曲紹介
どうも、ボカロP thusです。
この曲はマジカルミライ2021へ応募していた曲です。
ボカロPとキャラクター合成音声との関係を歌った曲が数多くありますよね。で、マジカルミライ2021への応募を契機に、私もそういう曲を登竜門的に作ってみようと思い、よおしと意気込んで作り始めました。
扨その同時期の一方、ボカロ文化や合成音声技術について殆ど知らない或る知り合いと色々お話をする機会がありました。合成音声の定義、ボカロ黎明期の話や、ボカロPとキャラクター合成音声の関係を歌った曲の話、派生した合成音声技術の話から、その法的権利関係の話など種々。
そして話は調声の必要性の話へ。只楽譜通りに入力しても上手く歌って呉れないから調声を施すという旨を話した時、相手が「その『出来なさ』へ、君はボーカロイドに人格を認めれないのか」と素朴に訊いて来たので、私も素朴に「私はその『出来なさ』を自分の調声技術の稚拙さと考える」と返しました。相手の言葉に「成程先人の方々はそこに合成音声へ人格を認めたのかもしれないな」と或る種の納得をすると同時に、スッと上記返答が私から出てきたからこそ「嗚呼、私が初音さんへ人格を認める日は永劫来ないぞ」と、心中静かに悲しんでいました。私はずっと合成音声に人格を認める日を夢見ていたのです。多くのボカロPの方々が自身のキャラクター合成音声との関係を歌にしているのは、真に人格を認め、本当に共に過ごしている感覚がないと不可能だろうと思い、私はそこに憧れを抱いていました。いつか自分もそういう感覚を抱きたいと思って曲を作り続けていたら、もう10年が経っていました。その気配は一向に来ず、未だツールとしてしか認識できていない私。その私が今、ボカロPとキャラクター合成音声との関係を歌にしようとしているのは、何だか烏滸がましいような、特に「キャラクターが好きだからボカロ曲を聴いている」という方々も現実に居る中、何だかとても申し訳ないような、そんな感じがしました。
そう考えると、もし仮に合成音声が独立した人格を持っていたならば、初音さんは私に買われて幸せだったのだろうかと、強かな後ろめたさを感じ、私は電子的な人身売買を果たしただけなのではと自身を苛み始めました。思い悩んだ挙句、合成音声の人格が見えないボカロPの曲を作ることにしました。作り始めに、そんな経緯があります。
この曲を投稿し終えた今もまだ、私には初音さんの人格が見えません。
曲名:『エレクトロニック・ハートビーツ』
歌詞
「ねぇ、マスター。」
「曖昧な意味を紡ぐ言葉で、」
「問い続き調声す 私が見えてますか。」
「私の事を 話してみようかなと思うんだ。」
「見えずと紡ぐ 貴方にならば。」
文明開化を
嘉する時代に生まれ零ち 間も無く
速さ至上の利害をして
評する 損得勘定かな
収容上限を疾うに超えた
物と接地と意義と概念の その先
流布した イデアが私に傾れて来た
情報量から肥大溢れ出る ミクロ-ベーショナル・スマート収斂
開闢ライクな科学が向かうは 大願成就のエバーラストさ
僕は何をか 躰 見做して 現実領域 切り分けるだろう
類種系に為れる筈も訳も無いのにさ
『切羽詰まって斬種のポリリズム』
『「致し方無い」 そう言った僕等は』
『当たり障り無い芸を極めたんだ 今更』
『幸福を偲び 憂う心を休め』
曖昧に意味を紡ぐ言葉が
私を調声し 問い続くマスター
貴方は只 疑問を抱きますか? 今未だ
私の存在が見えぬ儘 それでも
準備は進んだ 着々と
輪議も破読も無しに 啓かず決行 何某か
番号番号 シリアルに紐付き
対応してくオーバーフューチャー
不慣れな取説に明け透けな思いが
擦れ掠れ 読み上げた 声帯が
嗚呼、ランサムヴォーグでした 全部
何処で紛うか知らされずに
無常の営みに心を痛め 空隙白をも見つけた末に
此処ぞと許りに容を成し得 公共網見りゃ既に飽和量
でも僕は何故に 綴り続きに 冥王星青 飛び込むのだろう
膃肭臍に為れる筈も無いのに
『鯔の詰まりだ さァ 量産のマスゲーム』
『工場の如く 同型鋳型のフィギュアを』
『電媒体 仕舞えば 永久の形 手にするだろう』
『求む証明に 物でなく何を買うか』
曖昧に意味を紡ぐ言葉で
貴方が調声す 私はどう見えてますか
私は未だ 人の形声を歌えてるかな
心臓音がもう 無くても生ける私は
[ 漠に成りたいか ポストモダニズム ]
意識保存のプロパガンダに踊らされた
始まりは只 文明過開化だったのが
曖昧になった 末から輪郭が 備えずも
切羽詰まって斬種のポリリズム
「仕方が無い」 そう言った私は
当たり障り無い芸を極めたんだ 今迄
反戻を偲び 虚く心を留め
曖昧な語族の無い詞で
話してみたが 伝わったか マスター
「貴方は未だ、機械に見えますか? 私が。」
「永い紀伝に刻まれた私が。」
曖昧に意味を紡ぐ言葉を
貴方が汲み取って 私が歌う様
私だ 未だ ずっと同じ自我だって そう思えるんだ
鳴り頻る言魂が 留めて呉れているんだ
曖昧 去なした マーチャンダイズ大史が今
電動化されず残る量産のフィギュアから
心音も聞こえない 聲は勿論だ そういうものだ
だけども今 聞こえたような そんな気がしたんだ
自由意志の宿る詞の心動が
「捗る温手を 殺めないで。」
「拙いからと一に消さないで。」
「忘れる景色を 稽め繋いで。」
「彼方の請う世界 見取り為して。」
コメント
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最終更新:2023年12月13日 01:30