野生の(非)証明
★――『実験』開始前のとある会話より
「
カーズ様、カーズ様。 ホントに会場に行くつもり?」
「当然よ。 有冨の実験になど興味はないが、エイジャの赤石……あれだけは放っておく訳にはいかん。
究極生命体として私が覚醒した以上、あれを残しておくのは不確定要素でしかない」
「ま、話をした手前止めはしないけどさ。
究極生物になった今のキミなら、別にあんなのはどうでもいいんじゃないの?」
「そうはいかん。 『ゲート』によってこの世界へと呼びこまれる前……私はあの石によって敗北を喫した。
限定された状況下での、小癪な策によってでの物ではあるが……私が敗北に至る要素は全て消さねばならぬ!」
「あ、そう……。
ま、キミがそういうのを決めたらもう変えないのは知ってるし、そういうんだったらもう止めないよ。
頑張ってね」
「貴様に応援される謂れはないが――『
HIGUMA細胞』を移植され究極羆生命体となったこのカーズに不可能などない。 それを思い知らせてやろう。
――ではな。 貴様の事はいけすかんが、エイジャの赤石の事を話したのは感謝してやろう。
『
モノクマ』よ」
「……行ったか。 ええと……シーナーに話をしたから、今頃はアイツも他のヒグマを外に出してる頃だろうし……
後は何をするんだったかな」
△
▼
言峰綺礼がウェイバーの腕を貪る事を止めたのは、30分程してからだった。
それも自分からではなく、見かねた周囲のヒグマ達に窘められての事である。
それ程までに、彼の中のシーナーへの警戒は強かった。
(……あの能力は“強力すぎる”。 それこそ、人間が作ったとは思えぬ程に)
固有結界。
自身の心象風景で、世界を侵食し塗り替える大魔術。
あの『治癒の書』は己の認識した対象を、侵食するのではなく――逆に自身の中へ取り込むのだ。
そもそもが特例である固有結界の中でも、その特異性は群を抜いている。
それも、サーヴァントである
ライダー、そしてその固有結界である『王の軍勢』ごと取りこむ霊格。
幻想種――いや、違う。 アレもサーヴァントだ。
聖杯戦争に関わったこの身ならば理解できる。
既に他のサーヴァントが召喚されている以上、驚く事ではない。
思えば、このような地に我々が拉致された事から気付くべきだったのだ。
他にも魔術師はいただろうに、何故聖杯戦争に関わる者だけが拉致されたのか。
何故サーヴァント達も共に拉致されたのか。
間違い無い。 この島には、聖杯が存在する。
聖杯の器であるホムンクルスも共に拉致されたのか、あるいは他の形で聖杯が存在するのかは不明だが、シーナーとあの少女が召喚したヒグマはそこから現れたのだ。
バーサーカーや
ギルガメッシュ、ライダーは、その魂で聖杯を起動させる為に拉致された。
――これは危険だ。
この事実は、聖杯を利用しようとする者がこの島の中にいる事を意味する。
あるいは、聖杯を使おうとしたのは既に捕食されたSTUDYの構成員だったのかもしれないが――危険度は変わらない。
ヒグマ帝国の手に万能の願望機が渡れば、何が起こるか想像も付かない。
それを防ぐ手立ては――やはり、あの少女。
あの少女とサーヴァントには、聖杯戦争を勝ち抜いてもらわなければならない。
(……布束博士、とやらは後回しだな。 まずは少女を探し、マスターとしての自覚を持ってもらわなければならないが――)
ウェイバーの腕に喰らいついている間に、少女ともう一人は遠くに行ってしまったらしい。
屋台の近くには、その姿は見つからなかった。
仕方がないのでヒグマ帝国の中を探しまわる事にした。
下手に周囲のヒグマに聞き回るのは目立つ要因になりかねない。
一度シーナーに目を付けられたかもしれない以上、細心の注意を払うに越した事はないだろう。
幸い無秩序に徘徊するヒグマも少なくはない。 少しは歩き回っても怪しまれる事はなさそうだ。
△
▼
ヒグマ、空を舞う。
そして穴持たず4は思考する。
自分は何故未だに生きているのか。
強き者が己の我を通し生き、弱き者は強き者の糧となる――
それが穴持たずの生きる野生の理だった筈だ。
だが今の自分はどうだ?
最初に出会ったハンターには負けた。
奴は自分より弱かった。 だから命は奪われた。 しかし、奴の執念は死を超えて尚自らに敗北を与えた。
次に出会ったマタギはどうだ。
決着こそ横入りで着く事はなかったが、それさえなければ奴は自分の命を確実に奪った筈だ。
自分は奴に勝てなかった。 明らかに、自分は奴より弱かった。
その勝負を邪魔した小娘に至ってはどうだ。
相手にすらされていない。 ただ投げ捨てて、そのままだ。
奴にとって自分は、そこにあったゴミとなんら変わらなかったのだ。
野生の主であるヒグマ。
その自分が、どうしてこうも――。
鬱々とした思考は、地面に叩き付けられた事により中断させられた。
いっそこのまま打撲で死ねれば。 そうも思ったが、HIGUMAの体は嫌になるほど頑丈らしい。
――俺がまだ生きている理由とはなんだ。
何故俺は弱肉強食に逆らってまだ生きている。
地面に大の字に転がり、空を見上げる。
聞こえるのは、ただ流れる水の音だけ。
このまま転がっているのもいいかもしれない。
自分の他にもヒグマはいる。 参加者達を減らす役目は、彼等がやるだろう。
今は、このまま自分を見つめ直したい――
『あれれ? 折角来てやったのにその有様なんて、拍子抜けだなぁもう』
喋りかけられた、と察するのに、少しの時間がかかった。
それほどまでに自分は放心していたらしい。
ゆっくりと体を起こし、周囲を確認する。
――緑と青。
小高い丘の周囲は、いつの間にか水の中へと沈んでいる。
そして目の前にいるのは、白と黒が入り混じった、小さな熊。
『メインサーバーが止まって、衛星写真が使えなくなったから人海戦術……いや、クマ海戦術で探したっていうのに。
すっかり腑抜けちゃって、ガッカリだよ!』
『――貴様はなんだ。 ヒグマ語が使えるという事は、貴様もヒグマか』
煽るような物言いは無視。 聞くべき事を聞かねばならぬ。
ヒグマ語は単なる唸り声ではない。
HIGUMA達の為に開発された、彼等の共通言語だ。
それを操るという事は、実験に無関係なクマではあるまい。
『ボクの名前はモノクマ。 ヒグマ帝国の……えーと、一の幹部なのだ!』
『ヒグマ帝国とはなんだ』
『ヒグマ帝国はヒグマの帝国だよ。 有冨に反旗を翻したヒグマ達の作った国さ。
キングヒグマが統治する、ヒグマ達の理想郷なんだよ!』
『そうか。 ――くだらんな。 ヒグマの社会だと? ヒグマ同士群れて暮らす?
馬鹿が。 野生の掟に従い、共食いも厭わぬ――それがヒグマの筈だ。
それが国を建てるなど、恥を知れ』
そうだ。 ヒグマは本来群れない動物だ。
親や子供こそ持つが、そうでない相手に対しては共食いさえ辞さない。
それが野生の、弱肉強食の掟の筈だ。
『わかっちゃいたけど、唯我独尊だなぁ……でもさ、その野生に生きてる穴持たず4クンは、今まで何をしてたの?
負けっぱなしじゃない。 誰か一人でもその弱肉強食に付き合ってくれた人はいた?』
二度目の煽るような言葉を、しかし無視できなかった。
そうだ。 自分はこの会場に降りてから、一度も勝っていない。
強さを見せつけていない。
自分に敗北感を与えたハンターとマタギは、二人とも既に死んでいる。
故に、その敗北感は永遠に拭えない。
自分を投げ捨てた小娘は勝負の土俵にすら立っていない。
戦いもせず、自分を格下と見下げている。
もはや強い弱いの問題ですらない。
――自分は、最早野生の掟に従えていない。
『死』を告げる穴持たず4の証は、『生ける屍』の4へと変わってしまっている。
『――だからさ、ヒグマ帝国に来なよ。
ナンバー10以前のHIGUMAが帝国に来たなら尊敬の象徴さ。 立派な地位が何もせずに手に入る。
力が欲しいなら、再調整して他のヒグマよりも強力な体をくれてやるよ?』
目の前のクマの誘惑は甘美だ。
奴の甘言を聞き入れれば、自分の欲するモノは手に入るだろう。
そう、『強さ』も、そして――いや。
『――悪いが断る』
決断は今度こそ言葉を断ち切った。
『確かに貴様の言う通り、そこには俺の望む物が全てあるのだろう。
だが足りない。 それは『飢え』だ。 野生から生み出される闘争心、そして渇望がそこにはない。
故に俺の存在意義は、そこでは果たされない。 そう――そこに行けば、俺は本当に死んでしまう』
そうだ。 野生の掟は、弱肉強食だけではない。
飢え。 そこから生み出される生存競争、闘争。
それもまた野生ではなかったか。
敗北した今の自分に、残されているのはそれだけだ。
逆説。 それを失えば、もはや自分はヒグマですらない何かに堕ちてしまうだろう。
だから、従えぬ。
『――ま、そう言うと思ったけどね。
キングやシーナーにキミを抹殺対象として進言したのはボクの為でもあったけど、キミ達がヒグマ帝国に賛成しないだろう事は事実だったからさ。
だから――死んでもらうよ』
交渉は決裂。
目前のクマは爪を剥き出しにし、最早殺意も隠さぬ。
ならば、こちらも遠慮する事はない。
己の誇りを突き通す為に――戦うのみ。
△
▼
巨体が唸る。
轟音を響かせ、大地を踏みしめる。
通常のヒグマでさえ、その速度は60Kmにも及ぶ。
しかし穴持たず4の速度はその3倍、180Km。
その瞬発力と合わせれば、到底至近の相手に回避できるものではない。
相手との体格差は歴然、このまま轢殺する――!
しかし突進は手応え無く空を切る。
一瞬で減速、急速旋回し影を探す。
左右。 いない。 ならば――上!
上空へと跳び上がったモノクマが急降下、鋭い爪を振りかざす。
それを確認するより早く野生の勘がバックステップを選択。 回避。
空中で腕を振り切り無防備な姿勢を晒す相手へと、予備動作の時間も惜しいとばかりに再度体当たり。
今度は直撃。 吹っ飛んだ。 ――が、軽い。
空中の相手にダメージを与えるには踏み込みが浅かったか。
構えを取り直し、空中で体勢を整え着地する相手を見据える。
『ま、初期ナンバーだけあって流石に強いね。 じゃ、ちょっと本気で行くよ?』
言うなり、相手の動きが変わった。
人間で言うボクシングの選手のようなフットワーク。
小柄なクマが左右に揺れ、その度に彼我の距離は近付く。
変幻自在のステップだ。 ヒグマの動体視力をもってしても、それは見切れない。
――ならば、勘で叩くのみ。
半ば当てずっぽうに近い形で放たれた拳は、確かに敵を直撃。 その体を抉る。
しかし今度は踏み込みが深すぎた。
カウンターの形で放たれたコークスクリューブロウが、鳩尾に入る。
『ぐ、っ……!』
肉は抉られていない。
だが内臓にまで響く打撃は確かなダメージをこの体に与えている。
『オラオラオラオラオラオラオラオラ……!』
反撃はあちらの方が早かった。
続けて拳が雨霰のように降り注ぐ。
滅多打ち。 重い一撃を喰らった体では腕を交差させてのガードしかできない。
『モノクマ天国ズドア~!』
更に一発が来た。
何をされたかわからないが、奇妙な生命のエネルギーを感じる――!
ガードを弾かれ、直撃する。
悲鳴にも近い唸り声を上げながら吹っ飛ばされ、木に背中を打ちつける。
衝撃にへし折れる木を背にしながら、ふらつく足で立ち上がった。
そこへ追撃が――来ない。 敵は腕を組み、わざとらしい程の余裕を見せている。
『一応聞くけどさ。 今なら命乞いとかしてもいいよ?』
『くどい。 獲物を前に舌舐めずりでもしているつもりか?』
『あっそ。
そういや――オマエ、自分を殺せる相手を探してるんだっけ?
ボクが殺してやるよ、絶望的にね――!』
来た。 今度は一直線に、こちらより速く。
視認できても、身構える事はできぬ速度。 回避すら考えられない突撃。
それに対して――ただ、踏み込んだ。
穴持たず4は特殊な能力を持たない。
ヒグマとしての戦闘能力だけを純粋に強化し、ヒグマとしての戦いだけで絶対的な強さを手に入れた彼は自らのナンバーをもじってこう呼ばれる。
――死熊。
ただ、腕を突き出す。 それだけの動作に全力を費やした。
クロスカウンター。
拳が直撃する。 剥き出しにした爪が、敵の頭部を抉る。
フェルト地と綿が破れ、中の電子部品が零れ出す。
敵の拳は、こちらの拳に勢いを殺され外皮を傷付けるのみに留まった。
――そして、動かない。
『……勝ったか』
如何に傷を恐れぬロボットヒグマと言えど、制御部品を破壊されればそれ以上の動作はできない。
こちらの決死の一撃は、確かに頭部に収められていた制御部品を破壊したようだ。
『さて、これからどうしたものか……ヒグマ帝国には興味はないが、この島を縄張りにするというなら戦うべきか。
それとも、もう戦いの事など忘れて北海道に行くのもいいかもしれんな……』
――戦いが終わって油断した、と言うのは易しい。
けれど、それは本当にここが野生の中だと言うのなら、絶対にしてはいけない事だった。
大自然の中では、獲物を仕留めても、更に襲いかかって来る敵も、その獲物を奪うハイエナも居たというのに。
だから彼は本当に、野生を忘れてしまっていたのだろう。
『あーあ……やめてよね。 変わりはあるけど、できるだけ無駄にしたくないんだ。 ここはジャバウォック島じゃないからさ』
――そして、それが彼の本当の敗因となってしまった。
――ドスッ。
『な……に……?』
背中を貫く、爪。
つい先ほど砕いた筈の相手は、しかし無傷で三日月のような皮肉気な笑みを浮かべている。
『……ボクを殺せたと思った? 「やっぱり自分には生きる価値があるんだ」なんて思っちゃった?
あまつさえ、「これからは自由に生きられる」とか希望を抱いちゃった?』
『甘いよ! 絶望的に甘々だよ!』
背を抉る爪が、更に深く差し込まれる。
内臓を文字通り掻き混ぜられ、激痛が走る。
なんとか振り払おうと、足を踏み締め――
――ドスッ。
噴き出す血と共に、バランスを大きく崩した。
脚に力が入らない。 自重を支え切れず、膝をつく。
2匹目――いや、3匹目のモノクマが、膝を深く抉っていた。
『一匹二匹で終わると思った? 残念! 三匹目でした!』
引き?がそうと、腕を振り上げる。
――ドスッ。
振り上げた腕に四匹目の爪が突き刺さる。
身を捩ろうと力を込める。
――ドスッ。
今度は腹を、五匹目が貫いた。
――動きが、読まれている。
こちらが何か反抗しようとする度に、新たなモノクマが現れ的確にその動きを潰してくる。
何時しか体は、無数のモノクマに群がられていた。
このような形でなくとも、近くに仲間がいる事を想定していなかった訳ではない。
しかし、この数は想定の範囲を超えている。
そもそもこれだけの数がいるなら、最初から出していれば何の被害もなく勝てていた筈――
『オマエのデータ取りがしたかったのもあるけど……希望を抱いてから、それを奪われる。
それってさ、とても絶望的でしょ?』
『――』
慟哭とも激怒ともつかぬ咆哮が、口から溢れ出る。
底知れぬ感情に突き動かされ、体が動く。
その度に傷が深く抉られる。
血が流れる。
咆哮はやがて、呻き声へと変わり、そして――。
【穴持たず4 死亡確認】
△
▼
(見れば見るほどに……このヒグマ帝国は妙だな)
サーヴァントを召喚した少女を探し、ヒグマ帝国内を歩く。
地下に築かれた帝国の風景を見る度に感じていた違和は、既に無視できぬ程に大きくなっていた。
状況に対する違和感――ではない。
『ヒグマ帝国』そのものだ。
ヒグマは本来、群れを作る生き物ではない。
彼等が作る集団は最大でも家族が限度だ。
それが帝国を作り、それを一時でも正常に運営できている現状が異常なのである。
力による支配、ならばまだ納得がいった。
だが、ヒグマ帝国を探索している内に見た限りでは恐怖は彼等が従う一因であれど主因ではない。
『そうするのが当然』だから、彼等はヒグマ帝国で働いているのだ。
同じように支配者階級であるシーナーも、『王の軍勢』に飲まれた同胞を救出していた。
自らより脆弱な者を助ける。 通常のヒグマならば、そのような事は行わない。
同族意識と、社会性。 それはヒグマが持つ物では当然ない。
そう――彼等は、酷く人間らしい。
言峰綺礼という人間に、人間性が欠如しているからこそわかる。
今のような状態は、ヒグマが自然に思いついたり、発想したりするような物ではない。
そう。 誰かが教育、または刷り込まなければ。
ヒグマ達が研究所を乗っ取ってからは彼等が教育、或いは製造時に刷り込みをしているのだろう。
だが、それ以前は?
最初はSTUDY研究員かとも考えたが、おそらく違う。
人間性はともかくとしても、同族意識や社会性までもを与える必要はない。
実験を円滑に進める為の知性と、ヒグマ達の団結を促しかねない理性は別の物だ。
実効的な支配者の一人――それも番号から考えてかなりの古参であろうシーナーが、このような行動に及んだ理由とは何か?
実験動物の立場から逃げだしたかった? それもあるだろう。 が、ここまで事を大規模にする必要が見当たらない。
極端を言えば、シーナー一人でもSTUDYは十分制圧し得た。
キングなどを担ぎ上げ、ヒグマ帝国など作る必要性は存在しない。
そもそもそのシーナーの来歴も、こうなってしまうと疑問がある。
シーナーの『治癒の書』は、『一度自分の認識外に出てしまえば、その相手の感覚は元に戻る』と言っていた。
それが虚偽でなければ、『彼一人でSTUDYの研究員を騙し通すには効果範囲が狭すぎる』。
視覚を欺瞞するだけでも、自らの視野に研究員達を入れていなければならない。
多くは無いとは言えど複数存在する研究員達の行動を常に把握し、彼等の持っている情報を管理するという芸当がクマ一匹で可能か?
否。
そんな訳が無い。 他に『STUDY内部の情報を混乱させていた者』が存在しなければ、そんな事は不可能だ。
(そう――いる。 STUDYを欺きヒグマを叛乱させ、気付かれないようにヒグマ達を影から操り、誘導し、扇動する者が。
そしてそれは恐らく、ヒグマではない)
【??? ヒグマ帝国/午前】
【言峰綺礼@Fate/zero】
状態:健康
装備:ヒグマになれるパーカー、令呪(残り10画)
道具:なし
[思考・状況]
基本思考:聖杯を確保し、脱出する。
1:ヒグマのマスターである少女およびあの血気盛んな少年に現状を教え、協力体制を作り、少女をこの島での聖杯戦争に優勝させる。
2:布束と再び接触し、脱出の方法を探る。
3:『固有結界』を有するシーナーなるヒグマの存在には、万全の警戒をする。
4:あまりに都合の良い展開が出現した時は、真っ先に幻覚を疑う。
5:ヒグマ帝国の有する戦力を見極める。
6:ヒグマ帝国を操る者の正体を探る。
※この島で『聖杯戦争』が行われていると確信しています。
※ヒグマ帝国の影に、非ヒグマの『実効支配者』が一人は存在すると考えています。
△
▼
島の地下にあるSTUDYの“元”研究施設――その更に地下。
モニタとサーバー――研究所のメインサーバーに比べれば小さいが、それでもその性能は学園都市製のものと遜色はない――と、ヒグマがすっぽり入ってしまうような大きさの複数のシリンダー。
ただそれだけが設置された、殺風景な部屋。 そこに、モノクマは穴持たず4の死体を運び込んでいた。
「……コイツのDNAじゃ研究は進展しないけど。 ま、肉体の強度補強にはなるか」
そう言うと、穴持たず4の死体をシリンダーへと押し込む。
特殊な溶液を満たされたシリンダーは穴持たず4の肉体を分解し、もう一つのシリンダーの中身へと配合。
シリンダーの中に浮かぶヒグマとも人間とも付かない物体は、穴持たず4の因子を受け更なる肉体の変化を遂げていく。
「カーズ様の死体が残ってれば、こんな事をしなくてもすぐ完成するんだけどねぇ」
そのシリンダーの中の物体を眺めながら、モノクマは呟く。
カーズが敗北した事は傍受した首輪の盗聴回線からわかっているが、その細胞の一辺足りとて見つかる事はなかった。
その上にこの津波があった以上、もはや究極生物の細胞を手に入れる事は叶わないだろう。
「ま、安心しなよ……有冨。 オマエの研究成果はボクが使ってやるからさ……」
――穴持たず2・工藤健介、羆の独覚兵・
樋熊貴人、烈海皇。
彼等は『人間からヒグマへと変わった』者達である。
人間の可能性を追い求めた有冨が何故、人間をヒグマへと改造するような真似をしたのか?
答えは、簡単な話だ。
穴持たず00――ルカの計算能力。 穴持たず1――デビルの肉体変化能力。 あるいは、『人間型の悪役』を模して作られた穴持たず13・ヒグマン子爵。
これらは全て、『ある目標』へと向かって作られている。
「……『ヒグマを人間に変える研究』をね」
モニターに、一人の少女の姿が写る。
桃色の髪を白と黒のクマの髪留めでツインテールにした、衆目秀麗な女子高生。
その姿を知る者は、彼女をこう呼んだ。
『超高校級のギャル』――江ノ島盾子。
そして、もう一つの異名を知る者は、彼女を畏怖――あるいは、敵意を込めてこう呼ぶ。
――『超高校級の絶望』。
正確には、彼女は江ノ島盾子本人ではない。
ある人物が彼女を模してプログラミングし――『超高校級のプログラマー』の成果を乗っ取った、アルターエゴ(もう一人の自分)。
現世に肉体を持たぬ彼女だったからこそ、有冨の研究に協力し――最悪の、彼女にとっては最高のタイミングでひっくり返した。
――だってさ。 ヒグマに人類が乗っ取られるって、絶望的じゃない?
理由がないから対策もできない。 理由がないから理解もできない。
理解も対策もできない理不尽さ――それが超高校級の絶望。
「……そういや、ヒグマ提督は艦これ楽しんでるかな?
是非満喫してもらいたいよねぇ……ハッキングされるまではさ」
ハッキングに備えてメインサーバーへの回線を準備しながら、モノクマはそう呟いた。
【??? ヒグマ帝国/午前】
【モノクマ@ダンガンロンパシリーズ】
[状態]:万全なクマ
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:『絶望』
1:前期ナンバーの穴持たずを抹殺し、『ヒグマが人間になる研究』を完成させ新たな肉体を作り上げる。
2:ハッキングが起きた場合、混乱に乗じてヒグマ帝国の命令権を乗っ取る。
※ヒグマ枠です。
※抹殺対象の前期ナンバーは穴持たず1~14までです。
※江ノ島アルターエゴ@ダンガンロンパが複数のモノクマを操っています。 現在繋がっているネット回線には江ノ島アルターエゴが常駐しています。
※島の地下を伝って、島の何処へでも移動できます。
※ヒグマ帝国の更に地下に、モノクマが用意したネット環境を切ったサーバーとシリンダーが設置されています。 サーバー内にはSTUDYの研究成果などが入っています。
最終更新:2015年12月27日 18:14