曲紹介
曲名:『花に嘯』(はなにうそ)
歌詞
春が明く髪を変えて、
風にゆるやかに揺れていた。
あんな最低な別れ方もさ、
夜がみせた夢みたいだ。
ねえ、海がみえた窓のうるさいアトリエを憶えてる?
きみとハンモックで眠るくらい、ワインに溺れて。
「未来なんかないよ。期待しないでよ」
あの日枯れた花に、嘯。
「確かめてもいいよ。応えはしないけど。
鍵は開けておくよ」
――やっぱり嘘だったんだ。
三番線。通過して気づいた。
棚の捨てたかったピアス。
右手、触れたのはわざとだよね。
しらない指環も。
呆れるくらい客船は鈍く進み、
放恣に預けた罪にまた縋った。
変わってしまったのは、
そう、君じゃなくて。
ヴィオラケースの深紅が滲んでいく。
『未来はいらないよ。期待もしちゃいないよ』
笑うことは、すぐできたのに。
夢で解いた髪は、
胸を灼いた声は、
どうしてきえないの。
――わたしも嘘つきだ。
灯台、海鳥、市場の匂いと、
すりむいた膝のスカーフ。
波より烈しく、街より空しく、
隠してきたのは、
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最終更新:2024年10月23日 20:34