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【戦神のプレゼント】

12月24日、夜。
世ではクリスマスイヴで賑やかなる時に“それ”は運び込まれた。
赤服ではなく爆発放射線防護服を纏った複数人が、大きく膨らんだプレゼント袋ではなく鋼板、炭素材、硬化剤充填と何層にも包まれた2m四方の小コンテナを台車に載せて慎重に運ぶ。
ロシア某所にある研究所にやってきたのはサンタクロースではなく大勢の研究者だった。
そして小一時間後、研究所で爆発が起こる。

「…で、結果は失敗と」
「あの“一滴”を受け取るのはそれなりに苦労したのだがな…」
執務室の机上に肩肘をつき、二日酔いで響くこめかみを拳で抑え苦々しい表情で報告書を確認する女性。ロシア大統領プーチナ。
「数年をかけて戦神に地球文化を伝え、クリスマスプレゼントだのサンタクロースだの言いくるめてやっと飲み比べ勝負の結果に戦神の“血”の一滴を授かったわけだが…」
「他国での結果を知っている以上、上手く行くとは思ってはいなかったが」
部屋ではいそいそとモニターが運び込まれ、研究員が一礼すると件の映像が再生される。

「封棺から出された時点で放射線等はほぼ発されておらず、これまでの研究による地球での神力低下が実証されました」
映像の中、小皿に小瓶より零れた紅の一滴にはなんら不思議な点は見受けられない。
だが、その後に行われる実験の数々から、その一滴が神のものであるという事実を知らしめることになる。
「火炎による加熱の結果、変化なし。圧縮冷媒による冷却の結果、変化なし。電磁波放射、変化なし」
「そして、次が問題の…」
電子顕微鏡が映し出す血液は、構造や見た目などは人間のものと大差ないように思える。
「血球より成分を摘出しようとしたところ…」
拡大された血液の中に摘出針が侵入し、血球の一つに突き立ったとほぼ同時に映像がブラックアウトした。
「以上です」
「成程。周囲の環境が変わることは意に介さぬが、自身に攻撃が及ぶと“反撃”したわけか」
「は、反撃?血の一滴ですよ?」
「戦神の前に立ち、戦神を見て、戦神と話せば理解できる。爆心地の整理の際は注視せよと入念に指示する様に」
「注視、ですか?」
「血が残っているのを発見できるかも知れん」

神よりの贈り物。
果たしてそれは人の手に収まるものなのだろうか?それは一体何をもたらすと言うのだろうか?

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最終更新:2022年01月01日 18:09