ざわざわとHR前の教室は騒がしかった
教室のドアが開く
「皆席つけよー
転校生を紹介するからなー」
教師に続いて入ってきた転校生
「自己紹介を」
「初めまして、たまゆらっていいます
卒業までの1年とちょっと、仲良くしていけたらいいなって思ってます
よろしくお願いします」
私立邪眼学園高等学校。
全寮制であり学園内に様々な施設が設けられているのが特徴。
今日、僕はその邪眼学園に転入してきた。
そのときは何も考えていなかった。
普通に学校生活を送って、普通に卒業していくものだと思っていた。
これから待ち受ける…運命に気づかずに。
プロローグ -転校生-
9/12 昼休み
「前はどこに住んでたの?」
「転校の理由は?」
「誕生日いつ?」
漫画みたいな転校初日の人気者っぷりで内心ほくそ笑む
しかしはっきり言って面白い返答はできない
ただ転校してきて、ここが転校先だっただけだ
それ以上も以下も無い
「おい、なんだよこの人だかりは
通れねぇぞ」
やる気のなさそうな声が響いた
「あ…ゆき兄だ…」
「昼から堂々と…」
俺は近くの女子にやる気のなさそうな奴について聞いてみた
「あれゆき兄っていうの
遅刻、早退、欠席、サボりの常習犯
行事とかでも1人だけ出てなかったり協力しなかったり…早い話が協調性が無い奴よ
ついでにかなりの自己中
不思議と男子からの人気はいいんだけどね」
「おいおい、誰が協調性が無いだよ、勘違いすんなよ
俺に合わせて欲しけりゃまずお前らが俺に合わせろよ
そうだな、次の授業は全員屋上で昼寝でもしてみるか?そうすりゃお前らも俺のことが理解できるぜ?」
「…ね、こういう奴なの」
「ちっ、つまらん
んで何だよこの人だかりは」
「転校生だよ、ほら、あいつ」
ゆき兄がこちらを見た
眠たそうな目がチラッと俺を見た
「ふーん…ふぁぁぁ…飯食ったらまた眠くなったな…」
まるで興味が無いというように
ゆき兄は頭を掻きながら教室を出て行った
俺を取り巻いていた男子生徒の1人が話しかけてきた
「機嫌悪くすんなよ、転校生
あーいう奴だからな、ただ不良ってわけでもないし
やる気がないだけだからな、害は無いし見てりゃけっこう面白い奴だぜ?」
「ちょっとーたまゆら君を悪の道に誘うのやめなさいよ」
「あー、はいはいっと」
チャイムが鳴った
「昼休み終わりか…
次は化学か、おい、たまゆら
理科室案内してやるから一緒にいこうぜ」
「おう」
9/12 放課後
授業が終わり放課後になった
やっぱり転校初日は疲れるなと思いながら机に突っ伏していると
さっきの男子生徒が話しかけてきた
「よう、どうだこの学園?」
「悪くはないと思うよ」
「そうか…」
「どうした?」
「いや、なんでもない
それより早く出たほうがいい6時以降、生徒の校舎への立ち入りは禁止だからな」
「そうなのか?」
「ああ、それと寮の門限は深夜0時だから覚えとけよ」
「わかった、ありがとう」
「忘れんなよ、6時以降は校舎への立ち入り禁止
寮の門限は深夜0時、これだけは絶対に覚えとけ」
「…ああ…?」
「じゃ、俺は用があるから
今度また案内してやるよ」
男子生徒は教室から出て行った
しかし何だってあんな念を押すように言ったのだろう
何か気にかかるがとりあえず寮に戻ろう、多分荷物が届いてるはずだ
俺は校舎から出た
外に出ると丁度、下校の鐘が鳴り響いた
6時だった
この学園はとても広い
学園の敷地内に寮や教員の家まである
今の時代買い物だってネットを使えば欲しい物が動かなくても送られてくる
つまり何か特別な用でもない限り学園の外に出ることがない
便利といえば便利だがなんだか軟禁されてる気にもなるな
と、そんなことを考えながら寮の前に着くと、自販機の前で腕を組んでる見覚えある奴を見た
あれは確か…
「…ん…ああ、転校生か…
丁度いい、10円くれないか?」
確か、そう、ゆき兄ってやつだ
やぶからぼうに10円くれないかと言うとは…どういう神経なんだ…
…まぁ10円ぐらい別にいいか
「いいよ、はい」
10円を渡してやる
ゆき兄は10円を受け取るとそのまま自販機でコーラを買った
「いやー、サイフを部屋に忘れちまってよ、ポケットから110円は出てきたんだがな
取りに戻るのもめんどくさくてどーしようかと思ってたんだ
助かったよ、ありがとな、転校生」
「たまゆら」
「ん?」
「名前」
「ああ…なるほど
ありがとな、たまゆら、俺はゆき兄だ
そうだな、お礼に1つ楽しい学園生活を送るアドバイスをしてやろう」
「アドバイス?」
「校則は守れよ」
「え?」
「じゃあな」
「お、おい」
ゆき兄はコーラの缶をクルクル回しながらどっかへ歩いていった
校則は守れって…どういう意味だ?
考えていても仕方ない、とりあえず部屋で荷物の整理でもしよう
9/12 夜
すっかり夜になってしまった
荷物自体は少なかったのだがパソコンの接続やら色々とやってるうちに時間が立ってしまった
「…あー…疲れた…」
疲れたのは疲れたが寝るにはまだ少し早い
飲み物が欲しくなったのでロビーの自販機に買いに行くことにした
ロビーに行くと誰かが立っていた
「…君は…」
暗い顔をした男が話しかけてきた
「…転校生だね…確かたまゆら…」
「そう…です」
「…気をつけるんだね…この学園は呪われているからね…」
突然何を言い出すんだ
背筋が冷たくなった
「…この学園には…魔物が住み着いている…
…魔物は言の葉によってその存在を確認できる…
だが言の葉を真実とし…白日の下に晒そうとした物は魔物に食われる…」
「…言ってる意味が…よくわかりません」
「…忠告だよ…
それじゃ…君のこれからの学園生活が…有意義なものでありますように…」
「待ってよ!あんた何者だ?」
「…僕も生徒だよ…名は…小川…
じゃあね…」
不気味な男、小川はロビーから消えた
魔物が住み着いている…この学園に?
馬鹿馬鹿しい…けど、少し震えた、それと喉がカラカラだ
自販機でお茶を買って一気に飲んだ
「はぁ…」
「おー、いい飲みっぷりだな」
「え?」
振り向くとゆき兄がいた
「また会ったなたまゆら」
「ここで何を?」
「んなもんコーラ買いにきたに決まってんだろ」
さっきも買ってたような…
「ま、一人で飲むのも寂しいしな少し話し相手になってくれや」
「あ…うん」
とは言っても話すことはあまり無い
というか無い
沈黙が場を包む
「…あ、そうだ…」
ゆき兄が何か思いついたように喋った
「さっきのアドバイス、言い忘れたことがあってな」
「え?」
「生徒会には気をつけろよ」
「生徒会…気をつけろ…え?どういう意味?」
「…んー、まぁ校則守ってあいつらに目をつけられないようにしろってことだ」
「???」
「…ま、理解できないのも無理はないが…恐らくそのうちわかってくる
ただ理解する前に…いや、とにかく…校則は守っておけ」
「…ああ、わかったけど…?」
「それでいい、さてと…寝るか
お前もさっさと寝ろよ?最も自分の部屋ならいくら起きてても校則違反にゃならねーがな
じゃあな、おやすみっと」
ゆき兄はコーラの缶をゴミ箱に投げ入れて去っていった
って、こんな短時間で一缶飲みきったのか!?
しかしゆき兄といい、さっきの小川といい一体何なんだ?
…まぁ考えてても仕方が無いし…
今日はもう寝ることにしよう…
9/12 深夜
「おい…早く見つけろよ…」
「わかってるよ…確か机に入れといたんだけどなぁ…」
「プリントなんて明日の朝でいいじゃねぇかよ…」
「間に合わないから今こっそり取りにきてんだろうが…」
「いいから早くしろよ、深夜に校舎に忍び込んだのがバレたら大変だぜ」
「わかってるよ…だからこうして…お、あったぜ」
「よしさっさと戻るぜ、全く1人じゃ怖いからって俺を巻き込みやがって」
「わりぃわりぃ今度昼飯おごってやっからさ」
「…一般生徒の下校を過ぎての校舎への立ち入りは禁じられているが?」
「うわっ!?」
「だ、誰!?」
「私が誰なのか、それは関係の無いこと
重要なのは君達が規則を破ったという事だけ」
「い、いや、俺は忘れ物を取りにきただけなんだ!」
「そ、そうそうこいつが1人じゃ怖いっていうから俺がついてきたんだ」
「理由はどうあれ、規則を破ったのは事実だ
我ら生徒会の決定は絶対
生徒会の決めた規則を破るということは生徒会に敵対するということだ」
「せ、生徒会だって!?」
「待ってくれ!俺たちは別にそんな悪気があったわけじゃ!」
「…罰を受けろ」
「よ、よせぇぇ!」
「やめてくれぇええええええええ!!!」
「この学園で生徒会に反目することは死を意味する
最もお前達の最大の不運は…僕に見つかったことだろう
…クククク、クックックック…」
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最終更新:2009年11月01日 00:03