地球上の誰かがふと思った
『人間の数が半分になったらいくつの森が焼かれずに済むだろうか……』

地球上の誰かがふと思った
『人間の数が100分の1になったら垂れ流される毒も100分の1になるだろうか……』

誰かがふと思った
『生物(みんな)の未来を守らねば……』

◇ ◇ ◇

はるか昔――
人間が歴史を持つずっと以前の話、その生き物たちは進化の過程の中でこの地球に出現した。
その生き物たちは夜しか生きることができず太陽の光に当たると消滅してしまう……
だから彼らは地底に住んだ。
しかし…他の動物のエネルギーを吸い取ることによって長い年月生きることができた。
幻視人は彼らを神や悪魔として恐れた。
彼らは「死」の確率が低いので増殖の必要は少なくその生き物の個体数も少なかった。
だから争いもなく平和に暮らしていた

だが突然そこに天才が一人生まれた

その天才はより強い力が欲しいと願った
そして自分たちの脳にはまだ未知なる能力が隠されていることを知りその能力を引き出すために天才は『石仮面』を作った。
石仮面は不死身の能力をもたらした。けれどもより多くの生命エネルギーを必要とした。
つまりより多くの生き物を殺さなければならない。放っておけば大地のすべての生き物を殺してしまうだろう。

その生き物の一族は石仮面を恐れた。その天才を恐れた。
「やつが存在するのは危険だ」
「あいつをこの地球から消してしまわなくてはならない…!」
「やつを殺してしまわなくては!」

その天才は逆に一族を皆殺しにし、自分を生んだ親をも殺すと事実を知らぬ赤子二人に仲間を一人連れ長い旅に出たのだった。

◇ ◇ ◇

人通りの少ない路地で、男たちでたむろしていた。
一人は白いスーツを着た、身なりのいい東洋人。
ほか数人、鉄パイプなど持ったガラの悪い浮浪者紛いの男たち。
別に男たちはスーツの男に恨みがあるわけでもない。
ただ金のありそうなところから持ってくる、そう考えただけ。
事実スーツの男はゴッサムの市政に関わるそれなりに裕福な身分だった。

鉄パイプが振るわれる。
左手に傷を負う。
スーツも破れる。
ポケットから硬貨が一つ地面を転がる。
硬貨にまで鉄パイプを叩きつける。
傷つき、もはや何と書いてあったか読めなくなる。
スーツの男が呟く。
やはり生きる価値のない人間が多すぎる、と。
蹴りを入れられ、地面を転がる。
左頬をすりむき、今度は小さな人形のようなものがこぼれる。
鉄パイプを振り下ろそうとする……

それを、人形……シャブティが変化した大男が受け止める。

容易く鉄パイプを捻じ曲げ、放り捨てる。
周りの男たちが数を頼みに殴りかかる。
拳は確かに当たるが、そのたびに大男に『喰』われて失われる。
恐怖の叫びをあげ逃げ出そうとするが、すぐに皆物言わぬ屍となった。

「おまえがマスターだな?」

ただ一人残ったスーツの男に話しかける。

「少し待て。魔力供給がない以上食事を摂らねばな」

そう言ってすぐに散らばった死体に向かう。
そして血を吸いあげ、皮も肉も残さず全て喰らう。
それを横目に身なりを整え、落としたものも拾う。
……五百円硬貨。
ここ、ゴッサムシティではまず使えない物。
裏面を上にして転がっているが、傷がついて両面確かめなければそうと分からなかった。
自身の傷は大したものではないと確認すると、突如現れた大男に向かう。

「……前回私は敗北した。こと殺しに関しては地球上で人間の右に出るものはいない」

グキョグキョと骨の砕けるような肉の融けるような音の中スーツの男が朗々と語リ始める。

「人間はまだ気付いていないんだ。今すぐにでも人間の数を減らさなければならないということに。
 自らの天敵をもっと大切にしなければならないということに。
 天敵の存在が美しいピラミッドの頂点に収まることでようやくバランスが回復するということに」

話す男の傍らにいる大柄な男は先ほどの倍する体躯に膨張していた。

「兵器を有する軍隊ではだめだ。稚拙で傲慢な飾りに囚われ、蠢くことしかできん。
 パラサイトでも……残念ながらだめだったようだ。生態はともかく天敵としては役者が足りなかったのか……
 だがきみならば……!サーヴァントのような超常の存在であるなら、真に万物の霊長たり得るはずだ!」
「…………おまえは変わった『人間』だな。おれのことを知って恐れでも嫌悪でもなく歓喜を覚えるとは」

喰い散らかすなんて行儀の悪い真似はしない。
衣服はさすがに残るが、きれいに『片付けた』。
腹ごしらえを終え、改めて向き合う。
信念を語ったスーツの男とそれを聞いていた民族衣装の大男が対峙する。

「おれは人間を…吸血鬼に成った人間の方が好物だが…喰らう生き物。
 おまえはそれが、食物連鎖の頂点に立ち人間の数を調整する存在が欲しい、と」
「理解が難しいのは自覚している。人間はおろかパラサイトにも共感は殆ど得られなかった。それでも今度こそ―」
「だから気に入った」

かつて同朋は夢を語って聞かせてくれた。
太陽を克服したいと思わないのか。何物をも支配したいと思わないのか。あらゆる恐怖をなくしたいと思わないのか。
それにおれはただ一人共感した。

父も母も同族のほぼ全てを殺して共に歩み出した道。
それは更なる進化と、一族の破滅どちらの可能性も宿していた。だが、だからこそ生物としてあるべきものに思えた。
あいつはどこへ行くのだろう。おれもあいつと共に行けば進歩できるのだろうか。
その答えは旅の先にあるはずだった。

こいつも、カーズと同じ異端児。
そいておれと同じ、夢よもう一度と未練がましく執念深い敗者。

「遮るようだが、おまえの目的はおおむね理解した。残りは聖杯を取ってから聞かせろ」
「それでは…!」
「おまえの目的だけならこのまま帰還すれば叶わなくはない。寝床にまだいくつか石仮面もあったはずだからな。
 だが、おれの目的は聖杯がなくては叶わん。協力してもらうぞ」

おれの遺志は結果だけいえば届いたようだ。あいつは究極の生命体になった。
だがこの地球からあいつはいなくなってしまった。
闘いに拘るワムウや熱くなりやすいおれならともかく、目的至上主義のあいつがおれたちの復讐なんて考えて躓くとは。
肝心なところでおれ達がいなければならないのはいつまでも変わらんな。
再び、生きて地球で会おうではないか。

「おれの願いは今は亡き同朋とともに蘇り、かつての夢を果たすこと。お前の目的とそうずれるものではない。
 ……改めて名乗ろう。おれはアーチャーのサーヴァント、『炎のエシディシ』。
 おまえがその願いを失わない限り、マスターとして認めることを宣言する」

今度こそ、生命の頂点に立つ者を迎えるために。




【クラス】
アーチャー

【真名】
エシディシ@ジョジョの奇妙な冒険

【パラメーター】
筋力B 耐久B 敏捷C 魔力D 幸運D 宝具B+

【属性】
混沌・悪

【クラススキル】
対魔力:A+
現代の魔術はおろか神代の魔術を用いても彼を傷つけるのはほぼ不可能である。
十万年以上の長きにわたり生きつづけ、積み上げたその神秘は破格のランクを誇る。

単独行動:B
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
ランクBならば、マスターを失っても二日間現界可能。

【保有スキル】
原初の一(偽):D
偽りのアルティメット・ワン、アルティメット・シイングに至る進化の過程。生まれついての吸血種が宝具による肉体改造で変異したたった4人の柱の闇の一族、その一人。
英霊の座においてもその4人しか持ちえないスキルであり、Dランクでも破格のもの。
本来の原初の一のように星のバックアップは受けられないが、関節を無視した柔軟な動き、卓越した身体能力、肉体の再生、全身の細胞からの捕食、他の生物との一体化など様々な能力を持つ。
とある二つの宝具を用いればこのスキルは最高ランクとなるが彼はそのうちのいずれも持ち合わせていない。

王佐の才:C+
王たるものを支える才。
味方のカリスマを1ランク向上させ、また同ランク以下の反骨の相などカリスマを無効化するスキルを無効にする。
加えて王の目的や命令を達成するための情報収集や援護などにおいて有利な補正を得る。
令呪によるバックアップもより強力な効果が得られるが、逆に高い対魔力を保持するにも関わらず不本意な令呪による命令への抵抗力も低下する。
生前は仲間より先んじて赤石のありかを突き止め、またただ一人王たる者の味方をして同族を全滅させる援護を行うなどした。
またこのスキルを持つ者はマスターとの仲が険悪になりにくい。

ラーニング:A
僅かに会話を耳にしただけで異国言語を習得、一目見ただけで銃を分解、発達した文明にも瞬く間に馴染んで見せるなどを可能とする高度な学習能力と適応力。
見聞きした技能を学び取ることが可能。
特に彼は『孫子』などの戦術的駆け引きを貪欲に学ぶため、サーヴァントとなった今でも後述する2つのスキルのランクが戦闘を重ねるたび向上していく可能性がある。

詭道の所作:C+
言動によって相手と自分の思考を誘導、操作し自分に有利な状況を作り出す。
心理を読み取り次の行動を図る洞察力、観察力、そして自身の精神状態を把握する冷静さが重要となる。
魔術ではなく精神的な干渉であり、精神耐性系のスキルで抵抗可能。
同様に他者からの精神干渉に対する抵抗力としても機能する。また泣き喚くことで冷静になり、より強力な精神干渉からも解き放たれることが可能。

陣地攻略:D
世界を回り、様々なものを見た知識に加え数多の実戦によって得た経験値。
工房などの攻略に有利な補正を得る。
針の敷き詰められた闘技場での巧みな立ち回りや、シェルターのような密閉空間から空気供給管を利用しての脱出なども可能。

【宝具】
『怪焔王の流法(モード・オブ・フレイム)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:0~2 最大捕捉:2人
原初の一(偽)による肉体操作の極みにより彼らは固有の流法を持ち、エシディシのそれは熱を操る炎の流法である。
代謝による体温の上昇を利用し血液を500℃まで上昇させ放つことができる。
主に手や足の先端部分から血管針を出し放射する。
副次効果として温度の上昇を伴う為、冷気や気流の扱いを乱すことが可能。

『怪焔王大車獄の流法(モード・オブ・インフェルノ)』
ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:0~4 最大捕捉:10人
通常手足の先端からしか血管針を放たないのは精密動作が難しい箇所で自発的に裂傷を作るのが難しいためである。
逆に血管針を放てるならどこからでも血液の放射は可能である。
相手に追わされたダメージや自傷による傷からより広範囲に血管針および熱血を放つ。
受けた傷も肉体の一部とし、積み重ねたダメージも能力の一環として扱う勝利への執念の具現化といえる。

『肉体は死すとも執念は死せず(スティル・アライブ・ビーイング)』
ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
霊格が破壊されても脳と血管は消失せずに現界し続ける。この状態では単独行動のランクが2ランク向上する。
思考能力は残り、寄生からの洗脳および『怪焔王の流法』の使用も可能。

『勝者の口上に機先を制せ(カウンター・ワード・ウィン)』
ランク:E- 種別:対人宝具 レンジ:1~5 最大捕捉:1人
相手がする発言を先に言い当てる事で、そのターンの相手の直前の行動をキャンセルする。
結果勝利の確信を得ている時程、敵は大きな隙を晒す事となる。

……実際は虚を突かれて唖然としているだけであり、本来なら宝具と呼ぶのもおこがましい詐術である。
にもかかわらずこれが宝具として表れているのは、生涯最期の好敵手たる波紋戦士からラーニングした闘争の証であり、彼がこれの大元を宝具として持つため。
加えて一瞬とは言え完全に彼の十八番で上回ったただ一人の存在がエシディシであると言う逸話も大きい。

【weapon】
『死の結婚指輪(ウェディング・リング)』
リングの中に毒薬がしこんであり、スキルによる肉体の一体化を応用して敵体内に埋め込む。
一定時間がたつか無理に取り出そうとすると殻が破れ毒が回って死に至る。解毒剤はエシディシの鼻のピアスの中に仕込まれており、闘って奪い取るしかない。
まさに死が二人を別つまでのウェディングリング。
魔力による生成が可能であり、籠めた魔力量により殻が破れるまでの制限時間を調節できるようになっている。

【人物背景】
はるか昔、地球に出現した太陽光に当たると消滅してしまう生き物の一族、その一人。
その一族の多くは穏やかに過ごしていたが、突如生まれた一人の天才がより強い力を求めたため争いが起き、その天才と協力者一人、何も知らぬ赤子二人を残して一族は滅んだ。
その協力者がエシディシであり、その四人が石仮面をかぶり、原初の一(偽)となった柱の闇の一族である。
柱の闇の一族は多くの動物を殺し喰らわなければ生きられないため当然戦争が起こり、宿敵として波紋使いの一族とは幾度も争った。
そして齢十万年以上を数えた西暦1939年、波紋使いジョセフ・ジョースターとの高度な知略戦に敗れる。
敗北後肉体の大半を失いながらも誇りも全てかなぐり捨て仲間のため赤石を届けようと、生きようとあがくが二人の波紋使いの連携に敗れその生涯を終えた。
一人の同朋のために一族皆を敵に回す、仲間のために汚れることもいとわないなど種族の違いから人間と相容れることはできないだろうが、敬意に値すると宿敵にも語られた熱い男である。

【サーヴァントの願い】
宇宙や英霊の座にいる同朋と共に生をやり直し、今度こそ究極生命体となる



【マスター】
広川剛志@寄生獣

【マスターとしての願い】
パラサイトに代わって柱の闇の一族と協力して地球上の生命の調整、間引きを行う

【weapon】
なし

【能力・技能】
生物的には通常の人間。超常の力など何も持ち合わせない。
だがパラサイトと協力しようという苛烈なまでの信条、人食いの怪物と共に過ごしたり武装した自衛隊相手に一歩も引かない胆力、市長選程度とはいえ選挙戦を勝ち抜きパラサイトと共生できる求心力などは常人のものではない。

【人物背景】
人間一種の繁栄よりも生物全体の未来を憂うべきとの思想を持つ政治家。
環境問題を重要視し、人間が地球にとって毒になったと考え、中和剤たる人間の天敵パラサイトと手を組む。
自治体の長となり人の流れを把握することでパラサイトに食事処を提供、保護し、市内の人間を少しずつだが間引いていた。
その後市役所内に多くのパラサイトが存在することがばれ、自衛隊がその駆除に乗り出すと自身の信条を語って聞かせるも過激ともいえるそれに同意を得られることはなく射殺された。
その瞬間の参戦である。
その思想の苛烈さやパラサイトと共存していたという点から皆彼のことを人間だとは思っていなかったようだ。
最強のパラサイト後藤にも「よくわからん奴」「人間から見てもかなり珍しい存在」と語られる異端児。

【方針】
少なくともエシディシと共に帰還したい
基本的に石仮面や他の柱の闇の一族の協力を得るために聖杯を勝ち取るよう動く。



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最終更新:2015年04月11日 02:20