「………………」
「………………」
静寂であった。
数刻前までは、ふたりの少女が互いに互いを激励し合っていた公園。
作られた箱庭の片隅ではあるが、それでもひとつの物語が幕を開けた場所。
そこは今、少女たちが言葉をぶつけ合っていたことが嘘のように、静まり返っていた。
されど、彼女達が言葉の果てに結実させた想いは真であり。その想いからなる指針は、彼女たちの胸の中で煌々と未来を目指している。
ならば、その中心にいるふたり。同一人物でありながら別の歩みを経てここに立った、七草にちかたちはどうしているのか。
「………………」
「………………」
どうしているのかといえば、黙っていた。
黙って、気まずそうにちょっと目を逸らし、かといってサーヴァントと目を合わせると念話が始まりそうなのでそちらからも目を逸らし、そしてまた視線がかち合いそうになっては目を泳がせていた。
誰がどう見ても、明らかに挙動不審であった。
「………………あの」
「………………なんですか」
というか。
有り体に言えば、お互いに顔を真っ赤にして照れているだけだった。
二人とも、物凄くクサい――他人が言ってるのを客観的に聞けば「うっわー……なんか漫画みたいな台詞でわざとらしいっていうかー……」だの「なんか変な比喩多くないです?もっとわかりやすい言葉で言った方が良くないですか?」だの「雰囲気とそれっぽい言葉でなんとなく良い感じにしようとするの、すごい無理なんで無理ですね!」なんだのと散々っぱらに罵声を浴びせていたであろう言い合い。
お互い冷静になった後だと、物凄く恥ずかしかった。
偶像・七草にちかは言うに及ばず。自分のことを客観視しがちな凡人・七草にちかでさえ、自制することなく言いたいことを言いたい放題してしまった自分を思い返すと顔から火が出そうになる。
本音だったからしょうがないじゃないか。全部話すことは大事だと誰もが言っているから良かったじゃないか。そういう理屈は分かっていても、恥ずかしいものは恥ずかしい。
新西暦に生きていると、光にせよ闇にせよ臆面もなく己の心情を声高に叫ぶ輩が多すぎるせいでそういう感覚が麻痺していけない。ふたりを微笑ましく見守っている
アシュレイ・ホライゾンは、そんなことをちらりと考えるのであった。
ともあれ。
「……とりあえず、話を進めよう」
そういう腹の裡を割って話したからこそ、偶像たる七草にちかは前を向き、凡人たる七草にちかも夢との離別を果たした。
ならばこそ、するべきは「これから」についての話。
気まずそうにしている二人に助け船を出す、という訳ではなく。二人を現実に引き戻し、確固たる足踏みで進んでいく為に、必要なことをしなければならない。
ここは未だに、界聖杯の内側。283プロダクションの現状も含め、依然として修羅場は続いたままだ。
取り巻く悪意を突破し、手段を見出して、この天蓋を突破する。彼女たちが見るべき空を仰ぐためには、それが不可欠なのだから。
「細かい話は、田中さんのところに戻ってからすることになるけど。とりあえず、これからすることと、俺たちの最終目標についての相談はしないといけない」
二人も、そうした現状は分かっているようで。
真っ赤に染まっていた頬からは赤みが引き、口と目元も引き締めていた。
……ついでに、明確に名前を出すことで。背後にある草むらががさりと動いた音がしたのも聞き取れた。
こちらからは見えないが、二人のにちかを挟んで反対側にいるアーチャーに目を向けるとわずかに頷いていた。これで彼女は、何事もなかったかのように自分たちを待っていることができるだろう。
「だから――その為に、まずは一緒に進んでくれないか」
地に足がつかない理想へと飛ぶためにこそ、しっかりと歩んで進まねばならない道を見極める。
そうした事実をしっかりと認識し、現実へと引き戻された彼女たちを見比べる。
片や、アイドルとして舞台に臨む時の表情。片や、只人でありながら日々を生き延びるための表情。
その差異こそが彼女たちであることを認識しながら、アシュレイは言う。
「ふたりが、ステージを挟んで向き合える未来を、作れるように」
それが、アッシュの本心だった。
果たして、二人の反応も違った。軽く俯いた偶像と、己の手やアーチャーを順繰りに見て回る凡人。
けれど、それが失意や諦観、恐怖から来るものではないことは、すぐに分かる。
彼女たちが進む理由を得た今、そうした仕草ひとつも、ほんの少し変わりつつあったから。
「……だから」
やがて。
小さく俯いていた偶像・七草にちかは、真っ直ぐにさっと顔をこちらに向けて。
「だからそういうそれっぽいこと言い出して良い感じにしようとするのやめてくれませんかねー!?」
……怒った。
頬が真っ赤だから照れているのが半分くらいだと思うが、もう半分は普通にキレている。わかりづらい話をしてんじゃねえと。ついでに自分たちが恥ずかしいと思っていることを端的に要約して赤裸々に語るんじゃねえと。
どうやら自然に出ていたらしい。先程していた内省をもう一度繰り返す。本音は大切だが、建前というかオブラートというものはあるに越したことがない。16かそこらの少女を前に、改めて感じる。
……その辺り、彼女たちの
プロデューサーは上手くやっていたのだろうか。もし上手くやれていたなら、ご教授願いたいところだった。
ちなみに、ちらりともう一方の彼女を見ると、同じように顔を赤くしつつもこちらの目線に気付いて小さく肩を竦めていた。やっぱりちょっと大人だった。
「あー、うん。マスター。分かった、分かったから……でも、真面目な話だ」
しかし。
オブラートに包まない本音というものを、まっすぐにぶつけることは、必要だ。
「……話すんだろう?プロデューサーと」
胸に灯った想いを言葉にして。
それを芯にして突き進むことも、また。
避けるだけではいられない、大切なことなのだから。
「……それは、まあ。はい」
そう答えた彼女の瞳に、確かに意志が宿っているのを見て、アシュレイ・ホライゾンは優しく微笑んだ。
今の彼女には、確かに導が生まれている。迷うことも幾度となくあろうが、少なくとも今、彼女がアイドルであろうとして。
『ファン』として、彼女をアイドルにしてくれる凡人・七草にちかとは別に。
自分のことをアイドルにしてくれる誰かの元に向かおうとしているというのが、確かだったから。
今は、それだけでよかった。
◇◆◇
「粗茶でーす」
という言葉とともに振る舞われたのは、恐らくはWのセレクトなのだろう麗しい琥珀色の紅茶だった。
値段までピタリと言い当てられる程詳しくはないが、それでも外交官として渡り歩いてきた身だ。もてなしの質くらいは出された段階である程度分かる。
如何にもといった高級感こそないものの、一般家庭で常飲するには足が出るくらいの品物。
(Wとしては、俺たちよりむしろ…彼女たちの目線に立ったものか)
無論、主たるマスターに位を合わせる、というのはサーヴァントのスタンスとしてはおかしくない。
だが、WにとってはHを交渉のテーブルに立つ相手として認識している。本来、仮にも英霊同士が語り合うのであれば、どこぞの王どものように酒、とは言わずとも最上級の品を用意するべきだろう。事実、WもHも、そうした待遇を受けるべき立場として生前を過ごしたのだから。
それでもこれを選択したということは、彼から自分への、マスター目線に立ってモノを考えろ、という意思表示。
そして同時に、偶像・七草にちかをここまで支えてきたHという存在ならば、そのスタンスを受け入れた上でこの紅茶を飲む筈だという認識の表明。
回りくどいが、しかし『交渉の相手』ならこれくらいは考えるだろうと、向こうは思っているのだろう。
ならば、返答は?
「――美味いな」
是非もない。
レモンが効いた爽やかな風味が、無駄な甘味なく口の中に広がった。
「ふふー」
そんなアッシュの顔を見て、悪戯っぽい笑顔で
田中摩美々は笑う。
先程心配していた姿や、公園まで見に来ていたことといい、彼女の優しさと大局的な視点はここぞという時に滲み出ている。かといって、公園にいたことを二人のにちかに悟らせない演技力は、なるほど現役のアイドルということか。
「それで、とりあえず当面の問題だが……戦略的な点については、これはまだあまり動かない。というより、動かせない」
その紅茶で口を湿らせ、ひとまず第一声を放つ。
元より、作戦会議という名目は全員に周知してある。壁に寄りかかって外に注意を向けつつ拝聴するアーチャーは勿論、二人のにちかも驚くことなく羊羹から口を離した。
「え、でもやばくないです?なんか新宿が大変なことになってるとか聞きましたし…こっちだって」
「もちろん、幾らかプランは考えてある。だが、ここで実働段階に移すのはナシだ」
プランがある、というのは嘘ではない。
なにせこちらには、『二人の七草にちか』という、他陣営からすれば意表を突かれるであろう奇手がある。
極端な話、それぞれアッシュとメロウリンクを連れた二人が同時に二箇所で目立った行動をさせるだけで、他陣営へのかく乱は十分にできるのだ。……二人を矢面に立たせる危険性を考慮していない、という点で、かなり発動の優先度が下がる手だが。
そうでなくても、それを軸にした手、そして283プロダクションという繋がりを使えば、手は多く取れる。情報戦は依然として重要であり、手の裡が明かされないという一点で283が一手の猶予を持っているのだ。
「だけど」
……だが、相手はどうだ?
こちらは相手のことを、どれだけ知っている?
それがなければ、これは正しくアドバンテージたり得ない。
なにが意表を突けるのか。どれが相手にとって不足しているのか。
戦争であろうが交渉であろうが、互いの手札を見極めなければ切り札すらも容易く役無しと同格まで落ちることは変わらない。
ならばこそ、その見極めをする為に、何よりも必要なのは情報で。
そして、それに対する感度を最も高めている男――Wは、未だに調査を続けている。
彼が手落ちをしている訳ではない。新宿の一件以降、それ程までに状況が加速している、というのが正しいのだ。
目まぐるしく変わる戦局の中で、それでも刻一刻と巡る情報の最前線に立ち続けていることこそ、彼が知略の中で生きる英霊である何よりの証左だった。
「話は分かったんですけど、それでどうするんです?」
……と、彼が名手であることは言うまでもないが。
代わりに、今それができないというなら、今この瞬間は何をするべきなのか。
「情報が来るまで何もできません」、というのでは、あまりにこの場を用意した意味がない。
「まさか、分かるまでただ待つってだけとかないですよね?」
「ああ。俺たちにできること――というか、ここではあえて、俺がいるからできることをあらかじめ開示しておこうと思う」
だが、だからこそ。
『アシュレイ・ホライゾンがいる場所でのみ話せる』内容に、集中できるタイミングだった。
「この界聖杯からの、脱出プランについてだ」
その一言で、田中摩美々も凡人・にちかもメロウリンクも、一瞬にして表情を変えた。
マスターである偶像・にちかも驚いたような表情を見せたが、今回ばかりはすぐに引っ込めた。彼女とて、今ここにいるメンバーが、それを話すに足る信頼ができるメンバーである、というのは理解している。……そういう客観的視点を持てているのは、間違いなく彼女の美点であるだろう。
「……確かに、気にはなってましたケド。そんな簡単に教えてくれるんですかー?」
「ああ。今後の指針を立てる為には必要だし、少なくともここにいるメンバーとは共有して差し支えないだろう。マスターも信用できているようだしな」
283プロダクションという繋がりが最小単位になる以上、その構成員であるこの二人のマスターに隠す理由はない。
それに、この能力を話し、開示することで広がる可能性というのもあるから――というのもある。これについては、まずは全てを開示してからだろう。
「まずは、俺が持っている宝具についての説明からだな」
そして、ひとまずはざっくりと。
界奏の能力。特異点から応えてくれる存在へと交渉し、その能力を借り受け、組み合わせ、分け与え、使用する。最弱の極晃星であり、そして間違いなくアシュレイ・ホライゾンという存在の結実を、ひとつひとつ開示した。
「以上が、界奏の持つ能力だ。ここまではいいか?」
まずはそこまでの解説を終えて、アッシュは周囲を見渡した。
混乱しつつも、なんとか内容自体は飲み込めたようだった。適宜マスターからサポートが入ったのも功を奏したのか。
とはいえ、理解できたのと飲み込みきれたかどうかというのは、また別のようで。
「いい、んですケドー……え、ズルくないー?」
ぽつりとそう漏らしたのは、田中摩美々だった。
彼女のサーヴァントは、「知略」という一点において成立した英霊だ。その知略においては、並みのマスターは勿論、切れ者の分類に属するサーヴァントですらも見透かせないような理路をその脳の内側に構築している。
反面、戦闘力に長けている訳ではない、という明確な欠点は存在する。別にそれを恥じるつもりはないのだが、しかし直接的な潰し合いにおいて武力で争う時には明確に一段劣ることを否定できるわけでもない。
彼が本戦が始まって間もなく、ビッグマムを追い返すことに成功したように。何処かに弱点がある。というのは、この聖杯戦争があくまでゲームとしての意味を持つ上での必要条件だ。
それを覆しかねないのが、界奏という能力だ。
何せ、アッシュの宝具があれば「知略を持つ人間」に「武力を持つ人間」、搦め手を持つ人間に回復能力を持つ人間、エトセトラエトセトラ…それらを全部まとめて、しかも総合して、強みだけを組み合わせることまでできるのだ。
もちろん合意があってこそ、というのはあるし、扱うのはアッシュというソフトを通してではあるが、しかし一点特化というピーキーな能力すらも丸めて扱うことができるのは間違いなくとんでもない能力だ。
「ああ、ズルだな。だからこそ、簡単には使えない」
そして、アッシュもそれを当然のように認める。
他人の力を借りる、という点ではなく、「魔法にも近い」というその能力のオーバーさを以て。
本来ならば聖杯にすら匹敵する万能の願望器、極晃星(スフィア)によって実現した能力。ズルもズル、マスターからすれば「聖杯最初から持ってるのと似たようなもんじゃないですかー!」という訳だ。
その代償は当然大きく、令呪を用いて尚使えるかどうか怪しいというのが現状だ。
これをどうやって確実に……あるいは、成功確率を高めて発動できるようにするか。それが、このプランを実行する第一の壁であった。
「そして、もう一つ。……今の俺が、その極晃星を使ったとして。界聖杯を脱出するための具体的なプランまで、明確に詰めないといけないっていうのがある」
加えて。
発動した先に、下手をすればそれを上回る、更なる関門が聳え立っている。
アッシュは元より、それが理解できるように界奏の説明を行っていた。
「『脱出する能力』を持つ相手に、コンタクトを取る必要がある、ということか」
「ああ」
果たして、問いかけてきたメロウリンクの言葉に、アッシュは頷いた。
結局のところ、界奏を発動したところで、手と手を繋ぐ相手、即ち「界聖杯から脱出する手段を持つ存在」とコンタクトできなければ、宝の持ち腐れになってしまうのだ。
次元跳躍、界聖杯の
ルール改変、多世界観測・干渉能力。どのような形であれ、界聖杯そのものへの干渉や次元の壁を超越する手段を持ち、かつアッシュの呼びかけに答えてくれそうな存在。
それを確保することは、脱出を目指す方舟陣営にとって非常に重要な活動だった。
「今のところ、俺の――『元居た世界で繋げる縁』でそれが叶えられそうなものも、幾つかある」
世界に対する干渉、という点で言えば。
カンタベリーの政変にて立役者になった、ラグナ・ニーズホッグやシュウ・欅・アマツの星辰光は、まさしく世界の改変に大きく貢献できる能力だ。
新西暦では失われた技術を以てして、あたかもゲームのパラメータ設定をするように世界を数式で置き換える星辰光。現象数式、と言い換えることもできる。
「……世界をプログラミングする、ってことです?」
そんなことできるんですかねー?と言いたげな目で偶像・にちかが見てくる。
疑問は尤もだ。この時代の世界のプログラミングについては聖杯から知識を得ているが、やはりそれはコンピューターの内側だけのもの。新西暦には存在しえない半導体の技術によって構築された、電子素子の中の世界のコード制御。
とはいえ、彼女たちにとってそれはやはりあくまで電子素子の中の世界での話だ。現実を数式ひとつで変更することなど、物理法則に反していると考えるのも当然のことだった。
「ああ。新西暦のありとあらゆるものには、アストラルが混入しているからな。アストラルを媒介にした数値改変は、現実にすら影響を及ぼせる」
……裏を返せば。
電子空間における情報という媒介を操作するように、世界の媒介を操作することができれば。
それはなるほど、現実改変能力として世界を意のままに操ることができるだろう。
「魔力でできているはずの界聖杯に対しても、サーヴァントの魔力で同じことをすれば改変できるかもしれない、ってコトですねー」
この辺りの飲み込みの良さ、地頭の良さは彼女の魅力だ。もちろん、Wに鍛えられたのもあるのだろうが。
ともあれ。世界そのものに干渉するこれらの能力であれば、『界』たるこの聖杯にも通じる可能性はあると、アッシュは睨んでいる。
更に、アッシュ自身が鎬を削った相手としてもう一つ、アメノクラトというものが似たような権能を持っている。あくまで物言わぬ機械な為にどこまで界奏の対象になるかは不明だが、彼等の製造知識を得ているラグナやシュウに語り掛けることで、星辰だけでも再現できる可能性はあるか、というのがアッシュの見解だった。
「だけど、これさえあればクリアできるか…っていうのも、確約できる訳じゃない。見当違いの方法でアプローチしてそのまま消滅、なんてことになったら最悪だ」
とはいえ、界聖杯の内実がわからない以上。これらの現実改変自体の能力が通じない可能性も、当然考慮するべきだった。
たとえば、魔力以外の構成要素がこの世界にあった場合。
たとえば、界聖杯による世界構成のプロテクトが、界奏による一瞬の発動だけでは突破できなかった場合。
その他にも、界聖杯の性質によっては、幾らでも失敗パターンは沸いてくるだろうし、何より。
「それに何より、これを一手で発動し切れるかどうか、ってのが一番の難点だ」
そう。
アッシュが、現時点で使える界奏が持つ最大の弱点は、やはりその持続性なのだ。
サーヴァントとして召喚され、『ライダー』としての軛を嵌めることで英雄すらも召喚を可能とする英霊召喚システム。かつていつかどこかの聖杯戦争にて開発されたそのシステムは、確かに破格の性能を持った召喚術ではあるが、しかし魔術の限界として、神秘そのものに触れかねないようなオーバースペックを再現できるシロモノではない。
「……そっか。そもそも発動が一瞬しかできないなら、一瞬で解決できるような能力じゃないと……」
「間に合わない、ってことだな。特異点としている界奏そのものにアクセスできれば、話はまた別なんだが……」
界奏そのものは、当然特異点としての出力を兼ね備えている。その出力を受けることができれば、安定した維持は可能だろう。
しかし、極晃星の空間――すなわち他次元にアクセスすることができる程に界奏が出力を強くできるなら、そもそもそんな二度手間を踏む必要すらないだろう。
となれば、ここにもボトルネックが存在するという訳だ。
「その……そういうまどろっこしいの無しで、一瞬で脱出船とか出す方法とかないんです?」
偶像・にちかが言い出したそれは、発言した本人もそんな絵空事がないだろうと分かり切った上での冗談のような口ぶりだった。
事実、アッシュ単身で実現するにおいては、上記に挙げた手段が全てであり。そんな魔法のような手段は、実際のところ存在せず。
しかし、アッシュは悩むような顔をしながらも、その発言を聞き届けて口を開く。
「………いや、そういう手段も、あることにはあるんだ」
心あたりは、あるにはある。
あるにはあるが……こればかりは本当に、アッシュにとってもあるにはあるとしか言いようがないプランだった。
何せ、アッシュが界奏を実現した上で――更にもう一つ、あまりに高すぎる難易度を。しかも、アッシュたち以外に求める必要があるからだ。
「あるには、ある。だが、それもまた輪をかけて難易度が高い……というか、事実上不可能って感じだな」
そう前置きして、アッシュはその方法を語り始めた。
逆襲撃から三界を経て、神殺しに至る物語を担う男が編み出した、空前絶後の極晃を。
「ラグナ・スカイフィールドが生み出した、人奏の極晃星。平たく言えば、過去から未来まで、ありとあらゆる『人類が生み出した叡智』を、現出させて扱う能力だ」
――人奏。
ラグナ・スカイフィールドが展開した、人造の極晃星。人類の英知であり、再現性と発展性に満ちた『技術』の結晶。
人類が描く科学の到達地点であり、その能力もまた人類が到達し得る過去・現在・未来すべての技術を展開可能というシロモノ。
「……え、それって……つまり?」
「将来人間が作る、宇宙船とか、それ以上に時間とか世界とか飛び越えちゃうみたいなー…そういうものが作り放題、ってことですかねー?」
田中摩美々の鋭い一声に、アッシュは頷く。
まさにその通り。人類が遠い未来に作るものなら、それが三大古代兵器であろうがであろうが超弩級組織最終兵器対神破動砲であろうがなんであれ、人奏によって再現することができる。それこそが、神殺しの為に製造された人奏の権能である。
「この人奏は、英霊の座からはアクセスできないが……英霊の座にいるラグナたちに直接問いかけることで、再び『作る』ことができる」
そして、その最大の特異性こそ『人の手によって作られた人造の極晃星』であるということだ。
神祖グレンファルトの討伐において用いられた人奏は、遍く時間の人類の技術を呼び起こすが、しかしそれが齎す過ぎたテクノロジーは、そのまま残しておけば誰もがその技術を求め、そして滅ぼし合うだろう。
それ故に、人奏そのものは使い手たるラグナ諸共に、英霊の座から消滅させられた。彼に直接コールして人奏へとアクセスすることは、アッシュであろうと不可能である。
だが、あくまで『技術』に過ぎない人奏は、適切な行程を経ることで再現することができる――というのが、人奏の最たる特異性。
ラグナ・スカイフィールドへと至る前の姿、ラグナ・ニーズホッグへと語り掛け、その製造手段を得て、再びソレを形作る。
それさえ成ってしまえば、世界間の航行を可能とする方舟に留まらず。ありとあらゆる『人類の叡智』が、彼女たちの味方となるのだ。
「でも、それも結局製造の為の時間がかかるんじゃ…」
「さっき言っただろ?特異点そのものにアクセスさえできてしまえば、魔力消費がどうという問題自体はなくなるんだ」
特異点、すなわち願いを叶える星そのもの。
それを再現した宝具ではなく、極晃星というそれ自体へのアクセスさえできてしまえば、魔力がどうとかいう軛は最早通じない。
そして、人奏という人造の極晃星は、まさしくその特異点を形作るものであるから。
「サーヴァントとしての限界として特異点にアクセスできないのだとしても――『サーヴァントではない本物の英霊による本物の技術』を創造さえしてしまえば、世界の垣根を超えることは容易い……ってことなんだが」
…という説明までして、一旦アッシュは言葉を切る。
やはりというべきか、なんというか。二人のにちかは元より、田中摩美々もその表情に少なくない疑問符を浮かべている。
理屈自体はなんとなく飲み込めているような気はする、のだが。スフィアの何たるかを知らないアイドルにとっては、既にキャパシティをオーバーしていてもおかしくない。
「……色んな問題を一発で解決するとんでもない物だ、って理解してくれればいいよ。それに、現実問題はここからなんだ」
人奏自体は、あくまで手段、アプローチだ。その詳細は、ある程度知っておく必要こそあれど、最悪扱い方さえ知っていればコントロールはできるのだから。
それよりも、彼女達にとって重要なのは――それを発動する為に現実叶えなければならない、その製造の行程と必要条件だ。
「人奏の製造難度は、界奏発動を乗り越えた上で更に難しいハードルを超える必要がある」
一種の魔法である、界奏の発動。聖杯にも等しい極晃星の起動に、更に輪をかけて難度が高い。
散々その出鱈目さと難易度を説かれていただけに、アッシュが真顔でそう告げたことに、少女たちは並々ならぬものを感じさせられていた。
「まず、界奏を発動するというハードルをクリアするのは勿論として。ラグナ達へと対話をするところまでは、同じなんだが…人奏はさっき言ったように直接アクセスすることはできないから、そこで製造してもらうことが必要になる」
そこまでの筋道は、これまでのものと然程変わらない。
アッシュが接続する。力を借り受けるのではなく製造の助力を依頼するという違いこそあれ、ここまでは問題無いのだ。…ここまでは。
「その上で、人奏は俺じゃあ作れない。俺はあくまで、この聖杯の参加者の中から選んだ人奏の製造者と、英霊の座にいるラグナを繋ぐ架け橋にならなきゃいけない」
「え、ライダーさんじゃダメなんですか?」
その疑問は当然だ。
これまで、エンチャント等のオペレーションをしていたのはアッシュ本人だ。それはアッシュが界奏の使い手であるというのもそうだが、星辰光という存在そのものを肌感覚で知っているのがアッシュだからに他ならない。
如何に星辰のない世界で魔力を代用するといっても、基礎理論が変わらない以上少しでも知っている人間が腕を振るうのは当然の帰結だった。
ならばこそ、作るのはアッシュであるべきだと全員が思ったのだが、それに反してアッシュは残念そうに首を振る。
「簡単に言えば、人奏は扱い方がめちゃくちゃ難しい道具みたいなものなんだよ。それを使う為には、俺みたいな交渉能力じゃない――ただ只管に、理路整然と数理的な最適解を考察できる。そういう『頭が良い』っていうのが、扱うための絶対条件だ」
人奏は、どこまでも『技術』であればこそ。
それを生み出し、扱い、使役するに足るのは、想いの力などではなく単なる『頭の良さ』。
何をどうすれば何ができるのか。その因果関係を理路として扱えるものにこそ、人奏は扱える。
「そして、同時に……そんなとんでもない道具を信用して渡せるくらい、『良い人』じゃなきゃいけない」
人奏を破棄した最大の要因。人類同士による
ならばこそ、必要なのは何より善性。世界の争いをひとつでも止められたらと心底願うことができる、優しく尊い祈りのような。
それができなければ、誰よりラグナ・ニーズホッグその人が力を貸すことを否定する。
「……簡単に言うと、初めて触る超難しい計算機を使った上で、それからどんな方法を使えばいいか判断できるくらいめっちゃめちゃ頭が良くて、かつそれだけの道具で悪さをしない人がいないといけないってことですか?」
「ついでに言うと、その人が俺達のこのプランを信じてくれて、自分の願いを放り出してまでその発動に付き合ってくれることが必要だな。もちろん
NPCにそんなことを求められはしないだろうから、俺達と同じサーヴァントかマスターのどちらかである必要もある」
アッシュがそこまで言うのを聞き終わると、偶像・にちかは如何にもげんなりとしたような表情を浮かべてみせた。
無理に決まってるじゃないですかそんなの――と言いたげなその顔に、アッシュは無言で首肯した。だからこそ、人奏は限りなく不可能に近いプランだと提示しているのだ。
…一方で、何処か計算高く瞳を釣りあげている田中摩美々が、目の端に見えた。
それは或いは、彼女が信頼を寄せるかの策謀家に、その資質があるということだろうか。そんなことを思いつつ。
「ともあれ、これもまた手段の一つだが……結局、界奏が一瞬しか使えなくて、かつ明確に脱出の能力を持つ相手を見つけられていない中では…100%の成功プランを提示することは、まだできない」
それが、現状。
アッシュが嘘偽りなく提示できるのは、ここまでだ。
具体的な成功確率を算出することなど、概算であっても不可能なくらいに綱渡りのプランだということは、彼自身が誰よりも理解している。
「もちろん、界聖杯に何が効果的か知る為に、できるだけ多くの情報が欲しいっていうのもある。これ以外にもっと安定した方法があるなら、それに越したことはないし、人奏をするにしてもひたすらに人脈を広げる必要がある」
されど。
それでも、アシュレイ・ホライゾンが進むべき道は、やはり変わることなどなく。
「だからこそ、一人でも多くの人間と対話して、できるだけ分かり合えるように言葉を交わす。……こんな陳腐な結論だけど、俺ができるのはそれだけだ」
言外に。
マスターの七草にちかへとちらりと視線を向けて、一瞬だけれど思いを飛ばす。
プロデューサー。今はどこにいるとも知れない、七草にちかの人生に偶像の物語を齎すたった一人の男。
彼との対話の中で、アイドルとして最後のピースたる何かを掴む。あるいは、彼がプロデューサーであるために、七草にちかという欠落を押し込む。
その対話こそ、彼と歩み寄る最大の道であるのだから。
「対話を諦めない、っていうのが、俺の信じた結論だから。……それでもいいなら、このプランに乗ってくれ」
だから。
それを言われたマスターである偶像・七草にちかは、決意をするように顔を引き締めて。
メロウリンク・アリティは、ただ依頼されたそれを受けるだけであり。
田中摩美々も、己がサーヴァントの頭脳に望みをかけつつ、静かにそれを受け入れて。
「……いいですね」
そして。
アッシュの見せた誠意に、唯一、少し嬉しそうに反応したのは。
「いいと思います、そういうの。なんか」
ずっと付きまとわせていた、どこか枯れたような笑顔ではなく、瑞々しいような笑顔を湛えた。
そんな、凡人・七草にちかだった。
「――誰かと一緒に、やってるみたいで」
その表情が訴えているその感情は、彼のマスターである七草にちかも何度か見せたことのある、憧憬にも似た表情で。
――その行為そのものに、「そうであればいい」と願うような、表情で。
だから、それを見たアッシュはまず、彼女も七草にちかなのだという感情を覚えて。
そして、それと同時に――彼の脳裏に、拭いきれぬひとつの妄想がへばりついていた。
「……」
「ライダーさん?」
アッシュのそんな思索には気付かないまま、偶像・にちかは問いかける。
本人からすれば、それまで色々と詳しく内情を話していたライダーが急に黙ったものだから、心配になって声をかけただけだったが。
果たして、その一言で呼び戻されるように、アッシュは元の笑顔を取り戻す。
「……いや、脱出のプランについてはこんなもんなんだけどな。少し気になったんだ」
そう言いながら視線で指し示すアッシュに、二人のにちかは同時に声を上げた。
「あー……私たち、ですか?」
「まあ、そうだな」
そもそも、この二人の七草にちかは、それぞれどういう存在であるのか。
二人のにちかにとっても、それは確かに放っておけない。
七草にちかだからこそ、七草にちかを見つけることができた。家族のアイドルであった七草にちかを、その中心にあった「八雲なみ」への憧憬を見て、その上で「七草にちかをアイドルにする」存在になることができた。
本来あるべき世界において、緋田美琴がする筈だった、舞台上の彼女の手を取ることを。
同一人物だからこそ、七草にちかは達成した。
……そうではあるが。
そもそも、七草にちかはどうしてここに二人もいる?
「……ドッペルゲンガー。沼男。同一人物の存在を示唆するような逸話はいくつもあるけど、君たちにそれがどこまで通用するか、って言われるとそれも違う」
なにせ、辿った道筋が違う。
七草はづきの生死。アイドル・七草にちかとしての道筋。そのいずれも違うのであれば、完全な同一存在として見るのはどだい無理がある。
細かくすり合わせていけば、より大きく齟齬が見えてくるだろう。現時点でもそれを断言できる程度には、この二人は違う存在である。
では、界聖杯が。
可能性の器として、「並行世界の同一人物」であり、同時に全くの別人でもあるこの二人を選定した理由とは、何なのだろう。
「……結局のところ、界聖杯の言う『可能性』、ってものが明確になってない限りは、これも推測なんだけどな」
やはりこれも、界聖杯のみぞ知る、ということになってしまう。
参加者の選定基準といい、無作為なのだろうが、それでも因果関係を見出そうとしてしまう。
それとも、界聖杯を知り、その弱点と間欠を探ろうとしているから、そうした勘繰りをしてしまうのだろうか。
「んー、まあ。わたしとしては気分悪くないんですけどね、ほんとに」
そんな思いを、知ってか知らずか。
あるいは。
アッシュの深層に浮かんでいる、七草にちかという存在への疑問を、知ってか知らずか。
凡人・七草にちかは、ぼんやりと言葉を浮かべていた。
「なんというか、本当に。わたしが、またアイドルになれたんだろうなって」
その瞳に宿る憧憬に、アッシュはやはり目を細める。
その仕草が、頭を過った可能性をより高めていくようで。
(……まだ。これは、言えない)
全て、腹を割って話すこと。
全貌を明らかにして、手と手を取り合えるようにする可能性を少しでも上げること。
それが、アシュレイ・ホライゾンの命題であることに変わりはない。
だが同時に、ごくわずかな可能性――それこそ人奏を何一つ困難なく終わらせるような可能性と同じようなそれを。未だ妄想レベルに過ぎないそれを、すべて開示するべきか。
そこまでの判断をするかどうか、まだ彼は決めあぐねていた。
(まして……それが)
加えて。
それを下手に話せば、折角前を見つめる七草にちかの歩む道を、歪めてしまうかもしれないから。
(それが、マスターのアイデンティティを揺るがすものになりかねないのなら、尚更――)
そうして。
幸か不幸か、アシュレイ・ホライゾンが口を噤んだ、その瞬間に。
古いアパートの一室に、突如としてざらざらとした異音が混入した音声が流れ始めた。
『君達のプロデューサーは死んだものと思ってくれて構わない』
それは。
田中摩美々が持っている端末から聞こえてきた、アイドル達にとって聞き慣れた声音は。
彼等が今しがた、改めて対話をしなければならないと定めた男からの、メッセージだった。
☆☆☆☆
そもそも。
話は、根本的なところから「おかしい」のだ。
「なぜ、283プロダクションが、健全な運営を行っている姿でこの世界に存在しているのか」。
この命題が、存在してしまっている時点で。
アシュレイ・ホライゾンが、世界の違いを――より詳しく言えば、「
櫻木真乃と田中摩美々とプロデューサーが同一世界から来ており、七草にちかはともに異なる別世界からの来訪者だ」と認識した時から。
その疑問は、アッシュの頭の片隅に確かに居座っていた。
なぜ。
なぜ界聖杯は、「七草にちかの境遇」を優先した?
関係者を含めれば六人、白瀬咲耶も加えれば七人にもなる、ほぼ同一の世界から呼ばれたマスターの中で。
そのうちの過半数を占める参加者を招いた世界線における、無期限休業となっている283プロダクションではなく。
偶像・七草にちかがかつて所属し、そして脱退した、6ユニットに緋田美琴を加えた形で健全に運営されている283プロダクションを。そして、そのメンバーたちを。
優先して、この世界に再現させられたのか?
だって、そうだろう。
NPCとそれにまつわる舞台設定が、あくまで『その世界から招かれた参加者を円滑に行動させるため』のものであるならば。
田中摩美々が召喚したサーヴァントが『W』でなかったら、あるいは、彼女ら主従が脱落していたら。
それだけで、その前提は徹底的に瓦解するのだ。
「283プロダクション」に基づいた日常も、彼女たちの記憶に基づいて生み出されたアイドルたちも。
本来その日々を守る楔として存在していたプロデューサーという男が、その役目を放棄した世界から呼ばれている以上。
本来のプロデューサーたちの世界観でなら認識できた「七草はづきの不調」という認識すらもなく、強制的に離散の憂き目にあっていただろう。
それなら。
最初から、プロデューサーと櫻木真乃、そして田中摩美々が呼ばれた世界である、『休業している283プロ』を再現する方が、自然だ。
話を聞いた限りでは、
幽谷霧子以外の五人の参加者は、その日常を受け入れられる、『元あった283プロと関わりを持てない世界』で生きていたのだから。
そちらの方が、余程日常を担保する。アイドルたちを再現するにしても、移籍した姿や解散後の生活を元にすればいい話なのだから。
にも関わらず。
この世界における283プロは、健全に運営が行われていて。
更に、「偶像・七草にちかのライブシーンが界聖杯内で放映されている」――つまりは、偶像・七草にちかがかつて踊った映像を持っている。
『偶像・七草にちか』が通っていた283プロダクションとみて、ほぼ間違いない状況を持ち合わせている。
無論、無作為に選択された特定の参加者に合わせて舞台設定の整合性を整えた、という可能性が一様に否定される訳ではない。
事実、その舞台設定によって――結果的に、ではあるが――283プロダクションを中心にした同盟は順調に育まれることができた。
だが、本質的に因縁の中心にいながら、それでいてこの世界では壇上に出ない程馴染んで。そのくせ、舞台に一度登り詰めたその時に、輝きを勝ち取ったような、七草にちかの進み方は。
あまりにも、その因縁を取り巻く全てに対して、都合が良すぎるような気がして。
……NPC。
他の舞台設定として、『聖杯戦争が円滑に進むよう望まれた外殻』。
その存在との類似項が、どうにも引っかかる。
七草にちかが、界聖杯の世界に、あまりに馴染みすぎているというのなら。
プロデューサーがアイドル・七草にちかを望んだように。
離散した283プロダクションにいるアイドルたちが、七草にちかとプロデューサーの和を望んだように。
……凡人・七草にちかが、ほんの僅かにいつかの望みを願い続けていたように。
この『七草にちか』が、誰かの「こうであればいい」という願いによって、産み落とされた存在だとするなら?
(……マスター)
アシュレイ・ホライゾンは、考慮せずにはいられない。
(……君は、本当に――『七草にちか』なのだろうか)
偶像・七草にちかは――界聖杯が作り出した、まさしく『求められたる偶像』たる七草にちかである。
当人が聞けば鼻で笑うような、しかしそのアイデンティティを揺るがしかねない、突拍子もない妄想を。
捨てきれずに、いるのだった。
【
七草にちか(騎)@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:健康、精神的負担(中)、決意
[令呪]:残り三画
[装備]:
[道具]:
[所持金]:高校生程度
[思考・状況]基本方針:283プロに帰ってアイドルの夢の続きを追う。
0:アイドルに、なります。……だから、まずはあの人に会って、それを伝えて、止めます。
1:殺したり戦ったりは、したくないなぁ……
2:ライダーの案は良いと思う。
3:梨花ちゃん達、無事……って思っていいのかな。
[備考]聖杯戦争におけるロールは七草はづきの妹であり、彼女とは同居している設定となります。
【ライダー(アシュレイ・ホライゾン)@シルヴァリオトリニティ】
[状態]:全身に軽度の火傷(ほぼ回復)
[装備]:アダマンタイト製の刀@シルヴァリオトリニティ
[道具]:七草にちかのスマートフォン(プロデューサーの誘拐現場および自宅を撮影したデータを保存)
[所持金]:
[思考・状況]基本方針:にちかを元の居場所に戻す。
1:今度こそ、Pの元へ向かう。
2:界奏による界聖杯改変に必要な情報(場所及びそれを可能とする能力の情報)を得る。
3:情報収集のため他主従とは積極的に接触したい。が、危険と隣り合わせのため慎重に行動する。
4:武蔵達と合流したいが、こっちもこっちで忙しいのが悩み。なんとかこっちから連絡を取れればいいんだが。
[備考]宝具『天地宇宙の航海記、描かれるは灰と光の境界線(Calling Sphere Bringer)』は、にちかがマスターの場合令呪三画を使用することでようやく短時間の行使が可能と推測しています。
アルターエゴ(
蘆屋道満)の式神と接触、その存在を知りました。
割れた子供達(グラス・チルドレン)の概要について聞きました。
七草にちか(騎)に対して、彼女の原型はNPCなのではないかという仮説を立てました。真実については後続にお任せします。
【七草にちか(弓)@アイドルマスター シャイニーカラーズ】
[状態]:健康、いろいろな苛立ち(割とすっきり)、プロデューサーの殺意に対する恐怖と怒り(無意識)
[令呪]:残り三画(顔の下半分)
[装備]:不織布マスク
[道具]:予備のマスク
[所持金]:数万円(生活保護を受給)
[思考・状況]基本方針:生き残る。界聖杯はいらない。
1:アイドル・七草にちかを見届ける。
2:あの野郎(プロデューサー)はいっぺん殴る。
3:お姉ちゃん……よかったあ~~~。
[備考]※七草にちか(騎)のWING準決勝敗退時のオーディションの録画放送を見ました。
【アーチャー(メロウリンク・アリティ)@機甲猟兵メロウリンク】
[状態]:健康
[装備]:対ATライフル(パイルバンカーカスタム)、照準スコープなど周辺装備
[道具]:圧力鍋爆弾(数個)、火炎瓶(数個)、ワイヤー、スモーク花火、工具
[所持金]:なし
[思考・状況]基本方針:マスターの意志を尊重しつつ、生き残らせる。
1:にちかと摩美々の身辺を警護。
2:『自分の命も等しく駒にする』ってところは、あの軍の連中と違うな……
3:武装が心もとない。手榴弾や対AT地雷が欲しい。ハイペリオン、使えそうだな……
4:少しだけ、小隊長のことを思い出した。
[備考]※圧力鍋爆弾、火炎瓶などは現地のホームセンターなどで入手できる材料を使用したものですが、
アーチャーのスキル『機甲猟兵』により、サーヴァントにも普通の人間と同様に通用します。
また、アーチャーが持ち運ぶことができる分量に限り、霊体化で隠すことができます。
アシュレイ・ホライゾンの宝具(ハイペリオン)を利用した罠や武装を勘案しています。
【田中摩美々@アイドルマスター シャイニーカラーズ】
[状態]:健康、赤い怒りと青い憂欝、動揺と焦燥感
[装備]:なし
[道具]:白瀬咲耶の遺言(コピー)
[所持金]:現代の東京を散策しても不自由しない程度(拠出金:田中家の財力)
[思考・状況]基本方針:叶わないのなら、せめて、共犯者に。
0:ただ、プロデューサーに、生きていてほしい。
1:プロデューサーと改めて話がしたい。
2:アサシンさんの方針を支持する。
3:咲耶を殺した奴を絶対に許さない。
[備考]プロデューサー@アイドルマスターシャイニーカラーズ と同じ世界から参戦しています
時系列順
投下順
最終更新:2023年03月19日 20:44