあいつらがどうにも好きななんじゃよ……好きで好きで
たまらないんじゃよ……」
老人はにこりと笑った。
穏和な、人のいい笑顔。それなのに、なにか青年は寒気を覚えた。理由がわからないその
感覚に、青年はしばし戸惑う。
「それじゃあの。お仕事、かんばってのう」
会釈をし、老人は去っていった。
青年はぶるり、と身を震わした。どうやら汗をかいていたところに立ち止まったものだか
ら、身体が冷えたらしい。そのための寒気に違いない。だって寒気を感じる理由がない。
あんな人のいい老人は今時滅多にいないのだ。
それにしても、と青年は思う。
本当に変わった人だ。毎週日曜日、こんな朝っぱらからわざわざ公園に行って、ゆっくり
に餌をくれてやるなんて、と。
とくべつなあまあま
「ゆゆ! おじいさんがきたよ!」
「おじいさん! ゆうう! ゆっくりー!」
「ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってね!」
街の一角にある自然公園。噴水のある広場は、早朝にも関わらず賑わっていた。
れいむ、まりさ、ぱちゅりー、ありす。大小さまざまなゆっくりたちがひしめいていた。
歓迎の言葉に、老人はにこやかに笑った。
生首饅頭ナマモノ、ゆっくり。その突然の登場から、五十年以上が経とうとしていた。
当初は身の程をわきまえない言動に迷惑な行動、異常な繁殖力と人々を悩ませたモノだっ
た。だが、苛烈な駆除の繰り返しによって、人間に迷惑をかけるゲスゆっくりは街中には
ほとんどいなくなった。
こうして老人を迎えるゆっくりたちも、野良生活に肌や髪やおかざりは薄汚れているもの
の、その瞳は澄んで輝いている。
「さあ、今日もおいしいごはんを持ってきたぞい」
「ゆっくりーっ!」
「おじいさん、ありがとう!」
「ゆっくいしていってね! ゆっくりしていってね!」
老人が肩掛けのバッグからペットショップの袋――その中におさめられたゆっくりフード
を取り出すと、ゆっくりたちは喜びの声を上げた。
老人は毎週日曜の早朝、こうして公園にやってきてはゆっくりたちに餌を与えているのだ。
初めはほとんどのゆっくりが老人の呼びかけに応えなかった。
世にゆっくりが現れ始めた頃と違い、現在の野良ゆっくりは警戒心が強く、人前に姿を現
すことは滅多にない。人前に不用意に姿を見せる愚かなゲスや間抜けなゆっくりが淘汰さ
れ、利口なゆっくりが生き残った結果だ。
だが、老人は辛抱強く、毎週決まった時間にやってきてはゆっくりに餌を与えてきた。や
がて、こうしてたくさんのゆっくりたちがここに姿を現すようになったのだ。
「さあ、食べなさい」
老人がゆっくりフードをばらまくと、ゆっくりが群がって食べ出す。
「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!」
「おかーしゃん、とってもおいちぃにぇ!」
「ゆうう、とってもゆっくいしたごはんさんだよおおお!」
老人は手慣れたものだ。ゆっくりたちが食べやすいよう、ゆっくりフードを満遍なく手際
よくばらまいていく。
その様は花咲かじいさんを思わせた。花咲かじいさんは灰をまいて枯れ木に花をさかせた
が、この老人はゆっくりフードをまいて野良ゆっくりに笑顔を咲かせている。
野良ゆっくりの生活が過酷なのは今も昔も変わらない。老人の持ってきたゆっくりフード
は高級なものではない。それでも野良が滅多に口にすることのできない、栄養満点でゆっ
くりの舌を肥えさせすぎることなく食欲と満足感を与える逸品だ。
やがて、老人の持ってきた全てのゆっくりフードは食べ尽くされた。
「おいしかったね! ゆっくりできるね!」
「ゆうう、ゆっくり~」
「みんな、おじいさんにおれいをいおうね!」
ゆっくりたちは一週間ぶりの満足感に浸りながら、それでも感謝の気持ちは忘れていなか
った。
「おじいさんありがとう! ゆっくりしていってね!」
何十匹ものゆっくりがきちんとそろってお礼を言う。こうしたとき、全員そろって一言一
句乱れることなく言えるのはゆっくりの特徴だ。
「みんな、今日もとってもいい子たちじゃのう。ゆっくりしているのう」
そんなたくさんの感謝の言葉に、おじいさんはにこにこと柔和な笑みを返す。そのゆっく
りとした様子に、ゆっくりたちはますますゆっくりするのだった。
そして、ゆっくりたちはじっと老人を見つめる。その瞳は期待の光で輝いている。
「それじゃあいつもどおり、この中の一匹だけに『とくべつなあまあま』をあげるぞい!」
「ゆわああああああああい!」
老人の言葉にゆっくりたちは色めきたった。
老人はいつもゆっくりフードを与えた後、こうして一匹だけに『とくべつなあまあま』を
くれるのだ。
ゆっくりたちはじっと黙って老人を見つめる。自分によこせと騒いだりする悪いゆっくり
は決して選ばれない。だからゆっくりたちは静かにじっと、待ち続ける。
そんなゆっくりたちを、老人は一匹ずつじっくり眺めていく。
そして、ついに決めた。
「……よし、今日はそこのれいむにしようかのう」
「ゆうう! おじいさん、ありがとう!」
「よかったね! れいむ!」
「ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってね!」
喜びに震えるれいむ。周りのゆっくりたちも自分のことのように喜ぶ。現在の野良には善
良な個体が多い。ゆっくりは弱くて脆い。過酷な野良生活で生き残るには協力が必須であ
り、身勝手なゲスが淘汰されたためである。
老人は選び出したれいむを優しく持ち上げた。
「ゆ~、おそらをとんでいるみたい~♪」
現在の街に隠れすむ野良は、人間にこうしてやさしく持ち上げてもらうことなど滅多にな
い。浮遊感にれいむはご満悦なご様子だった。
そのしあわせな光景に、まわりのゆっくりたちもまた微笑んだ。
そして、老人はゆっくりたちの並ぶ前に立つ。
「さあ、れいむ。おくちを大きく開けるんじゃ」
「ゆ! ゆっくりりかいしたよ。あ~ん……」
ゆっくりたちからはれいむの後頭部しか見えない。だからいつも、ゆっくりたちは選ばれ
たゆっくりがどんなものをもらっているのか知らない。
『とくべつなあまあま』が、なんであるか知らない。
選ばれたれいむは、どきどきしながら口を開け、今か今かと待っていた。
夢にまでみた『とくべつなあまあま』。それはいったいどんなにおいしいのだろう。どれ
ほど「しあわせー」なのだろう。れいむの餡子脳はしあわせな想像で沸騰してしまいそう
だった。
だから、次に起きたことをまったく理解できなかった。
老人の手が素早く喉の奥まで滑り込んできた。
ゆ、と声を上げる間もなく、手はれいむの舌の根本を掴んだ。
そして、れいむの舌はぐるりとねじられ、ぶつりと根元からちぎられた。
「~~~~~~~~~~っ!」
れいむは悲鳴を上げようとした。
しかし、老人に阻まれた。舌をねじってちぎった手はすでにれいむのあたまのてっぺんに
ある。その手と、れいむのあんよを持った手。それらに上下から押さえつけられて、口を
開けられなくなってしまったのだ。
声をあげる代わりに、れいむは震えで苦痛を示した。
震えは二つの動きから成った。
一つは、激痛による痙攣のビクンッ、ビクンッ、という動き。
もう一つは、ちぎられたばかりの舌が口の中で暴れて、口の中でぶつかって生じる振動に
よるビクッ、ビクッという動き。
ビクンッ、ビクンッ、ビクッ。ビクンッ、ビクンッ、ビクッ。ビクッ、ビクッ、ビクンッ。
二種類の動きからなる奇妙な震えだった。
モミアゲもめちゃくちゃに動いている。
そんなれいむに、老人はそっと囁いた。
「……おくちをぎゅっと閉じるんじゃ。そうせんと、舌さんが二度とくっつかなくなるぞ」
れいむの餡子脳は痛みの激しさと唐突さのあまり、現状をうまく認識できないでいた。
れいむを見つめる老人は、いつもの微笑みを浮かべている。ゆっくりしている。ゆっくり
の本能はよりゆっくりとしたことを優先する。だから、わけがわからなかったけれど、老
人の言葉を信じてぎゅっと口を閉じた。それでも痛くてたまらなくて、れいむはぼろぼろ
と大粒の涙を流した。
れいむが口をしっかり閉めたことを確認すると、老人はすばやくれいむのりぼんに安全ピ
ンをつけた。
そして、れいむをくるりと反転させ、ゆっくりたちへと向けさせた。
「みんな! 『とくべつなあまあま』を食べて、れいむは泣くほどおいしいと言っておる
ぞ!」
「ゆううう、れいむ! よかったね!」
「ゆっくり! ゆっくりしてるね!」
激痛の震えも、苦痛の涙も、なにが起きたか見ていないゆっくりたちには伝わらない。信
頼している優しい老人の言葉の通り、れいむがゆっくりしているものと信じ込んでいる。
「……はやくおうちに帰るんじゃ。おうちでゆっくりせんと、舌さんはくっつかんぞ?」
ほかのゆっくりに聞こえないよう囁くと、老人はれいむを石畳の上に降ろした。
激痛に苦しむれいむは、老人の言葉だけを頼りに一目散で駆けだした。泣きながら、震え
ながら、まるで痛みから逃げようとするように必死に跳ねていった。
「ゆうう! れいむとってもげんきだよ!」
「あまあま、とってもおいしかったんだね! よかったね!」
それを見るゆっくりたちはのんきな様子だった。
これは何度も見たことのある、ありふれた光景なのだった。
「さあ、おまえらももう帰るんじゃ。あんまりここでゆっくりしとると、怖いおにいさん
が来るかもしれんでのう」
老人の言葉が締めになった。
「おじいさん、ありがとう!」
「おいしかったよ、おじいさん!」
「おじいさん、ゆっくりしていってね!」
感謝の言葉を残し、ゆっくりたちはそれぞれ散っていった。ゆっくりにしてはなかなか素
早いその様子は、街に住む野良ならでは、と言った感じだった。
老人は満足げにそんな様子を眺めた。
「さて、わしも帰るかのう」
そして、老人も歩きだした。
腰をたたきながら気怠げに、しかしその顔には晴れわたった笑みをたたえて。
老人は、若い頃からゆっくりの虐待を趣味としていた。その趣味は長続きし、老後もゆっ
くりを虐待して過ごそうと考えていた。
だが、それは難しかった。
老人は身よりのない独り身、年金でどうにかこうにか細々と暮らすといった感じだった。
そうすると、ゆっくりが手に入らない。昔はゆっくりなど簡単に捕まえられたものだが、
最近は野良も警戒心を増してすっかり姿を見かけなくなってしまった。野生のゆっくりを
捕まえる為に山へ入るというのも老いた身には厳しい。ペットショップの安売り品を買う
にしても、収入が限られた今ではあまり気軽には買えない。
ゆっくりは二匹いれば簡単に増やせるものの、維持費がかかるし手間もかかる。
そもそも、若い頃のように凝った派手な虐待は、老骨には厳しく、楽しさより大変という
念が強かった。
そこで考えたのがこの虐待だ。
毎週決まった曜日、決まった時間に野良があつまるよう餌付けする。ばらまく餌はペット
ショップの特売品で、金は大してかからない。
そして、集まったゆっくりのうち一匹だけ選び、舌を根本からひっこ抜き、おうちに帰ら
せる。このとき「口を開けずおうちでゆっくりすれば治る」と吹き込む。それはあくまで
その場で悲鳴を上げず、とっととおうちへ帰らせるためだ。いくらゆっくりが思いこみの
ナマモノと言っても、そんなことで引っこ抜かれた舌が治るはずもない。
ゆっくりの舌は人間の手にあたる。それを失うのは野良としては致命的だ。
また、舌は食べ物をのどの奥まで送り込む役目も持っている。それが根本から無くなるの
だから、ものを食べることすらできなくなる。
窮状を仲間に訴えようにも舌がないのだからまともに喋れない。たとえ口の中を調べられ、
舌がないことに仲間が気づいたとしても、老人に結びつく可能性は低い。そのためにすぐ
に家に帰らせたのだ。真相が発覚するまでの時間差が老人の原因だと考えさせるのを阻害
する。
そのため、老人はツガイのいない、独り身のゆっくりを選ぶ。虐待経験の長い老人は見た
だけでそのくらいは区別がつく。
老人の予測では、舌を抜かれたゆっくりは、ほとんどが激痛のまま誰に助けも求められず
ひっそりと死ぬ。
毎回目印に安全ピンを飾りにつけてやるが、今までそれをつけたゆっくりが日曜の朝、公
園に再びやってきたことはない。
「そういえば、あいつは違ったのう……」
老人が思いだしたのは、ある街角で襲いかかってきたまりさだ。おぼうしの安全ピンは間
違いなく老人のつけたものだった。
そのときは、たまたま近くを通りかかった「親切な青年」がゆっくりをたたきつぶしてく
れた。
声にならない悲鳴を上げ、無念の籠もった目を向けながら、まったく関係のない人間につ
ぶされるまりさ――その光景は、自分で虐待するのとはまた違った悦びを老人に感じさせ
てくれた。
「またああいうことがあれば楽しいんじゃがのう」
老人は笑みを深くした。
毎週日曜の早朝。ゆっくりの舌を引き抜く。
次の日曜まで、舌を抜かれたゆっくりがどう苦しむか想像して楽しむ。
それが老人の今の虐待。
大して金もかからず、老いた身でも無理なくでき、しかも長期間にわたって続けられる、
のんびりとした虐待。
退屈で暇な時間の多い老人の生活を潤す、甘み。
老人にとっての、それが『とくべつなあまあま』だった。
了
by触発あき
nue010 anko705のあの人の人生
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このSSへの感想
※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
- じいさんwwwwwwwwwwwwww -- 2015-11-29 09:06:45
- 老後はこんな感じに生きたいな。
…まずゆっくりがいない訳だが。 -- 2012-10-18 01:09:56
- じいさんに乾杯 -- 2012-07-23 15:07:48
- じいさん、先輩すぎるwww -- 2012-07-20 23:16:51
- いつか家族持ちのゆっくりを虐待する術も編み出してほしいな。
-- 2011-03-05 00:11:52
- しぶいなあ、大人の虐待だね -- 2011-03-04 15:46:35
- なるほど、ゆっくりフードは寄せ餌なのかw
家庭をもってるゆっくりには無害で優しいおじーさんなんだろうな~ -- 2010-10-19 17:46:55
- ゆっくりした虐待だなぁ
じいちゃん長生きしていってね!! -- 2010-09-30 06:34:12
- ゆっくりできないくそじじいはえんまさまにしたさんをひっこぬかれてね!! -- 2010-07-17 03:11:43
- こういうのいいなあ・・・。 -- 2010-06-10 01:48:00
最終更新:2009年12月25日 18:39