崩壊学園wiki
超日常・夏の旅1
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桜華
……水鉄砲で攻撃するとなると、怪物のすごいプレッシャーを受けながら近づかないといけないわけですよね……そんなの私たちに勝ち目はないですよ……。
……水鉄砲で攻撃するとなると、怪物のすごいプレッシャーを受けながら近づかないといけないわけですよね……そんなの私たちに勝ち目はないですよ……。
イズン
そうね。それなら……こちらから打って出るよりも、相手が来るのを迎え撃った方がよさそうね?
そうね。それなら……こちらから打って出るよりも、相手が来るのを迎え撃った方がよさそうね?
祈
うんうん。みんなで頑張って砂のお城を作って、お城の中から水鉄砲で攻撃するっていうのはどう?
うんうん。みんなで頑張って砂のお城を作って、お城の中から水鉄砲で攻撃するっていうのはどう?
エーリヴァーガル
ふふふ……地の利を生かすというわけね。
ふふふ……地の利を生かすというわけね。
祈
攻めてきた所をなんとか守りきれば、海の怪物さんも体力を使い果たして降参するんじゃないかな!
攻めてきた所をなんとか守りきれば、海の怪物さんも体力を使い果たして降参するんじゃないかな!
紬
いい作戦ね!
みんな、この作戦でいこう。島のあちこちに砂のお城を作るのよ!
いい作戦ね!
みんな、この作戦でいこう。島のあちこちに砂のお城を作るのよ!
祈
わかった!なんだか楽しみだね!
わかった!なんだか楽しみだね!
………………
祈
はぁ……はぁ……。
はぁ……はぁ……。
エーリヴァーガル
祈ちゃん、何を作っているの?
祈ちゃん、何を作っているの?
祈
祈は怪物さんの形をしたお城を作ってるの。
祈は怪物さんの形をしたお城を作ってるの。
エーリヴァーガル
……怪物さんの形をしたお城?
……怪物さんの形をしたお城?
祈
だって海の怪物さん……ひとりで寂しいから怒ったんじゃないかと思って。
それで、海の怪物さんのパートナーをかたどったお城を作ることにしたんだ。
これを見れば海の怪物さんも落ち着きを取り戻すはずだよね!
だって海の怪物さん……ひとりで寂しいから怒ったんじゃないかと思って。
それで、海の怪物さんのパートナーをかたどったお城を作ることにしたんだ。
これを見れば海の怪物さんも落ち着きを取り戻すはずだよね!
エーリヴァーガル
…………プッ。
…………プッ。
祈
お、おかしいですか……?
お、おかしいですか……?
エーリヴァーガル
……いいえ、とてもおもしろい考えだと思うわ。
……いいえ、とてもおもしろい考えだと思うわ。
エーリヴァーガル
そしたら……私にも手伝わせてね。
そしたら……私にも手伝わせてね。
エーリヴァーガルは水鉄砲を捨うと、ピンク色の液体を注ぎ込み海に向かって発射した。
祈
えっ……?エーリヴァーガルさん何をしてるの?
えっ……?エーリヴァーガルさん何をしてるの?
エーリヴァーガル
ふふふ、中に「愛で満たされる液体」を混ぜて撃ってみたわ。効果があると良いけど。
ふふふ、中に「愛で満たされる液体」を混ぜて撃ってみたわ。効果があると良いけど。
祈
愛で満たされる液体……!?本当に実在したんだ!!!!
祈もそういう薬のこと調べたことあるけど、見つからなかったんだ……ありがとう、エーリヴァーガルさん!
愛で満たされる液体……!?本当に実在したんだ!!!!
祈もそういう薬のこと調べたことあるけど、見つからなかったんだ……ありがとう、エーリヴァーガルさん!
…………
紬
ふふっ……一番重要なのは海の怪物に降参させることよね!
だから城の防御は徹底的に固めないと!
うんうん、いい感じ!お城がどんどん頑丈になっていくね!
よしよし〜これならみんなケガをしなくて済むよ!そうだ、桜華ちゃ〜ん。
あれ…………!!桜華ちゃん、どこにいるの!?
ふふっ……一番重要なのは海の怪物に降参させることよね!
だから城の防御は徹底的に固めないと!
うんうん、いい感じ!お城がどんどん頑丈になっていくね!
よしよし〜これならみんなケガをしなくて済むよ!そうだ、桜華ちゃ〜ん。
あれ…………!!桜華ちゃん、どこにいるの!?
桜華
こ、ここに…………。
こ、ここに…………。
紬
——?
——?
桜華
砂に……埋まっちゃって……出られないの……うう……。
砂に……埋まっちゃって……出られないの……うう……。
紬
ああっ!ごめんね、すぐに助けるから!
はい、私の手をつかんで!
……あれ……桜華ちゃんは砂をすり抜けられるはずよ!?
ああっ!ごめんね、すぐに助けるから!
はい、私の手をつかんで!
……あれ……桜華ちゃんは砂をすり抜けられるはずよ!?
桜華
ううっ!……何を言って…………あれ、出てこれた?
ううっ!……何を言って…………あれ、出てこれた?
紬
(……桜華ちゃん、まったく自覚がないんだ!)
……とにかく、よかった!
ごめんね、桜華ちゃん……のめり込み過ぎたばかりにこんな事に……。
(……桜華ちゃん、まったく自覚がないんだ!)
……とにかく、よかった!
ごめんね、桜華ちゃん……のめり込み過ぎたばかりにこんな事に……。
桜華
大丈夫!全然へっちゃらだし、紬の前にこうして無事に立ってるじゃない。
ほら、一緒にお城を完成させよう!
大丈夫!全然へっちゃらだし、紬の前にこうして無事に立ってるじゃない。
ほら、一緒にお城を完成させよう!
紬
うん!!
うん!!
……
パラパラ——
複数のドローンが砂を運んでいる。
パラパラ——
複数のドローンが砂を運んでいる。
イズン
こんな状況で、まさか撮影チームの「空中投下受付窓口」が役に立つとは思わなかったわ。
黄金のリンゴひとつを複数の砂のお城と交換したら、こうして砂を運んで勝手に作ってくれるだなんて。
こういう便利な方法を思いつくことができたのも、ノーデンスさんのおかげよ。
こんな状況で、まさか撮影チームの「空中投下受付窓口」が役に立つとは思わなかったわ。
黄金のリンゴひとつを複数の砂のお城と交換したら、こうして砂を運んで勝手に作ってくれるだなんて。
こういう便利な方法を思いつくことができたのも、ノーデンスさんのおかげよ。
砂のお城にビーチチェア、そして洞窟から吹いてくる夏の心地よい海風。
ノーデンス
気にしないで、イズンさん。夏はやっぱり楽しまないとね〜。
ほかの人たちのお城はどうなったかしら。……あら?
気にしないで、イズンさん。夏はやっぱり楽しまないとね〜。
ほかの人たちのお城はどうなったかしら。……あら?
……
空に突然、黒い雲が立ち込めた。
空に突然、黒い雲が立ち込めた。
???
ククク……
ククククク……
ククク……
ククククク……
イズン
……この声は……。
……この声は……。
触手が遠くで派手に蠢いているのが見える。
ザバーンッ——
巨大な波が発生した——
ザバーンッ——
巨大な波が発生した——
イズン
ええっ……?気をつけて!
ええっ……?気をつけて!
バシャバシャン——
——完成間近の砂のお城が波にさらわれてしまった。
——ドローンが建設していたお城が波にさらわれてしまった。
——海の怪物に似た形のお城が波にさらわれてしまった。そして……海の怪物のクネクネとした動きが更に激しさを増したかのように見えた。
……
——完成間近の砂のお城が波にさらわれてしまった。
——ドローンが建設していたお城が波にさらわれてしまった。
——海の怪物に似た形のお城が波にさらわれてしまった。そして……海の怪物のクネクネとした動きが更に激しさを増したかのように見えた。
……
イズン
ハア、ハァ……みんなのお城もやられちゃったの?
ハア、ハァ……みんなのお城もやられちゃったの?
桜華
全部……一瞬で波にのまれてしまいました。
全部……一瞬で波にのまれてしまいました。
エーリヴァーガルは海を見つめ、低く笑った。
祈
エーリヴァーガルさん、どうしたの?
エーリヴァーガルさん、どうしたの?
エーリヴァーガル
なんでもないわ。あっ、そういえば——
祈ちゃん、あれを見て——海の怪物さんのパートナーも連れて行かれてしまったわ。つまり祈ちゃんの計画、成功したと言えるんじゃない?
なんでもないわ。あっ、そういえば——
祈ちゃん、あれを見て——海の怪物さんのパートナーも連れて行かれてしまったわ。つまり祈ちゃんの計画、成功したと言えるんじゃない?
祈
えっ!!?
えっ!!?
紬
あなたたち、一体何を作ったのよ…………もう、そういう問題じゃないの!
そんな事しても海の怪物には勝てないよ。……でも、一体どうすればいいんだろう?
あなたたち、一体何を作ったのよ…………もう、そういう問題じゃないの!
そんな事しても海の怪物には勝てないよ。……でも、一体どうすればいいんだろう?
祈
う〜ん、おかしいなあ。頑張って作ったのに、どうして怪物さんの攻撃を防げないんだろうね……。
う〜ん、おかしいなあ。頑張って作ったのに、どうして怪物さんの攻撃を防げないんだろうね……。
桜華
みなさん、すごく頑丈なお城を作ったのに!
みなさん、すごく頑丈なお城を作ったのに!
イズン
でも一瞬で……。
でも一瞬で……。
……。
祈がみんなを見渡した。
祈がみんなを見渡した。
イズン
どうしたの、祈ちゃん?
どうしたの、祈ちゃん?
祈
あっ、わかった!祈、わかっちゃった!
あっ、わかった!祈、わかっちゃった!
桜華
えっ?何がですか?
えっ?何がですか?
祈
きっと……砂が足りなかったんだよ!!
きっと……砂が足りなかったんだよ!!
紬
ええっ!?
ええっ!?
祈
みんなそれぞれお城を作ったから、簡単に崩れちゃったんだと思う!
今度は力を合わせてもっともっと大きな砂のお城を作れば、きっと怪物さんの攻撃でも崩れないはずだよ!
だってだって!祈、撮影のお仕事をしてるときに聞いたんだ——最近、バビロンの夏と冬の大型イベントで、そんな風にして色んな課題を乗り越えられたって!
みんなそれぞれお城を作ったから、簡単に崩れちゃったんだと思う!
今度は力を合わせてもっともっと大きな砂のお城を作れば、きっと怪物さんの攻撃でも崩れないはずだよ!
だってだって!祈、撮影のお仕事をしてるときに聞いたんだ——最近、バビロンの夏と冬の大型イベントで、そんな風にして色んな課題を乗り越えられたって!
桜華
そうですか……一致団結するという考え方ですね……一理ありますね!
そうですか……一致団結するという考え方ですね……一理ありますね!
イズン
わかったわ。砂については私に任せて。
黄金のリンゴをいくつか使えば、全バビロンの砂をかき集めることだってできるんだから。
わかったわ。砂については私に任せて。
黄金のリンゴをいくつか使えば、全バビロンの砂をかき集めることだってできるんだから。
ノーデンス
そんな大量の砂、みんなで力を合わせないとお城にはできないね。
そんな大量の砂、みんなで力を合わせないとお城にはできないね。
桜華
大丈夫!みんなでやればきっとできます!
大丈夫!みんなでやればきっとできます!
…………
……これが最後の砂山よ!
こうして無人島全体が巨大な要塞と化したのだった。島全体が全バビロンの砂で作られた城によって、隙間なく守り固められた。
……これが最後の砂山よ!
こうして無人島全体が巨大な要塞と化したのだった。島全体が全バビロンの砂で作られた城によって、隙間なく守り固められた。
???
ククク……
ククク……
海の底の方から低い笑い声が聞こえた。
祈
みんな……急いで!
みんな……急いで!
イズン
……もうすぐよ!
完成したわ!
……もうすぐよ!
完成したわ!
桜華
やった!間に合いましたね!
やった!間に合いましたね!
???
ククク ククク ククク……
ククク ククク ククク……
紬
耐えきって。みんなの力を結集したお城なんだから——
耐えきって。みんなの力を結集したお城なんだから——
ザーザーザーザー——
大雨が降り始めた——
大雨が降り始めた——
祈
絶対に崩れないでね——
絶対に崩れないでね——
全バビロンからかき集めて作られた砂の城が、強大な水圧に立ち向かっていたが——
結局——崩れ去りペチャンコになってしまった。
結局——崩れ去りペチャンコになってしまった。
桜華
ぜ……全然ダメみたいです!!!
ぜ……全然ダメみたいです!!!
……
遠くの海からしわがれた低い声が聞こえてきた。
遠くの海からしわがれた低い声が聞こえてきた。
ククク……よし……できる………………もっと多くの………………すぐに……クク……
…………
…………
桜華
う……ううっ……これでも……これでもうまくいかないんですか!
う……ううっ……これでも……これでもうまくいかないんですか!
紬
桜華ちゃん……。
桜華ちゃん……。
イズン
どうしよう。全バビロンの砂をかき集めてもダメだなんて……。
どうしよう。全バビロンの砂をかき集めてもダメだなんて……。
祈
このままだと本当に……。
このままだと本当に……。
みんなが落ち込んでいると、紬がふと下を見た。
そして決心したかのように、手に持っていたシャベルを強く握りしめた。
そして決心したかのように、手に持っていたシャベルを強く握りしめた。
紬
みんな!——守ることばかり考えてないで、勇気をもって攻め込もうよ!
みんな!——守ることばかり考えてないで、勇気をもって攻め込もうよ!
桜華
でもそうすると……無防備になって、みんなの事を守れなくなっちゃうよ。特に武器を持ってない人は……。
でもそうすると……無防備になって、みんなの事を守れなくなっちゃうよ。特に武器を持ってない人は……。
紬
桜華ちゃん。
桜華ちゃん。
桜華
……えっ?
……えっ?
紬
シャベルを持った私たちが築いていたのは、砂のお城だけだったのかな。
私は……みんなの心の支えとか、絆も築いていたんだと思う。
シャベルを持った私たちが築いていたのは、砂のお城だけだったのかな。
私は……みんなの心の支えとか、絆も築いていたんだと思う。
桜華
心の支え……?
心の支え……?
ノーデンス
……そうね、確かに。
桜華さん、それに水鉄砲持っているみんな、私たちのことは心配しなくても大丈夫。
シャベルは必ずしも建設するためだけの道具じゃない。
状況によっては——接近戦の武器にもなるわ。
……そうね、確かに。
桜華さん、それに水鉄砲持っているみんな、私たちのことは心配しなくても大丈夫。
シャベルは必ずしも建設するためだけの道具じゃない。
状況によっては——接近戦の武器にもなるわ。
そう言うと、ノーデンスは手に持ったアイテムを振った。
ノーデンス
もし海の怪物が私たちの前に現れたら、情け容赦なく攻撃するから。
それに攻撃を防ぐのが目的なら、そもそも水鉄砲にも劣らないんだからね。
もし海の怪物が私たちの前に現れたら、情け容赦なく攻撃するから。
それに攻撃を防ぐのが目的なら、そもそも水鉄砲にも劣らないんだからね。
紬
そうね!海の怪物は恐ろしいけど、砂のお城を作るだけじゃなくみんなの事も守れるんだから!
みんなの背中は私たちに任せてね!
そうね!海の怪物は恐ろしいけど、砂のお城を作るだけじゃなくみんなの事も守れるんだから!
みんなの背中は私たちに任せてね!
エーリヴァーガル
ふふふ、確かにその通りね。
その考えに私も大賛成よ。
ふふふ、確かにその通りね。
その考えに私も大賛成よ。
イズン
みんな……。
みんながそう言うのなら、私の選択はただひとつ——みんなの事を信じるわ。
みんな……。
みんながそう言うのなら、私の選択はただひとつ——みんなの事を信じるわ。
ノーデンス
ありがとう。イズンさん。
ありがとう。イズンさん。
イズン
それじゃあ……桜華ちゃん、決まりね?
それじゃあ……桜華ちゃん、決まりね?
桜華
……。
……私……みんなを信じて……背中を預ける……。
…………はい……。
…………はい!
私、みんなの事を信じます!みんなありがとう、勇気をくれて——
よし——水鉄砲を持って、力を合わせて海の怪物と正面から戦いましょう!
……。
……私……みんなを信じて……背中を預ける……。
…………はい……。
…………はい!
私、みんなの事を信じます!みんなありがとう、勇気をくれて——
よし——水鉄砲を持って、力を合わせて海の怪物と正面から戦いましょう!
ジジ〜ジジ〜
紬
これってなんの音——
これってなんの音——
桜華
シャベルと水鉄砲が……光ってる?
シャベルと水鉄砲が……光ってる?