スィークリング 14KB
パロディ 実験・改造 現代 独自設定 妄想垂れ流しです・・・すみません・・すみません・・・
・15回目
・普通じゃない普通種。
・スィーがふんだんに盛り込まれております。むしろ、スィーがメイン。
・ギャグじゃないのにギャグです。
・虐待どころか愛でもHENTAIもないです。
・ていうかSSじゃない。
・ヨロシクオネガイシマス
ゆっくりというのはその名の通り、移動する速度が異様に遅い。
手も足もなく矮躯なゆっくりが移動するには全身を使い跳ねるか、底部を波打たせてナメクジよろしく這うかしかないけれど、底部で移動することは野生のゆっくりに限らず飼いゆっくりだとしてもリスクも高い。
人間で言うなら、常時素足で行動していることになるからだ。
一応、底部を保護する飼いゆっくり用の靴は発売されていて保護団体が着用を奨励しているけれど、ゆっくり自体が履くことを嫌うから普及は滞っている。
そこで、あるゆっくりのおもちゃ会社がスィーという、プラスチック板に4輪タイヤをつけたものを発売した。
ゆっくりの思い込み(それを人間でいう自転車と同じと認識させる)によって動く何の変哲もない板は新しいゆっくりの移動方法として、主に飼いゆっくりがいる家庭で飛ぶように売れた。
今ではゆっくりの種類によって様々なデザインのものが発売されている。
四角い板に4輪タイヤをつけ、板の上にゆっくりを乗せる初期型スィー。板スィーとも言われていた。今は、後継機にその数を越された。
初期型スィーから発展させ、プラスチック板の初期型スィーで起きやすかった転落事故を参考に、形状をボウルのような半球にすることでゆっくりの安定性を確保したスィスィー。
スィスィーを基礎に、甲羅に当たる場所を窪ませゆっくりの底部を、更にがっちり固定できるように改良したれいむ種を飼う層に人気がある老亀スィー。
初期型スィーの直線的な形状を踏襲しつつU字型の流線形に加工し、後部にジェット噴射を模したパーツをつけた速度重視の箒スィー。これは、まりさ種に人気がある。
他にも、直立する人形の組んだ腕に抱きかかえられるようなありす種の人形型スィーや、開いた辞典のページ(ゆっくりだよ! からすっごいはやいよ! まで、6段階書かれている)によって、ギアチェンジが可能なぱちゅりー種の辞典型などがあり今もなお開発が続けられている。
スィーが普及したことで飼いゆっくり達の外出は容易になり、飼い主がついていなくともルールさえ守れば安全に一人で散歩などにも行けるようになった。
飼いゆっくりに一台スィー。
外出はおしゃれなスィー。
現在、それが当たり前になっている。
昼下がりの公園。休日ということもあり、家族連れやスポーツを楽しむ人々やスィーに乗っている飼いゆっくりとだんまくごっこをするゆっくり達の活気ある声で賑わっている。
わたしもそのうちの一人で、散歩がてら桜が咲く公園を飼いゆっくりのちぇんと歩いている。
「すぃーすぃーすーだららったッーすらすらすぃーすぃーすぃー♪」
わたしの歩幅に合わせて、ゆっくり走るスィスィーに乗る笑顔のなちぇん。
本来なら、スィスィーは人間が軽く走る程度まで速度が出る。そのために、速度を出しすぎたスィー同士の衝突事故が相次いでいる。
原因は、自制ができないゆっくりによるもの。いくら、飼いゆっくりだとしてもその個体差は激しく、そういう後先を考えないゆっくりもいる。こればかりは、飼い主の采配次第だ。
その点、うちのちぇんは自制できるほうのゆっくりで良かった。おかげでのんびり散歩を楽しめる。
しばらく桜並木を歩いていると、草むらからまりさが出てきた。
そのまりさは、ところどころ薄汚れていて飾りや髪はパサパサ。その癖何故か、最近めっきり見なくなった初期型スィーに乗っている。
明らかに野良まりさだが、一応確認をしなければならない。
飼いゆっくりというものは、基本的には、人工的に作り出される。そのサイズが最初から決まっており(赤ゆっくり約4~7cm、子ゆっくり約8~15cm、成体ゆっくり約16~27cm)、その大きさから変わることはない。
ペットショップに出荷されるその時に識別用として、サイズによって異なる大きさの丸い飴玉をうなじ辺りに埋め込まれる。
例外として、野生で拾ったゆっくりを飼う場合は、保護団体に申請もしくは試験を受けることでバッジが支給され、それを飾りにつけることになる。
赤い飴玉は、銅バッジと同等。白い飴玉は銀バッジと同等。黄色い飴玉は金バッジと同等。というようなものだ。
精神衛生上、先に罵倒を浴びせられるのは御免被るので、まりさが口を開く前に駆け寄り(ちぇんは「わからないよー」と言いながらもぴったり横についてきた)、なにやら、煤がつく髪を掻き分けてうなじを見る。ゆっくりには耳がないので、適当なのはここだけの話。
そこには、半球状に窪んだ跡しかなかった。
飼いゆっくりを手放す場合、飼い主はゆっくりから飴玉を取り外さねばならない。その飴玉は一種のCPUのようなものでもあり、飼いゆっくりの知能が良いのはこの飴玉があるおかげだ。
野生のゆっくりならば、飼いゆっくりや野良ゆっくりにはない排泄穴や子孫を残すために性器を持っている。
このまりさはどうやら、捨てられた飼いゆっくりのなれの果てである野良のようだ。
手を離して、手のひらの煤を払っているとまりさがこちらを睨んでくる。
「にんげんさんのくせに、まりさのかみのけさんにさわるとはいいどきょうなんだぜ・・・」
苦虫を噛み潰したような表情をするまりさは、しばらくするとわたしから興味をなくしたのか、わたしが突然走った理由が分からないと言いたげなちぇんを見据えた。
まりさは挑戦的な笑みを浮かべ、
「ちぇん。まりさとスィーレースをするんだぜ」
首をかしげるわたしとちぇんを他所に、まりさは宣戦布告する。
「まりさはこのゆっくりプレイスでいちばんはやいゆっくりなんだぜ。それをしょうめいするために。ちぇん。いざゆっくりしょうぶするんだぜ!!!」
このレースに対する執着からすると飼いゆっくりであったころには、スィーのレーサーだったんだろうか。
飴玉を取られて思考力が低下しても、野良ゆっくりが飼いゆっくりであったころの欲求を優先するという事例はいくつか聞いたことがある。
ちぇんはどうすれば良いかと問う目で、わたしの顔を見る。
蛇の道は蛇。ということで、わたしは手のひらをちぇんに差し出して、任せるという合図を送った。
ちぇんはしばらく悩んだあと、まりさに対して、
「わかったよー。でも、ちぇんははやいよー? わかってねー」
スィーレース用の100Mの円グラウンドを二周する。
接触事故、および妨害をしたゆっくりは即、失格とする。
ゆっくり精神に則り、ゆっくりはしってね!!!
以上、【スィーレース短距離部門。公式ルール】より抜粋。
レフェリーは、善意で申し出てくれたお二人の飼い主。
不正がないように、お二人の飼いゆっくりであるスィスィーに乗ったみょんとゆゆこの二人にテープを持ってもらっている。
レースの準備をしているうちに、なにやら物好きなゆっくり愛好家達や子供達や宴会をしていた人達やゆっくり達が集まってきた。
なにやら大事になってきているのを悲観していると、ゆゆこの飼い主である祭行事(さいぎょうじ)さんが説明してくれた。
「あのまりさ、だいぶ前からこの公園に住んでて、スィーに乗ったゆっくり達に片っ端からレースを仕掛けてるんですよ?」
それを聞いて納得していると、みょんの飼い主である今朴(こんぱく)さんが、面白そうに話す。
「いやぁ・・・あたしのみょんも勝負しましたけど、あのまりさ板スィーの癖に速いんです。そりゃもうあっという間で、みょんとあたし、しばらく放心状態でしたよ」
どうやらまりさは思いのほかやり手らしい。
心配になりスタート地点に着くちぇんの方を見ると、私に向かって大丈夫だと言うように、尻尾でサムズアップのジェスチャーをする。
手を振って了解の合図を送りつつまりさをに目を移す。
まりさは、目の前に引かれたラインを凝視している。その集中力は、ゆっくりとは思えないほどの迫力を感じた。
両者がスタンバイできたところで、祭行事さんが宣言する。
「えー、それでは、第九十九回、野良まりさ杯を行いたいと思います!」
九十九回も対戦していたのかと、驚いているわたしを他所に観客達のテンションは上がっていく。
どうやら、観客達はこのまりさの対戦を幾度となく見ていたようだ。
この公園にかなりの頻度で立ち寄っていたのに今まで知らなかった自分の鈍さに少し泣きたくなった。
「今回の挑戦者は、谷雲(やくも)さんの飼っているちぇんです! 谷雲さん意気込みはどうでしょうか?」
存在しないマイクを向けられたので、どうしてこうなったのか疑問だと答えた。
「なるほど。確かに、いきなりでしたもんね。でも、大丈夫ですよ! お遊びですから! 娯楽です娯楽! 宴会に娯楽は付き物です! じゃあ、続いて野良まりさちゃん。意気込みは?」
まりさは、存在しないマイクどころか祭行事さんも見ずにただ眼前を見て、
「まりさははやいいちばんはやいだってまりさがいちばんだからそうだいちばんだきめぇまるなんかよりもはやいぜったいはやいれみりゃなんてこわくないちぇんよりもはやいかくじつにはやいまりさははやいはやいはやいはやいはやい」
ずっと呪詛のようなものを唱えているまりさは、不気味すぎる。
だが、不気味がっているのはわたしだけのようで、周りの人達は平然としている。
「はい! いつもどおりのやる気満々ですね。ということで、さっそく始めましょう! 両者用意はいいですか!?」
今朴さんがいつの間にか、アラジン神の書かれたフラッグを持ってちぇんとまりさの間に立っている。
「では・・・みなさん。ご一緒に! 1! 2! 3!」
『ゆっくりはしってね!!!』
ゆっくりはしってねの大合唱と共に、フラッグが振られ、二人は脱兎のごとく走り始めた。
序盤、直線でのスィスィーと板スィーの性能差で、スィスィーに乗るちぇんがリードしている。
スタートダッシュの差で出遅れたまりさは帽子を深めに被りながら、目の前を走るちぇんを抉るように見ている。
「ちぇんははやいんだよーわかってね!」
「・・・」
更にちぇんは加速して、まりさとの距離を引き離す。
そういえば、飼いゆっくりとして飼い始めた最初は、ちぇんの異様に速い行動に着いていけなかったことを思い出した。
だが、一回目のカーブに差し掛かった時、ちぇんとまりさの間の距離が急激に縮まり横にならんだ。
「おお、出たー野良まりさの抉りこむようなカーブ!」
観客の一人がそう叫んでいた。
どうやら、直線で引き離そうと加速してしまい大きくカーブしたちぇんに対して、まりさはカーブへの切り替えしを早く行って短いカーブでちぇんの側面に割り込んだようだ。
ちぇんは軽く動揺したようだが、カーブが終わった時にはすぐに直線で引き離す。
「ちぇんははやいんだよー! わかれよー!」
「・・・」
だが、二回目のカーブでまたまりさはちぇんの横に並ぶ。
「わ、わからないよおぉ・・・ッ」
「・・・ゆむッ!」
狼狽するちぇんを他所に、カーブが終わって二回目の直線に入ったとたんまりさは体を前方傾けて加速した。
先程のちぇんの加速以上の速度で、みるみる内に、ちぇんとまりさの距離は離れる。
「わ、わからないよおおおー!!」
ちぇんも必死に引き離されまいと、加速するがミリ単位で徐々に縮まる程度だ。
そのまま一周目が終わったフラッグが振られ、そのまま二周目へ。
「まてえええ!!! ちぇのほうがはやいんだよおおお!」
「・・・ゆへへッ」
更に加速して肉薄しようとするちぇんとは対照的に、まりさは楽しそうに笑う。
3回目のカーブに差し掛かったところで、立場が逆転する。
まりさは短めにカーブに曲がったが、ちぇんはそれ以上に、ラインギリギリを走る形で一周目の仕返しをした。
直線に入ると、ちぇんは満足そうな顔で後ろのまりさを見る。
「ちぇんはおそくないんだよー! わかってねっ!」
「おもしろいぜ・・・!」
ちぇんの挑発をものともせず、むしろ興が乗ってきたと言わんばかりに笑みを深める。
4回目のカーブに入った。ここが勝負の分かれ目といえる。
観客も、一層ヒートアップし、恥ずかしながらわたしも気づけばちぇんを勢い良く応援していた。
またもラインギリギリを曲がるちぇんの後ろを、まりさは寸分狂わず追随する。
最後のカーブが終わり、いよいよ勝負が決するゴールテープが貼られた最後の直線。
わずかに、ちぇんがリードしているが、ここに至ってもまりさは笑みを絶やさない。
ちぇんは最後のスパートをかけて、まりさを一気に引き離す。
ちぇんの本気がこれほどまでに速いとは思っていなかった。もしかしたら、スィーレーサーに向いているかもしれない。
真面目にそのような道を目指してみるのも良いかとわたしが考えていると、ちぇんがゴールテープが舌を伸ばせば届く距離にまで近づき誰もが、ちぇんの勝ちを確信した。
が、その横を黒白の物が追い越した。
ものすごい勢いで切られるゴールテープ。
先程までの熱気が嘘のように、静まる。
わたしとちぇんを含め誰もが、何が起きたのか分からなかった。
沈黙の中で、ただまりさは言う。
「まりさが――いちばんはやいんだぜ!!!」
その言葉で、歓声が湧き起こった。
呆然とするちぇんとわたしを除いて。
夕日に照らされて、わたしとちぇんはとぼとぼ家路を歩いている。
結局まりさが何故、逆転できたのか分からずじまいだった。
機材の片付けや協力していただいたお二方へのお礼などの後始末をしているうちにまりさも何処かへ行ってしまった。
「・・・」
無言でスィスィーを走らせるちぇんに慰めの言葉をかけるのも気が引けて、今日の晩御飯は何が良いか聞く。
「おかかごはんだよー・・・わからないよー・・・」
予想以上にショックだったのかと、今更ながら止めるべきだったと後悔していると目の前に、先程のまりさがいた。
まりさは、ちぇんに走り寄ると野良には見えない良い笑顔でちぇんを見る。
「良い勝負だったぜ。ちぇんはまりさがはしったなかでいちばんはやかったんだぜ」
「うそなんだね。わかるよ・・・」
「うそじゃないんだぜ。うそつきははしれないんだぜ? ちぇんはいちばんはしったゆっくりだぜ」
レースした相手に敬意を表すなんて本当に、野良なのか疑いたくなる。それ以上に、このまりさも飼いたくなった。
是非、ちぇんの相棒になってほしい。そう申し出ると、まりさは首を振った。
「もっとはやいゆっくりにあいにいくんだぜ。だからちぇんにおわかれしにきたんだぜ」
ぶつぎれの話をまとめてみると、公園のレースで観客の中に、スィーレーサーの大手チームのオーナーに居たらしく、終わったあとに、スカウトされたらしい。
「だからもうゆっくりプレイスにはいないんだぜ」
「・・・ゆっくりりかいしたよ」
シュンとするちぇんをまりさはお下げで撫でる。
何か言いたげなちぇんを見て、ニカリと笑う。
「ちぇんがもしれーさーになれたらあえるぜ。だから、もっともっとはやくなるんだぜ」
そういうと、お下げと尻尾で握手した。
それを見て、胸から熱いものが込み上げてきた。
「おねえさん」
まりさと別れたあと、ちぇんは神妙な面持ちでわたしを見る。
「ちぇんはスィーレーサーになるよ」
予想はついていたので、その申し出には喜んで乗る事を約束した。
あのときの、ちぇんの嬉しそうな顔は忘れられない。
『スィーレーサー 世界大かあああああい!!! 決勝に勝ち残ったのはなんとジャパンの二組!!! しかも、なにやら因縁があるらしくてもうこれは目が離せないねHAHAHA!!!』
本物のF−1などで使われるレース場には、あの日以上の熱気と観客がいる。
徹底的にチューニングした板スィーに乗ったちぇんは、金バッジを誇らしげに帽子に着けたまりさを見ている。
まりさは、昔と変わらない板スィーと昔と変わらない笑みでちぇんを見つめ返している。
「おねえさん。ありがとう」
今更、こそばゆい。そう笑いながらいうとちぇんもおかしそうに笑う。
「わかるよー。でも、ありがとう。わかってね」
わたしは頷いて、ちぇんをピットから送り出した。
並走して位置に着いた二人が、何を感じて何を思って何を語っているのかは分からないけれど、今もあの日も二人は楽しそうだという実感があるので問題ない。
今、フラッグが振り下ろされる。
アトガキ
どうしてこうなった。どうしてこうなった。
・・・すみません・・・自分でも何書いてるか良く分からなくなりました。
サイクリングにスィーをかけたほのぼのツーリングSSにでもしようかとした結果が下手な描写のレースでした・・・。
どうしてこうなった。どうしてこうなった。
これ、ゆっくりじゃなくてもよくね? とは筆者が一番思ってます・・・。
あ、ちょ・・・ゆっくり投げないでやめて・・・。
でも、書いてて楽しかったのは秘密です。
ご読了ありがとうございました。
どろわ
・つんつんつんつくつんつくつんつん
ぬえ
・山女って可愛いよね
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このSSへの感想
※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
- こういう格好いのが似合うのがゆっくりまりさ。くそうざい調子乗りが似合うのもゆっくりまりさ。 -- 2013-03-03 23:42:41
- ゆっくりできるSSだね -- 2011-06-17 21:30:12
- おもしろかったよー。じかいもたのしみなんだねー。わかるよー。 -- 2010-05-16 13:28:53
最終更新:2010年05月15日 11:30