86オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2019/06/16(日) 02:00:12.84ID:4PVU/5Bo0>>92
日登町西区

 マイ達一行が炎上するガンダム家から脱出を図っていた頃、
 フリットとウッソもまた、ガンダム家襲撃を宣言したアンジェロたちを追っていた。

フリット「くそう、どこへ行ったデシルめ!」
ウッソ「え、ちょっと待ってちょっと待って。↑で僕たちアンジェロを追ってることになってるんですけど。これ誤字ですか?」
フリット「え、だってちょっと戦っただけで早々に逃げていったじゃないアイツら」
ウッソ「そうですよね。で、フリット兄さんが『きっとこれは陽動だ』って見抜いて、家に帰ろうって話になったんですよね」
フリット「うん」
ウッソ「それがどうしてデシルを追ってるんですか、僕ら?」
フリット「それは帰る途中でたまたまデシルと鉢合わせして」

デシル『あ? おいおいガンダム家の天才()とスペシャル()が兄弟で仲良くおでかけですかwwww』

フリット「って煽ってきたから頭にきて」
ウッソ「あれはムカつきましたね」
フリット「だからさっきヴェイガンの前線基地を潰して、そこから逃げだしたデシルを今ミンチにしようと追ってるんじゃないか」
ウッソ「ああ、そうでしたそうでした……って、目的が変わってきてますよフリット兄さん!?」
フリット「え? 僕の目的はヴェイガン殲滅からずっと変わってないけど?」
ウッソ「それはそうですけど! 今はそういう流れじゃないでしょ、アムロ兄さんたちのケンカを止めないと……」
フリット「いいかいウッソ。この世の問題の9割はヴェイガンを殲滅すれば解決するんだよ(グルグル目」
ウッソ「そう思ってるのはフリット兄さんだけですよ!?」

 そうこうしているうちに二人は日登町の西区まで来ていた。
 アンジェロはもちろん、デシルの姿もどこにもない。

フリット「あ~もう! ウッソのツッコミがうるさいから見失っちゃったよ」
ウッソ「僕のせいじゃないですよ! そもそもどうするんですか家からこんな離れたとこに来ちゃって!」
フリット「(無視)ここは西区か。ヨナ兄さんたちやドモン兄さんたちと合流できればいいけど」
ウッソ「無視しないでくださいよ! まったく、だから友達が少ないんですよフリット兄さんは」
フリット「は? それ今関係ないよね?」
ウッソ「友達が少ないから人の気持ちもわからなくて、一人で暴走しちゃうんでしょ!」
フリット「別に暴走していないし。それに友達だってちゃんといるし」

 フリットは口を尖らせた。

ウッソ「誰ですか。名前を挙げてみてくださいよ!」
フリット「え!? ええと、グルーデックさんでしょ、エミリーと……あとキオとか」
ウッソ「キオは身内だからノーカンでしょ!」
フリット「キオはいつも『すごいや兄ちゃん!』って褒めてくれるし、可愛いんだよね。誰かと違って」
ウッソ「なんなんだよ! 僕に言いたいことがあるならちゃんと目を見て言ったらいいでしょ!」
フリット「別に。盗撮魔に言うことなんて何もないね。あ、違うか。盗撮魔じゃなくてストーカーか、カテジナさんの」
ウッソ「人の黒歴史を掘り返すのはやめてくださいよ!」
フリット「先に攻撃してきたのはウッソだろ!」

 徐々にヒートアップしていく二人。
 あわやケンカ勃発か……と思われた矢先だった。

「何をやっているんだお前たちは」

 呆れたような声で誰かが話しかけてきた。
 二人が振り返ってみると、そこに立っていたのはシャープな体型をした濃紺のガンダムだった。

87オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2019/06/16(日) 02:07:14.33ID:4PVU/5Bo0
フリット「なんですか、あなたは?」
ウッソ「あ、僕覚えてますよ。以前、ウチにバナージ兄さんを殺しに来た人ですよね」
フリット「なにその物騒な用事!?」
ウッソ「確か名前がロリコンスレイヤー……」
ヴィダール「ヴィダールだ」

 中世の騎士のような仮面をつけた男――ヴィダールはそう答えた。

フリット「で、そのヴィダールさんが僕らに何の用ですか?」
ウッソ「僕らアムロ兄さんと偽軍団たちのケンカを止めるので忙しいんですけど」
ヴィダール「わかっている。用があるのはコイツだろ」

 ヴィダールはコクピットの裏にあるシステムを指した。
 そこには人間の脳をパーツとして使用したインターフェース、
 『阿頼耶識システムtype-E』が収められている。
 そして、現在使われている脳とは、他でもない。
 偽アムロ軍団の一員、アマクサだった。

アマクサ「zzzzzzzzzzz…………」
ヴィダール「もっとも、今は眠っているがな」
ウッソ「何があったんですか?」

 ヴィダールの話によれば、この戦いには元々ヴィダールとアマクサ、二人で参加していたという。
 しかし戦闘中、阿頼耶識システムtype-Eを発動した途端、
 アマクサが急に好戦的になり凶暴化したというのだ。

ヴィダール「明らかに様子がおかしかったからな。俺の方で強制的にシステムを切断させてもらった」
フリット「アムロ兄さん(一年戦争)と同じだ」
ウッソ「やっぱりこれも『ヅダエール』の作用なんですかね」
ヴィダール「やはり何か仕込まれていたか」

 ヴィダールは仮面の下で納得したように頷いた。

88オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2019/06/16(日) 02:07:31.34ID:4PVU/5Bo0
ヴィダール「一体だれの仕業だ? 心当たりはあるのか?」
ウッソ「それは僕らも知りたいですよ」
フリット「やっぱりヴェイガンの仕業だよ! あいつらきっとこの騒動に乗じて日登町を制圧しようと……!」
ヴィダール「となればやはりアイツ……マクギリスの仕業か。くそっ、あのロリコンめ今度こそこの手で息の根を……!」
ウッソ「あ、この二人実は同じタイプの人だった」

 そこへ再び上空から声がかかる。

ガロード「お~い! ウッソ、フリット!」
ベルリ「よかった、合流できた」
ヴィダール「知り合いか?」
フリット「二人とも僕らの兄弟ですよ」

 二体のMS、ガンダムDXとG-セルフは3人の近くへ着陸した。

ウッソ「ガロード兄さん! ベルリ兄さん! どうしてここへ?」
ベルリ「ドモン兄さんたちと一緒に戦ってたら、西区に突然巨大MAが現れてさ。動く気配は今のとこ無いんだけど状況がわからなくて」
フリット「デストロイガンダムとサイコガンダムだっけ」
ベルリ「あと、ビーナス・グロゥブのユグドラシルもいたよ。ともかく情報が欲しくて一旦家に戻ろうと思ったんだけど」
ガロード「その途中で俺と会ったんだよな」
フリット「ガロード兄さんは?」
ガロード「それがティファがイヤな予感がするっていうから」
ウッソ「ティファさんも一緒なんですね」
ヴィダール「それで、イヤな予感とは?」
ティファ「……もうすぐ、動きます」
ヴィダール「動く? 何がだ?」
ティファ「巨大な『本能』が。……そして、取り返しのつかないことが起こる」
ベリル「おっかないなあ。何よ、取り返しのつかないことって」

 その時、空気がビリビリと張り詰め、とてつもないプレッシャーが町の四方から放たれた。
 ニュータイプとXラウンダー、特殊な才能をもつ二人はそれを鋭敏に感じ取る。

ウッソ「これは……」
フリット「まずい!」
ティファ「……来ます」

89オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2019/06/16(日) 03:53:37.66ID:4PVU/5Bo0
 まず動いたのは南方からだった。

日登町南区 山間部

デビルガンダムヘッド「キシャー!」
ミリアリア「あ~もうちょっとガンダムヘッドに顔を寄せてもらっていいですか?」
チナパパ「お、こうかな?」
ミリアリア「はい、いいですね。……じゃ、もう一枚撮りま~す」

 ミリアリアがシャッターを切る横で、助手としてついてきていたフレイは不満の声をあげた。

フレイ「ちょっと、何よこの仕事!」
ミリアリア「何って『週刊 日登町グルメ』のグラビア撮影だけど」
フレイ「こんなゲテモノとおじさんの写真で誰が喜ぶのよ!」
ミリアリア「いやいや、意外とコアなファンがいるんだって」
チナパパ「カメラマンさん、次はこんなポーズでどうかな?」
ミリアリア「お~いいですね~。すいません生放送終わっておつかれのところ」
チナパパ「いいんだよ。少しでも多くの人にガンダムヘッドの魅力を知ってほしいからね。……うん?」

 奇妙なことが起こった。
 辺り一面から顔を覗かせていたガンダムヘッド。
 それが突然、全て地面に引っ込んでいってしまったのだ。

ミリアリア「あ~! せっかくの被写体が~!」

 次に聞こえた、耳障りな咆哮。
 少しして、森の奥から大量の野生動物や野良モビルシチズンが一斉に逃げてくる!

フレイ「な、なによこれ!」
ミリアリア「見て! 向こうの方! 山の中腹から出てきたアレって」
チナパパ「そんな……地中深く眠っているはずのデビルガンダムが動き出すなんて!」

 山から出現したのはデビルガンダムだった。
 呼応するように、巨大なガンダムヘッドが、近くにいた動物たちに無差別に襲い掛かる。
 それはミリアリアたちも例外ではなかった。

「イヤアアアアアアアアァー!!」

 放たれた何本もの触手が、肉体を縛り上げ、宙に吊り上げる!

「や、やめてええ! 服の中に入ってこないでェェェ……!」

 だが懇願も虚しく、デビルガンダムの触手は服を引き裂き、
 柔肌を容赦なく責め立てる!
 その度に苦し気な喘ぎ声が森に響き渡った。

90オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2019/06/16(日) 03:55:46.52ID:4PVU/5Bo0>>97
フレイ「あいたた……動物にひっかけられて転んじゃったわ。ミリアリアは?」
ミリアリア「私も無事よ。それより、おじさんが!」

 二人が見た先には、デビルガンダムの触手に容赦なく縛り上げられるチナパパの姿があった。

フレイ「お、おじさんがエロ同人でよくある感じで触手に襲われてる!」
チナパパ「や、やめろぅ! あン、わ、わたしには愛する妻と子供たちが!!」
ミリアリア「大丈夫ですか~!(カメラを連写しながら)」
フレイ「ちょっとアンタ。なに呑気に写真なんか撮ってるのよ!」
ミリアリア「え? せっかくだからこの写真を『季刊 日登町ハードコア』に投稿しようかと」
フレイ「助けるのが先でしょ人として!!」
ミリアリア「特ダネをゲットするのが先よカメラマンとして!」

 言い争う二人。そこへ触手にエグめの縛られ方をされているチナパパが叫んだ。

チナパパ「わ、わたしのことは構わない! そ、それより君たちは逃げるんだ!」
フレイ「でも!」

 助けるべきか逃げるべきか。
 だが悩んでいる間に、デビルガンダムがまた咆哮をあげた。
 そしてチナパパを掴んだまま、再び地中へと潜っていく。

チナパパ「あ~~~れ~~~~!!」
フレイ「お、おじさ~~~ん!」
ミリアリア「ああ! 待って! まだベストショットが撮れてないのに!」
フレイ「うん、こんな時になんだけど、ちょっとアンタとの友達付き合いを考え直すときが来たようね」

 潜行したデビルガンダムは、そのまま地中を進み真っ直ぐに日登町へと向かう――!


日登町警察署

ミケル「た、大変です、隊長!」

 町から避難してきた住民たちを誘導していた08小隊のところへ、血相を変えたミケルが飛び込んできた。

シロー「どうした」
ミケル「み、南区の山でデビルガンダムが動き出しました」
サンダース「遂に来たか」
カレン「覚悟はしてたけどね」
ミケル「それだけじゃありません! デビルガンダムに連動するみたいに、北・東・西のMA、MSも動き出しました!」
シロー「なんだって!」
ミケル「全機、まっすぐに日登町を目指してます。このままじゃ、町が壊滅しますよ!!」

91オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2019/06/16(日) 04:01:24.18ID:4PVU/5Bo0
日登町東区 ソロモン幼稚園

ゼナ「あなた! 警察から連絡があって、MAと大量の無人小型機がこちらに向かってるって」
ドズル「ええい! 園内にはまだ子供たちが大勢残っているというのに! だが、やらせはせん。やらせはせんぞおお!!」
デラーズ「我々も身命を賭してこの園を守るのだ!」
ガトー「御意!」

 ドズル園長はマシンガンを片手に町の外を睨みつけた。
 遠くで土ぼこりを上げながら迫ってくるのは、
 白く巨大な鳥型のMAハシュマルと、その随伴機の群れ……!


日登町北区

 ガンダム・バルバトスとガイアギアαの前でシドは威嚇するように巨大な翼を広げた。
 デビルガンダムとハシュマルが動き出したことが影響しているのは明白だった。

三日月「こいつ……!」
アフランシ「ダメだ、ガンダム兄弟! ここでは町に被害が出る」

 戦闘態勢を立て直す三日月に、アフランシが声をかける。

三日月「……アンタもさっきまで街中で暴れてなかったっけ?」
アフランシ「そ、それは戦闘で気分が昂ってしまっただけで」
三日月「じゃ、なんで急に大人しくなったの?」
アフランシ「そ、それは昂り過ぎてちょっとオナn……気分を変えようとパイロットスーツを脱いだら急に頭がすっきりして」

 コクピットの中で全裸になったアフランシは、しどろもどろにそう答えた。

三日月「まあいいや。それで、どうするの?」
アフランシ「共闘しよう! まずはこいつを、町から引き離すんだ!」


日登町西区

 最後に動いたのは、西区に現れた巨大MAたちだった。
 彼らはその巨体を揺らしながら、ゆっくりと前進する。
 その一歩ごとに、地面が震えた。

ジョルジュ「いけませんね。やはりこちらの呼びかけに応じるつもりはないようです」
チボデー「Shit! なんなんだヤツらは!」
ドモン「今は奴らの正体を考えている余裕はない! なんとしてもここで食い止めるぞ!」
東方不敗「よいか! 奴らを一歩たりとも町に入れるでないぞ、若きシャッフル同盟よ!」

 日登町の混乱は、次の領域へ――!

94オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2019/06/16(日) 23:59:52.77ID:4PVU/5Bo0
日登町 銭湯サテリコン周辺

フラン『……ガー日のぼ……辺で巨大Mが確認……れました。 ピガーのお住みの方はガガみやかガギ……避難を……』
パーラ「ああもう全然電波入んねえな!」
シン「MSの通信機器も長距離になると全然だし、やっぱりどっかで妨害されてるのかな」

 サテリコンの小さな待合室にシンたちは集まっていた。
 テレビは電波状況が悪化し、映らなくなって久しい。
 ラジオも断片的なワードが時折入ってくるばかりだ。

ルナマリア「なんか町の外でデビルガンダムとかが暴れてる、ってのはわかったけど」
ザコ「だから今日はこんなに客が少なかったんザコね。よかったザコ、てっきりみんなウチの銭湯に飽きたのかと思ったザコ」

 そこへ、レイが心配そうにシンへ声をかけた。

レイ「……いいのか、シン。こんなところで油を売っていて」
シン「いいのかって? ああ、フロンタルが家を襲う計画を立ててるってヤツか」
レイ「戦いを仕掛けた俺が言えた義理でないことはわかってる。だが、もし俺たちに遠慮しているつもりなら……」

 言いかけたレイの言葉を、シンは首を振って否定した。

シン「大丈夫だよ。家にはマイ兄さんやフリット、ウッソたちもいるし。きっと上手いこと凌いだはずさ」
レイ「しかし」
シン「それに今は一刻も早くこの事態を解決して、レイや、ここにいる皆を守りたいんだ」
レイ「シン……」

ルイス「……そんな親友を潤んだ瞳で見つめるレイ」
ネーナ「いつしか二人の距離は縮まり、顔と顔、唇と唇が……」
カテジナ「あんたたちもシャクティとロマリーみたいなこと言ってるんじゃないわよ」
セシリー「…………」
ファ「どうしたのセシリー? ぼーっとして?」
ルー「きっとお家のことが心配なんでしょ」
セシリー「え? あ、うん。そうね。心配だわ。きっとお父様なら大丈夫だと思うけど」

 もちろん彼女が父・鉄仮面ことカロッゾ・ロナを心配していたのは嘘ではない。
 しかしセシリーが今考えていたのは他でもない、恋人シーブック・アノーのことだった。

セシリー「(きっとシーブックも今ごろどこかで戦ってるのよね……でも、それは『どっち』の彼としてかしら)」

 セシリー・フェアチャイルドに『ベラ・ロナ』としての顔があるように、
 シーブック・アノーにも、もう一つの顔――宇宙海賊『キンケドゥ・ナウ』――という顔がある。
 クラスメイトたちは勿論、ガンダム兄弟さえ限られた一部の人間しか知らない秘密だ。

セシリー「(もし『キンケドゥ』が戦ってるのなら……私は、こんなところでぼんやりしていていいのかしら)」

 セシリーが物思いにふけっていたその時だった。

赤い彗星のひと『前方の銭湯に生体反応確認。ゆけ、魔法少女よ!』

 赤い彗星のひとの指示で、フリフリのドレスを着た魔法少女がサテリコンに突入してくる!
 少女は魔法の力で瓦礫をあっという間に片づけると、キレのある動きでポーズを決めた。

パーラ「な、なんだあ!?」
マリーダ(フリフリミニスカ)「魔法のクローン、ブラスターマリーダ参上! 大丈夫か、助けに来た……げ」
ルー「え、マリーダさん?」
ファ「プルじゃなくて?」
ルナマリア「ていうか何その格好、コスプレ?」
クーデリア「かわいい……!」
マリーダ「な、なぜここにこいつらが……!」

95オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2019/06/17(月) 00:00:10.05ID:HCbtxN5I0
 顔見知りの女子高生ズに痴態を目撃され、真っ赤になるブラスターマリーダ。
 そこへ、Gビットの手に乗ってバナージもやってきた。

バナージ「マリーダさん! 一人で先に行かないでくださいよ」
シン「バナージ!」
バナージ「あ、やっぱりシンもいたか。表にデスティニーがあったから、そうじゃないかと思ったけど」

 彼らは赤い彗星のひとの指示で、逃げ遅れた人々の救助にあたっていたのだ。
 シンはバナージと合流し、
 お互いにこれまで起こった出来事を聞いて、情報を共有した。

シン「じゃあとりあえず当初の目的だったエドワウたちの回収は成功したんだな?」
バナージ「ああ。やっぱりカミーユとはひと悶着あったけどね。今はランバ・ラルさんの指示でウチの学校へ避難してるはずだよ」
シン「なら、ここにいるみんなもどこかへ避難させないとな。ここからだと一番近いのは、シロー兄さんのいる警察署かな」
バナージ「わかった。俺とマリーダさんでみんなを運ぶから、シンはその護衛を……」

グラハム「警察署か。それは良い選択とは言えないな」

 二人の会話に割って入り、待ったをかけた男。
 それは誰であろう、日登町警察署の警視正にしてサテリコンの主、グラハム・エーカーだった。
 グラハムは腰にタオル一枚を巻いた姿で腕組みしながら仁王立ちし、その背後では、マリーダが恥ずかしそうに立っている。

シン「アンタ! 一体いつここに!?」
グラハム「何を隠そう、初めからずっとここにいたぞ少年!」
シン「マジで!?」
ザコ「あ、警視正はここに毎日あさイチで来ているザコ。あまりに日常的な出来事だったから、完全に存在を忘れていたザコ」
パーラ「まあ、確かにいつでもいるから完全に景色と同化してるところはあるよな、このオッサン」
グラハム「そしてサウナでくつろいでいたところ、君たちの戦闘で男湯が半壊して出られなくなっていたという訳だ!」
マリーダ「気配がすると思って男湯を覗いてみたら、この男がサウナの中で全裸でスクワットしていた……!(赤面)」
グラハム「ハッハッハ。おかげでいい精神修養になった!」

 上気した身体から大量の湯気を立ち上らせつつ、グラハムは豪快に笑った。

バナージ「それで、グラハムさん。避難先として警察署がダメってどうしてなんですか?」
グラハム「うむ、それはだな」

 グラハムは壁に貼ってあった日登町の地図を外し、指で位置関係を指し示す。

グラハム「デビルガンダムは南区、ハシュマルは西区からそれぞれ日登町へ向かってきているのだったな?」
レイ「ああ、ラジオの情報ではそういうことらしい」
グラハム「だが、ここで注意しなければならないのは、ハシュマルの習性だ。奴はそもそも、何のため日登町へ来た?」
ルナマリア「あ! それさっきテレビでやってた!」
ルー「確か、モビルアーマーはデビルガンダムを餌にするって言ってたわね」
グラハム「そう。つまりデビルガンダムとハシュマル、二体はいずれ進路を変え、お互いに生き残りをかけて戦いを始めるはずだ」
シン「なんだ、お互いに潰しあってくれるならいいことじゃないか」
グラハム「話は最後まで聞くことだな、少年。南区のDGと西区のMA。現在の二体の位置をここと仮定する」

 グラハムは地図に赤ペンで二つ、南区と西区に○をつけた。

グラハム「そしてこの二つの○を線でつなぐ。この線状こそ、まさに二体の怪物の戦場となる!」
パーラ「なにさらっと寒いこと言ってんだオッサン」
グラハム「では、改めて見てみたまえ。この線上には何がある」
バナージ「何って……あっ!」
シン「日登町警察署……!」
グラハム「そうだ。これより先、日登町警察署はまさしく修羅の戦場となるぞ!」 

96オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2019/06/17(月) 01:53:17.19ID:HCbtxN5I0>>98
日登町警察署

 グラハムの懸念は実際当たっていた。
 警察署内は現在、騒然とした空気に包まれていた。
 それはシロー率いる08小隊も例外ではない。

サンダース「隊長! 西より迫るプルーマの一団を目視で確認!」
エレドア「こっちもだ! 南からデビルガンダムヘッドが地中を来てるぞ!」
シロー「総員配置につけ! 絶対に敵を警察署内に入れるなよ!」

 デビルガンダムとハシュマル、恐るべき二大脅威が日登町警察署に向かっていた。
 いや、正確に言えば、進路上にたまたま警察署があった、と言うべきなのだろう。

カレン「他の連中はまだ戻ってこないのかい!」
ミケル「無理ですよ。通信もできないんですから!」
シロー「住民を救助に行かせたのが仇になった?……いや、そんなこと考えるなシロー!」

 現在、署を守る警官は通常の3分の一。その数でデビルガンダムたちに立ち向かわなくてはならない。
 通常ならば一度署を放棄して態勢を立て直すのがセオリーだ。
 だが、現在のシロー達にそれを選択することはできない。
 できない理由があった。

警察署内
マリーメイア「まさか社会科見学に来た先でこんなことに巻き込まれるなんて」
アルミリア「うう、お願い助けに来てマッキー」
プル「ね~おなかすいちゃった。お菓子余ってないプルツー?」
プルツー「こんなときも平常運行だな姉さんは……」
ミネバ「うむ。この状況、まさに『きみは生き延びることができるか?』というヤツだな!」
ナトーラ「み、みなさん落ち着いて! こ、こ、こういう時こそれれれれれ冷静になって」
ナタル「まずはナトーラ先生が落ち着きましょう! 気持ちはわかりますが!」

 ロビーには職場見学に来たミネバたちの姿があった。
 いや、小学生たちだけではない。
 署内には、先ほどまでの騒動で避難してきた住民たちが大勢いた。
 彼らはみな、不安そうに外を見つめている。
 その傍では、いざという時の白兵戦に備えた警察官たちが、緊張した面持ちで立っていた。

ギャバン「貴様がここの最後の守りだ。命に代えても人々を守れよ!」
リディ「了解。……くそ、バンシィを持ってきていれば」
ユウ「…………」
リディ「嘆いても仕方のないことだろうって? 確かにそうだけど!」

 署を放棄するには、ここにいる全住民を安全に避難させなくてはならない。
 だが、今の警察の人数でそれは不可能だった。
 上ではハロ長官が、ラー・カイラム社やネオ・ジオン社に艦を回してもらえるよう必死に根回しをしているが、
 この混乱した状況ではそれも確実な手段ではない。

 現在、シローたちに残された手段は一つ。
 籠城したままで、デビルガンダムとハシュマルを迎え撃ち、
 なんとしても警察署とそこにいる人々を守る。
 それだけだった。

サンダース「射程圏内にプルーマ侵入!」
エレドア「数キロ先! デビルガンダムヘッドが顔を出しやがった!」
シロー「攻撃開始! 銃身が焼き付くまで……撃ち続けろ!!」



92通常の名無しさんの3倍2019/06/16(日) 09:30:18.30ID:gjqZV/XC0
86
親友のディケ忘れてやんなよ……

93通常の名無しさんの3倍2019/06/16(日) 11:19:33.60ID:xwkafl8/0
アリーサとアセムの初対面が軍だったことを考えると親友というには微妙かなって

ウッソ「どっちみちフリット兄さんの友達?ってオジサンばっかですよね」
アセム「いるよな。同年代と仲良くなれなくて年上の大人とばっか付き合うヤツ」



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最終更新:2023年02月13日 13:57