プラネット・ゆース ~ドスまりさ~ 12KB
観察 パロディ ドスまりさ 自然界 独自設定 環境番組風 二行作
ゆっくりの知られざる生態に迫る『YHKスペシャル プラネット・ゆース』。
本日は、その第三夜です。
内容には、『独自設定』『ネタ被りの可能性』『虐描写の物足りなさ』が含まれています。
ご容赦下さいますよう、よろしくお願い致します。
当局は、ゆ虐専門チャンネルではありません。
ゆ虐専門は『ゆナッフTV』を、すっきりーに関しては『パラダイゆch』をご利用下さい。
『YHKスペシャル プラネット・ゆース 第三夜
~ドスまりさ たったひとつのゆっくりプレイス~』
広い岸壁。遥か上空からの映像です。
灰色の岩々に紛れるように、2つの黒い何かが見えます。
それは、まりさのお帽子。
ドスまりさの親子が、海を見ています。
何も、美しい景色に酔いしれているわけではありません。
親ドスが天気を読み、それを子ドスに教えているのです。
雨に弱いゆっくりにとって、天候はまさに死活問題。
群れを治めるドスまりさにとって、天気予報は必修科目です。
これから、このドス親子は旅に出ます。
一見地味な、天候の予測。
実はそれこそ、大冒険の始まりでもあるのです。
ドスまりさ。
ゆっくりの長となる生き物です。
近年、人里に下りてきては被害をもたらす、ドゲスや無能ドス。
これらは、正確には、ドスまりさではありません。
ドゲス等は、生物学的には、変異型大まりさ種と呼ばれます。
環境の変化等による突然変異によって、ドス化するので、こう呼ばれます。
変異は、身体能力の大幅な向上を促します。
しかし、思考能力の向上には、教育や経験が必要となります。
経験を伴わない肉体の躍進は、当然、慢心を呼び起こします。
これが、ドゲスに到るメカニズムなのです。
対して、先祖代々の餡統により、ドスとなるものがいます。
これが、本来のドスまりさです。
変異型と区別して、純ドスとも呼ばれます。
純ドスは総じて聡明です。
群れを正しく導き、特に天敵や脅威には敏感に反応します。
そのため、人間の前に姿を現すことは、ありません。
森の奥深くや、険しい山々に身を潜め、群れと共に生活しています。
こちらから、純ドスに接触を試みる研究者もいます。
しかし直接、コンタクトに成功したものは、いません。
これほどまでに警戒心の強い、純ドス。
カメラでの撮影は、不可能とされてきました。
それを可能にしたのは、人工衛星。
ゆーグル社の協力を得て、最新の超高感度カメラによる撮影を行いました。
人工物には繊細に反応する、純ドス。
そんな彼らでも、上空500kmからの視線を、感じることはできません。
最先端技術を投入して行われた、純ドス撮影計画。
しかし、実際にその姿をとらえるまでに、3年の歳月を要しました。
海にたたずむ、純ドスの親子。
この何気ない映像こそ、世界初の快挙なのです。
翌日。
ドスの親子が、驚くべき行動に出ます。
少し低くなっている岸辺に、2匹のドスが移動しました。
波しぶきがかかっていますが、お構いなしです。
なんと、親子は、大事なはずのお帽子を、海に降ろしました。
大小の帽子が、仲良く波間に浮かんでいます。
長い棒を、2つの口がくわえました。
そして、海へ向かって、飛びます。
一家心中ではありません。
驚くべきことに、2匹のドスまりさは、お帽子の上に下り立ちます。
そのまま、口から伸びる棒をオールとして、沖へ漕ぎ出すのです。
まるで、水上まりさのように。
ドスまりさ親子の旅。
それは、航海です。
あなたはきっと、こう思ったことでしょう。
ドスまりさの巨体を、あんなお帽子程度の浮力で、支えられるのか、と。
水上まりさとお帽子の関係は、ゆっくりの謎として、よく語られます。
明らかに、質量と浮力がつりあっていないからです。
ここに未検証ながら、ある仮説があります。
お帽子内部にはガスが溜まっている、という説です。
密封されたペットボトルは、見た目以上の浮力を持ちます。
水難事故の際、浮き輪の代わりに使用されるほどです。
そして、水上まりさとお帽子は、ぴったりと密着しています。
頭からお帽子を離さない時と、同じような接着作用が働いているのです。
つまり、水上まりさは、ちょっとした浮き輪の上に乗っていることになります。
気体である以上、空気が抜けて帽子が萎んでいくことも、考えられます。
そのため、まりさのあにゃる部分から、ガスが補充され続けているのではないか。
研究者の中には、そんな考えを持つ者もいます。
お帽子内部のガスの成分に、着目する人もいます。
驚くべき性質を持つ、未知のガスであるという、期待です。
しかし、水上まりさの脆弱さ故、調査は難航しています。
ドスまりささえ支える、お帽子の謎。
ゆっくりはまだまだ、ミステリーに包まれた存在なのです。
ドスまりさ親子の旅は、続きます。
沿岸部から出た彼らは、外洋に到り、さらに沖を目指します。
その時速は約4km。
人間の散歩と同じ速度です。
空は快晴。波は穏か。ドスにとっては、絶好の航海日和。
恐らくは、そんな天候を選んでいたのでしょう。
このような環境は、旅の終わりまで、続きました。
時折、海水が跳ねて、ドスゆっくりの皮膚にかかります。
しかし陽光が、あっという間に、それを乾かしていきます。
海の色が、深くなりました。
ここまで来ると、海の生き物の姿が、消え始めます。
シャチも出ません。
外洋は、まさに、海の砂漠。
2匹のドスは、オールを漕ぎ続けます。
休みなく続くその行為は、激しい疲労を伴うことでしょう。
しかし、親子の表情は、意外にゆっくりしています。
夜になりました。
2匹のドスは身を寄せ合います。
不思議にも、饅頭の塊は、少しづつ、沖へ沖へと流れていきます。
彼らは海流さえ、味方にしているのでしょうか。
暗くなると、ドスまりさの姿が、闇に溶けてしまいます。
衛星に取り付けられた赤外線カメラが、僅かにその輪郭を写すのみです。
オールだけは、離していないようです。
ゆっくりの歯は、意外に強いものです。
根野菜を噛み、棒を口でつかみ、オールにしたり、敵と戦ったりもします。
しかし、ゆっくりの顎に当たる部分には、骨がありません。
これでは、噛む力に負けて、歯がポロポロと抜け落ちそうなものです。
ドスまりさが眠りに付いている間に、その秘密を解き明かすことにしましょう。
ゆっくりの口の中にある白いものを、私達もゆっくりも、『歯』と読んでいます。
饅頭生物はそれを使い、咀嚼だけではなく、手の代わりに色々なものを扱います。
ですが、ゆっくりを研究する人々は、それが歯ではないことを、知っています。
実際には、爪に近いものです。
ゆっくりの『歯』は奥に行くにつれ、丸い曲線を描き、根元は外皮に直結しています。
他の動物と違い、口の中の皮から直接、生えてきているのです。
『歯』自体の強度は弱いものの、緩やかに湾曲した形状がバネとなり、衝撃を和らげています。
この弓なりの形は、グリップを強める効果もあるのです。
下の『歯』を支える皮膚は、あんよ周辺のもので、ゆっくりの中では一番頑丈な部分です。
この下顎ともいえる部位が、ゆっくりの噛む力の源となります。
いわゆるテコの原理を応用し、時には『歯』の強度をはるかに越えるものさえ、噛み切ります。
栓抜きを思い浮かべれば、分かりやすいかもしれません。
野生ゆに、硬いダイコンなどが食べられてしまうのは、このせいです。
ドス種のあんよは、巨大な重量を引き受けるほどの、頑丈さを誇っています。
それに連なる『歯』もまた、連日のオール漕ぎを苦にしない、強さを持っているのです。
外皮部分に深刻なダメージを受けると、『歯』も同時に機能を失います。
しかも抜け落ちる時は根元から剥離してしまうので、再生することもできません。
口からポロポロとこぼれ落ちる白いものを見て、誰もが『歯』だと思ってしまいがちです。
あらゆる常識に囚われないことが、ゆっくり研究の基本なのです。
ドス親子の旅は、2日間に及びました。
その行程はおよそ100km。
フェリーなら2時間程度の道のりですが、ゆっくりにとっては、命がけの航海です。
ある場所で、2匹のドスまりさは静止します。
おさげにオールを絡ませ固定し、留まる体勢に入りました。
そこは一見、何もない、単なる海のど真ん中に見えます。
解析の結果、ここはあらゆる水の流れが及ばない位置だということが分かりました。
波さえ穏かであれば、いつまでもそこで漂っていられる場所です。
ここに来て、彼らがまず行ったこと。
それは、平凡な、すーりすーりでした。
暖かな日差しの中、ゆっくりと、愛情を確かめ合っています。
それが一段落すると、口をパクパクと開き合います。
おうたを歌っているようです。
衛星カメラからの映像のため、音声は取れていません。
しかし、そのゆっくりとした表情は、俯瞰視点にも関わらず、鮮明に分かります。
ゆーグル社クルーの、技術の賜物です。
この光景だけ切り取れば、水上まりさ親子の、何でもないスキンシップに見えます。
実はこれこそが、危険を冒してまで旅をしてきた、ドス親子の目的なのです。
純ドスは、ゆっくりの長です。
それは、ゆん生の全てを、他のゆっくりに捧げることを意味します。
ドスとなったが最後、自分がゆっくりすることは、叶わないのです。
ドスはその巨体故、自然の驚異に、最もさらされます。
それにも増して恐ろしいのは、人間です。
発見次第、駆除されてしまうことを、純ドスのまりさは知っているのです。
これらの危機から群れと自分を守るため、純ドスは絶えず緊張していなければなりません。
どこかでこっそりゆっくりしようにも、特性が邪魔をします。
ドスのゆっくりオーラが、他のゆっくりを呼び寄せてしまうのです。
純ドスがゆっくりできる条件とは、ゆっくりにも、人間にも、天候にも邪魔をされないこと。
そんな条件を満たした数少ない場所が、ここ、外洋のど真ん中なのです。
大海原は砂漠や極北ほど過酷ではなく、遥か沖に到れば、生き物の数も少なくなります。
しかも今、ドス親子がいる周辺は、船舶の航行ルート等からも外れています。
母なる海。
それこそが、ドスまりさの、たったひとつのゆっくりプレイスなのです。
一昼夜かけて、他愛もない行為は繰り返されました。
変化は、翌朝、やってきました。
親ドスが、穏かな笑みを浮かべ、空を見ています。
子ドスは、泣いていました。
大きな方のドスが、おさげを振り上げました。
今まで旅を共にしてきた、ひとつのオールが、あらぬ方向へ飛ばされ、流されます。
親まりさが、目を閉じました。
金髪が風になびき、笑顔が、より鮮やかになります。
子ドスが、驚くべき行動に出ます。
そよぐ金髪ごと、親の頭部を、かじりました。
止めどなく涙を流しながら、まりさは、咀嚼します。
子は親を、食べ続けました。
時折、嗚咽しているのでしょう。
口の中の餡子が、ポロポロと海の中へ落ちていきます。
どんなに自分が減っていっても、苦悶ひとつ、親まりさは表しません。
笑み結ばれたままの口元が、人間の目には、より凄惨なものに見えてしまいます。
恐らく、親ドスは幸せなのでしょう。
それは同時に、中身がパサパサしておいしくないことも意味します。
この共食い行為には、どんな意味があるのでしょう。
世話品大学の滋賀博士は、こう分析しました。
「この一連の行為は、親ドスから子ドスへの、継承の儀式のようなものです。
子が親を生きたまま食べることにより、記憶餡を直接取り込むことができます。
経験と記憶が、完璧に受け継がれるのです。
純ドスが、ゆっくり種としては考えれないほど賢いことも、これで説明が付きます。
もうひとつ、考えられることがあります。
それは、食べることそのものを、忌避させることです。
純ドスには、あらゆるゆっくりが許されず、食事も例外ではありません。
第一、あれだけの巨体です。
無計画に食事すれば、あっというまに群れ全体が飢えるでしょう。
だからこそ、ここで食事そのものへの、トラウマを植えつけているのです。
もしかしたら、このたった一回の食事が、ドス一生分のカロリーとなるのかもしれません」
遂に親ドスの体が、半分以下になりました。
残された口元は未だ笑っています。
もう、生きてはいないでしょう。
子ドスは、泣き止んでいます。
記憶餡が、吸収・継承されたようです。
たったひとつになったドスが、再びオールをくわえます。
棒の先で、半分になった饅頭を突き、海へ落としました。
深い深い海底へ沈んでいく、親まりさ。
もしかしたら、たくさんのドスが、こうやって溶けていったのかもしれません。
新しいドスが、器用に親のお帽子をオールにひっかけて、被ります。
もし不意に雨が襲ってきたとしても、多少は防ぐことができるでしょう。
やや小ぶりだった子ドスの体は、一回り大きくなっていました。
その表皮も海と潮風にさらされて、厚く丈夫になっています。
ドスは、来た道を戻っていきます。
群れに、帰るのです。
陸にあんよを付き、群れへ入った瞬間から、ドスとしての生活が始まります。
とても、過酷なものです。
それでもドスまりさは、耐え続けることでしょう。
いつの日か、愛する我が子と共に、再びゆっくりプレイスを訪れる時まで。
偉大なる親と同じ場所に、還る日を夢見ながら。
『YHKスペシャル プラネット・ゆース 第三夜
~ドスまりさ たったひとつのゆっくりプレイス~』
製作:
YHK(ゆっくり放送協会)
カメラ:
脳内
音楽:
脳内
特殊:
脳内
協力:
ゆーグル
世話品大学
脚本・語り:
二行
収録:
餡小話
ふたばSS@WIKI
『プラネット・ゆース』第三夜、いかがでしたでしょうか。
次回の放送は、未定です。
取材が進み次第、公開して参ります。
リクエスト等ありましたら、是非、お寄せ下さい。
ありがとうございました。
(終)
【過去作】
nue059 「スキャット・ゆん・ジョン」
nue022 「ゆナッフTV」
nue009 「ブラックペーパー・チャイルド」
トップページに戻る
このSSへの感想
※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
- よく考えられた話だなぁ
とてもゆっくりできました -- 2012-06-23 20:36:26
- 最初に書いてたけど、ほんとにゆ虐成分薄いなぁ。
まさにゆっくりを生き物としてとらえてるのが良い。
けどもう少し苦行がほしかった・・・そんな風に思うのは俺が末期だからですね、わかります
最近はゆっくりが幸せそうにしているだけで潰したくなるorz -- 2011-10-29 01:20:07
- おお、こういうドスは良いなぁ…
親の深い愛情を感じるよ。
ドスがゆっくりするのは本当に大変何だなぁ -- 2010-11-12 18:47:39
- 面白かった -- 2010-06-14 00:27:30
- いいなぁ、好きだ、こういうの -- 2010-04-07 14:46:59
最終更新:2010年02月13日 17:57