学校は、以下の特質をもっている。
1 同年齢集団で学級が形成されている。
2 時間割が決まっている。
3 特定の教師がいる。多くの場合、教師には国家が定めた資格が必要である。
日本の場合には、これに「学習指導要領」という学校で教えるべき内容に対する国家基準がある。国家基準は、欧米には比較的少ない。制服、規則、学校文化など、特有の性質は他の国にもある。
こうした「定型」が、自由な教育を阻害しているという認識から、「定型」にとらわれない教育をめざした学校が、世界にはたくさんある。そうした学校が、歴史的に大々的に現れたのは、第一次大戦後であり、「新教育」と呼ばれた。日本でも、「大正自由主義」学校として、いくつかの学校が作られている。
シュタイナー学校
シュタイナー学校は、19世紀末から20世紀初期に活躍したドイツのルドルフ・シュタイナーが設立した学校で、シュタイナーの「人智学」を軸とした明確な教育理念に基づいた学校で、世界的に数百(欧米中心)の学校がある。日本でも、高橋巌氏や子安美智子氏の精力的な紹介と、シュタイナーハウスが作れて支持者がたくさんおり、有名になっている。しかし、シュタイナー学校は、現在の日本の法制の下では、設置することが難しいが、構造改革特区の適用を受けて、神奈川に最初のシュタイナー学校が設立された。ただし本来の12年制の学校ではない。(子安氏の紹介の本は、朝日文庫にたくさんある。)
シュタイナー教育の特徴は多々あるが、ここでは、「基本授業」を紹介しておく。
シュタイナー学校は、
小学校と中学・高校を合わせた学校であるが、小学校は、8年間一人の教師が担任を勤め、日本の4教科にあたる科目はすべて行う。「基本授業」として、毎日午前中の2時間が割り当てられるが、約1月、まったく同じ教科が教えられる。例えば、算数の授業になると、1月算数ばかり毎日教えられ、その間、社会も理科も国語もない。そして、科目が変わると、算数は相当期間全く教えられない。
つまり、通常の毎日数種類の教科が教えられ、1週間単位で進行する時間割りが、ここには存在しないのである。
教える時には徹底して集中して教え、その後忘れてしまって、後に残った知識が本物の知識になる、という考えに基づいている。
サマーヒル校
イギリスのサマーヒルは、ニールという障害児教育でも有名な思想家が設立した学校で、ほとんどが寮生活をしている学校である。最近は、日本の学校になじめない日本人がたくさん在学している。
サマーヒルは、生活全体が共同で営まれているが、その運営は、すべての生徒と教師、職員が平等な権利をもって行われている。授業での教師の役割は明確であるが、生活面や規則制定・運営面では、教師と生徒との役割分化を否定している。
また、授業は通常の時間割によって行われるが、出席義務がない。実際に、各授業の出席率は半分程度らしく、外国から、不登校などで辞めた生徒が在学するときには、数年間まったく授業に出ないまま過ごすこともあるようだ。
フレネ学校
フレネは大戦間のフランスの教師で、印刷術を教育手段として大々的に取り入れた実践を行い、彼の始めた教育は、ヨーロッパにかなりのネットワークをもった教育を展開している。
フレネ教育の特徴は、定型的な
教科書が存在しないことである。印刷術を利用しているので、教材は自分たちで作る。今ではネットワークを利用しているので、優れた教材の蓄積を行い、相互利用をしているようであるが、教科書を所与のものとしてではなく、自分たちで作り上げるものと位置づけているわけである。
フレネ教育は、学校全体のカリキュラムを再編成する必要は必ずしもないので、日本でも部分的に取り入れて実践している教師がいる。日本の
生活綴り方教育に近いものがあるので、なじみ易い面があるといえる。
サドベリ・バレイ校
何度か紹介したので、名前の確認だけしておく。
ホームスクール
ホームスクールは、文字通り、家庭での教育を主体とするもので、
義務教育段階でも、学校に行かず、家庭やメディア、各地の施設の部分的利用などで、教育を行うものである。もともと、欧米では、義務教育は、学校教育を受ける義務ではなく、家庭での教育の権利を認めている国がいくつか存在するが、特に、アメリカで積極的なネットワークを作りながらのホームスクールが、70年代以降盛んになってきた。そして、法的にも整備され、ホームスクールを援助する様々な団体ができている。特に、インターネットが普及している現在では、教材をインターネット上で入手できるようになっている。その一例を紹介する。
- ホームスクーリングは、多様な意味をもつが、家族が一緒に学ぶ。一定のカリキュラムによって学ぶのではない。
- 利点は、家族の構築
- スポーツやディベートなど、学校の活動に参加することができる。図書などは、利用できないこともる。オレゴンでは、ホームスクーリングは合法である。
- 親や祖父母、仕事の形態はさまざまである。かならずしも、父は働き、母が家にいて、子どもを教えるというのではない。
- 費用は、公共図書館などを利用することで、かなり安くもできる。
- 内容は、子どもと話し合って、何が必要かを決める。
- 子どもは学ぶことについての、驚くべき能力をもっている。
- 現実社会の中で学んでいるので、大人社会とうまくやっていくことができる。*23)
インターネットスクール
ホームスクールの一形態であるが、インターネットを利用して教育を受ける学校がある。アメリカではクロンララ校であり、そこと提携している「風」という学校である。今は通信教育部と一緒になって、形態が少し変わっているようだ。*24)
教材はインターネットを通じて配布され、質問は電子メールやインターネット・フォンで行う。
最終更新:2008年08月05日 23:31