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Dave Elman: Findings in Hypnosis―偉大なレイ・ヒプノティストを読む


Dave Elman (1900-1967)は、まごうことなきレイ・ヒプノティスト(lay hypnotist;「素人催眠家」の意。学会に属していない催眠家をこう呼ぶ。)である。

メディカル・スクールを出た訳でも、心理療法の訓練を受けた訳でもなく、不治の病から来る痛みに苦しんでいた父親を痛みを和らげたステージ・ヒプノティストとの出会いが彼を催眠に向かわせ、このステージ・ヒプノティストの下で催眠を覚えた後には自分で研究を重ねて行った。

後に彼の名を冠する催眠導入法(Dave Elman Induction;様々なバリエーションがあるが思い浮かべた数字を消していくことで、深い催眠状態を作り出すのが特徴)を開発し、またアメリカ各地で多くの医師や歯科医師に催眠を教えたことでも有名である。ミルトン・エリクソンの次に影響の大きかった催眠家との評まであるくらいだ。

現在、催眠関係の学会では、メンバー以外への催眠の教授(学会→非学会)を禁じているが、不思議なことに、メンバー以外からの教授(非学会→学会)は禁じていないのは、実質的に学会主催の研修会だけでは、催眠の習得機会が足りなかったからだと思われる。事実、多くのメンバーが、学会のメンバー以外(=レイ・ヒプノティスト)から催眠の技能を習得していたのだろう。催眠の習得は、学術研究のトレーニングとは、必要な素養も異なれば、訓練のあり方も異なる。すぐれた研究者が、催眠家としては恐ろしく未熟な場合も少なくなかった(たとえばエリクソンが催眠研究を始めるきっかけを与えた心理学者のハル。そしてパリ学派のシャルコーの下で研究を積み、フロイトよりもはやく無意識説を唱え、催眠については後にヒルガードに継承される解離説を唱えたピエール・ジャネは、催眠誘導法としては、メスメル以来のパス法しか最後まで知らなかった)。

ところで、学位もなければ研究者でもない、在野の催眠家だったデイブ・エルマンの残したものは、いくつかの録音の他は、晩年、かつての教え子だった医師たちに求められて書き残した一冊の著作"Findings in Hypnosis"(現在は" hypnotherapy "と解題されて出版されている)のみである。

この"Findings in Hypnosis"("hypnotherapy")であるが、学者/研究者が書いた専門書/研究書でないせいか、使われてる単語は簡単、文章もシンプル、いい意味で口語的である。しかもエルマンの自伝的叙述から催眠の学び方、エルマンが開発した技法の数々と、盛りだくさんな内容がつまっている。

というわけで、この本をかいつまみながら読んでいこうと思う。
最終更新:2011年09月12日 21:07