息が乱れる。心臓は破裂しそうだ。
それでも男は一切構わず暗闇の路地を駆けていた。
男は中流階級の人間が住む地区を中心に活動するストリートギャングの一員だった。
銃の入手が容易なアメリカにあってもとりわけ治安の悪いゴッサムシティ。
そんな街で活動する彼の組織もまた当然のように複数人が銃を所持していた。
だが、あの緑の悪魔には彼らが普段振りかざす銃の威光も威力も何一つ通用しなかった。
そして男の組織は突然アジトに乗り込んできた緑の怪人の手によって瞬く間に壊滅させられた。
今でも自分が逃げ果せたという奇跡が信じられない。
「っ!?」
バイクの駆動音が耳に入った。
ただそれだけなのに身体の震えが止まらないのは何故だ。
疲弊した肉体に鞭打ち逃げるもバイクの速度に太刀打ちできるはずもない。
やがてこちらに向かって追突する勢いで迫りくる、緑の怪人が乗ったバイクが見えた。
「う、あああああ!?」
激突する寸前に左に転がって何とか生を拾った。
そして次の瞬間、緑の怪人が男の額に銃口を突きつけた。
さながら死神の鎌のようにも見えた。
「どこへ行こうっていうのかな?」
緑の怪人ことアーマードライダー龍玄は左手だけで男の身体を吊り上げ鳩尾に容赦のない膝蹴りを叩きこんだ。
手加減しているとはいえ約10トンもの威力の蹴りは容易に男の肋骨をへし折り吐瀉物を嘔吐させた。
さらに男の胸倉を掴んで地面に押し倒し左膝を粉砕骨折するほどの勢いで踏み抜いた。
「ぁぁああああああああああ!!!」
「黙ってろよクズ」
激痛に喚く男の口を塞ぎマウントポジションを取った。
男は涙を流しながら首を横に振ろうとするがガッチリと腕で固定されているためそれもままならない。
「僕からの要求は一つだ、二度とこの地区をうろつくな。
さもなければどんな手を使ってもお前達を一人残らず殺す、いいな?」
涙目でひたすら頷こうとする男の態度を了解と受け取ったか、手を離した後もう一度だけ蹴りを入れてバイクでその場を立ち去った。
▲
「舞さん、今日も何とか守りきれた……」
変身を解いた少年、
呉島光実は物陰からダンスチームの仲間である少女が踊る姿を物陰から見守っていた。
聖杯戦争の舞台であるゴッサムシティの治安の悪さは当然光実も知悉しており、影から自分が所属するチーム、鎧武を守るために行動していた。
具体的にはチーム鎧武のメンバーが活動する地区の自警団活動兼武器調達である。
自宅のPCで闇サイトにわざとアクセスして近隣の犯罪組織に接近を図りアジトや構成員を潰して回っていた。
マスターとしてNPCの大量殺戮を行うことは許されていないため、病院送りや再起不能に留めるしかなかったが。
アーマードライダー龍玄の仮面を被って活動しているため当然光実の顔は割れていない。
「それにしても、何で次から次へと湧いて出てくるんだ…!」
だが光実の活動で犯罪が根絶されるほどゴッサムの闇は浅くない。
一つの組織が壊滅すれば空いた縄張りを求めて別のギャングやマフィアが入り込むからだ。
加えて近頃は龍玄を警戒されたか探りを入れることも難しくなりつつあった。
それに、さすがにそろそろ聖杯戦争を戦うマスターとしての本分に専念しなければならない。
(こんな時、紘汰さんがいてくれたら……いや、何を考えてるんだ僕は!
弱気になりすぎだ、少しでもあんな奴を頼ろうとするなんてどうかしている!)
一度深呼吸を行い、荒れた心を鎮めようと試みる。
元々図太くもなければ冷酷でもない性格の光実にとってゴッサムシティでの生活は多大なストレスとなっている。
もっとも光実自身それを自覚できるほど自己分析ができるわけでもないが。
以前アーチャーにも言われたが、チームメイトたちも所詮はNPCに過ぎないのだ。
万一のことがあっても、元の世界には何の影響もないはずだ。それは頭では理解している。
そもそも勝ち抜いて聖杯にさえ至れば全てを光実の思うようにできるのだから。
――なのに、どうして胸騒ぎが治まらないんだろう?
考えすぎだ、と不安を心の奥に押しやる。
これはオーバーロードの圧倒的な力に反抗心を折られた光実に訪れた予期せぬ好機なのだ。
ユグドラシルタワーの執務室に置かれていた人形が切っ掛けなのだろうと参加した今ならわかる。
「そうさ、僕は必ず勝つ。勝って舞さんを幸せにするんだ!
それができるのは紘汰さんじゃなく僕だけなんだから……」
▲
「何をやっているのかしらね、あの男は」
物陰から舞を見つめる光実の様子を、彼のサーヴァントたるアーチャーは近場のマンションの屋上から観察していた。
もちろん光実に任せられた仕事を終えてから主の後を追ってここに来ている。
アーチャーの持つ銃火器の数々は使用に魔力を要しない代わりに魔力による補充も一切できない仕様になっている。
そこでマフィアやギャングのアジトを光実が壊滅させアーチャーが後始末をしつつ銃器を回収するという作戦を取ったのだ。
かつて多くの銃火器を盗んで使用したアーチャーの逸話から現地調達した武器、道具はアーチャーが使えば最低限の神秘を与えることができる。
もっともこれまで入手できたのは安物の拳銃が大半でつい最近ようやくサイレンサー付きの銃が一丁手に入った程度だ。
「…いえ、私も人のことは言えないわね」
光実が見つめている女性が彼の執着の対象であることは明らかだ。
アーチャーとてかつては、いや今も一人の少女に対して執着しあらゆるものから彼女を守ろうとしている。
視野が狭く独善的で大切なたった一人の人間のためなら他の全てを切り捨てる。
それが呉島光実と
暁美ほむらの正体だ。自覚しているか否かの違いはあるが。
ともあれ、光実の根底にあるものが自分と同じだというならその方がアーチャーにとってはやりやすい。
少なくとも変に倫理観や正義を振りかざされるよりはまだストレスにはならない。
「聖杯を手に入れれば、もう誰もあなたには触れさせない。待っていて、まどか」
【クラス】
アーチャー
【真名】
暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ 叛逆の物語
【パラメータ】
筋力:E 耐久:E敏捷:D 魔力:C 幸運:C 宝具:B
【属性】
秩序・悪
【クラス別スキル】
対魔力:D
魔術への耐性。一工程の魔術なら無効化できる、魔力避けのアミュレット程度のもの。
単独行動:C
マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。マスターを失っても一日は現界可能。
【保有スキル】
道具作成:E
材料があれば爆薬の調合・爆弾の製作ができる。
アーチャーが作成した爆弾は他人が使ってもサーヴァントにダメージを与えられる。
自己暗示:E
自身にかける暗示。精神攻撃に対する耐性を上げるスキル。
……が、アーチャーの場合どちらかと言うと自分に無理やり言い聞かせているといったほうが正しく、効果は低い。
【宝具】
『やり直しの願い(コネクト)』
ランク:C 種別:対界宝具 レンジ:なし 最大捕捉:1
かつての願いを元にした時間停止能力の発現。本来は砂時計の砂を傾ける事による能力。
アーチャーに触れている者に対しては時間停止が働かない。
本聖杯戦争では再現の都合上で単に魔力を消費するだけで使用できる宝具になっており魔力消費・持続力も悪化している。
マスターである光実から供給される魔力が少ないため戦闘の度に時間停止に頼ることは難しい。
それに伴い、時間遡行の能力は消滅した。
また、付随する能力として盾の中に色んなものを収納することが可能だが、サーヴァントである以上武器は自由に取り出せるので意味がない。
時間操作という魔法を操る対界宝具にも関わらずランクが低いのは元は一人の少女の願いから生まれた宝具であるため。
『穢された願い(まどか・マギカ)』
ランク:B 種別:対人(自身)宝具 レンジ:なし 最大捕捉:1
鹿目まどかによって改変された世界での魔法少女・暁美ほむらの再現。
『やり直しの願い』との同時使用はできず、アーチャーはこの宝具と『やり直しの願い』の二つの形態を使い分けて戦うことになる。
改変以前の世界で鹿目まどかが使っていた弓矢を用いた戦い方に変化し、時間停止及び銃火器は使用できなくなる。
またこの形態でのみアーチャー本来の力を攻撃能力を持った黒翼という形で、ごく僅かながら行使できる。
神を穢しその手に収めた逸話から、黒翼による攻撃は神の恩寵を打ち破る。
【weapon】
「各種銃火器・爆弾」
かつてアーチャーが自作したり、自衛隊などの組織から盗んで使用していた武器の数々。
これらの使用に魔力消費は発生しないが、爆弾類を除き消費した銃火器・弾薬は現地調達しない限り二度と補充できない。
また、これら現代の兵器は霊体であるサーヴァントとの相性が悪くサーヴァントへのダメージにマイナスの補正が掛かる。
「弓」
魔法の矢を撃ち出す黒塗りの弓。
銃火器に比べサーヴァントへ与えるダメージが高い。
【人物背景】
とある時間軸で魔法少女だった鹿目まどかに憧れ、そしてその死を否定するべくインキュベーターと契約して魔法少女になった少女。
能力は特定期間内限定の時間停止と、一定期間の時間遡行。
魔法少女となった事で自信がつき、弱気だった性格は明るくなった。
だが魔法少女の契約には裏があり、魔法少女はやがて魔女となって人々に害をなす運命にある。
魔女化によって相転移する感情のエネルギーを回収する、というのがインキュベーターの真の狙いだった。
それに気付いたほむらは時間遡行を繰り返しまどかを魔女化させないように試みたが、何度やっても上手くいかない。
最終的にほむらはもう誰にも頼らないことを決め、人との接触や説明を避ける人物になった。
しかし単独では最強の魔女・ワルプルギスの夜にどうやっても勝利できず、本編の時間軸におけるまどかは「全ての魔女を消す」ことを願いにして契約。
ほむらの時間遡行により集まった因果の力で世界を改変して願いを叶えたまどかだが、その代わりに魔女を消す概念「円環の理」となって消滅した。
世界から魔女は消えたものの、エネルギーを求めるインキュベーターはほむらを魔女にして円環の理の掌握を試みる。
まどか達の力でこの実験は失敗したが、ほむらは円環の理として迎えに来たまどかを『愛』の力で捕獲。
再度世界を改変して鹿目まどかという人間を取り戻した。
神にも等しい存在となっていたまどかを、更に因果律を書き換えることで取り戻したほむら。
だがまどかの存在は不安定で、ふとした切欠で「円環の理」に戻る危うい状態にある。
【サーヴァントとしての願い】
聖杯の力で自らの世界の改変を完全なものにする。
【マスター】
呉島光実@仮面ライダー鎧武
(参戦時期は34話終了後)
【マスターとしての願い】
誰にも、何にも脅かされない絶対の権力を手に入れる。
【weapon】
「戦極ドライバー」
アーマードライダー・龍玄に変身するために必要なベルト。
イニシャライズ機能があり光実以外の人間には使用できない。
「ブドウロックシード」
戦極ドライバーに対応するクラスAのロックシード。
これを使うことで龍玄・ブドウアームズに変身する。
専用アームズはエネルギー弾を発射するブドウ型の銃「ブドウ龍砲」。
「キウイロックシード」
戦極ドライバーに対応するクラスAのロックシード。
これを使うことで龍玄・キウイアームズに変身する。
専用アームズは輪切りのキウイを模した二つの撃輪「キウイ撃輪」。
「ローズアタッカー」
バイク型のロックビークルに変化するロックシード。
速度を上げることで
ヘルヘイムの森への行き来が可能だが本聖杯戦争では不可能になっている。
「ゲネシスドライバー」
アーマードライダー・斬月真に変身するために必要な次世代型ベルト。
こちらは誰でも使用可能であり、光実はこの性質を悪用して本来の変身者である兄・貴虎になりすましていた。
ちなみにコア部分は取り外し可能で、戦極ドライバーの拡張ユニットとしても利用できる。
「メロンエナジーロックシード」
ゲネシスドライバーに対応するクラスSのロックシード。
これを使うことで斬月真・メロンエナジーアームズに変身する。
斬撃武器としても使用可能な弓矢型の武器「創生弓ソニックアロー」をアームズウェポンの代わりとして扱う。
あらゆる性能が旧世代のアーマードライダーを上回る。
「クレジットカード」
富豪レベルの買い物ができるゴールドカード。
【能力・技能】
アーマードライダーとしての技量は可もなく不可もなくといったところ。
また、明晰な頭脳を持ち大人相手にも弁論で立ち回ることができる。
ただし本人の幼稚な精神性が足を引っ張ることも多々ある。
【人物背景】
沢芽市のダンスチーム「鎧武」に所属する高校生。チームメイトからの愛称は「ミッチ」。
ユグドラシルコーポレーションの重役を父に持つ御曹司でもあり、兄である貴虎からは将来を強く期待されている。
しかし本人はそんな期待を重荷に感じており、兄に秘密で放課後の時間をチーム鎧武で過ごすという二重生活を送っていた。
葛葉紘汰をヒーローとして強く尊敬し、高司舞に異性として憧れを抱いている。
紘汰が斬月(貴虎)に敗北し心を折られたことを切っ掛けにチームを守るためアーマードライダー龍玄に変身し、戦いを始めた。
次々と真実が明かされ状況が変化していく中波風を立たせないようユグドラシル側とビートライダーズ側の二つの立場を使い立ち回る。
しかし次第に紘汰が思い通りに動かなくなり、紘汰に対して苛立ちを覚えはじめる。
そして紘汰が舞を沢芽市で起こっている異変と陰謀に巻き込んだことが原因でついに怒りが爆発。
以降紘汰を邪魔者と見做し命を狙うようになり、
戦極凌馬らに裏切られた貴虎も見殺しにした。(ゲネシスドライバーはこの時入手)
一時シドと行動を共にするも彼の死後はオーバーロード・レデュエの右腕に収まる。
しばらくは寝首を掻くことも考えていたが後にオーバーロードの圧倒的な力を見たことで心が折れた。
本聖杯戦争の光実はその時点から参戦している。
能力は高いものの自分の判断を過信し、自己を客観視できないなど精神的には未熟で幼稚な面がある。
【方針】
使える魔力に限りがあるのでサーヴァントと戦闘を行う時は好機を見極めてから。
また状況次第で他のチームに取り入ることも考える。
最終更新:2015年04月17日 00:30