『いいの、いいの(漸ノ篇)』
東●ホテル・『四階』。──読み方にして、『しかい【死界】』。
四方八方至るところにて、ブクブクブクブクと。急性アレルギー患者の水膨れの如く、ウンディーネが上品な館内を埋め尽くす。
至極当然、この場に一歩でも踏み込めば即肉片化。死を恐れる暇もなく、鋭い水流で楽にしてくれるだろう。
言わば、この場は完全に水先案内人のサンクチュアリ《聖域》と化していた。
ただ、トゲが多い薔薇は美しいもの。
というのも、魔力の集合体であるウンディーネは、本質上ポーション同然の成分を含む。
生命力という名の棘さえ外せば、(微々たるものではあるが)十分な魔力エネルギー源となるのだ。
言わば、《聖水》。
大きなリスクを背負ってでも手に入れたい──いや、絶対に手に入れなくてはならない。
聖なる水を求めて、三人。
ウンディーネ達のちょうど死角となる階段の影にて、うまるとデデル。
「やばっ?! やばやばやば〜〜っ!!! …なんか増殖してない?! バイバインか!!」
「…フゥ。とりあえず四階の有様を知れただけでも収穫だろう、土間の小娘。──」
「──さて、ウンディーネが少ない三階に戻って策を練りましょうか。行きますよ、マスタ…、」
「魔人さんにうまるちゃん、とくとご覧あれ!!! …私が『ただ者』ではない証明……──宇宙のパワーを見せてさしあげよう!!!」
「は?」 「…へ?」
そして、マスター・新庄マミは、
──魔力不足により徐々に姿が薄れてゆく我が使い魔。
──砂時計にして、一握り程度の残りリミットしかない魔人デデルを救うため、
『緊急SOS/ホテルの水全部抜く』──【ウンディーネ捕獲作戦】を遂行せねばなるまいのだった。
「…そりゃマミちゃんは宇宙人()だけどさぁ〜〜」
「ただ者ではあるでしょう。ただの人間の、小娘。……全く、マスターの愚かさには飽きさせ知らずです。ほら行きますよ…、」
「「…って、あぁ!!!」」
「はぁ〜〜っ。ハァ─────────っっ!!!!!」
仲間の制止を知らぬ構わずで、我先に飛び出したのはマスター自ら堂々と。新庄マミ。
ウンディーネの視線というスポットライトを存分に浴びる切込隊長は、何がしたいのやら、両掌を群れへ向けて差し出す。
「ハァ────!!」「ハァ────!!」「ハアァ────っっ!!!!!」──両手に力を込め、水塊を目柱強く睨む、その彼女。
傍から見れば、R-1グランプリに現れた電波芸人のような奇行をしてみせたマミであったが、別にふざけた訳では無い。
彼女には自信があったのだ。
「はぁああああ〜〜〜〜〜…っ」
それは日々。
同級生であり『超能力』の師匠でもある新田ヒナとの訓練の日夜。
放課後、何時間も河原で石ころを動かし続けた──念動力の練習に費やした時間と努力。
その積み重ねが、もしかすればウンディーネすべてを倒せるかもしれない。根拠のないとはいえ、そんな自信がマミには本気であったのだ。
そして、何よりも、
「ハァアアア─────────っっ!!!!!」
三人の中で自分が一番偉く、凄いという【マスター】の称号を、自分自身の力で証明してみせたかった。
「破ァアアアアアアアアア─────────っっ!!!!!」
…しーん。
──「和田ア●子かっ!!」
──うまるがそうツッコんだ折、『結果』が突如として現れた。
────『結果』を言おう。
────マミの力は、本物だった。
「…え?」
「「…え」」
何せ、マミへ。そして隠れていたデデルらの元へ。
手を一切触れずして、計二十体のウンディーネが、まるで吸い寄せられたのように一斉に急接近したのだから。
「なぁあぁあッ!??」 「……くぅッ!!」
この力は『本物』だったと認めざる得ない────。
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ────
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ────
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ────
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ────
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ────
………
……
…
◆
東●ホテル・『三階』。──韻を踏めば『安泰』。
調理ルーム/食品保管室は、冷や汗と疲れを癒すには十分なほどに冷気が効いていた。
食品保管室とは、当ホテルにおいて精肉や作り置きの品々を保管するための空間。
──その中でも冷凍必須な食品においては、保管室奥の冷凍庫ルームにて保存されることとなる。
「うぅぅ゙ぶぶぶ〜〜〜っ!!! ぐ、ぐらかったよ〜! 狭かったよ〜! ざ、ざむかったよぉおおおお〜〜〜〜…!! ご、ごへんなはァい魔人さんん〜!! 寒い寒いぃい〜〜〜……!!!」
「申し訳ありませんマスター。私は制裁には暴力を好まぬ性分でして。ただ、これで頭が冷えたご様子ですので安心しました」
「…『冷凍室閉じ込めの刑』……。うまる、普通にマミちゃんのこと殺っちゃうのかと思ったんだけど〜…」
「それだと冷凍室が気の毒だろ」
「もう〜〜…だから何それっ!!? うぅ…、寒ぃ〜〜〜…」
口では冗談を言いつつも、冷や汗を隠しきれなかったデデル。
そして、未だに顔の引きつりが収まらないうまると、冷えた上に顔も引き攣るマスター。
三人はこうして、奇跡的に調理室まで隠れ逃げた次第に至ったが、一生分の奇跡はこれにて使い切ってしまったのか不安にも至る現状である。
調理室の鉄製のドアは施錠済み。
したがって、ウンディーネはおろか他参加者さえ侵入を許されない籠城下とはなってはいる。
そう。なってこそはいるが──、
──それでも怪異が収まるまでここに留まり続けるわけにはいかないのが、一行の状況だった。
「……………まったく、誰の為に私がわざわざ使い魔をしていると思っているのだか。私はキサマら人間共の争いに巻き込まれただけというものを…」
「…あ、デデル……。あれ、ちょっと~~…」
「…………いつ我が身が消えようとも、私には関わりなき話だというのに…。……愚かな主だ」
「………だいぶ、スケルトン度やばくなってきたね〜…………。デデル…」
「…魔人…さん……………。…さむ」
「…………ふっ、くだらん」
刻。刻一刻と過ぎ、徐々に空気へと溶け込んでいくデデルの身体。
その手にあるランプの中は、すでに干上がり、わずかな水滴が底にしがみつく程度。
残り少ない魔力が、透けてゆくデデルの姿を何より雄弁に物語っていた。
まるでスマホ充電の残り10%時のように、何もせずとも魔人の身体は脆くなり続けていく。
「……ねぇデデル〜…。どうにかしてさ……てかワンチャン、ほっといても勝手にランプに魔力チャージされるとかない? 自然回復〜〜…みたいなぁ〜〜?」
「…全く怠惰な土間だな。ただ、着眼点は悪くない。確かに時間をかければ、空気中の魔力で少しずつ回復することもある」
「え、うそっ?! それなら下手に動く必要もないじゃん!!! 楽チンで楽チンでうまるもダラダラ〜…、」
「586,920時間37分後。…人間時間でそれくらいになる見込みだな」
「………えぇ…。なにそのロー●ンメイデンでしか聞かない時間の長さ〜〜…………」
その為、調理室に逃げ隠れはすれど休息の時間も無く。超一般人であるうまるとマミは、どうにかしてウンディーネ捕獲作戦の明確プランを練らねばならぬのだった。
「…………マミちゃん」 「ぅ、うまるちゃぁ〜ん…」
「…………………」
三人は互いに目を合わせあい、覚悟に似た共通認識を巡り流す。
「…ごほんっ!! えーではでは………」
\うまるーーん/
〜緊急うまる超脳会議!!〜
~また私は如何にしてウンディーネを手に入れ魔人を救わねばなるまいか。~
ーGenie's Strangeloveー
……
…
A『お兄ちゃんへのプレゼント、又は宴のつまみ…と、これまで幾多のうまるん会議を開いてきたものですが。…ですがッ!!!──』
A『──今回ばかりは本当に人生最大の危機なため、皆、真面目モード100%で望んでいただきたい!! うまるの諸君!!!』
B『はーい!!』 J『はいはいはい!!』 G『はーいぃ〜!!!』
A『今回は特別に参考人聴取として、以下の面々を会議室にお呼びしました!! まずは当の本人、デデル氏!!!』
「……おい土間の小娘。なんなんだこれは? まずこの会議自体がふざけ全開100%だろう」
A『…ごほん、参考人は静粛に!! 続いては、第二の参考人として〜、我らがリーダー・新庄マミ氏に…、』
「あっ!! ほら見て二人とも、いい? 月刊マー145頁によるとさ、CIAが魔物を密かに製造しているという証拠があるんだよね…。つまりは、魔物…ウンディーネ対策としては〜…、」
「……」 「…………」
C『…議長、なんだか外野が騒がしいですがいかがなさいます?』
「無視は健康に良いぞ」
A『はいその通り!! では以上、一名の参考人と共に、これから全うまるには慎重かつRTAに結論を辿ってほしいものであります!! ではどうぞ!!』
E『はいはいはい〜!!! 私、うまるEとしては、電気で感電させて捕える方法を推奨します!!!』
M『…え、水だから??』 B『んな安直な…』
E『安直とか関係ないでしょ!! とにかく魔人の力を使って「百万ボルト〜!!」とかやれば解決じゃん!! …じゃない……?』
「そのような力すらも残ってはないとは、言うまでもないよな?」
E『…さ、さ〜せん〜……』
C『いやそもそもの話さ! 案を出すにもまず前提が整ってないよ!! なにせ相手は水!! 触れない・運べない・触れたら即ゲームオーバー!! 凶暴で掴みどころない相手なんだからねっ!!』
M『水だけに掴み所がないだってさ〜』 G『ほら、ここ笑いどころです!! ひひひ~』
「………………ぃッ」
──指パッチン
M『』 G『』
C『…と、ととと、というわ…けで……! な、何が言いたいかと…申しますと……デデル!!』
「……なんだ」
C『ウンディーネには何か弱点がないの?! うまるはそこからヒントを得たいわけ!!!!』
一同『『『『『そうだ、そうだ〜!!!』』』』』
「…………弱点か」
A『ねえ、何か…ない? 参考までに水タイプは草と電気に弱いよ〜? …ポケ●ンの話だけどさ……』
「………………。──」
「──…【熱】に弱い。…との伝来は残っているな」
B『え、熱?!』 C『つまりは火??』 T『ほのおタイプがみずタイプに勝つ天地返し状態?!』
「…火……、…いや『熱』と言ったほうが今は正解か。貴様ら人間も、川の水を煮沸して飲む探検家を見たことがあるだろう。それと同じで奴らも熱消毒には弱いのだ。──」
「──…もっとも、聞き及んだ話にすぎんがな」
A『………………』 C『…………』
A『………だったらさ…………』
…………
………
……
…
「────…ってゆう『作戦』はどう? デデル!」
「…………」
「…うまるちゃん、ちなみにだけどその作戦。わたしの月刊マーの知識どれくらい取り入れた?」
「え、ゼロ。……でさ、役割分担としてはうまるがまず〜…」
「……土間……」 「さらっと流したよォうまるちゃんめぇええ〜!!!」
立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。
曲がりなりにも、完璧美少女であるうまるだ。彼女も本気を出すとなれば、ものの三分で完璧な『捕獲案』を練りだしてみせた。
もはや成仏しかけの幽霊同然、透明さの極致に達したデデルを救う。──いや、自分達が救われる為の、完璧な作戦。
それは、デデルが主体となり、うまる、マミと三人全員の団結の元。
多少の生命的リスクは背負うものの、──勝算は見込める作戦だった。
単純な観点からは、緊迫した現状で導き出した、最良の策といえようものだ。
「…それでマミちゃんの役割は〜〜…、」
「……私は貴様を見くびっていたようだな、土間」
「へ?」
「まず初めに貴様がここまで頭が回る生物とは、不覚にも今悟ったものだ。………それともう一つ。──」
「──見た目に反して中々に『悪魔』な作戦じゃないかっ…。……ここまで私を明確に『道具』扱いするとは。………鬼畜めッ」
「………うん、そうだね。自分で言うのもアレだけど…うまる、結構鬼だと思うし。──」
「──でもさ! あっちが鬼モードで来てんだから、こっちだって鬼らしさを発動しなくちゃ!! でしょ?」
「……………」
「それに、シューティングゲームの鬼モードでは、『敵機が大量に来た場合は、BOMBを使わず一匹一匹倒していく』…。──これが上級者ムーブなんだからさ…っ!」
「………やれやれだ」
──ただ、その策の説明を以てして、デデルは難色を隠し切れない表情であった。
◆
………
……
…
【ウンディーネ捕獲作戦】
【ウマル作戦】
────始動。
三階廊下。
館内案内図によるとレストランやスポーツジムなどが併設されているこの階にて、──現在ウンディーネは一体のみ。
もっともそれはあくまで目に見える範囲の話。
他にもどこかで密かに蠢いている模様だが、──ただ、デデル曰く「魔力反応はこの階だと三体ほど」とのことだ。
1/3。
────たまたま群れから離れ、孤独に漂い続ける一体のウンディーネ。
これは偶然か、あるいは奇跡か。
うまる立案作戦のために用意されたかのような、格好の実験体だった。
銀扉のガラス越しに、ゆらゆらと不規則に漂うウンディーネを覗き込む三人。
「…じゃ、……そゆわけで~…──うまるーんっ!!」
「………」 「わ、わぁ……」
当作戦において、切り込み隊長を名乗り上げたのはうまる。
動きやすいようJKモードに変身した後、立案者自ら表舞台へと望む。
「……………すぅ……」
うまるは、一呼吸。息を整える。
正直なところ──先陣を切って生き残れる自信なんて、うまるにはなかった。
身体の震えを抑えるだけで精一杯だ。
どこぞの脳内お花畑月刊マー少女みたいに、死の恐怖を感じず突っ込めたら楽だっただろうに…と、うまるはこの瞬間ばかりは、自分の妙に回る頭を恨んだ。
恐怖が心臓を揉みくだして、はち切れそうだった。
「……はぁ…………。──」
「──じゃ、……あとはよろしく〜。デデルにマミちゃん!」
「…………」 「………うまる…ちゃん……」
だが、自分以外にやれる者は該当しないため、────ならば動き出すしか無かったのだ。
バタンッ──
「うおわァアアアアアアアアアアアっっ!!!!! なにがウンディーネだこの水ヤロォオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!!!!!!」
〜【行動その①】〜
──囮となったA(※うまるが該当)が、ウンディーネの前に飛び出す。
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ────
「うわ!! あぶなっ!! …く、くおおおおおォオオオオオオオオオ!!!!!」
【備考】
──※なお、囮は卓越した運動神経を持ち、ウンディーネの水刃を軽々と避けられる者が望ましい。
「よっ…!! あらもっかいよっと!!!」
ガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ────
ガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ────
「……さらにもっかいよっと!!!」
ガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ────ガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ────
「はぁはぁ…。──……へへへ…!! なんだかちょっと楽しくなってきた自分に驚いてるんだよね〜(ひ●ゆき風〜〜)…なんちって。はぁはぁ……。──」
「──じゃ、今だ!!! 準備!!! デデル〜〜…Fightッ!!!」
「………やれやれ。…この重労働は労災が下りるものやら……。──」
「──まぁ魔人である以上、務めを果たすまでですがねっ……!」
バタンッ──
〜【行動その②】〜
──その後、Aと交代で鉄鍋を持ったB(※デデルが該当)が飛び出し、ウンディーネのウォーターカッターを正面から受け止める。
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ────
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ────
ギギギギギギギィィイィイィィィィィッッッ
「ぐぅうッ…!!!」
「ま、魔人さん…!!!」 「はぁはぁ……。だ、大丈夫?! デデル!!!」
「…………ご心配なくッ…というよりも黙ってください…マスター……ッ。ものの数秒の…忍耐ですからッ……!!!」
ギギギギギギギィィイィイィィィィィッッ
【備考1】
──※なお、Bは三人の中で腕力、そして体力が一般人以上。並外れた力の持ち主が望ましい。
──※ウンディーネのウォーターカッターは、レンガブロックも刹那に切り裂くパワー。
──※1000km/hの剛速球をしっかりと鉄鍋に受け止める。強靭なブロック力を持つ者でないと遂行には難しい。
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ────
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ────
ギギギギギギギィィイィイィィィィィッッッギギギギギギギッッ
メキメキメキメキバキバキバキバキバキバキバキッ
「ぐぅがぁッ!!! ぐぅううッ…!!!!」
「え、…ちょ、ちょっとまずくない……?? え、本当に平気なの?! デデル!!!」
「ぐうッッ………!!!!!!」
「な、なんか…すごい勢いで凹んでるけど………。ほんとに大丈夫?! …これは鍋的な意味も含まれてるからね?!」
「……ッ。………土間の小娘、一つ…ッ、聞きたい……」
「へっ?!!」
「…何故………ッ、キサマが……囮役を志願したのだ……ッ? ……マスターはともかく……私が囮と捕獲役の二重を兼ねても……良かった筈ではないのかッ……………?!!」
「え、…え。そ…そんな、理由なんてそんなの………。──って今ど〜でもいい質問してる場合はないでしょ!!! そんな余裕は…、」
「余裕なら────…十分にある」
ガガガガガガ…………
ガガ、ガ………
ぽちゃん、ぽちゃん……
「………え?」
【備考2】
──※ウンディーネは小さな個々の『水の精霊』が集まり、球状の形を成した存在。
──※つまりは、代表的攻撃である『水流攻撃』は、厳密には体当たり《アタック》。
──※自らの身体を相手へ目掛けて突進、移動してくる形とも言える。
「…あまり魔界の力を見くびるなよ。人間の小娘に…魔物風情がっ………」
【備考3】
────※即ち、鉄鍋で忍耐強く受け止め続ければ、ウンディーネ丸々一体、手中の内も可能。
ちゃぽん…
ちゃぽん…
ガガ…ガガッ──…
「お、おおっ!!!」 「さすがはこの私の魔人さん!!!──」
【行動その③】〜
──急いでもう片方の鉄鍋でウンディーネを閉じ込め、キッチンまで急ぐ。
ガシャンッ
「──す、すごい!! やばいよねうまるちゃん〜!!! ついに…ついにここまで来たんだよ! なんて…なんて凄いんだ……! これはもはや人類の選別カウントダウンに似た光悦だよ!!」
「「黙れッ!!! 口よりも手を動かせ!!! マスター(マミちゃん)ッ!!!」」
「あ、…え、えぇ……。あっ…そっか!!」
ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ──
【備考】
──※この際、閉じ込められたウンディーネは激しく暴れるため、押さえ込みは全力で行うこと。
〜【行動その④】〜
──Bが来る間、C(※マミが該当)がガスコンロから火を付け、待機。
「マミちゃん急いでっ!!!」
「わ、分かってるから〜…!! どれどれ……──ポチっと」
──ピッ
「点いたよ!! 魔人さんっ!!!」
「………ありがとうございますマスター…!! さて、ここからが一番の…、」
〜【備考】〜
──※少しでも早く煮沸できるよう火力は『強火』が望ましい。
「…って、IHで鉄鍋に火が通るかァッ!!! この小娘がッ!!!!!」
「え…?! え、えぇー……?!! 魔人さんの…マジギレ………」
「……〜ぃッ!!! あぁもういい!! ──…ほらデデル!! 火つけたから!! こっち使って!!!」
「くぅッ!!!──」
ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ──
バンッ、バンッ、バンッ、バンッ──
「──では、行きますよ……ッ」
「…うんっ!!!」 「…あ、ぁう……」
シュウウウウ…………
ジュウゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥッッッッ
「ぐうッッ!!!!」
〜【行動その⑤】〜
──火のついたガス台に鉄鍋を据え、ウンディーネが死滅するまで熱し続ける。
ジュウゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッッッッッ
ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ──
バンッ、バンッ、バンッ、バンッ──
「がぁああァァァァ…ッ!!!!」
「で、デデル…!!!」 「わ、わわ‥!!!」
〜【備考1】〜
──※ウンディーネが死滅するまでの間、どれだけ鉄板の熱さが酷くなろうとも。
──※どれだけウンディーネが暴れ回ろうとも。
────※そして、どれだけ掌が焼け爛れようとも。
──※決して手を離してはいけない。
ジュウゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッッッッッ
ゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッッッッ
「………ぐぅが…がぁアアアアアアアア…ッッ!!!!!!」
〜【備考2】〜
────※全ては、作戦遂行の為に。
ガンッ… ガンッ… ガンッ… ガンッ…
ガンッ! ガンッ! ガンッ! ガンッ1
バンッ!! バンッ!! バンッ!! バンッ!!
「アアアアアァァァァアアアアアアッ…!!!!!!」
「…あ、あぁ……」 「デデルッ!!!」
「うっがああああああああああああああああああアアアアアァァアアアアアアアアアアアアアァァアアアアアアッ────」
────バンッ──────。
【以上】
──全ての行動を遂行した際、『うまる作戦』は成功と同義となり、
──【ウンディーネ捕獲作戦】、【ウマル作戦】は終了とする。
………
……
…
◆
…
……
【ウンディーネの白湯】
1:ウンディーネを煮沸させる。
[エネルギー]
[タンパク質]
[脂 質]
[炭水化物 ]
[カルシウム]
[鉄 分]
[ビタミンA]
[ビタミンB2]
[ビタミンC]
……
…
最終更新:2025年08月12日 16:38