アーキタイプと上級クラス
Hell's Rebelsは都市型のキャンペーンである。勿論、周辺地域に出かけることもあるし、古典的ダンジョン探検の機会も豊富にある。しかし、キンターゴ市から遠く離れて長期間過ごす、ということは無いだろう。あらゆるクラスがこのキャンペーンに適しているが、クラスによっては、より有効な選択肢が得られることがある。秩序にして悪の政府に対抗する反逆者の役割を演じるため、混沌や善のキャラクターが最もテーマにかなう。秩序のキャラクターも可能ではあるが、
シェリアックスのごく一部地域でしかなくとも、スルーン家の支配を終わらせようとするキャラクターであるべきだろう。スルーン家や
アスモデウス教会の側に立つキャラクターは、キャンペーンのプロットにどんどんかみ合わなくなっていくのを、肌で感じることになる。
都市におけるキャンペーンであるから、野外において有効なドルイドやレンジャーのようなクラスは、彼らが通常得意とする環境の外でも、機能するようなキャラクターであるべきだろう。バード、インヴェスティゲイター、ローグのようなクラスであれば、非常にうまくこのキャンペーンに対応することができる。
以下のアーキタイプは、このキャンペーンにおいて推奨できるアーキタイプである。
Pathfinder Campaign Setting: Inner Sea Combat:
Kintargo rebel (rogue)
Pathfinder Campaign Setting: Inner Sea Magic:
Chelish diva (bard)、hidden priest (cleric)
Pathfinder Player Companion: Advanced Class Origins:
Liberty’s blade (warpriest)
Pathfinder Player Companion: Champions of Balance:
Negotiator (bard)
Pathfinder RPG Advanced Class Guide:
信仰の英雄/champion of the faith (ウォープリースト)、掃除屋/cleaner (スレイヤー)、大胆な潜入者/daring infiltrator (スワッシュバックラー)、潜入者/infiltrator (インヴェスティゲーター)、黒幕/mastermind (インヴェスティゲーター)、謎の復讐者/mysterious avenger (スワッシュバックラー)、探偵/sleuth (インヴェスティゲーター)
Pathfinder RPG Advanced Player’s Guide:
学究/archivist (バード)、宮廷詩人/court bard (バード)、探偵/detective (バード)、捜査員/investigator (ローグ)、放蕩者/rake (ローグ)、密偵/spy (ローグ)、大道芸人/street performer (バード)、市街ドルイド/urban druid (ドルイド)、都市レンジャー/urban ranger (レンジャー)
Pathfinder RPG Advanced Race Guide:
共同体の守護者/community guardian (オラクル)、破壊工作者/saboteur (アルケミスト)
Pathfinder RPG Ultimate Combat:
詐欺師/charlatan (ローグ)、十字軍戦士/crusader (クレリック)、神聖なる戦略家/divine strategist (クレリック)、鷹匠/falconer (レンジャー)、戦術家/tactician (ファイター)、都市バーバリアン/urban barbarian (バーバリアン)
Pathfinder RPG Ultimate Magic:
名士/celebrity (バード)、扇動家/demagogue (バード)、異端者/heretic (インクイジター)、潜入者/infiltrator (インクイジター)、分離主義者/separatist (クレリック)
多くの上級クラスが、このキャンペーンにとって有効な選択となる。秩序あるいは悪であることが前提のクラスは、厄介な選択になり得る(多くは、属性が原因である)。しかし、もし、君のキャラクターが、秩序や悪の上級クラスを持ちながらも、秩序にして悪の政府に反抗する混沌にして善の叛乱軍に加わる理由を、君が説明できるのであれば、(GMの許可を得て)そうしたクラスをプレイしても構わないのだ! 上級クラスによっては、その選択が、あり得ないものであったり、テーマにのっとったものであったり、困難な要素をもたらすことがあるが、それは、以下に示してある。
アサシン、Red Mantis Assassin (Pathfinder Campaign Setting: The Inner Sea World Guide):
このキャンペーンのテーマとぶつかる神格(アスモデウス、ノルゴーバー、ゾン・クーソン、地獄の半神)を避けるのであれば、叛乱軍と手を結ぶアサシンは、今日のような忌まわしい時代には、興味深い物の見方や技能を提供してくれるかもしれない。それが成功と失敗を分けることもあるだろう。注意しなければならないのは、悪属性のキャラクターであることを、プレイヤー間対立の言い訳にしてはならないということだ。また、密かに「
白銀の大烏」と対立し、キャンペーンのプロットラインを破綻させて、他の参加者の楽しみを奪うようなことも、してはならない。
Bellflower Tiller (Pathfinder Campaign Setting: Paths of Prestige):
ベルフラワーネットワークは、シェリアックスにおいて、スルーン家とは長く対立しており、特に奴隷制に反対している。ネットワークはこのキャンペーンにおいて、困難な時を迎えるが、このクラスのレベルを取得したPCのメンバーは、様々な機会やキャンペーンのテーマ、ユニークなロールプレイといった事柄について、興味深い選択肢が与えられるだろう。
Dawnflower Dissident (Paths of Prestige):
東方ではもっとありふれているが、これらの反意を抱く聖なる戦士たちは、キンターゴでも重要な役割を持つ。それには、この街唯一のサーレンレイの神殿が、奇妙な火災被害を受けた、ということ以上の理由がある。このクラスの、真の素性を隠すクラス能力は、このキャンペーンの後半に、有効に使えるだろう。
Hellknight (The Inner Sea World Guide)、HellknightSignifer (Paths of Prestige):
このキャンペーンに不向きに見えるかもしれないが、キンターゴにおいて叛乱組織が発展していくことで、ヘルナイトのPCにも参加の機会が与えられる。ヘルナイトをプレイしたいのならば、君はGMと相談すべきである。君は、どの騎士団に加わるのが最も良いか、アドバイスを貰うことができるだろう。これらのクラスを取得する場合、悪魔的な要素、地獄に関わるクラス要素などを全面に出すのは、避けるべきである。
マスター・スパイ (Advanced Player’s Guide):
(君の諜報能力を強化するあらゆる上級クラス同様に)この上級クラスは、潜入、欺瞞、さらには、政府に対抗するための、より巧妙な側面に注力したいキャラクターにとって、有効な選択肢である。
Noble Scion (Paths of Prestige):
シェリアックスには誇るべき伝統があり、それは、貴族諸家が権力の座にあることであるが、このことは、キンターゴでもなんら変わりはない。叛乱に巻き込まれる貴族家の一員をプレイするのは、ユニークで記憶に残るものとなるだろう。
パスファインダー・クロニクラー:
このクラスは、(他のパスファインダー協会上級クラス同様に)興味深い選択肢となり得る。スルーン家がシェリアックスを掌握して以来、パスファインダーたちは、シェリアックスにおいて、組織を維持するのに苦闘している。キンターゴにはパスファインダー・ロッジは存在せず、パスファインダー協会じたいはこのキャンペーンで重要な役割を果たすことはない。しかし、もし君がこれらの上級クラスを取得したならば、違った状況になるかもしれない。キンターゴが解放された時、協会がキンターゴに歓迎されるような下地を作ることも、できるかもしれない。
血脈と神秘
どの血脈も有効な選択だが、キャンペーンのテーマにかみ合ったソーサラーの血脈には、以下のものがある:
水界/aquatic(APG)、秘術/arcane、天上の者/celestial、運命の子/destined、巨匠/maestro(UM)、martyred(Pathfinder Player Companion: Blood ofAngels)
地獄の者/infernalの血脈は、キャンペーンにおいて敵対する力に影響をうけ、あるいは魅せられたキャラクターをプレイしたいならば、素晴らしい選択肢と言える。
オラクルの神秘の中で、このキャンペーンのテーマと強いつながりを持つ神秘には、以下のものがある:
祖霊/ancester(UM)、闘争/battle(APG)、伝承/lore(APG)、金属/metal(UM)、波/waves(APG)
魅力
本キャンペーンは、重要なテーマとして政治的な策謀を扱い、PCたちは、叛乱組織「白銀の大烏(the Silver Ravens)」の指導者の役割を果たす。そのため、他の多くのキャンペーン以上に、魅力の能力値が重要になる。特に君が、君のキャラクターが叛乱軍の管理者、指導者として、大きな役割を果たすことを望むのなら、猶更である。魅力値の低いキャラクターも、キャンペーンで活躍する余地はある。戦うべき戦闘はごまんとあるのだ。しかし、このキャンペーンにおいて魅力値が果たすことになる、追加の役割についても、君は知っておく必要がある。叛乱組織に関するルールは、本ウィキの該当項目を参照すること(後でアップします)。
使い魔と動物の相棒
以下は、キンターゴの呪文使いに仕える使い魔としては、ありふれている:
バット、ブルーリングド・オクトパス(UM)、キャット、ドンキー・ラット(UM)、フォックス(UM)、ホーク、リザード、オッター(B3)、アウル、ラクーン(B3)、ラット、レイヴン、スラッシュ、ウィーゼル。
上級使い魔ならば、以下が最も有効な選択である:
カーバンクル(B3)、カッシシアン・エンジェル(B2)、セレスチャル・ホーク、ダイア・ラット、フェアリー・ドラゴン(B3)、リラキーン・アザータ(B2)、パイプフォックス(B4)、スードゥドラゴン、シルヴァンシー・アガシオン(B2)、スプライト(B3)、スタージ、ヴォイドウーマン・プロテアン(B2)。
インプを上級使い魔にすることは、非常にまずい選択と言える。
キンターゴや、ラヴーネル大公領(注:キンターゴは大公領内にある)で見られる動物の相棒は、以下である:
オーロック、アックス・ビーク(B3)、バジャー(B2)、ベア、バード(イーグル、ホーク、アウル)、ボア、キャット(スモール)、ダイア・バット、ドッグ、ドルフィン、エルク(B3)、フロッグ、ゴブリン・ドッグ、ホース、リザード(ジャイアント・ゲッコー、B3)、リザード(モニター・リザード)、オクトパス、オルカ、ポニー、ラム(B2)、ルフ、シーホース(ジャイアント、B4)、シャーク、スネーク(コンストリクター)、スネーク(ヴァイパー)、スクイド、スタッグ(B4)、トランぺッター・スワン(B4)、ヴァルチャー(ジャイアント、B3)、ウィーゼル(ジャイアント、B4)、ウルフ。
殆どの場合、動物の相棒がキンターゴ内で問題になることはない。勿論、行儀良くしている必要があるだろうし、店や場所によっては、君はペットを連れて入れないこともあるかもしれない!
得意な地形と得意な敵
このキャンペーンでは、アクションの大半はキンターゴ市壁内で発生するが、壁の外へ出かけることも、何度かあるだろう。都市は疑いようもなく、得意な地形として最も有効な選択であるが、森林、山岳、地下、水界も、2番目に有効な選択肢になり得る。
得意な敵として有効な選択は、異形、竜、人型生物(人間)、人怪、来訪者(秩序あるいは悪)、アンデッドであるが、時には、他のクリーチャー種別に遭遇することもあるだろう。
特技と技能
君が他者を欺いたりする才能や、君の機転を強めたり増幅する特技を取得する事は、本キャンペーンでは非常に有効な選択である。しかし、戦闘を行う機会、ダンジョンを探検する機会は充分にあるし、後には野外を探検する機会もいくらかある。ある特定の特技を取る以外の選択肢があり得ない、というようなことは、決してない。
一方、技能については、話が違ってくる。本キャンペーンは、諜報、政治、策略、おおっぴらな叛乱、といったものを強く前面に出している。そのため、いくつかの技能が、キャンペーンの間、非常に役立つことになる。〈はったり〉、〈交渉〉、〈変装〉、〈威圧〉、〈言語学〉、〈真意看破〉、〈手先の早業〉、〈隠密〉のような技能はいずれも、頻繁に使用することになるだろう。君は、油断ならないキンターゴの政治の海に漕ぎ出すことがあるだろうし、圧制を敷く政府に対し秘密の任務に従事することにもなるだろうから。〈芸能〉が輝く機会にも、出くわす事があるだろう。キンターゴの人々は、娯楽を愛している。圧政を敷く政府により、戒厳令が発令された今、ますます人々は娯楽を求めているのだから。多くの〈知識〉技能も役に立つ。特に、〈知識:歴史〉、〈知識:地域〉、〈知識:貴族〉、〈知識:宗教〉が役立つだろう。
加えて、このキャンペーンでは、技能によって、普段行わないようなことをする機会に巡り合うだろう。以下に概略を述べる。
宗教を秘匿する:キンターゴでは、君の宗教によってトラブルに巻き込まれることも多い。特に、君が最近追放されたカリストリア、カイデン・カイリ―エン、デズナ、メラウニ、サーレンレイといった神格を信仰しているなら猶更だ。しかし、多くのキャラクター(特に信仰呪文使い)は、宗教上必要な道具や印を、手にしていなければ能力を発揮できない。君は、聖印などを手にしたまま、君の宗教を隠すことができる。そのためには、君がこの秘密を隠したいと思っている相手とやり取りをする時に、〈はったり〉、〈変装〉、〈手先の早業〉判定を行う必要がある。この時の判定結果が、君の宗教に気づくかどうかの〈知覚〉あるいは〈真意看破〉判定の難易度になる(通常は、GMが、NPCがこれらの技能のどちらを使って君の宗教を見破ろうとするか宣言する)。
文書作成と調査:このキャンペーンで、君は古い記録や、複雑な契約書、その他何かを記したものを調べなければならない時があるかもしれない。記録の中には、単に古くて奇妙な書き方がなされている物もあるが、何らかのメッセージが隠されていたり、真実をうやむやにする書き方がされていることもある。こうした文書を読み解くには、通常、文書に書かれた言語を知っている必要があるし、GMの知る難易度に対し〈言語学〉判定に成功しなければならない。また、君は、他者に対し隠されたメッセージを〈はったり〉によって口頭で伝えるのと同じように、〈言語学〉を使って秘密のメッセージを文書で伝えることができる。こうした文書の暗号を知らない者は、〈言語学〉判定を成功させることで、君の記したメッセージを解読することができる(難易度=最初に君が文書を作成した時の〈言語学〉判定結果)。
死体を隠す:君は、時には死体を隠さなければならなくなるかもしれない。見つからずに済ませたい場合や、死体が見つかれば余計な注意をひいてしまう場合かもしれない。多くの場合、死体を隠すなら、それは〈隠密〉判定であり、その結果を難易度として、〈知覚〉判定に成功した者には、その死体が発見されることになる。もし君が、死体がただ眠ったり、瞑想しているように見せかけたり、あるいは、音楽に耳を傾けながらただ椅子に座っているように見せかけたいならば、君は代わりに〈変装〉判定を行い、その結果が〈知覚〉の難易度になる。死体を隠したり、死んでいないように見せかけるには、1分の時間を要する。出目20を行いたいなら20分である。死体を隠している時に、それを目撃していた者を欺くことはできない。
言語
Hell's Rebelsでは、多くのロールプレイの機会と、数多くの政治的策謀に関わる機会がある。幸運にも、君がである者たちの多くは、共通語を話すことができる。敵をスパイしたり、スルーン家のエージェントたちの残した手がかりを読み取る上では、地獄語を選択するのは良い考えだ。エルフ語、ハーフリング語、影語(Shadowtongue)、ストリックス語は、この地域では比較的良く使われる言語である。
出身
Hell's Rebelsはキンターゴ市内で始まり、PCがこの街に強い繋がりを持っていることを想定している。したがって、キンターゴ出身か、キンターゴにそれなりの期間住んでいた者たちがPCである方が、理に適っている。もし他の場所から君がやってきたのならば、君がキンターゴに来た理由、とどまるべき理由を考えておくべきだ。幸運にも、キンターゴは非常に国際的な街であり、内海地域は勿論、それ以外の地域の旅人をも歓迎するおおらかさを持っている。
種族
キンターゴは人間の都市であり、市民の大半は人間である。しかし、この街では、コアルールブックの種族であれば、どんな種族にでも、出会う可能性がある。人間の多くはシェリアックス人であり、それ以外の人種でいえば、タルドール人とヴァリシア人が最も一般的である。
コア種族以外であれば、アクアティックエルフ、ストリックス、テング、そしてティーフリングが、この地域の他種族のうちの大半を占めている。GMの許可を得て使うべきこれらの種族は、キャンペーンに追加の試練をもたらす可能性があるが、特にアクアティックエルフとストリックスについては、大きな利点ももたらすことがあり得る。しかし、GMによっては、そうした利点が好みのプレイスタイルとかみ合わず、これを敬遠するかもしれない。
宗教
概ね、君の宗教が混沌にして善属性に近ければ近いほど、Hell's Rebelsにおける君のキャラクターの役割に合致した信仰を持つ、ということになるだろう。以下に示すのは、この地域、キャンペーンのテーマに最も適切な諸神格についての覚書である。これらの神格ならば、「白銀の大烏」のような叛乱組織とも、うまくかみ合うだろう。
アーバダー
アーバダーの教会は、キンターゴでは「金のとばりの館」と呼ばれている。この神殿はもともと、カリストリアの神殿であったが、カリストリア崇拝は、スルーン家がシェリアックスを掌握した時に、追放された。アーバダー信仰は、キンターゴで本格的に広まったことはない。というのも、キンターゴ市民はアーバダー信仰にとって重要とされる秩序や、組織といったものに、抵抗を示すことが多いのだ。そのため、キンターゴ市民は、「金のとばりの館」を、信仰のための場所というよりも、銀行としてとらえている。この教会の高司祭は、メルレム・ゲステリエル(Mhelrem Gesteliel)という名のハーフエルフであり、この街のアーバダー信仰に対する反応を、よく把握している。しかし、忍耐強い人物で、常に新たな信徒を受け入れる意思を持っている。君がアーバダー信奉者であるなら、君の最大の関心は、キンターゴ市と市民の幸福であろう。キンターゴの今の指導者たちが、都市構造やその住人の安全について、違った計画を抱いているかもしれない、という事実に、君は不安を抱いている。将来、何か困難な選択を迫られることになるかもしれない。
カリストリア
カリストリア信仰は、スルーン家によって追放されており、カリストリアの神殿は政府により、アーバダー教会に与えられている。神殿は、もともとは「サテンのとばりの館」として知られていた。多くのカリストリア信徒は、スルーン家と結託してこの聖所を手にしたアーバダー教会に恨みを抱いているが、復讐の対象とすべきはスルーン家のみである、と理解を示す者もいる。街にはかなりの数のカリストリア信奉者がいるが、彼らは秘密裡かつ個人的に信仰を実践しており、小さな集団を作る程度が関の山である。キンターゴのカリストリア信仰には、中心となるべき力や指導者が欠けている。おそらく、君自身がこの状況をいつか変えることになるのだろう。
カイデン・カイリ―エン
キンターゴにおけるカイデン・カイリ―エン教会は、シェリアックス内戦中に焼き尽くされた。何故教会が破壊されたかについては、正確なことは不明である。が、スルーン家がこの件に関わっており、この出来事や、キンターゴにおけるカイデン信仰の歴史の詳細について、政府が資料の改竄を行ったと考える者も多い。カリストリア教会同様に、熱心なカイデン・カイリ―エン信徒は、個人的に、あるいは小規模のグループで信仰を実践している。これは、組織力を少しでも示せば、スルーン家によって一掃されかねない、と恐れてのことだ。かつてカイデン・カイリーエン神殿のあった場所は、新たな建物が建てられ、シャドウスクエアと呼ばれ、ゾン・クーソンの神殿となっている。キンターゴの娼館、賭場、酒場の多くは、隠し部屋の中に、「酔いどれの神(注:カイデンのこと)」へ捧げた小さな祭壇を隠し持っている。噂によれば、多くのキンターゴ市民が彼を信仰しているそうだが、その中には、前市長ジリア・バイニラスもその名を連ねている。
デズナ
この地域のデズナ信奉者たちは、放浪することを常としてきた。スルーン家が地域を掌握した時、破壊すべき「天空の歌(注:デズナ)」の神殿は、存在していなかった。彼女に対する信仰は、キンターゴ周辺地域、特に、ニダルとの国境付近である「北方平原(the North Plains)」において、非常に盛んである。そこでは、信徒たちがニダルの影の影響力に対抗しようとしている。キンターゴにおいては、デズナ信仰は違法である。が、違法とされてもなお、信徒たちは、住居内に個人的な祭壇を持ったり、秘密の場所に集まって密かな祭儀を行うことを、止めようとはしない。
アイオーメディ
シェリアックスにおけるアイオーメディ信仰には、長い歴史がある。それは同時に、多難な歴史でもある。特に熱心な信徒の一団が、「栄光ある奪還」の旗印のもとに団結したことなどは、それを示す事実と言えよう。キンターゴでは、伝統的に、彼女の信仰は盛んではなく、彼女に捧げられた寺院も神殿もない。にもかかわらず、アイオーメディ教会そのものは、法の上では追放されてはいない。その数は僅かながら、キンターゴで暮らすアイオーメディ信徒たちが、公の場に集まって、控えめで、穏やかな祭儀を行うことは少なくなかった。しかし、
バルツィレイ・スルーンがやって来ると、こうした情景も終わりを告げ、アイオーメディ信徒たちは、混沌の宗教と同じように、身を隠さざるを得なくなった。キンターゴのアイオーメディ信徒たちの多くは、「栄光ある奪還」の騎士たちのしていることには、賛同していない。これは、スルーン家に対抗することじたいに反対なのではない。彼らの考えでは、今はまだ立つべき時ではなく、熱心な騎士たちは、いささか事を急ぎ過ぎたのだ。キンターゴ的な物の見方をすれば、「栄光ある奪還」によってスルーン家がシェリアックスの諸都市を戒厳令下におき、これによって生活がますます悪い方へと変わって来たのだから、そう考えるのも無理はないかもしれない。
イローリ
キンターゴには、公に開かれたイローリの神殿はなく、教会組織そのものの姿も、公の目に触れることは殆どない。実際には、半ば秘密のイローリ教団が、キンターゴで最初に組織されていたのだ。それが、「記録保管者神聖修道会(the Sacred Order of Archivists)」である。もともとは、スルーン家による資料改竄、歴史改変に対抗して、スルーン家の手を逃れた僅かな歴史資料を見出し、保護するための団体であった。「神聖修道会」は今や、内海地域中で活動を行っている。キンターゴの支部はというと、いささか皮肉めいているが、最も小さなもののひとつである。それでも、バルツィレイ・スルーンが街にやって来るまでは、活動を続けていた。彼らの正体や、拠点の場所は明らかではないが、市中に飛び交う噂によれば、戒厳令が敷かれて幾らもたたぬうちに、修道会は解散させられ、その隠れ家はアスモデウス教会の手に落ちたという。
メラウニ
内海地域の神々のなかでも、メラウニこそが、キンターゴに最も必要とされる神格かもしれない。献身、希望、反抗の女神であるがゆえに、彼女の体現する理想こそ、今日のキンターゴの暗黒の日々に求められるものだ。自由への献身、バルツィレイ・スルーンを打ち倒せるのだという希望、そして、アスモデウス教会や国家がキンターゴにもたらした抑圧に対して立ち上がるための力。メラウニに捧げられた教会は、キンターゴにはない。しかし、彼女を信奉する者たちは存在し、緩やかに結び付いた一団を形成しており、その一団は、「キンターゴの薔薇(the Rose of Kintargo)」と呼ばれている。噂によれば、スルーン家がキンターゴを掌握した最初の週の内に、スルーン家によって拷問され、投獄され、あるいはもっと酷い目にあった者たちは、「キンターゴの薔薇」の有力者であったという。そして、それ以降、メラウニの信徒たちが、政府に対して何一つ公の動きを見せていないのは、確かだ。「薔薇」は摘み取られてしまったのだろうか。もしそうならば、今こそ、「永久に咲く花(注:メラウニのこと)」の信徒たちの力が、かつてないほどに必要な時である!
サーレンレイ
サーレンレイ信仰は、キンターゴにおいては比較的新しいものである。個人としての崇拝者は存在していたが、シェンセンという名のバードがこの街に住み始め、キンターゴ・オペラハウスの演者として名を成すまでは、キンターゴのサーレンレイ信徒は、これといった目的を持っていなかった。シェンセン自身はクレリックではないものの、サーレンレイへの信仰心は篤く、他の信徒たちが彼女の元へ集まるのに、長くはかからなかった。シェンセンの店、「銀星館(the Silver Star)」の地下に、サーレンレイの神殿があり、それが規模を拡大している、というのは、いわば公然の秘密であった。しかし、バルツィレイ・スルーンが街にやってくると、それが公になっていたことが、信徒たちには仇となった。少なくとも、噂によれば、そうだ。確かなのは、「銀星館」が、キンターゴが戒厳令下におかれてすぐに焼け落ちたこと、オーナーのシェンセンも行方不明になっているということだ。生き延びたサーレンレイの僧侶たちは、シェーリンの教会から保護を受けているものの、それ以来、公の場に姿を現そうとはしていない。
シェーリン
シェーリン信仰は、長くキンターゴでは2番目に盛んな信仰であった。見方によって、時によっては、最も盛んな宗教であったと言えるかもしれない。実際、数だけでいえば、彼女の信徒はアスモデウス信徒より多かったのだ。・・・少なくとも、戒厳令が敷かれるまでは。シェーリン信仰はアスモデウス教会、シェリアックス政府により、禁じられているわけではない。しかし、全てのシェーリン信徒は、スルーン家によって登録されねばならなくなり、全てのシェーリンの祭儀は、アスモデウス僧、拷問台のヘルナイト、あるいはスルーン家のエージェントによる監視の下に行われるようになった。シェーリンの神殿が、迫害された他の宗教の僧たち(多くはサーレンレイ信徒)に避難所を提供した事は、アスモデウス教会とシェーリン教会の間の緊張を、いっそう強めることとなった。両教会のいずれかが、思い切った行動を強いられるのも、時間の問題と言えよう。
至高天の主
至高天の主たちの多くは、キンターゴでは、小さな個人所有の祭殿において、個人的にか、小さな集団によって崇拝されている。混沌にして善の至高天の主たちは、他の主たちよりも一般的であるが、キンターゴにおいては、アーシェイ、ラガシエル、セラメイディエル(Seramaydiel)らの信仰が、最も広まっている。それでも、信徒の数と言えば、せいぜい数十人であろうか。スルーン家の影響から自由でありたいと願う者は主に、アーシェイを信仰する。義務という概念に重きを置きながらも、スルーン家により地に落ちた古きシェリアックス法に嫌気がさした者たちは、ラガシエルを信仰する。歌やオペラよりも、楽器に重きを置く音楽家たちが、キンターゴには少数いるが、こうした者たちは、セラメイディエルを信仰する。
適切でない宗教
Hell's Rebelsにおいては、悪神信仰はテーマ上適切とは言えない。特に、アスモデウス、ノルゴーバー、ゾン・クーソン、アーチデヴィル、地獄の侯爵、マレブランケ、淫婦の女王(Whore queens)などは、完全に不適切な選択と言える。もし、君のキャラクターがが悪神の信徒であることを望むのであれば、GMと相談すること。そして、上に挙げた信仰を、可能な限り避けるようにすべきである。もし、君がどうしてもデヴィル信徒、あるいは類似の悪神信徒をやりたいのであれば、今のところは、そのキャラクターコンセプトはわきに置いておくこと。そして次のアドヴェンチャー・パス、Hell's Vengeanceを待つのだ。
抗議する理由
Hell's Rebelsキャンペーンは、スルーン家がキンターゴに戒厳令を敷いた事に対して行われる、アリアパークの抗議集会で幕を開ける。君のPCがこの集会に参加する理由が必要になる。そうした理由はいくつか、以下に示してある。気に入ったものが無い場合は、GMと相談し、別にそれらしい理由を考えること。君が抗議集会に強い期待を抱き、かつ備えていることによって、抗議に参加する理由に応じて、君はボーナスを得る。それらのボーナスも以下に理由と共に示してある。これらのボーナスは、キャンペーン最初の遭遇にのみ適用される。
(訳注:以下、かなりの意訳が混じっているので注意されたし)
厄介事への期待
君は、スルーン市長のやり方に賛成かもしれないし、反対かもしれない。君が抗議集会に寄せる関心はそこにはなく、大規模な群衆がそこにいる、ということにある。ポケットから硬貨が何枚か消え失せることを、参加者は予期していないだろう。ことによれば、もっと面白いことになるかもしれない! このところキンターゴでは、以前よりも公然と、政府への反感が示されるようになってきているのだから!
君は、抗議集会において行う全ての<はったり>、<手先の早業>判定に+2のボーナスを得る。
アイドルを探して
キンターゴは、芸術や芸能の上に成り立つ街である。シェリアックスで最も有名なエンターテイナーや演者が、キンターゴで名を成すことが多いのも、驚くにはあたらない。しかし、バルツィレイ・スルーンがキンターゴを掌握して以来、街の雰囲気は一層抑圧的なものとなった。そしてこの雰囲気がもたらされたのは、新市長がキンターゴ・オペラハウスを閉鎖し、自邸にしたことだけが原因ではない。夜間外出禁止令が発令され、かつてないほど多数の衛兵が、通りを巡回するようになった。お気に入りのアイドルを一目見ることすら、困難どころの話ではなくなったのだ。君について言えば、君は長いこと、ある著名なキンターゴ市民(「スターに心うたれて」特徴の著名人リストを、著名人のサンプルとして参照)に敬服していた。この著名人は、ここ1週間、明らかに公の目に触れていない。君が熱をあげるこの人物(執着する人物、であるかもしれない)が、アリアパークの抗議集会に参加するかもしれない、という噂を聞き、君は、集会に参加することを決めた。この噂が嘘である可能性が高いのは、わかっている。しかし、もし本当だったら? じかにアイドルを目にする機会を、逃すことはできない!
君は、抗議集会において行う全ての〈知覚〉、〈真意看破〉判定に+2のボーナスを得る。
情報提供者との接触
「白銀の大烏」は、君を魅了してやまない。キンターゴに自由をもたらすという彼らの政治姿勢に共感するからかもしれないし、彼らの精神を敬愛しているからかもしれない。君にとって、秘密結社というもの自体が、好ましいものなのかもしれない。君は、「白銀の大烏」内部にいると思しき人物を知っているかもしれない。その人物は、君の親、兄弟、あるいは恋人だろうか。だが、一週間前、スルーン家が戒厳令を敷いたとき、「白銀の大烏」は闇へと消えた。巷に伝播している複数の噂によると、この組織の指導者たちは、捕えられたか、あるいは殺されたらしい。また、指導者以外の構成員の痕跡も、見出すことはできないという。確かに、君の友人、あるいは家族の一員が、姿を消している。君は不安にかられ、この組織に何が起こったのか、突き止めたいと願っている。調査をはじめて後、君に、とある友人の友人の友人が、接触を図ってきた。彼の言によると、「白銀の大烏」について何かを知っているという。君は、この情報提供者が誰なのか知らない。名前すら知らないのだ。しかし、君は彼が人間の男性であり、アリア・パークでの抗議集会で君に会えるよう取り計らってくれていることを、知っている。彼は右手だけに黒い革手袋をはめ、左手には手袋をはめていないので、それで彼と分かるはずだ。
君は、抗議集会において行う全ての〈知覚〉、〈真意看破〉判定に+2のボーナスを得る。
時流に取り残されず:
開かれた抗議集会というものは、刺激や情報を得るには素晴らしい場所である。抗議参加者たちからそれらを得るというよりも、抗議を受ける者たちから、それらを得ることができるだろう。君がアリア・パークの抗議集会へ向かうのは、主に人々を観察するためだが、今起きていることに対する知識を、確保しておくためでもある。政治的な興奮に満ちた抗議集会では、何かが起こることなどいくらでも考えられる。結局のところ、君が抗議集会に参加せず、そこで何か大事が起きたとしたら、君は後悔することだろう。様々な噂から判断すれば、ちょっとした扇動を行うのに面白い機会が得られそうだ。君のパフォーマンスを使うのもいいし、あるいは、単純に交渉技術をつかうことで、群衆の不満や怒りを左右し、誘導することもできるかもしれない。
君は、抗議集会において行う全ての〈交渉〉、〈芸能〉判定に+2のボーナスを得る。
金魚のフン:
君は抗議集会に参加する気などなかった。群衆にうんざりしているかもしれないし、事態が手に負えなくなることを心配しているかもしれない。君は、たんに政治的ではないのかもしれない。しかし、君の親友(この友人としては、他のPCが最も望ましい)が、この集会に参加しようとしていると知り、しぶしぶ同行することにした。君の友人が厄介事に巻き込まれないようにしなければならない。君は抗議集会に参加することに関心はなく、それよりも、抗議がエスカレートしてもっと大ごとにならないように目を光らせているつもりでいる。君の友人には、周りに注意を払う誰かが必要だし、君の他に誰が、それをできるというのか?
君は、抗議集会において行う全ての〈知覚〉判定、およびイニシアティヴ判定に+2のボーナスを得る。
政府批判:
スルーン家がキンターゴの支配権を得たことは、乗っ取りのようなもの。いや、乗っ取りそのものだろう。政府の主張では、新市長の任期は、遠くシェリアックス南東部の「栄光ある奪還(the Glorious Reclamation)」運動が続く期間のみである、とのことだが、君は、バルツィレイ・スルーンの統治や戒厳令が運動収束後もさらに続くのではないかと恐れている。圧制に対し反撃を加え、市民の声を聞かせるならば、今がその時であろう。キンターゴ市民が事態を放置し、新たな生活を受け入れてしまえば、キンターゴを市民の手に戻すのは、殆ど不可能となってしまう。君がアリア・パークの抗議集会に参加しようとしているのは、これまでで最も大きく、組織された抗議集会だからである。君が声を上げるチャンスがもしあるとすれば、それは、今しかないのだ!
君は、抗議集会において行う全ての〈はったり〉、〈威圧〉判定に+2のボーナスを得る。
最終更新:2015年09月03日 17:16