すないぱーうどんげ養成所の最終試験 27KB
考証 理不尽 差別・格差 仲違い 誤解・妬み 実験・改造 同族殺し 飼いゆ 野良ゆ ゲス 希少種 現代 虐待人間 独自設定 ゆっくりうどんげがたくさん出ます。
・うどんげ等の希少種いじめにもなっているので御了承下さい。
・俺設定あり。
・続きものです。
天然あき
「ゆわあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛おうちかえるう゛う゛う゛う゛う゛!!?」
広い草原の中を一匹のまりさが泣きわめきながら逃げていく。
辺りには身体に穴が空いたゆっくりの死骸が散乱している。
今や生きているのはまりさのみ。
他のゆっくりは訳がわからないまま穴を空けられて死んでしまった。どうして死んでしまったのか…それはまりさにもわからなかった。
ただわかることは一つ。
もう他に残っているゆっくりはいない。
次は自分の番だという事だ…。
「しにだぶない!!まりざはまだゆっぐりじだいんだあ゛あ゛あ゛!!!」
力強く跳ね、一刻も早くこの場から逃れようとするまりさ。
しかし、
「ゆぴいい!?まりざのおぼうじがあ゛あ゛あ゛ッ!!?」
何かがまりさの帽子に命中し、吹っ飛ぶ。
離れた場所に落ちる帽子。
「ゆ、ゆううう!!?」
ゆっくりにとっては命に等しい帽子。
これが無ければゆっくり出来なくなってしまう。
だが今取りに戻ったらまりさも穴が開いて死んでしまうかもしれない。
迷ってる暇はない。
「おぼうしはそこでゆっくりしてってね!!」
まりさは結局帽子よりも自分の命を優先した。
賢明な判断といえよう。
ただ…、
「ゆびょぉッ!!?」
戻ろうと戻るまいと、結局死ぬことに変わりなかったが…。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「もくひょうにめいちゅうしたよ。これでみっしょんはしゅうりょうだね!」
「ゲラ!」
まりさが死んだ場所から直線上に胴付きゆっくりうどんげとゆっくりれいむがいた。
ゆっくりうどんげの手にはゆっくりうどんげ用のスナイパーライフルが握られ、れいむには双眼鏡を付けられていた。
そうあのまりさを含め、ゆっくり達を殺したのはこのうどんげ達だった。
「もうすぐさいごのしけんだね。きあいいれていくよ!」
「ゲラァ!!」
れいむの言葉に頷くうどんげ。
ここはゆっくりうどんげを一流のゆっくりすないぱーとして成長させる為の養成所兼実験場である。
ゆっくりうどんげのすないぱー技術などを使って遠方からドス等の人間に害を為しそうなゆっくりを人間に被害なく出来ないか?
そういう考えが基で始めたのがすないぱー養成所だった。
この二匹はその養成所で飼育中のコンビだ。訓練も終盤に近付き、もうすぐ実戦に投入される予定だ。
「三発無駄弾を使ったな。それに最後のまりさを殺すのに時間がかかり過ぎだ」
「ゆ、ゆうう…ごめんなざいきょうかん…」
「ゲラ…」
二匹の成績を見て、教官らしき人間がうどんげ達の技量を判断する。
「ランクは一応Aだがもう少し精進しろ。もうすぐ卒業して実戦に投入するのだからな」
「ゆうぅ…わかりましたきょうかん…」
「ゲラ…」
あんまり芳しい結果ではなかったようだ。
それもそのはず、れいむ達はゆっくりを全滅させるのに時間が掛かりすぎた。
最後のまりさに至ってはわざと先に帽子を打ち抜いてまりさをいたぶって楽しんでいた。
教官が去った後、さっきまでの反省の色が嘘のように二匹は騒ぎ出す。
「まったくあのきょうかんはあたまがゆっくりしてないよ!くずはちゃんところしたんだからそれでいいはずだよ!」
「ゲラゲラ!」
上官の忠告など何処吹く風、この二匹は遠方から一方的に他者を殺せる自分達に酔っていた。
「こんなときはじしゅれんしてくずをころしてすっきりしようね!」
「ゲラ!!」
あくまですないぱー養成所で教えるのは効率のいいゆっくりの殺し方であり、殺しを楽しむなど以っての外なのだがこの二匹はそれがわからなかった。
慌てふためくゆっくりを何が起きているか理解出来ずに死んでいく。その滑稽さがとても好きだったのだ…。
自分達が神にでもなったかのような錯覚に二匹は気付く様子も無かった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「いまなんだぜ!」
「ゲラ!」
「どうじでごんなごどずぶのおなじゆっブベ!!?」
練習場にれいむとうどんげコンビが行くとそこにはゆっくりうどんげとゆっくり
まりさがそこにいた。
「なにいってるんだぜ?
くずがまりさとおなじわけないんだぜ」
「ゲラァ」
この二匹はれいむとうどんげコンビと同期であり、ライバルでもあった。
「ゆ!れいむたちがなんのようなんだぜ!!ここはまりさたちのものなんだぜ!!」
「ゲラゲラァ!!」
れいむとうどんげコンビに気付いたまりさとうどんげコンビが言い放つ。
「なにいってるの!ここはみんなのものだよ!!」
「ゲラァ!!」
それに対して反論するれいむとうどんげコンビ。
これはいつもの事だ。
「まりさたちもよくあきないんだね、わからないよー」
「ゲラ」
「あんないなかものはほっときましょ!」
「ゲラゲラ」
やれやれと言った感じで他のすないぱー候補生が自主練を行っている。
ここのうどんげ達はまず最初にそれぞれ専用のゆっくりとコンビを組む。
そして狙撃技術を高め、ゆっくり駆除という任務につくのだ。
もうすぐ七組のうどんげすないぱーが最終試験を迎える。
「がんばってとっぷでそつぎょうしてたくさんゆっくりしてないやつらをころそうね!!」
「ゲラァ!!」
れいむとうどんげ…沢山いるからこれをAとする、うどんげAは楽しげに笑い合った。
彼女達は知らなかった…。
最終試験がどんなものであるかを…。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ではこれより最終試験を行う」
教官らしき男性が控室で横一列に並ぶうどんげA~Gに告げる。
だが肝心のうどんげA~Gはあたふたと落ち着きがない。
パートナーであるゆっくりがいないからだ。
それを見越した教官は、
「安心しろ。パートナーなら別の場所にいる。今回はお前達だけで試験に当たってもらう」
と告げた。
「ゲラ!?」
うどんげ達はその言葉に安心と同時に不安になる。
今までともに頑張ってきた相棒抜きで最後の試験を受けなければならないのは心細いのだろう。
だが教官の命令は絶対だ。
異論を挟もうものならばどんなお仕置きが待っているかわからない。
「ではこれから任務の説明をする。今回の標的はこいつ等だ」
教官はそう言ってモニターのスイッチを押した。
「「「「「「「ゲラ゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!?」」」」」」」
そこに映された標的にうどんげA~Gは驚愕の叫びを上げる。
それを見て、今まで無表情だった教官は初めて愉快そうな笑みを浮かべ、
「これが、お前達の標的だ…」
と告げたのだった…。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ゆ?ここどこ?」
目を覚ますとれいむは広い草原の上にいた。
これといって隠れる場所がない場所だった。
「ここはどこ?うどんげ、はやくおしえてね!!…あれ、うどんげはどこ?」
れいむは辺りを見回すが誰もいない。
四六時中一緒だった相棒のうどんげはいない。
れいむには訳が分からない。
何故自身がこんな場所にいるのか?
どうしてうどんげがいないのか?
訳の分からない事だらけだ。
れいむは確かにうどんげと一緒にお部屋で寝ていた筈だ。
それなのに今ここにいる。
暖かいお布団も何もない。訳が分からない。
れいむは混乱していた。
すると、
「れいむがいたんだぜ!!」
後ろから声が聞こえてきた。
れいむが振り向くとそこには自分と同じように最終試験を受ける筈だったうどんげの相棒の六匹がいた。
まりさ、ちぇん、ありす、みょん、ぱちゅりー、胴無しきめぇ丸がいた。
きめぇ丸は同じ養成所のゆっくりを攻撃しないように飼育されている為誰も危機感を感じていない。
「れいむ!ここはどこなんだぜ!?」
まりさがれいむに突っ掛かる。
「しらないよ!!まりさこそここがどこかおしえてね!!」
「おお、やはりやはり」
「むきゅ、ここにいるのはぱちぇたちだけみたいね」
「わからないよーしけんがもうすぐはじまっちゃうよー!」
「そうだみょん!はやくうどんげのところにもどらないとたいへんだみょん!」
「とかいはなうどんげならだいじょうぶだとおもうけどありすがいてあげたほうがいいわ!」
各々が好き勝手くっちゃべる。
だがわかる事は一つ。
今状況を説明出来るものはいないという事だ。
「むきゅ、とりあえずどうしてぱちぇたちがここにいるのかみんなわからないのね」
「そうなんだぜ!!こんなところであぶらうってないではやくしけんにいかないといけないんだぜ!!」
「そうだよ!こんなとこにはいられないよ!!」
「しかたないわ。とりあえずきょうりょくしてもどりましょ」
「それが妥当でしょうね。
おお、協力協力」
ライバル同士ではあるが最終試験当日である今日、その会場に早く戻りたい気持ちの方が強かったようで、意外にあっさり協力する事になった。
「でもどうするみょん?みょんたちはいまどこにいるかもわからないみょん」
「そうね、だれかとかいはなあんはないかしら」
「では、私が空を飛んで確認いたしましょう」
きめぇ丸が周囲に告げる。
「むきゅ、それはめいあんね!」
「わかるよーそらからならよくみえるんだねー♪」
周りも異議はなく、その方針で決まったようだ。
胴有りのきめぇ丸は飛べるが胴無しも飛べるようだ。
「それではいきます」
そう言ってきめぇ丸は飛びます。
そのスピードはあまりゆっくりしているとは言えないが今は一刻も早い帰還を目的としていたので誰も何も言わない。
「おお、高い高い」
地面にいるバスケットボール大のゆっくり達がソフトボール位の大きさに見える高さまで飛ぶと、きめぇ丸が空から周囲を見回しはじめる。
「おや、あちらの方に建物がありますね。
あれは…私達のお家ですね。おお、発見発見」
どうやらそう離れた場所ではなかったようだ。むしろどうしてすぐに気付かなかったのだろうと思うほどの距離だった。
「おお、これで帰れますね。おお、安心安心」
帰還の目途がついたきめぇ丸は一安心する。
…それがきめぇ丸の最後の安息だった。
次の瞬間、あまりにも突然に、きめぇ丸の右側頭部が吹き飛んだ。
「…ひゅご……!!?」
きめぇ丸には何が起きたかわからなかった。
突然何の前触れもなく与えられた致命傷。
飛ぶ事等出来る訳もなく地面に落下していく。
べしゃり、と地面にキスをするきめぇ丸。
その一部始終を見ていたれいむ達も現状を理解出来ない。
「ひぎぃ…は、はひゅ…!?」
結構な高さから落ちたにも関わらずまだきめぇ丸は死ねなかった。
残り一つとなった眼球でれいむ達を見つめる。
「だ…だひゅへ…」
半分になり、閉じる事も出来なくなった口から精一杯助けを求めようとするきめぇ丸。
きめぇ丸自身は気付いていない。
自分の傷が手の施しようもなく酷い事、そしてその傷がかつて自分が指示し、相棒が狙撃で仕留めてきたゆっくりと全く同じだったという事に…。
「お…お…じにたぐ…じに…な…」
きめぇ丸はくるんと目を白目にして息絶えた。
最期まで自分がどうしてこうなったか、何で死ぬのか、わかりはしなかった…。
そう…自分達が射殺したゆっくりと同じように…。
「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!?」
「な゛に゛ごれ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ッ!!!?」
「むっぎゅう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛ッ!!!?」
「ぢい゛んぼお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ッ!!!?」
「わがらな゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ッ!!!?」
「なにがおごっだんだぜえ゛え゛え゛え゛え゛ッ!!!?」
それぞれの阿鼻叫喚の様子を見せるゆっくり達。
それはそうだ。
突然空から周囲を見回していたきめぇ丸が死んだのだ。
冷静でいられる訳がない。
「わがらなあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」
狂乱して駆け出すちぇん。
通常種の中ではトップの素早さを持つちぇんの速さでどんどん他の五匹と距離が離れていく。
だが気が動転しているちぇんは気付かない。
そして、
「わぎゃあ゛あ゛ッ!!!?」
ちぇんのネコミミの右と頭の一部が吹き飛んだのだった…。
きめぇまる 死亡〔残り6匹〕
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
約一時間前…。
モニターに映るのはす~やす~やしている相棒のゆっくり達。
教官はそれを今日の標的と言い放った。
「ゲラァ!!?」
まりさの相棒であるうどんげBが教官に苦情を声をあげる。
だが教官はそんなもの取り合わない。そもそもなんて言ってるんだかわからない。
だから教官は無視する。
「見ての通り、こいつ等はお前等の相棒のゆっくりだ。こいつ等を仕留めた奴だけが実戦投入を許される」
「ゲ、ゲラァ…」
ちぇんの相棒のうどんげCが戸惑いの声をあげる。
「誰が私語をしといいと許可をした?」
「ゲラァ!!?」
教官はホルスターからハンドガンを取り出してうどんげCの足の間のスペースに発砲した。
「ゲ、ゲラァ…」
その教官に発砲されたショックでうどんげCはおそろし~し~をしながら座り込
んでしまう。
「次に無駄話をしたら頭を撃ち抜くからな」
教官に銃口を向けられたうどんげCはコクコクと頷く。
教官はそれを確認するとハンドガンをしまい、説明を再開した。
「お前達に与えられる弾数は七。
標的を射殺して得られる得点は自分の相棒は三、それ以外は一、合格点は四だ。
厳密、自分以外のうどんげや俺への発砲は強制的に不合格だ」
教官は淡々と告げる。
「今回は相棒がいないので自力で捜してもらう。わかったな?」
「「「「「「「…………………………」」」」」」」
「返事がないという事はわからないという事か?」
教官はハンドガンを取り出してうどんげ達に向ける。
「「「「「「「ゲラア゛ア゛!!!」」」」」」」
殺される!と直感したうどんげ達は一斉に返事する。
「わかったのなら射撃場へ向かって準備しろ」
教官はそう言うと告げると控室から退出していった。
「ゲ、ゲラ…」
「ゲラァ…」
突然ずっと一緒だった相棒を殺せと言われてはいわかりましたと言える訳がない。
だがさっきの教官が本気であったのは全てのうどんげが理解していた。
逃げる事等出来はしない。
居場所はここにしかないのだから…。
うどんげ達は結局…教官の言う通りに行動した。
それ以外の生き方を知らない彼女達にはそれしかなかったのだった…。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「に゛ゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?わがだな゛いよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?」
右のネコミミと頭の一部が吹っ飛んだちぇんは泣き叫ぶ。
その傷は自分の顔の一部をあげたアンパ○マンのようだ。
ちぇんには訳が分からなかった。
きめぇ丸が死んで、逃げ出したら今度は自分の一部が吹き飛んだ。
「むきゅ…まさか…」
「とかいはじゃないわ…」
しかし、ちぇんときめぇ丸の例から他のゆっくりは現状を理解し始めた。
だが皆それを否定しようとしている。
嘘だと願っている。
「もしかして…れいむたちがひょうてきになっちゃったの…?」
れいむは正解を導き出していた。
だが即座にそれを否定する。
そんな筈がない。自分達はあんなクズな奴等とは違う、選ばれたゆっくりなんだ!
…そんな幻想がれいむ達を現実から逃避させていた。
しかし、
『これじゃ試験にならないな』
いきなり何処からか教官の声がした。
ただ単純に拡声器から出しているだけなのだが拡声器自体を知らないゆっくり達
には何処かに教官がいると勘違いした。
「きょうかんのじじいのこえがしたんだぜ!!?」
「むきゅ、ゆっくりしないでぱちぇをたすけてね!!」
「とかいはならありすをたすけるべきよ!!」
「れいむをはやくたすけてね!
ぐずはきらいだよ!!」
「ちいんぽおおおおおおおお!!!」
「わぎゃだな゛いよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?」
それぞれの反応を示すゆっくり六匹。
教官はそれに気にもせず話を続けた。
『よし…聞こえているようだな。ならさっさと済まそう。お前達、そこでうどんげに撃たれて死ね』
「「「ゆ?」」」
「むきゅ?」
「みょん?」
「いだいよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?」
その言葉にれいむ達は理解出来なかった。
なにいってるの?
どうしてれいむがしななくちゃいけないの?ばかなの?しぬの?
れいむはとくべつなんだよ。
そこらへんのくずとはちがうんだよ。
だからたすけないと…。
そこから先は考える余裕は無かった。
何故なら、
「ゆに゛ゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」
ちぇんの無事な方のネコミミが吹き飛んだからだ。
またやって来た何か…いや、もうそれが何なのかれいむ達にはわかった…。
かつて自分達が指示し、標的となったゆっくりを殺す、うどんげの放つ銃弾。
先程までと違いより現実味を持ってしまった標的にされたという答え…。
『これからうどんげ達がお前等を狙撃する。死にたくないのならせいぜい足掻け…。お前達が特別なゆっくりなら生き残ってみせろ。ただのゆっくりと同じならただのゆっくりと同じように死ね……さぁ、最終試験の再開だ』
「にゃぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぶべ!!?」
そして…否応なしに狩られる側だという事を知らしめるが如くにちぇんの身体に風穴があく。
それは同時に最終試験の開始のホイッスルとなったのだった…。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
最終試験が始まったばかりの頃…。
横一列に並ぶうどんげ達は自身の狙撃銃に付いたスコープで獲物を捜す。
まだうどんげ達は半信半疑だった…。
教官が冗談を言っているのだと無理矢理に自分を納得させていた…。
しかし、それが現実逃避でしかないのも理解していた。
だがうどんげ達は言われた事をするしかない。
元より選択肢なんてないのだ。
今は獲物…となった相棒達を捜すのが先決だ。
見つけた後の事は考えないようにして、ただ捜すのみだ。
そして、それは思いの外早く見付かった。
それはそうだ。
あまりにも無防備にそらをきめぇ丸が飛んでいたのだから…。
「見付けたようだな…」
双眼鏡も何も付けていないのに…きめぇ丸の事に気付く教官。
そしてうどんげ達の反応からそれを発見したという事に気付いていた。
「見つけたのなら早急に射殺しろ。相棒ならば三点だ。それ以外は一点…ここで相棒のゆっくりを逃すと合格は難しくなるぞ」
教官は淡々と告げる。
冗談だ、とは言ってくれない…。
しかし誰も引き金を引けない。
相棒であるうどんげGは勿論の事、他のゆっくりもライバルとはいえ同じ鍛練を重ねてきたゆっくりを殺すのに抵抗があるようだ…。
すると、
「ああ…そうかペナルティの説明をしていなかったな…だからそんな余裕なんだな…」
何時までも撃たないうどんげ達に男は告げた…。
「この最終試験の不合格者は…粗悪品とみなし、処分する…つまりは殺すという事だ。覚悟しろ」
ペナルティという名の死刑宣告を…。
「ゲラァ!!?」
突然言われた殺す宣言。
いつも殺す側だったうどんげが殺されるかもしれない側となった事に現実感を感じられなかった…。
「ちなみに俺は嘘を言うつもりはない。不合格者には死んでもらう。あと、もし俺に危害をくわえようとするならばそいつも強制的に不合格となるので覚悟しろ…」
教官はそう言いながらも手に持つハンドガンの引き金から指を離さない。
敵対すれば即座にそれでうどんげ達を殺すのだろう…。
「撃たないのか?」
突然教官はうどんげGに問い掛ける。
あまりに無防備に空を飛ぶきめぇ丸。
ていのいい的だ。
まだ野生のゆっくりの方が周りを警戒している。
あれを撃ち抜くなど造作もないだろう…。
だが…、
「撃たないのか?それとも撃てないのか?」
「ゲ、ゲラ…」
うどんげGは小刻みに震えていた。
顔は青ざめ、恐ろしくて教官の方を見る事も出来ない。
「撃たないのなら…お前の合格する可能性は格段に低くなるぞ…」
相棒のゆっくりはそれぞれ違う。
三点という高得点を逃してしまえば合格の可能性はかなり低くなってしまう。
標的は七匹。合格点は四点。
相棒の三点を逃してしまえば四匹射殺しなければならない。
しかしそれは半分以上殺さなければならなくなる。
余程の実力の差がない限り合格は不可能となってしまう。
この最終試験でやらなければならないのは相棒の射殺、そして誰かの相棒を殺して同じうどんげに死刑宣告を告げなければならないという事だ…。
それを考える余裕は今のうどんげ達には無いが、一つだけわかる事がある。
やらなければ…殺される…。
「ゲラ…ゲラァ…」
「撃たないんだな?なら、お前はもうおしまいだ」
「ゲラァ!?」
うどんげGに対して告げられる教官の「おしまいだ」発言。
それはうどんげGには死刑宣告のように感じられた。
死にたくない。
初めて命の危機を感じたうどんげGに走る死の恐怖。
生の欲求。
野良や野生ならば誰もが勝ち取ろうと足掻くもの…。
今初めてうどんげGはそれを理解した。
しかし、ずっと共にいた相棒を殺すなんて出来ない。
今まで沢山のゆっくりを狙撃で射殺してきた。
だがそれと相棒のきめぇ丸は違う…。
大切な存在だ…けどやらなければうどんげ自身が死ぬ。
それは…嫌だった…。
自分の為に相棒を殺すか…相棒を殺さずに共に死ぬか…二つの選択肢しか無かった…。
そして、その葛藤は思わぬ形で終わりを告げた…。
「ゲラ?」
銃声が響いたと思ったらきめぇ丸の右側頭部が吹き飛び、地面に落下していく。
教官を除いた誰もがそれに呆然とする。
一瞬、何が起きたか理解出来なかった。
「それでいい」
ただ一人、教官だけがうどんげGに告げて離れていく。
「ゲ…ゲラ?」
うどんげGは自分の持つ銃を見る。
硝煙の臭いから自分の銃から弾丸が放たれた事を理解せざるをえない。
自分が殺した…。
いつも共にいた相棒を…自分の手で…。
呆然とした手で無意識に天秤にかけて自分の命を優先させた…。
いくら無意識とはいえあんな風に撃たれたゆっくりはまず助からないという事をうどんげGは理解していた。
「ゲラ…ゲラ…」
糸の切れたマリオネットのように俯いたままうどんげGは動かない。
だが突然、
「ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ!!!」
突然狂ったようにうどんげGは笑い出す。
おそらく精神が耐えられなかったのだろう…。
「ゲラ…」
「…ゲラァ」
他のうどんげ達はそれに恐怖し、ただただ呆然と見ていた。
しかし、
「余所見をする余裕がお前達にあるのか?」
教官の鋭い視線で我に返る。
教官の片手に持つハンドガンは何時でもうどんげ達を撃ち殺せるようになっている。
銃を持つものであるうどんげ達には銃を恐ろしさを嫌という程知っている。
うどんげ達に今の状況を打開するような名案は思い浮かばなかった…。
「ちぇんが逃げ出したみたいだな。お前は撃たないのか?」
「ゲラアァ!!?」
ちぇんの相棒であるうどんげCが助けを求めるような顔で周囲を見る。
「ゲラ…」
「ゲラァ…」
「ゲララァ…」
しかし誰もうどんげCとは目を合わせない。
明日は我が身なのだ。
一匹で身を潜めていればよかったのだがれいむ達は一箇所に固まってしまっていた。
だから全てのうどんげが相棒の姿を見付けてしまったのだ。
見つけたのなら撃ち殺さなければならない。
今は動揺して一匹暴走しているちぇんに教官が意識を向けているがいずれ自分達
にも番が来るのを理解していた。
だからうどんげCを助ける事なんて出来る訳無かった。
「ゲ、ゲラァ…」
カタカタとうどんげCが持つ狙撃銃が震える。
カチカチと歯が震える音も響く。
「撃たないのか?」
教官は問う。
さっきの焼き直しだ。
しかし、
「ゲラ…」
涙ぐむ目を閉じ、うどんげCは首を横に振った。
「撃たないんだな…」
「ゲラ…!!」
顔は蒼白し、恐怖に歪みながらもうどんげCは相棒を殺さない道を選んだ。
「そうか、それはこの試験を放棄したと考えていいんだな?」
教官の冷たい視線がうどんげCを射抜く。
「ゲ、ゲラ…」
しかしうどんげCの意志は固かった…。
恐怖しながらも教官を真っすぐに見据えた。
そして、
「ゲラ」
うどんげCは狙撃銃を教官に向けた。
完全な敵対行為…。
人間の保護下にいるゆっくりが絶対にしてはいけない行為だった。
「ゲラァ!!?」
「ゲラゲラ!!!」
笑い声に聞こえるが他のうどんげ達もうどんげCの行動に驚きを隠せない。
「ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ!!!」
狂ったように笑い続けるうどんげGの笑い声だけが場に響く。
「それが答えなんだな…」
教官は銃口を向けられながらも表情を一切変えない。
「ゲラ!!」
目に涙を浮かべながらもうどんげCは銃口を向けたままだ。
ゆっくり用とはいえ至近距離で撃たれたらひとたまりもない。
だからこそ厳正な審査が必要なのだ。
それはさておき本来なら危機的状況。
なのに教官は冷や汗一つ流さない。
「仕方ないか…」
教官はハンドガンを斜め上方へ向ける。
うどんげCにはその行動の意味がよくわからない。
そんな事してもうどんげCにも向こうにいるゆっくり達にも届きはしない。
「ゲラアア!!!」
うどんげCはハンドガンを捨てるように叫んでいるのだろう。
教官も雰囲気でわかる。
だが教官は眉一つひそめず、
「お前に一つ…最後の教訓を教えよう…」
淡々とした口調で告げる。
「ゲラ!!」
自分が銃を向けているのに一切恐怖する様子もない教官にうどんげCは得体の知れない気味の悪さを感じていた…。
他のうどんげ達はそれを遠目に見るしか出来ない。
うどんげCが教官を倒せば相棒を殺さずに済むかもしれない…しかしうどんげCに協力して失敗した場合は自身も粛清されてしまう。
それは嫌だった。その結果が見ているだけという行動だった…。
それを理解しているのか教官は他のうどんげ達に見向きもしない。
いやうどんげCにすら見向きもせず、ただ呟いている。
「心に刻め…お前が最後に学ぶ知識だからな…」
教官はそう告げた直後斜め上方へ向けて発砲した。
「蛮勇では…何も救えない…」
そう言いながら上方へ向けて発砲した。
撃った方角の直線上にはゆっくり達がいたが、少なくとも距離は300m以上。
ハンドガンで届くような距離ではない…筈だった。
「ゲラアァ!!?」
それは神業というより悪魔の所業だった。
当たる筈が無い。
少なくともそこにいるうどんげGを除くうどんげ達全員がそう思った。
しかし、教官の放った弾丸は遠く離れた位置にいるちぇんに命中させた。
それは一朝一夕で…いや一生かけても常人じゃ出来ない芸当だ。
だがそれを教官は何食わぬ顔で行った。
ハンドガンでも威力は下がるが放物線を描けば飛距離は伸びる。
しかしそれを故意に行う等不可能に等しい。
だがやった…それが全てだ…。
「ゲラ…」
うどんげCが思わずちぇん達のいる方向に意識を向けてしまった。
それは僅かな隙、だが教官からすればあまりにも大きい隙だった。
気が付いた時にはうどんげCの持つ狙撃銃は宙を舞っていた。
教官が蹴り上げたのだ。
「ゲラ?」
「不合格だ」
うどんげCが反応するよりも早く教官はハンドガンをうどんげCに向け、
「ペナルティとして自分の手で何もかも失え」
うどんげCの両足を撃ち抜いた。
「ゲラアアアアアアアアアアアアアアアアア!!?」
自分の両足を撃たれたうどんげCは立つことも出来ずに地面にはいつくばる。
そんなうどんげCを尻目に教官は自分の足で蹴り上げた狙撃銃を拾う。
「これは近距離で使うものでは無い位わかってるよな?」
「ゲラア!!?ゲラア゛ア゛ア゛!!!」
大粒の涙を流して泣き喚くうどんげC。
「わかるか?それがお前が今まで他のゆっくりに与えてきたものだ。よく噛み締めろ」
教官はうどんげCに一方的に告げながら狙撃銃をうどんげCに持たせる。
「ゲラアアアアアア!!?」
今まで痛みとは無縁だったうどんげCには耐え難い激痛に泣き叫ぶしか出来ない。
「ゲ、ゲラ…」
「ゲラアゲラァ…」
周囲のうどんげ達もあっという間にうどんげCを無力した教官に恐怖して近付こうとしない。
「これじゃ試験にならないな…」
撃つ様子のないうどんげ達に、動揺してあたふたしているだけのゆっくり達。
これでは試験にもなりはしない。
「仕方ない…」
教官はそう言って拡声器を持ってれいむ達に告げた。
死の宣告を…。
当然納得してくれる訳が無い。
だから教官は、
「いいか?これが最後のレクチャーだ。しっかりスコープで標的を確認するんだ」
無理矢理うどんげCに銃を構えさせ、射撃体勢をとらせる。
「ゲ、ゲラ!!ゲラァ!!」
うどんげCは暴れるが教官はしっかりとうどんげCを抱え込み、微動だにさせな
い。
「風向き、風量、日光に気をつけ…」
「ゲララァ!!?」
「標的を撃て」
教官はうどんげの指に覆い被せる形で発砲した。
スコープ越しにちぇんの無事な方の耳が吹き飛ぶのをうどんげCは否応なく見せ
付けられた。
「ゲラ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!?」
泣き喚くうどんげC。
しかし教官はしっかりとうどんげCを押さえ付けて身動き出来なくさせる。
「ゲラ!!ゲラアア!!!」
うどんげCは許しを乞うているのだろう。
言葉が通じなくても教官にはわかった。だが教官はそれを無視する。
教官はうどんげCを押さえ付けたまま、拡声器で標的であるゆっくり達へ告げる。
「死にたくないならせいぜい足掻け…。お前達が特別なゆっくりなら生き残ってみせろ。ただのゆっくりと同じならただのゆっくりと同じように死ね……さぁ、最終試験の再開だ」
そして、
「ゲラアアアアアアアアアアアア!!?」
うどんげCの指の上から押し付けるように、教官はちぇんを殺す弾丸を発射した…。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ゲラ…ゲラァ…」
相棒を死なせ、泣き崩れるうどんげC。
「さて…次はお前の番だ」
「ゲラ!?」
うどんげCに拳銃が突き付けられる。
「ゲラ…」
「言っておくが“不合格”は覆らない…じゃあな」
「ゲラア…!!?」
何かを叫ぼうとしたうどんげCに教官は迷い無く引き金を引いた。
直後、うどんげの左腕が吹き飛んだ。
「ゲラアアアアアアア!!?」
その光景に周りのうどんげ達が悲鳴を上げる。
うどんげCはそのまま地面に倒れ込む。
「ゲ、ゲラ…」
まだうどんげCは生きていた。
正確にはまだ死んでいないだけの話だが…。
「お前達もよく見ておけ…これが不合格者の末路だ」
教官はうどんげCの耳を掴み、持ち上げてぶら下がらせる。
「ゲ…ゲラァ…」
足は撃ち抜かれ、左腕はもう無い。
動く事さえ出来ず右腕で銃を払いのけようとするが無駄な足掻きだった。
「じゃあな」
「ゲラアアアアアアアア!!?」
教官はそんなうどんげCに対して何の表情の変化も見せずにうどんげの口に銃を突っ込み、発砲した。
「ゴヒュ…ヒュホ…」
だがうどんげCはまだ生きていた。
口が穴へと変化してはいるが…。
もはやうどんげCは声を出す事も出来ない。
そして、穴が開いた事によりうどんげCの皮が胴体部分を支えきれなくなった。
ブチブチと自重に耐えられなくなり分かれ始める。
「………!?………!!?」
目から大量の涙を流し、痛みに声にならない声で喘ぐうどんげC。
これならいっその事頭を撃ち抜かれた方がよっぽど幸福だったのかもしれない…。
そして、ブチリとあまりにも呆気なくなんの抑揚も何も無く地面に口から下が地面に崩れ落ちる。
うどんげCの口から上は白目を剥いてビクンビクンと痙攣している。
「さて…試験は始まったばかりだ…」
教官はうどんげCの残骸をどうでもよさそうに捨て、いつの間にか痙攣が止まって絶命したうどんげCの口から上の部分を踏み潰した。
不合格者はゴミ同然と言っているようなものだった…。
「さぁ、残り五体しかいない…不合格になりたくなければやる事だ…」
教官は銃から手を離さぬままうどんげ達に告げたのだった…。
ちぇん 死亡 〔残り5匹〕
うどんげC〔相棒ちぇん〕 不合格
現段階合格者0名
続く
あとがき
希少種愛で?なにそれゆっくりできるの?おいしいの?
と、いうわけで性懲りも無く再び長編にチャレンジ。
例によって人間がチートです。
銀バッジまりさの時とは違い、半分以上は書き上がっているのでそう待たせる事はなさそうです。
それでは、今回このSSを読んで頂き誠にありがとうございました。
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このSSへの感想
※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
- ゲラの死に方がエグい。 -- 2015-08-24 21:56:14
- ↓いい知識してんな。詳しくしりてぇ。 -- 2013-03-07 21:20:35
- 300mって・・・・・・・エリートでもハンドガンだと精密射撃できるのはせいぜい50m・・・
ハンドガンだと当たるどころかとどかんだろ -- 2012-07-26 18:05:55
- おもしろくないなあコレ -- 2012-03-10 00:29:00
- 教官すげぇ・・・。個人的にはゲラよりうさの方がよかった。 -- 2011-11-26 04:42:06
- あほみたいな人間だな
-- 2011-08-09 17:03:46
- チート過ぎるだろ・・・? この人間さんは・。 -- 2010-12-19 04:52:49
最終更新:2010年03月19日 11:03