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ゆき兄ハーレム王国外伝最終章【きっとまた会えるから】



空に浮かぶ戦いの場は今にも消えそうにおぼろげになっていた
舞台の上には、膝をつくゆき兄とバルゼキア
剣がバルゼキアのフレアデッド・ツェッペリオンを退けた時
バルゼキアは最後の攻撃を放った
それはバルゼキアの最大攻撃魔法
2つの力は正面から激突し、互いに相殺した
その際、生じた衝撃は互いに深いダメージを与えていた

「かはっ…」
「ぐ…ぅ…」
最早、復元能力は機能していなかった
お互いが瀕死の状態だった
そんな中、バルゼキアが小さく呟いた
「何故だ…」
「あ…?」
「人は…なぜ…勝ち目の戦いに希望を見出せる…そしてそれを現実とするのだ…」
「…それが、心の強さだ」
「…心か」
「一人の力は弱いかもしれない、だけど人はそれを束ね合わせる事が出来る
 それが人間が持つ、本当の強さだ」

俺は立ち上がった、この戦いに終止符を打つために
剣を引きずって痛む体をごまかしながら
ゆっくりと、一歩一歩バルゼキアへと近づく
目の前まで辿り着いた時
バルゼキアは静かに目を瞑っていた
「…殺すがいい…」
「何?」
「だが忘れるな、失った物は戻る事は無い」
「…」
「それに私は死ぬわけでもない…地獄へと還るだけだ…
 いずれまた、此処へと舞い戻ろう…それが」

言い終わりを待たずに
振り下ろされた剣は、バルゼキアの首を切断していた
ゴロリと転がった首は、燃え出し、灰と化す
そして胴体も勢いよく燃え出した
俺は、その炎をずっと見つめていた
全てが灰になった後、俺は灰の山を掻き分けた
しばらくすると手が何かに当たる感触
俺はそれを引っ張り出す
「…ノア」
全身の所々が焼け焦げて、無惨な姿と化したノア
ノアを抱きかかえると、俺は地上へと降りた
舞台は、星空へと薄く消えていった


地上に降りると、バルゼキアの最後の言葉が俺の中に重くのしかかった
「忘れるな、失った物が戻る事はない」
わかってる、そんなことはわかってる
わかってるけど…
誰も、息をしていなかった
ケルベロスの死体、ドラゴンゾンビの残骸、無数のガーゴイルの屍
皆、戦って、戦って、最後まで俺を信じてここで戦っていた
「ははは…世界は救っても…仲間は守れないのか…」
地面に、ポタリと何かが落ちた
涙、俺の涙か…
「酷すぎるだろ…何だよ…こんな結末…嫌だよ…」
悲しみが止まらない、止めれない
救えなかった…1番近くにいた奴らを…誰も救えなかった…
くそう…ちくしょお…!

「私は不死身のクックル!箱舟に1人忘れ去られて沈没しても見事復活!!」
後ろから、俺の気分に反して凄く明るい声が聞こえた
…この声は、いや、このタイミングでここまでKYな発言をするのは奴しかいないだろう
ゆーっくりと後ろを振り向く、やっぱりお前か
「…たまゆら、生きてたのか」
「あら、ゆき兄
 や、なんかねー皆で箱舟大探検してたらはぐれちゃって置いてけぼりになって終いにゃ閉じ込められるわで
 そったら水が入ってきちゃって一巻の終わりかと思ったら覚醒しちゃって見事脱出できちゃったの」
なぜだ、生きてて嬉しいはずなのに素直に喜びが沸いてこないのは
あとなんでこいつから変な神々しさを感じるのだろう、KYが神の領域まで行ったか?
「いや、まさか覚醒してフェニックス化するとは思わなかったよー
 ほーれほーれ、バードラモン、バードラモン」
覚醒してフェニックス化ねぇ…確かに何か燃えてるけど、あれ単に本当に燃えてるだけなんじゃないだろうか…
ん?フェニックス?火の鳥?不死鳥?
「でかした!!たまゆら!!!!」
「んでしょー」
「よし、じゃちょっと我慢しろよ」
俺は剣を手にとってたまゆらに近づく
「え?何それ?ドッキリかな?」
「大丈夫、ちょっと生き血を出すだけだから」
「え、輸血?」
「似たようなもんだ」
なぜかジリジリと後ずさりでしていくたまゆら
しばらく行くと大木にぶつかって逃げ場を失った
俺は、剣を思いっきり振り上げた
「1撃で叩き割ってあげるよぉおおおおおおおお!!!!」
「ホヒャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」




俺は、海を見ていた
ビーチの修復も程よく進んでいる
「や、ゆき兄」
「よ」
シュウが話しかけてきた
「今日帰るんだってね」
「ああ」
「寂しくなるなぁ」
「まぁな、でも代わりはできたろ?」
「代わりねぇ」
2人で後ろを向く
ノアがケラケラ笑いながら地面を叩いてる
「…見れば見るほど凄い変わり様だな」
「明らかに誰かさんのせいだと思うけど」
「うーん、ちょっと俺と同化しすぎちまったのかな…」
「…あ、そういえばあの人大丈夫?たまゆらさん、何か干物みたいになってたけど」
「ああ、ぜんぜん大丈夫。まだ干物みたいになってるけど」
「そう…まだ干物なんだ…」
「ああ…まだ干物のままなんだ…」
「…」
「…」
沈黙
あの時、たまゆらが予期せずフェニックスと化したのは幸いだった
フェニックスの生き血は死者を復活させる
そこで俺はたまゆらから限界以上に生き血を搾り出した
「もうやめて…カピカピになっちゃう…」
「まだだぁ!まだまだ搾り取らせてもらう!!」
グシャッ
「アッー!!!!!!!!!!!!!!」
そうして、何とかほぼ全員を生き返らす事に成功した
戒名組だけじゃなくて、島民も
で、たまゆら本人は干からびたミイラのようになってしまって現在スイカに治療されている
フェニックスになって不死身になったのはいいが、いきなり血を絞りつくて不運だな

「ね、ゆき兄」
「ん?」
「また、会えるよね」
「ったりまえだろ?俺はまだサーフィン飽きてないぜ?」
「俺さ、ゆき兄に」
遠くから俺を呼ぶ声がする
「船の用意できたぞー!帰るぞゆき兄!向こうできのこさんが待ってるぞー!」
うはwwwwおkwwwwwwwww
すぐさま飛び上がって俺は走り出す
「じゃあなシュウ!また会いに来る!絶対な!」

「遅いよー」
桃花が不満げに文句を垂れる
「そういうな、1ヶ月近くもいると色々感慨深いんだ」
「あーはいはい」
「おい、スイカー…これちゃんと本土まで持つのか?」
「ああ、ちゃんと計算してる。ヤバクなったら途中で何人か降ろせば問題無い」
「ふざけんな!wwwwww」
「こりゃ、船降りバトルロワイヤル開始かなwwwww」
「おし!出発ー!!!」

赤月島がゆっくりと遠くなっていく
潮風を受けながら、なんとなく見ていると走ってくる影がいた
「ゆき兄!!!!俺!ゆき兄に会えてよかったよ!!
 絶対また会えるよな!!諦めなければ絶対叶うんだよな!!
 俺諦めないから!!必ずまた会おうよ!!!」
「ああ!!絶対また会ってやる!!
 嫌って言っても会ってやるよ!!またな!!」
「またね!!向こうでも頑張れよ!!!!!」
「お前も、頑張れ!!ノアのことは任せたぞ!!!」
「絶対…だから!もう…だよ…で…」

その言葉を最後に
もうシュウの言葉は聞こえなくなった
必ず、また会うさ
絶対な

空は、突き抜けるような青だった
じゃあな、また来るさ、赤月島。
今度は高橋も連れてこよう、それがいいや


ゆき兄の船は、もう見えなくなった
それでも僕はそこから動かなかった
「行っちゃたんだ…」
「ノアか…お前、本当に話さなくてよかったのか?」
ノアは少し俯いて言った
「話すと…辛いから」
「なぁノア」
「何?」
「ゆき兄さ、絶対また来るって」
「来るかな?」
「来るさ、この約束だけは、ゆき兄は絶対破らないよ」
「何でわかるんだ?」
ノアが少し笑った
「お前もなんとなくわかるだろ?」
僕も少し、笑えた
「そうだな、また会えるさ」
後ろで僕らを呼ぶ声が聞こえた
「諦めなければ、どうにかなるよな!」
「だな!!」
俺と、ノアの手が
パーンと気持ちいい音をあげて
俺たちは駆け出した、忘れない、忘れないよゆき兄
そう、きっとまた会えるから!!!





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最終更新:2009年10月31日 19:04