ゼロからはじめる催眠英語


×「催眠で英語耳」×「右脳を刺激して英語脳」

とかいうトンデモではなく、地道に英語で書いてある催眠の本を読めるようになろう、というコーナーです。(右脳バカについては、ここをご覧下さい)


 英語の力をつける(あるいは、鍛え直す)近道は、できるだけ最初からやり直すことです。
 同じ道を繰り返すのですから、以前のような時間はかかりません。そして現在地点を通過する頃には、学習速度は何倍にも上がっています。急がば回れ。「やり直し」の時間などすぐに取り返せるでしょう。

+ 1.アルファベットと発音からやり直す

1.アルファベットと発音からやり直す

 アルファベットを知らないと英語が読めないし、辞書も引けません。
 同様に発音ができないままの英語学習はすごぶる効率が悪いものになります。
 英語をインプットするのに、見る(黙読する)しかないからです。
 そして、ぶっちゃけていえば、アウトプットしたものだけが人の頭に残ります。これはアウトプットした情報は「アウトプットに足る利用度の高い情報」として優先順位が上げるからです。
 つまりただインプットを繰り返すより、アウトプットを繰り返した方が効果的です。
 しかし、発音できないままだと、英語のアウトプットには書くしかありませんが、これは非常に時間がかかります。特に英語に不慣れで、英語を扱うチャンク(情報処理の単位)が小さいままだと、ものすごく時間がかかります。
 ある英文を訳せても、音読できない人は、驚くほど多いです。
 逆に初見の英文をすらすら音読できることは、英語学習の効率から言って、大きなアドバンテージです。それには発音の基礎工事がしっかりとできている必要があります。
 また発音に自信を持つことができると、自然にアウトプットする機会が増えて行きます。英語や英語を話す人から逃げなくても済むからです。
 アルファベットと発音の関係で言えば、綴り字と発音の間にある関係(これをPhonicsフォニックスといいます)を押さえておくことも重要です。例外は(とくに初期に習う頻出単語に)多いのですが、英単語をスペルで覚えるだけでなく発音とも結びつけて覚えること、初見の単語に対応できる自信が持てることに役立ちます。

 そんな観点から3つほど教材を挙げてみます。

大人の英語発音講座 (生活人新書、2003) by 英語音声学研究会




『大人の英語発音講座』は、寝ながら学べる英語音声学。「授業書」の色合いが抜けてない音声学の教科書よりも、こちらの方が独習者向きです。発音に関するほとんどの疑問が氷解するでしょう。
 実際の発音、口の形、動かし方については、次のものが大変参考になりまます。


その名の通り、もともと英語とスペイン語の発音のサイトですが、「American English」をクリックすると英語のコーナーへ行けます。
 発音記号を選べば、
  1. その発音をする人を正面から見た口の形
  2. 実際の発音と、その口の動かし方がわかる動画
  3. 口の中の動きがわかるアニメーション(気をつける箇所ごとに止めてみることもできる)
を見ることができます。必見。

 CDなど繰り返し聞きたいと思った場合は、必要ならつぎのものを併用してください。

ルミナス英和辞典—つづり字と発音解説(2005/10) by 竹林 滋、斎藤 弘子




 元々が辞書の付録だったものを、単体で売ることにしたもので、信頼性は折り紙付き。CD付き、フォニックスも含めて、¥ 525という安さです。

 次のものは、アメリカ英語の発音を独学するなら最終兵器となるものです。

American Accent Training(2000/09) by Ann Cook




 CD5枚のトレーニング。ひとつひとつの単語を正確に発音するよりも、ポイントは抑揚とスピードだということが体に叩き込まれます。発音できるようになれば、それだけリスニングの力も上がります(発声できない音は、聞き取れません)。今までニュースは聞き取れた中級者が、映画まで聞き取れるようになります。


+ 2.中学英語からやり直す(文法篇)

2.中学英語からやり直す(文法篇)

 多くの人が、わからない単語が皆無になるまで辞書を引きまくって、並んだ日本語の単語を意味が通るようにつなぎ合わせることで、英語を日本語に訳した、と考えています。
 英語の予習とは、だからわからない単語を調べておくことです。
 一方で、反射神経を問うような文法問題は練習しても、目にした英文の構造を分解したり、英文に込められたニュアンスを浮かび上がらせるのに英文法を使う人は多くありません。

 そのため、たとえばマーク・ピーターセンがある自然科学雑誌に連載した『日本人の英語http://amazon.jp/dp/4004300185?tag=readingmonkey-22?』が(その内容は、最も売れている高校生向き文法書『 総合英語Forest 』のレベル以下なのに)驚きと賞賛を持って迎えられるという訳です。

 英文法を中学レベルからやり直すために、お薦めの教材は

『スタートでつまずかない中学英語 (くもんのベイシックドリル)』



上の本が簡単過ぎるなら、

『くもんの中学英文法—中学1~3年 基礎から受験まで』


からはじめるのも可です。


+ 3.中学英語からやり直す(暗唱篇)

3.中学英語からやり直す(暗唱篇)

 中学リーダーの単語/表現を自由に引き出すことができれば、日常会話に事欠きません。
 知的な議論をするには、やや語彙が不足するかもしれませんが、それは相手に説明させるソクラテス法で対応できます。
「自由に引き出すこと(ランダム・アクセスができること)」と言いましたが、逆に言えば中学英語のリーダーはすべて暗唱できる(シーケンシャルに呼び出せる)ことは、英語の基礎としてミニマムです。
 一定量の英文を暗唱できる能力/暗唱したという体験知が、インプットにせよアウトプットにせよ、あらゆる英語運用能力の基礎になります。
 これを鍛えるには、実際の中学英語の教科書(あるいは教科書ガイド)がありますが、どういうわけか音声教材が割高なので、元ネタを中学英語教科書から得ている

英会話・ぜったい・音読シリーズ

がCD付属で、割安かもしれません。


+ 4.素振りとしての音読

4.素振りとしての音読

 中学英語のリーダーを暗唱できるように、と先に書きましたが、その主たる実現手段は「音読」です。
 イギリスの哲学者ベーコンが「書くことは正確な人間を作る」と述べた通り「書き写し」の効果は絶大ですが、効率は大きく落ちます。
 音読10回につき、書き写しはせいぜい2〜3回が限界でしょう。1冊のテキストを1章ずつ10回読み、3回書き写す。
 これを3回繰り返せば、大抵の場合、テキスト全体を暗唱できるようになります。
 さらに2回繰り返せば、中の英語表現を自由に引き出せるようになるでしょう。
 テキスト反復の回数は目安ですから無論、個人差はありますが、ただこれだけのことで英語の基礎的な力、英語の吸収力、処理能力、発信力は格段に高まります。

 発音から音読へつなげて行くことの効果は、次の通りです。

  1. 発音を鍛えると音読の自信がつく。音読の自信がつくと、音読の質量ともに上がる。
  2. 音読の質が上がると、訳しながら読む癖がとれ、英語を語順通りに理解する基盤が固められる。語順通りに理解できると、読む速度が上がる。
  3. 音読は英語の発音を鍛えるだけでなく、英語処理のチャンクを広げて、ワーキング・メモリを有効に利用できるようになる。
  4. 英語のチャンクが広がると、時間あたりの英語の処理能力が上がる。同じ時間英語を学んでも、英文を読む量、問題を解く量などが増えるので、学習速度自体が増す。
  5. 音読された英語は定着しやすく、たくさんの英文を音読する事で、利用可能な英語のリソースが増える。会話、ライティングの基礎が固められる。文章の中で英単語や熟語、成句表現を覚える近年の教材(『 速読英単語 』『 速読速聴・英単語 』等)に音読にも適します。
  6. 自由に引き出せない会話集よりも、繰り返しの音読した中学英語リーダーレベルの単語・表現の方が、日常会話や実用英語に役に立つ。
からです。

 音読は、つまるところ「筋トレ」「素振り」なので(はじめたばかりの時は、同じ英文を10回ほど読むとあごがだるく感じます)、筋肉痛とともに成果がやってきます。
 シュリーマンはこの方法で、古代ギリシア語を含む9カ国語だったかをマスターしました。あまりに強く音読するので、何度も下宿を追い出されたそうですが(『 古代への情熱 』)。



+ 5.中学英語からやり直す(読解篇)

5.中学英語からやり直す(読解篇)

受験英語は毎年どんどん簡単になってきているので、かつての標準英文解釈問題集が、いまでは「受験ではそこまでやる必要なし」な難解本になっています。そんな訳で、受験生用の参考書、問題集はやさしいものが増えてます。受験向けは出版数が期待できるので、本の値段も安い。言うことなしです。

とりあえず英語は苦手だった、今も苦手意識が抜けない場合は、先のアルファベットや音読トレーニングからはじめましょう。
戻りの大きい方が、進む速さは速くなります。

そこまで苦手でない、けれど英語から離れて久しいなら、とりあえず

『くもんの中学英文読解—中学1~3年 (スーパーステップ)』


をなるべくはやく3回読んでみましょう(もちろん音読で)。もちろんもっと読んでもかまいません。

『中学英語 (学研パーフェクトコース 1) 』 学習研究社


 この本は中学総合英語の決定版です。アルファベットの書き順から仮定法まで一冊で学べます。しかもCDが2枚付いていて重要な表現を全て網羅しています。
 冒頭のインデックスが問題形式になっていて、そこから知りたい知識にダイレクトにアクセスできるので、間違えたり、不安な箇所だけ短時間に確認する復習にも便利。
 これにて中学英語の段階は卒業です。


+ 6.読解トレーニング本:初級〜中級

6.読解トレーニング本:初級〜中級

中学レベル1〜5が終わった(終わっている)人ならば、

『安河内の英語をはじめからていねいに』 (上) (下)

をスタート本にしましょう。基礎的なことが、とりあえずカバーできます。
問題と解答をいっしょに見て、先へ先へと進みましょう。
 説明は「はじめから丁寧に」ですが、予備校ものなので、英単語は受験レベルです。
そんな訳で、問題を解きたい、という人も3周目くらいから始めるのがよいです。
 1〜2週目はまずは読む(黙読する)こと、それも日本語訳→英文の順でよむことです。
 具体的には、和訳読み→英文(わからないところにマーカー)→もいちど和訳チェック→おわったら音読10回といった感じでやります。

これは以後の英語本のすべてに共通する使い方です。



これが上の本が済んだら、

『大学入試 英語長文ハイパートレーニングレベル1 超基礎編』

に挑戦です。我々が読みたいのは受験英語の細切れでなく、ひとまとまりの論文なり本ですから、早いうちから「長文」に親しむに越した事はありません(もっとも受験では、1ページ程度の英文も「長文」と呼ばれるので、普通の意味では決して長いものではないです)。上の本は「超基礎編」と怪しげな日本語の副題のとおり、これ以上にないほど簡単な長文問題集です。解説も1文1文丁寧で、加えて音読や、意味のまとまりをつかまえて読むスラッシュ・リーディング(英語を普通の速度で読むには不可欠)まで扱ってます。5回くらい繰り返し読みましょう。もちろん和訳読み→英文(わからないところにマーカー)→もいちど和訳チェック→音読10回です。
同じシリーズで 『大学入試 英語長文ハイパートレーニングレベル2 センターレベル編』 などもあり、この本も3〜5回くらい繰り返して自信がついたら、次のレベルに進む事ができます。


もっとちゃんと英文解釈の基礎トレーニングを積んでおきたいという人には、

『大矢英語読み方講義の実況中継』(語学春秋社)

いわゆる予備校講義ものの一冊。英文解釈の基礎(や英文解釈以前の「常識」を話し言葉で丁寧に解説してあり、読みやすいでしょう。
英文解釈の参考書の中ではもっともやさしいレベル。気楽に入門できます。
英語に苦手意識がある人には心強いです。

薬袋善郎『基本からわかる英語リーディング教本』研究社

品詞分解の方法を基礎から徹底的に理詰めできっちり解説してあります。
他の英文解釈の本をやる場合にも、先にこの本を済ませておくとの本で品詞の知識という英語を理解するための地力がつき、やる気と学習速度が高まります。

西きょうじ『英文読解入門 基本はここだ!』(代々木ライブラリー)

短文を題材に、文法事項ごとに英文の読み方を詳しく解説してありますが、中学レベル+αの文法の知識が前提です。
 薄い本ですが、読解に必要な事項は網羅されています。文法知識を覚えるというより、英文を読むための思考プロセスを身につけるための本なので、やや後ろに入れました。


+ 7.読解トレーニング本:中級〜上級
とりあえず、いまでは受験用としては難しすぎる、と敬遠されがちな、

伊藤和夫『英文解釈教室』

を5回ほど繰り返してやります。自分の前に置かれた英文を理解するために、英語のルールに即して、英文を分析、分解することができるようになるのが目標です。

このあと、かつての受験英文解釈のトレーニング本ですが、現在では受験英語を超えている、次の3冊をやりましょう。

中原道喜『誤訳の構造』

中原『誤訳の構造』は、英文を正確に読むとはどういうことか、そのために自分に書けている知識はなにか、何が英文を理解することを妨げるのか、について学び知ることができます。

古谷専三『英文の分析的考え方18講—英文解釈・古谷メソッド・完結篇』

『古谷メソッド・完結篇』は、おそらく最も解説の多く詳しい英文解釈書です。ここにいう「古谷メソッド」とは、書かれた短文を精密に分析することを通じて、書かれていない背景/前提までをどう浮かび上がらせ、それを解釈に繁栄させるかを学びます(英文の通り訳しているはずが訳が分からない場合は、そうした背景/前提を見て取れていないことが多いです)。この分析はまた、暗黙の前提をよく用いる現代催眠のスクリプトや表現を理解する上で大きな武器となるものです。

多田 幸蔵『英文解釈どう仕上げる—How to read English correctly (Blue sky series (3))』

 多田『どう仕上げる』は、受験生ではなく社会人に向けて、英語を読む力の、一応の完成をめざすものです。19世紀の名文が主だった出題範囲だった1960年代くらいまでの受験英文解釈の参考書のエートスを伝えるもので、「英語を読む」という点については、このあたりで一旦は「卒業」ということになります。次は

安西 徹雄『英文読解術 (ちくま学芸文庫)』

安西 徹雄『英文翻訳術 (ちくま学芸文庫) 』

の二冊で、ここから《翻訳》の段階に入っていきます。小さい本ですが参考になるところが多いと思います。

最終更新:2009年10月20日 14:02