おしまい~妖精円卓領域:O・ヴォーティガーン
概要
「 さあ、悲劇の幕をブチ上げろ!
巡礼の旅は、ここで終わりだ!」
ソーシャルゲーム「Fate/Grand Order」の第2部第6章に該当し、過去最長のストーリー(実に文庫本四冊分)の長さを有する「妖精円卓領域アヴァロン・ル・フェ」の最終局面における、妖精が跋扈していた異世界のブリテン「妖精國」を滅ぼさんとする黒幕、『奈落の虫』こと星の終末装置「オベロン・ヴォーティガーン」との戦いで流れる戦闘曲。
「おしまい」という曲名は、本作品での戦い・出来事や世界そのものをひとつの物語や絵本になぞらえての、とある人物の主張と、「物語だったこと」を肯定するかのような、読み聞かせするような語調のナレーションといった、童話とその終焉を思わせる本章すべての演出にかかっている。
サビ直前の、宮廷や舞踏会の
メヌエットのようなパートは、直前の呪いの災厄のこと以上に、主人公達の掛け替えのない仲間であったとある人物の、彼が愛したものを置いて、神秘から訣別して変わっていくブリテン島の姿に対する悲哀を感じさせる。
特にサビ以降のピアノの旋律と、サビが再び盛り上がる際に加わるコーラスは、同アプリ内の楽曲においても類を見ない程の儚さと美しさを感じさせる。
この曲を聞いて、人理や己の仕える王、あるいは本作ヒロインのマシュ個人の為にと、今までの「FGO」や「ブリテン」の中で長年の時を費やされた、多くの献身と犠牲のことも思い起こすプレイヤーもいるかもしれない。
斯くして、この曲はヴォーティガーンとそれに立ち向かう主人公達の双方、そしてプレイヤーを盛り上げる舞台装置として十分に機能している。
総じて、シナリオと演出から汲み取れる、登場人物たちが迎えた救われない物語の悲哀さと美しさすべてを兼ね備えた良曲と言えよう。一度クリアしたプレイヤーも、この曲を聞きながら異聞帯での旅路を振り返ってみるとより違う印象を抱くかもしれない。
余談だが、後に実装されたオベロン(第三再臨)の宝具シーンにおいても、このBGMのアレンジ版が2パターン流れている。
同アプリはセルラン1位に繰り返し入る大人気ゲームでありながら、その曲群は本企画「みんなで決めるゲーム音楽ベスト100」では(そのプレイヤーの規模感にしては)ランクの伸び悩みを見せていたが、その印象的な曲調と演出から「
色彩 ~訣別の時来たれり~」から実に5年ぶりにFGOの曲としてはランキング50位以内を記録(厳密に言えばこの直前のイベント曲も仲良く50位以内入りしている)、さらに(ルールや母数の差から単純比較はありえないにせよ)第11回の同「色彩」の7位に次いで、FGO曲として2位となる、「2021年新曲ランキング」での10位を達成した。
「前にちょっと話したっけ?妖精國がなんなのかってヤツ。
ここはさ、すべてが童話だったんだよ。一つの物語だった。
おまえたちはそれを、今までのように否定した。間違っている。意味がないと。
俺はそれが気に食わない。気持ち悪さを忘れるほどにね。
都合のいい存在を、誰もが夢見る物語を創造しておいて、
その物語に人生を変えられてさえいて。
その上で、"これは現実にはない空想だから"と
下に置き、あざ笑う、おまえたちが。」
「最後のページと共に忘れられ、現実の速度に置いていかれた物語にも───
その後に残り続ける、権利はあったはずだ。」
多くの消費者の記憶に残ったこの結果を果たして彼の勝利と呼ぶべきか、敗北と呼ぶべきか。
過去ランキング順位
収録サウンドトラック
Fate/Grand Order Original Soundtrack V
関連動画
「Fate/Grand Order Original Soundtrack Ⅴ」試聴動画
最終更新:2024年08月19日 01:14