名もなき者に捧ぐ歌
「はああああぁぁぁぁぁ!!!」
雄叫びと共に、カブトとサソードが互いに向けて自身の得物を振るう。
瞬間、サソードの持つサソードヤイバーが、カブトのゼクトクナイガンに受け止められいなされるが、しかし彼は怯まず連撃を仕掛けた。
薙ぎ払い、切り上げ、振り下ろし、様々な角度から切りつけたその斬撃の全ては、しかしどれもカブトの身に届くことはない。
無論、互いの武器のリーチの差を考えれば、カブトからの反撃がサソードの身を傷つけることもない攻勢一方の有利な状況ではある。
だがそれでも、どうにも攻めきれない現状に、サソードは少しずつ苛立ちを覚え始めていた。
そして瞬間、振るわれ続けるその太刀筋から僅かばかり集中が失われたのを、カブトは確かに見抜いていた。
「プットオン!」
――PUT ON
カブトゼクターを操作したカブトの身が、一瞬にして重厚な殻に包まれる。
同時サソードの一撃はカブトへ到達するが、しかしまるでダメージには繋がらない。
マスクドフォームとなった今の彼にとって、狙いも定まらない乱雑な一刀程度、弾き返すには容易いものだ。
「――ッ!」
しまった、とサソードが身を引くより早く、カブトがアックスモードへ持ち替えたクナイガンの一撃がその身を切り裂く。
カブトと違い、ライダーフォームのままそれを受けたサソードの身からは膨大な量の火花が飛び散り、その変身を解除させる。
甘かった、とここにきて初めて渡は自身の失策を呪った。
敵はこのライダーシステムを自分とは比べ物にならないほど熟知している。
同じZECTのマスクドライダーシステムを用いた戦闘においては、一から十まで敵の方が上手なのだということを、もっと強く自覚しておくべきだったのだ。
地に膝をつき敗北を痛感する渡の首元に、カブトはゼクトクナイガンの刃を突き立てる。
殺意はない。だがこれ以上の戦いは無意味だと暗に示すような仕草だった。
「――終わりだよ、渡君。僕の勝ちだ」
「……僕は紅渡じゃありません」
カブトの勝利宣言に、しかし渡は未だ負けを認めぬ頑固さで意地を張り続ける。
一方で、この瞬間において間違いない優位に立ちながら、カブトはこの状況をどうするべきか悩んでいた。
渡の覚悟は、やはり生半可なものではない。
同様のライダーシステムを用いた戦いで勝利してもなお折れないところを見ると、或いは自分では役者不足なのだろうかという危惧も沸く。
彼の意思を変えさせるには、やはり自分と彼の共通の師匠である名護の説得と許しが必要不可欠なのだろうか。
そんな思考が思わず浮かぶ中、彼は突如として背後に尋常ならざる何者かの気配が現れたのを、感じ取っていた。
「――渡君!」
咄嗟の判断で、渡の前に身を乗り出すカブト。
覆いかぶさるようにして渡の盾となった彼の背に、刹那凄まじい熱を伴う光弾が到達していた。
「ぐあぁっ!」
防御力に優れるマスクドフォームであったために変身こそ解除されないが、それでも不意の一撃によるダメージは相当なものだ。
庇った渡が無傷であっただけ幸いか、と切り替えて立ちあがったカブトの視界に映ったのは、その掌から高熱故の煙を燻らせ立つ無言の怪人の姿だった。
「あれは……!?」
見覚えのないその姿に驚きを隠せないカブトだが、怪人は一切の言葉も感情も返すことはない。
二人は知り得ないことだが、彼の名はドラス。
殺し合い加速の為キングによってこの地に放たれた、殺人兵器(キリングマシーン)である。
だが敵の細かい経緯や事情などカブトには知る由もない。
首輪のないその首元を根拠に、ただ大ショッカーの手先なのだろうとだけ認識し、戦う以外に道はないとすぐさま立ち上がった。
背後の渡は、生身となったことも相まって近くの建物の陰に隠れたらしい。
或いは自分とドラスの潰し合いの果てで、勝ち残った方を労せず倒し漁夫の利を狙うつもりかもしれない。
だが、だからと言って彼の為に残しておく余力を考えて勝てるほど、敵も容易くはないだろうとカブトは理解していた。
「ハイパーキャストオフ!」
――HYPER CAST OFF
ライダーフォームへ戻ったカブトは、そのまま自身の最強形態たるハイパーフォームへの変身を敢行する。
その身を重厚なオオヒヒイロノガネによって銀色に塗り替えたカブトは、そのままゆっくりとその足をドラスへ向け進めていく。
そして一方のドラスも、カブトの実力を認めたか、無しか感じないはずのその表情に、笑みにも似た愉悦を滲ませた。
◆
目の前で始まったカブトとドラスの戦いを見やりながら、渡は一人その身体を休めていた。
二人の戦いは、渡にとって決して別次元のそれではない。
それこそ手元にある闇のキバないしは運命のサガの鎧を纏えば、今の渡の体調を鑑みても戦い抜けるだけのものだ。
だがそれでも彼がこうしてその顛末を見守っているのは、一つは漁夫の利を狙うべきとする冷静な判断と、そしてもう一つ。
(また、負けてしまった……)
先ほどの敗北を、自分自身の中で整理するためだ。
偉大なファンガイアの王の名を名乗っておきながら、また自分は負けてしまった。
単純に考えれば連戦に次ぐ連戦、単身で戦い続ける疲労感によって、自分の実力が出し切れなくなっていると言うことも出来る。
だがそれで本当に正しいのかと滅入ってしまう自分がどうしても存在するのは、これまで再三突き付けられたキングとしての自分は逃げに過ぎないという指摘の為だ。
名護にもう一人のクウガ、そして
天道総司を名乗る青年。
もう逃げないと決めたはずなのに、紅渡の名を捨ててキングとして殺し合いに乗ること自体逃げなのだと、そう証明するため自分と戦うといった彼ら全員に、自分は負けている。
だが自分はそれを認めたくなくて、その度に自分は正しいのだと相手の記憶を消し、或いはその場から去り、結論を先延ばしにした。
だがそれもいよいよ厳しくなってしまったことを、渡はこの三度目の敗北でひしひしと感じていた。
自分を心から案じ、そして拳で語ろうとしてくれた彼らの思いは、決して生中な嘘ではない。
それを渡自身感じてしまっているからこそ、こうして負けるのは自分の思いこそがただの意地でしかなく、彼らが言う自分の行いは逃げに過ぎないという指摘が、徐々に説得力を帯びてくるのを無視できないのである。
「……どうした、戦いに行かないのか」
迷う渡の元へ、空から声をかける者が一匹。
朝日に馴染まぬその姿は、自身のかつての相棒によく似た姿を持つ彼の父、キバットバットⅡ世のものだ。
自身が前に願った通り、“渡”とも“キング”とも呼ばないその忠臣ぶりには頭が下がるが、しかし今はただ一人にしてほしいというのが正直なところだった。
「キバットバットⅡ世、僕は……間違ってたのかな」
「何をだ」
「王として自分の世界を守ろうと思うこと。もしかして本当に、それ自体が逃げでしかなかったのかなって……」
遠い目をして問いかける渡の表情には、不安が随所に滲んでいる。
らしくもなく漏れた弱音は、或いは生涯の友を思わせるキバット族にだからこそ吐露出来るものなのかもしれなかった。
だが今彼の前にいるのは、いつだって心優しい言葉をかけてくれた、渡のよく知るキバットではない。
知らん、とぶっきらぼうにそれだけ言って、Ⅱ世はつまらなさそうに目を細めた。
当然か、と渡は自嘲する。Ⅱ世は自身の知るキバットと違って、自分の友達ではない。
ただ王としての資格を見初めて、自分と行動を共にしているだけだ。
その責務に不必要な問答や悩み、迷いなど、対話し解決する義務は持ち合わせていないのである。
或いはそもそも、そんな迷いを抱かないことこそ真の王たる資格なのだろうか、と思考するが、その仮定は渡から一層王としての覚悟を失わせるだけ。
悩みに暮れ、沈黙に沈んだ渡に対し、見ていられないとばかりに溜息をついたのは、やはりⅡ世だった。
「……だが俺に言えることがあるとすれば、お前の父親ならばそんな些細なことで悩みはしなかっただろうという事だな」
「――父さんを知ってるの!?」
「あぁ」
焚き付けるためか、或いはふと思い出したのか、Ⅱ世の口からぽつりと漏れたその名は、渡の想像していなかったものだった。
今の今まで一切口にしていなかった、彼が自身の父、紅音也を知っているという情報。
どういうことだ、と問い詰めるような表情をした渡に対し、Ⅱ世はいつものように平静を崩すことはしない。
「そんな顔をするな、聞かれなかったから答えなかっただけだ」
「じゃあ……答えて。父さんと貴方は、どんな関係なの?」
渡の問いに、Ⅱ世は再び目を細め――そして少しした後、観念したように少しずつ話し始めた。
彼と真夜、つまりは渡の両親の出会いとその交流、そしてかつて仕えたキングと音也との戦い。
その果てに真夜を傷つけた王を裏切り、音也と共に彼を討ったこと。
……恋人を殺してしまった失意と共に未来から来た渡のことは――面倒になるので――省き、話し終えたⅡ世の言葉を受けて、渡は他の何よりも困惑が沸き上がるのを感じていた。
「……キバットバットⅡ世、母さんを守ろうとしてくれたことは……感謝するよ。でも、あの人を裏切ったことは……」
「王の従者である自覚が足りないと?フン、どうとでも言うがいい。
俺にとっては真夜を傷つけるあの男がどうしても気に食わなかっただけだ。音也を使ったのも、都合がよかっただけに過ぎん」
「……本当に?」
問う渡の瞳は、あまりに純粋なものだ。
中途半端な嘘は通じないか、とⅡ世は諦観を抱いて、一つ溜息と共にその羽をはばたかせる。
「……奴の奏でる音楽に、不思議と心動かされた。俺も、真夜もな。力を貸したのは、そんな面白い人間を見殺しにするのは惜しいと、そう思っただけだ」
「父さんの奏でる、音楽……」
思案に沈んだ渡の表情には、亡き父への並々ならぬ思いが滲んでいる。
自身の知る過去に来た渡が、音也へ何度もその助けを求めていたことを思い出し、目の前にいる渡はその教えを永遠に得られないだろうことを、Ⅱ世は少しばかり哀れに思った。
抱くべきではなかった自身の思いを胸に秘めつつ、渡の行く末をただ見定めていたⅡ世は瞬間、彼の眼の色が戦士のそれへと変わるのを、確かに見届ける。
渡の澄んだ眼光が、戦場を見据えた。
ドラスと戦うカブトは、武器がないこともあって些か不利なようである。
恐らくはこのまま少しすればカブトは敗れ、ドラスは彼の命を容易く摘み取るのだろう。
だが、それでは駄目だと渡は自身に戒める。
他者の手によって彼の命が奪われては、仮面ライダーが
差し伸べる手を自分は拒絶出来なくなってしまう。
生まれ始めた未練を断ち切るためにあの青年と戦う事を選んだのだから、その決着だけは自分自身で付けなければならなかった。
「そう……僕がこんな所で止まったら、父さんが守りたかったものも全部消えちゃうんだ……!」
自分が一番守りたいもの。それを再確認するために、最も敬愛する父の存在を胸に抱き自身の闘志を沸き上がらせようとする渡。
そんな彼にⅡ世は僅かばかり眉を顰めたが、しかし当の渡本人はそれに気付くこともなく。
次の瞬間には右手を高く掲げ、その手中に忠実なる臣下を収めていた。
そのままⅡ世に左手を噛ませれば、魔皇力と共に闘争を求める本能が身体に迸る。
腰に巻きついた黒いベルトは相棒のもたらすそれとは違うが、しかし構わない。
今の自分にはこれでいい。いや、これがいい。
そんな思いと共に、どこか懐かしいその感覚に身を任せて、渡は低く呟いた。
「変身」
◆
カブトの放ったストレートパンチが、ドラスの胸に深く突き刺さる。
クリーンヒットと言って間違いない衝撃を伴うそれは、しかし当のドラス本人のダメージには繋がらない。
辟易とした感情すら覚える敵の頑強な肉体にカブトが再び当惑を示したその瞬間に、ドラスの反撃が彼を強く捕らえていた。
苦悶の声を上げ、カブトは数歩後ずさる。
その脳裏に浮かぶのは、どうすれば攻めあぐねる現状を打破出来るか、その答えの模索だ。
突如現れたこの怪人は、首輪をしていないことから見ても大ショッカーの手の者とみて間違いないだろう。
憎きキングのようにベラベラと無駄口を叩く訳ではないのはありがたいが、しかしその実力はやはり幹部のそれらしく、控えめに言っても相当のもの。
自分の疲労も影響しているだろうが、あのガドルを単身打ち倒したこのハイパーカブトの力が及ばないとは、流石の彼も予想外であった。
或いは渡が逃げ切っているだろうことを信じ、自分もここは一旦退くべきだろうか……とカブトが考え始めた、その時だった。
「ウェイクアップ1!」
「ハァッ!」
威勢の良い掛け声と共に、背後から自身を飛び越えドラスへ拳を放つ一つの影。
凄まじい勢いでドラスへ迫るダークネスヘルクラッシュの一撃は、強かにその胸を捉え大きく吹き飛ばす。
そしてそのまま、何事もなく着地した、どことなく仮面ライダーレイを思わせるその鎧の装着者を、カブトは既に知っていた。
「渡君!?」
思わず叫んだカブトの声に、しかしダークキバは何も返さない。
とはいえ、意識外からの攻撃が自身ではなくドラスへ向かったことから、今は共にドラスを倒すべきと判断したのだろうことは、理解出来る。
或いはドラスを倒した後に自身と戦う為、この場から逃げるのを防いだと取れるのかも知れないが、しかし。
少なくとも今は彼と肩を並べて戦える事を、カブトは素直に嬉しいと思った。
「ウゥ……」
呻き声を上げ、ドラスがその体勢を立て直す。
ダークキバの必殺の一撃もまた、奴に対してはさしたダメージにはならなかったらしい。
されど、その程度でいちいち浮き沈みをするほど、こちらも伊達に修羅場を潜ってきてはいない。
大した動揺もなくザンバットソードを構えたダークキバは、そのまま一瞬で間合いを詰め、その刃をドラスへと突き立てる。
瞬間、触れ合った刃に触れたその肉体から飛び散る火花の多さで、魔剣の切れ味と一撃の威力は推して知るべし。
振るわれた剣の勢い故にさしものドラスと言えど怯み体勢を崩すが、しかしそれだけだった。
そのまま剣を引き追撃をしようとしたダークキバの表情が、困惑に染まる。
ドラスがザンバットソードを握りしめたその片手の力だけで、自分が両手でどれだけ力を込めようとも剣は微動だにしなくなってしまったのだ。
かつて同じようにしてダグバにエンジンブレードを奪取された時を思い出し、戦慄するダークキバ。
されど、抱いた最悪の未来予想図が懸念に終わったのは、此度はあの時と違いそれを妨害する仲間が居たためだ。
「はあぁぁぁ!」
カブトの拳が、ドラスを揺るがす。
思わず刃を手放したドラスを見やり、自身の手にしっかりとザンバットソードを握りしめたダークキバは、ちらとカブトを一瞥する。
感謝を述べる訳ではない。だがそれでも、二人の視線が交差したその瞬間は、彼らに何かを通じ合わせるに十分だった。
「……!」
立ち並ぶ二人の仮面ライダーを改めて驚異と認識したか、ドラスがその手から光弾を放つ。
凄まじい威力と勢いを誇るそれだが、しかし二人にとって躱すことなど容易い。
それぞれ左右へ飛んでやり過ごし、後方に起こる爆発を気にすることもなくダークキバは懐のフエッスルを手に取った。
「ドッガ、力を貸せ」
Ⅱ世の奏でる不思議な音色を受けて、彼のデイパックから紫の胸像が飛び出してくる。
本来であれば封印の能力を発揮するはずのそれをこうして武器への変形能力として扱えるのは、Ⅱ世もまた息子と同じキバット族である故か、或いはその鎧を纏うのが渡である為か。
理由はどうであれドッガハンマーを構えたダークキバは、そのままドラスへその槌を振りかぶった。
「ヌゥン!」
低く気合いを込めて振り下ろされたドッガハンマーが、ドラスの肉体を削り落とす。
先ほどと変わらず受け止めようとするが、しかしその槌の重量を前には悪あがきもいいところだ。
さしものドラスも直立不動で受けきることは叶わず、彼はその身体から大きく火花を撒き散らした。
「ハァッ!」
そしてその好機を、カブトが見逃すはずもない。
攻撃の反動で未だ動けずにいるダークキバを庇うように飛び上がり、ドラスの前へ飛び出したかと思えば、ダークキバが手放したザンバットソードで以て思い切り切りつける。
切り上げ、切り下ろし、薙ぎ払う。その一撃一撃毎に剣に取り付けられたザンバットバットで刃を研磨すれば、魔剣の刀身はたちまち虹色に輝いた。
ハイパーカブトの持つ高密度のタキオン粒子がザンバットソードに宿ったそれは、かつて戦った強敵にも通じた仲間との絆の結晶だ。
ハイパーザンバット斬とも呼ばれるそれを完成させたカブトはしかし、それをそのままドラスへ切りつけることはしない。
「渡君!」
掛け声と共にザンバットソードを投げつければ、それを危なげなくキャッチしたダークキバも、彼の意図を察したようだった。
「ウェイクアップ!」
ザンバットバットに取り付けられたウェイクアップフエッスルを、Ⅱ世が奏でる。
それに伴いダークキバが今一度刀身を研磨すれば、それは瞬く間に赤い魔皇力に充ち満ちる。
ファイナルザンバット斬とも呼ばれる必殺技を発動したザンバットソードは、されどダークキバの知る常のものともまた異なっていた。
赤い魔皇力迸る刀身に、煌めく虹色のタキオン粒子。
それは、ハイパーカブトとダークキバの両名が持つ異世界のエネルギーが、今まさしく最強の魔剣に集った瞬間であった。
「ハァッ!」
そして、その一撃の完成に感動し動きを止めるほど、ダークキバは愚かではない。
かつてないほどのエネルギーを充填したザンバットソードを勢いよく振るえば、その刀身から余剰した衝撃が、容赦なくドラスへと到達する。
「グオォ……!」
そして同時、さしものドラスと言えど二人の仮面ライダーが力を合わせた一撃を前には、無傷で受け止めることなど出来るはずもない。
爆発音と共に吹き飛んだドラスの身体は、そのまま一軒の民家へ激突し、轟音と共にその家を崩壊させる。
積み重なる瓦礫の山と、徐々に周囲に広がっていく砂埃と収まり行く喧噪。
辺りを沈黙が支配し始める中で、彼らは自分たちの勝利を確信しかけるが。
「――ぐわあああぁぁぁぁ!?」
突如として二人の肉体を、激痛と共に電流が駆け抜けた。
想定外のそれを放った存在は他でもない、ダークキバとカブトの攻撃を受けてなお立ち上がったドラスである。
その身体の至る箇所から火花と硝煙を生じさせながらも、しかしその闘志は萎える様子もなく、彼が迸らせた電撃は容赦なく二人へ降りかかった。
凄まじい威力を伴うそれを受け、遂に二人は膝をつく。
変身さえ解除され生身を晒した二人に、そのまま止めを刺そうと再び掌を翳そうとするドラスを前に、しかし総司は自身を奮い立たせる雄叫びと共に駆け出していた。
「ウオオオォォォ――変身!」
「フン……行こうか。華麗に、激しく!」
満身創痍のその肉体に、雪男を想起させる鎧が纏われる。
仮面ライダーレイの名を持つその姿に思わず渡が息を呑む一方で、レイはドラスへと一目散に駆け抜ける。
その雄姿は称賛にすら値するものだが、しかしレイの鎧は所詮人工で作られたキバの紛い物だ。
ファンガイア一族の最高傑作たるダークキバですら敵わなかったドラスを相手にしては、打倒など夢のまた夢である。
だがそれでも彼が諦めないのは、レイの鎧に授けられた唯一つ闇のキバにすら打ち勝ちうる能力の為。
その僅かな道しるべだけが、彼らの抱く勝利への希望だった。
「ウェイクアップ!」
ウェイクアップフエッスルの音色を受けて、レイの腕に魔皇力が漲る。
それによってレイの腕に巻かれた鎖が解き放たれ、ギガンティッククローと呼ばれる巨大な爪が装着される。
同時、両の手に現れたそれで以てレイはドラスの攻撃を防ぎ、一瞬でその懐まで潜り込んだ。
「はああぁぁぁぁぁ!」
気合いと共に、レイはギガンティッククローをドラスへと突き立てる。
しかし、その圧倒的な質量で押し潰そうと振るわれたその腕は、ドラスの胴には届かない。
彼が防御策として突き立てた両の腕が、凄まじい力でレイの腕がそれ以上侵攻することを阻んだのである
グググ、と音を立てて両者の力が拮抗する。
押し切るか、守り切るか。その意地の張り合いの結果をしかし、その実レイは察していた。
レイのギガンティッククローを用いたこの攻撃力は、魔皇力によって底上げされたものだ。
ウェイクアップフエッスルが漲らせたこの力は、時間と共に霧散しつつある。
今でこそまだドラスと互角と言って差し支えないが、それが続くのも時間の問題だ。
この身に滾る魔皇力が失われドラスのパワーに対抗出来なくなったその瞬間が、自分の最期となるだろう。
しかしそんな未来を容易に想像出来るからと言って、レイは全てを諦めた訳ではない。
咄嗟に背後を振り返って、彼は未だダメージでしゃがみ込む渡をその視界に収めた。
「渡君、逃げて!こいつは僕が何とかするから、君だけでも逃げるんだ!」
「な……!」
刻一刻と迫る限界へのカウントダウンに喘ぐレイが渡へ叫んだのは、救援ではなく逃走の指示。
確かに、ダークキバさえ敗れた今、自分がまたサガやゼロノスになって総司と共に戦ったところでドラスに勝てる保証もない。
だが、とはいえそれを改めて総司を犠牲にしての逃走という形で突き付けられてしまうと、渡は思わず二の足を踏んでしまう。
総司は自分が倒すべき存在だから?ドラスを倒すのは弱っているだろう今が最適だから?
否、これはそんな冷静な思考が介在している訳ではないと、渡は理解してしまっていた。
「何で……何で!なんで僕を助けようとするの……、君の命を奪おうとした僕を……!」
故に、その足を逃げるためのものにするより早く、問うてしまう。
小野寺ユウスケといい、彼といい、何故その命を奪おうと牙を剥いた自分を、こうまで逃がそうとするのだろう。
その問いの答えは渡には全く分からない。
或いはずっとその答えから目を背け続けてきた為に、いつの間にか見えなくなってしまっただけかもしれないが……ともかく。
必死に問う渡に対し、レイはただ何も不思議なことはないように――それでいて何かを思い出すように――クスリと笑った。
「何でも何も、それが当たり前だからだよ。僕は……仮面ライダーだから」
胸を張り、誇りと共にその名を名乗ったレイの背に、後ろめたさのようなものは一切感じられない。
仮面ライダー。渡自身、幾度となくその名で呼ばれ、そしてその度に否定してきた正義の味方を指す称号。
渡自身がどうしても避けてきたその名とその生き様を、まるでこれ以上ない名誉であるように振る舞うレイの姿は、今の渡には余りにも眩しすぎた。
これが、名護の言うかつて取り返しの付かない罪を犯し、それを償おうと戦う青年の姿なのだろうか。
今の今までどうしようもなく昔の自分と重なっていたはずの彼の姿が、何時しか輝きと共にぼやけていく。
きっと彼は、かつての自分ともまた違う存在なのだ。
それこそ或いは、彼がいるのはかつて自身が居座っていた場所などではなく。
彼にしか存在しない、彼自身の場所なのではないかと。
なれば、自身の居場所とでも呼ぶべきそれは、果たして本当になくなったわけではないかもしれない、と。
そんな風に自身に都合の良い思考が、されど総司を一人の独立した存在として認識する過程で、渡の中にどうしても生まれていた。
「ぐ、ああああぁぁぁぁ……!」
思考に沈んだ渡を尻目に、レイが呻き声を上げる。
いよいよ以てその身に漲っていた魔皇力が宙へ霧散し、その力が発揮出来なくなりつつあるのだ。
恐らく後そう長くない時間で、彼は限界を迎えドラスに敗れ去るだろう。
そうなる前に逃げなければと冷静な思考が訴えかける一方で、しかし渡は動かない。
というより、どこか信じている自分がいた。
真に彼が仮面ライダーであるならば、この状況をすら覆すことが出来るのではないか。
誰しもを護り世界だって救ってしまう。
総司自身が述べた正義の体現こそが仮面ライダーであるならば、こんな不利だって覆せるはずだ。
そんな楽観的な思考を乗せ戦況を見守る渡の瞳は、既に王の冷酷なそれではなく。
かつて名護に弟子入りしその正義に父を重ねたあの頃の紅渡が、そこにはいた。
「グ……総司……、ちょいとキツいが……耐えろよ!」
今まさにドラスとの力比べが、敗北という形で終わろうというその瞬間。
突如掻き鳴らされたフエッスルの音色が、レイの全身に再び魔皇力を滾らせる。
先ほどのそれと同等、否それ以上に漲る力が今度はドラスを追い詰め、形勢を逆転させる。
だが、それだけの魔皇力を発生させるのは、勿論容易なことではない。
その副作用は、慣れぬ魔皇力に蝕まれる総司の身体に迸る激痛……だけでなく。
「レイキバット!?」
レイの困惑した声が、周囲に響く。だが、それも無理のないことだ。
彼の全身に走る激痛を忘れさせうるだけの光景が――即ち、その身体から火花を散らしオーバーヒートを訴えるレイキバットの姿が、そこにはあったのだから。
不思議なことは何もない。限度を超えた魔皇力の行使によって、それを司るレイキバット本体にそのツケが回ったのである。
だがしかし、変身者であるレイにとって、彼は単なる道具に非ず。
仲間である彼の危機を不安そうに彼を見やるレイに対し、しかしレイキバットは力を振り絞って怒声を浴びせた。
「馬鹿野郎ォ、総司ィ!余所見してんじゃねぇ!」
「でもレイキバット、このままじゃ君が――!」
「じゃかあしい!俺のことは気にせずさっさとこいつを仕留めやがれィ!」
叫ぶレイキバットの姿は、彼が常に口にする華麗とはかけ離れた激情に身を任せたものだ。
されど、その姿は間違いなく激しく、彼の生き様としてこれ以上なく美しいものだった。
(……ケッ、俺の年貢もここらが納め時か。まぁ俺にしちゃ出来すぎた一生だったな)
そして、その身の節々が限界を迎え、焼き切れ行く電子回路の熱を直に感じながら、レイキバットは自身のこれまでの人生に思いを馳せていた。
自分の存在など、生まれから育ちまで、本当に下らないものだった。
ファンガイアだけが扱えるキバの鎧を模倣して、人類でも使えるようにとその模造品として自分は生まれた
だが結局人間では自身を扱えず、自分は失敗作の烙印を押され見捨てられた。
自分は何も悪くないはずだと、何故か与えられた思考回路で自身が生まれた意味と存在意義を考え続けた。
だが、その答えは何も見つからなかった。
やがて、人類がイクサという鎧を完成させたという噂を聞き、いよいよ自分の存在意義を疑い始めたその時に、奴らは現れた。
レジェンドルガと呼ばれる彼らは、自身を扱うには人間では足らず、レジェンドルガに身も心も捧げる必要があると言った。
皮肉なものだ。ファンガイアを倒す人類の戦力であったはずの自分が、結局レジェンドルガなる存在に頼らなければ纏うことすら出来ぬ等。
だが、人間はそれを受け入れた。悪魔に魂を売り、レイの鎧を纏ってファンガイアと戦った。
正直、その時ばかりは自分が生まれた意味を感じたが……しかしそれも僅かな間だった。
そう……自分を纏う白峰が、イクサを纏う男に敗れるまでの、ほんの僅かな間だけ。
今度ばかりは、自身の運命を呪った。
レジェンドルガに魂を売らねば纏うことすら叶わぬ鎧であるというのに、単なる人間を相手に敗れ去るほどの力しか持たないとは。
望まれた命でもなければ、望まれた力すらもたらせない。
いよいよ以て自身が生きている意味が分からなくなって、自身はその生命活動を一度停止し――そして、気付けばこの殺し合いに呼ばれていた。
世界崩壊の事情を理解し、されど世界存続を目的に戦うだけの気力は、もう自分の中には沸いてこなかった。
頼んでもいないのに自分を生み、そして使い捨てにした世界になど、未練もない。
むしろその滅びをすら望んだ自分の前に、彼は……総司は突如として現れた。
彼は言った。自分勝手な目的の為だけに自分を生んだ世界を憎んでいると、だから全てを壊し尽くしてみせるのだと。
それを聞いて、総司と自分は同じなのだと、すぐに分かった。
誰かのコピーとして生まれ、しかしその役目すら満足に果たせず捨てられた廃棄物。
本物が居る限り誰も見向きしない自分を認めさせるために、自分を無視し続けた世界を滅ぼすのだと宣う彼に、すぐに自分は惹かれた。
この男の生き様に、この下らない自分が必要とされるのであれば、何も惜しくはない、そう心から思った。
そして世界を滅ぼす為共に戦う決意を固めて、しかし彼は変わっていった。
海堂に、名護に、そしてダークカブトゼクターに正義の味方たる生き方を教えられ、世界を憎む思考は徐々に消えていった。
そんな総司を前にして、自身の映し鏡のような出で立ちを持つ総司が、そうやって変われるというのなら、自分もまたそれが出来ない道理はないと、そう思った。
かつて与えられた本来の使命のままに、誰かの代理品ではなく総司と共に全ての世界を救う為戦うのも悪くはない。
それが、ようやくレイキバットが自分自身の命に価値を認めることが出来た、つい先ほどの話だ。
だがその命も、今終わりを迎えようとしている。他ならぬ総司の命を、守る為に。
(ヘッ、全く運命ってのは数奇なもんだ。レジェンドルガの手先として人間と戦った俺が、最後の最後は正義のヒーローだとよ)
また一つ回路がショートするのを感じながら、レイキバットは自嘲する。
総司と共に戦う内、彼と共に自分自身もまた大きく変わっていたらしい。
ただ自身の存在を何かに刻み込む為足掻いていたというのに、こんな風に誰かの為に殉ずるその一生の終わり方も悪くはないと、今はそう思える。
全く以て厄介な野郎と組んじまったもんだぜ、と溜息を吐くが、されどその表情に一切の陰りはなく。
寧ろこの一生の中で今この瞬間こそが最も誇らしく生まれてきた価値があると断言出来るだけの熱さを、彼は確信していた。
(頑張れよ総司……俺がいなくても、お前はもう一人前だ)
雄叫びを上げるレイを見上げながら、レイキバットはその鎧の下の男を想う。
総司はずっと強くなった。様々な別れと出会いが、彼をこうまで成長させたのだ。
もう彼は最初に出会った頃の境遇に嘆く無力な若者ではない。
自分さえも認めざるを得ない強さを持った、一人前の仮面ライダーなのだ。
だから、彼を遺して死ぬことに、もう何の憂いもなかった。
「だあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
絶叫を上げたレイが、遂にドラスの防御を突破する。
挟み込むようにドラスの身体を押し潰したかと思えば、レイはその両腕を何度も何度もドラスへ一心不乱に殴りつけた。
ブリザードクロー・エクスキュージョン。それは、仮面ライダーレイの持つ、唯一にして最強の必殺技だった。
(……俺も、そろそろ限界か。じゃあな総司、達者でやれよ)
人知れず別れの言葉を吐いて、レイキバットはその目を閉じる。
幾度となく振るわれるレイの爪がドラスの肉体を切り裂き、その肉体を復元不可能なレベルで爆発四散させるその轟音を、耳にしながら。
「それじゃ逝こうか……華麗に……激しく……」
最後に呟いた決め台詞は、されど誰の耳に届くこともなく。
その許容限界を大きく超えた力を発揮した一機の機械仕掛けの蝙蝠は、そこで活動を停止した。
◆
収まった爆炎と轟音の後。
ドラスは死に、度を超えた魔皇力の行使によって限界を迎えた総司が仰向けに気絶するその戦場で、紅渡はただ一人立ち尽くしていた。
絶対の勝者だという訳ではない。だがそれでも、最後に立って周囲の生殺与奪の権利を得たのは、確かに自分だった。
その手にジャコーダーを握りしめ、ゆっくりと総司の元へ足を進める。
彼を殺せば、自分は本当に取り返しの付かない場所に堕ちるだろう。
今度こそ名護やユウスケも説得など無意味だと気付き、問答無用で自身を倒しに来るはずだ。
そんな、キングを名乗ると決めた時から知るあるべき自分の姿を夢想して、渡は身震いする。
何故かは分からない。だがきっと武者震いだろうと、自分を納得させる。
自然とジャコーダーを握る手に力が籠もるのを自覚しつつ、彼はその足をまた一歩無防備な総司へ向け進めようとする。
刹那、カツン、と小さな部品がぶつかったような不快な音が爪先から響いた。
一体何だと見やれば、そこにあったのは先ほどまで総司が変身に使用していた白い蝙蝠の姿。
白かったはずのその体色は焼けて黒く焦げ、ブスブスと燻る煙は内部が修復不可能な事を示している。
そして同時、かつての相棒を想起させるその死骸に、渡は思わずその足を止めてしまう。
或いはこの蝙蝠もキバットと同じように、総司を守る為その命を進んで投げ打ったのだろうか。
自身と違い別れの挨拶さえ出来なかったこの蝙蝠の願いを無為にし、総司を手に掛けるのは、果たして自分に許される所行なのだろうか。
様々な思いが過ぎり、その度ジャコーダーを握る手が緩む自身を自覚して、渡は思い切り頭を振る。
このまま逃げるだけでは結局何も変わらないではないかと、そう自分を鼓舞するように。
「そうだ……僕がやらなきゃ……あの人や父さんが守ろうとした世界を、守る為にも……」
後戻りなど叶わないのだと、奮い立たせるように父の名を呟く。
そうして浮かんだ迷いを断ち切り、いよいよ以てその手が総司へと振り下ろされようという、その瞬間。
突如として彼の腕に、小さな衝撃が走った。
「痛ッ」
小さく呻き、渡は思わずジャコーダーを取りこぼす。
一体誰が自信を攻撃したのか。その答えは分かりきっていて、しかし意外なものだった。
「キバットバットⅡ世……何のつもり……?」
そう、渡を攻撃し総司の殺害を中断させたのは、自身に仕えていたはずのキバットバットⅡ世、その人であった。
この突然の裏切りには渡も動揺を隠せず、ただ困惑した瞳で彼を見やる。
だが一方のⅡ世はさもその行いは当然であるかのように、平時の冷静さを絶やさない。
「フン……言ったはずだぞ、俺は誰の味方でもないと。今の貴様からは王たる資格を感じられん……それだけだ」
「そんな……」
先ほどまでであれば従者として渡に仕えていたはずのⅡ世の瞳は、既に失望に染まっている。
話すだけ無駄だと暗に示すようなⅡ世の口から放たれた離別の言葉を受けて、渡は思わず困惑してしまう。
「それに、音也は人間とは言え、真夜と俺が認めた男だ。その名をただ自分を正当化する為だけに利用するような愚か者になど、俺は力を貸す気はない」
「僕が父さんを、利用してる……?」
Ⅱ世の言葉に、渡は驚愕する。
自分が誰かの為にと世界を守ろうと戦ってきたのは、果たしてただの自己満足に過ぎなかったのか。
自分は、知らず知らずのうちに父音也の存在を都合の良い言い訳として使ってしまっていたというのか。
当惑し、自分自身にさえ信用がおけなくなった渡は、しかし次の瞬間とあることに気付いた。
王に仕えるキバットバットⅡ世に見捨てられるということ、それは即ち――。
「待って!紅渡であることを捨てたのに……キングですらなくなったら、僕はどうなるの!?」
自身の言いたいことだけ告げ去って行こうとするⅡ世に対し、渡は必死の思いで呼び止める。
名護を裏切り紅渡である自分と決別し、差し伸べられてきた手を振りほどいてきたというのに、そうまでして守ろうとしたキングの座すら奪われてしまったら。
自分は果たして、何者だというのだろうか。
「知らん。だが紅渡にせよキングにせよ……貴様は本当の自分を見つけられるはずだ。貴様が、あの紅音也の息子であるのなら」
その名を呟いたⅡ世の顔は、どこか寂しげでもあった。
音也を想ってか、真夜を案じてか、或いは道に迷う渡の顔に、亡くした息子を重ねたか。
ともかくその瞳はかつて先代の王を裏切った時のそれとはまた違う色を秘めていたことを、渡は気付くはずもなく。
ただ飛び去っていくⅡ世を前に、王でなくなった自分自身を自覚して、渡は長い慟哭を漏らした。
【二日目 午前】
【D-2 市街地】
【紅渡@仮面ライダーキバ】
【時間軸】第43話終了後
【状態】ダメージ(大)、疲労(大)、精神疲労(大)、迷い、キバットの死への動揺、
相川始の裏切りへの静かな怒り、心に押し隠すべき悲しみ、今後への困惑と混乱、仮面ライダーダークキバに1時間55分変身不能、仮面ライダーサソードに1時間50分変身不能
【装備】サガーク+ジャコーダー@仮面ライダーキバ、ゼロノスベルト+ゼロノスカード(緑二枚、赤一枚)@仮面ライダー電王、ザンバットソード(ザンバットバット付属)@仮面ライダーキバ、サソードヤイバー@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式×3、GX-05 ケルベロス(弾丸未装填)@仮面ライダーアギト、アームズモンスター(ガルルセイバー+バッシャーマグナム+ドッガハンマー)@仮面ライダーキバ、北岡の不明支給品(0~1)、ディスカリバー@仮面ライダーカブト
【思考・状況】
基本行動方針:……自らの世界を救う為に戦う。
1:僕は……。
2:大切な人達を守り抜く。
3:ディケイドの破壊は最低必須条件……?次会ったときは……。
4:始の裏切りに関しては……。
4:加賀美の死への強いトラウマ。
5:僕は『紅渡』でも『キング』でもない……。
6:今度会ったとき邪魔をするなら、名護さんも……?
7:キング@仮面ライダー剣は次に会ったら倒す。
【備考】
※過去へ行く前からの参戦なので、音也と面識がありません。また、キング@キバを知りません。
※ディケイドを世界の破壊者、滅びの原因として認識しましたが、ユウスケの言葉でその討伐を迷い始めています。
※仮面ライダーレイに変身した総司にかつての自分を重ねて嫉妬とも苛立ちともつかない感情を抱いています。
※サソードゼクターに認められました。
※未だサガークにキングとして認められているかは不明です。
【擬態天道総司(ダークカブト)@仮面ライダーカブト】
【時間軸】第47話 カブトとの戦闘前(三島に自分の真実を聞いてはいません)
【状態】疲労(極大)、ダメージ(大)、不安と安堵、仮面ライダーレイに2時間変身不能、仮面ライダーカブトに1時間55分変身不能
【装備】ライダーベルト(ダークカブト)+カブトゼクター+ハイパーゼクター@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式×2、753Tシャツセット@仮面ライダーキバ、魔皇龍タツロット@仮面ライダーキバ
【思考・状況】
基本行動方針:天の道を継ぎ、正義の仮面ライダーとして生きていきたい。
0:(気絶中)
1:渡くんに勝って彼を救ってみせる。
2:剣崎と海堂、天道や翔一の分まで生きて、みんなのために頑張る。
3:間宮麗奈が心配。
4:放送のあの人(三島)はネイティブ……?
5:士が世界の破壊者とは思わない。
6:元の世界に戻ったら、本当の自分のお父さん、お母さんを探してみたい。
7:剣崎、翔一、ごめんなさい。
【備考】
※自分が翔一を殺したのはキングの罠であることに気付きました。
※渡より『ディケイドを破壊することが仮面ライダーの使命』という言葉を受けましたが、信じていません。
【備考】
※キバットバットⅡ世はどこかへと飛び去りました。彼がこの後どこへ向かうのかは後続の書き手さんにお任せします。
※レイキバット@仮面ライダーキバは破壊されました。
◆
「あーあ、やっぱりやられちゃった。あんなご飯じゃ力出ないよ」
愚痴を吐きながら、緑色の飛行物体――ネオ生命体は、ただ何処かを求め浮遊していた。
ドラスの身体が敗北したその瞬間、コアである本体だけが抜けだし、こうして二人の仮面ライダーから逃げおおせたのである。
しかし、正直なところ今はただ逃げるのが精一杯。
誰か労せず腹を満たせるだけの力を持った誰かに出会えればいいが、しかしその目処も立たず、彼は空腹に喘いでいた。
「うーん、どうしよ。あのアンデッド君のところに戻ろうかな?そうすればまたご飯をくれるかもしれないし」
無邪気な少年のような声で、ネオ生命体は自身を育ててくれる誰かを求め飛んでいく。
ご飯……即ちその生き血を自身に捧げてくれる都合の良い存在を得る、ただその為だけに。
その先に、美味しい“ご飯”があることだけを、期待しながら。
【二日目 午前】
【D-2 市街地】
【ネオ生命体@仮面ライダーディケイド完結編】
【時間軸】不明
【状態】ダメージ(中)、コア丸出しで移動中
【装備】なし
【道具】なし
1:アンデッド君(キング)のところに戻ろうかな?
【備考】
※キングが主催より持ち込んだ対カッシスワーム用支給品でした。
最終更新:2020年01月24日 15:39