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黒い森の白い少年


白い男の子がいました。
暗い森の奥にその子は1人で住んでいました。

ある日、森の入り口に死体が置かれました。
男の子は、放置しておけば野犬などに荒らされてしまうと考えました。
彼は森の奥に穴を掘り、死体を埋め、木の棒を縛り合わせてお墓を作ってあげました。

その数日後、森の入り口にはまた死体が置かれました。
男の子は、その死体も森の奥に埋めてあげ、お墓を作ってあげました。

また数日後、たくさんの死体が森の入り口に置かれました。
男の子は一生懸命にお墓を作り、埋葬してあげました。
翌日には、それを超える量の死体が入り口にありました。
男の子は何日もかけて全ての死体を埋めてあげました。


森の外の大きな街では、病気が流行っていました。
その病気の被害はどんどん増していき。
死体の処理に困った街の人たちはソレらを森の入り口に置く事にしたのです。

男の子は来る日も来る日も…お墓を作り、死体を埋葬してあげました。

ある日を境に、森の入り口に死体が増える事は無くなりました。
ある医者が病気の特効薬を開発したのです。

病気の恐怖が街から消えると、今度はこんな噂が立つようになりました。
「あの森には死体を食らう恐ろしい魔物がいる」…と

ある日、小さな少女が迷子になって森に入ってきました。
泣いている少女を不憫に思った男の子は少女の手を取り、優しく話しかけて落ち着かせ、森の果実を食べさせてあげて、森の出口まで案内してあげました。

少女は家に帰ったあとに両親に話しました。
「迷子になって森に迷い込んだんだけど、白い男の子が私の手を引いて森から出してくれたんだよ。」
両親は恐れました。
やっぱりあの森には何かがいるんだ…と

男の子の優しさなどは伝わらず。
ただ、森にいる悪魔という肩書きだけが街に流布していきました。

噂が噂を呼び、人々の恐怖は加速していきます。
「森に住む白い悪魔は子供を誘って食らう」
「死体が来なくなったから生きた人間を襲いだした」
「うちの家畜が死んだのも悪魔の呪いだ」

男の子に関係無いことですら、全て彼のせいにされていました。
降りかかる災難が全て男の子にせいにされていきます。
それに心を痛めたのはあの迷子になった少女でした。

少女は必死に皆に説明しました。
「あの男の子はそんな事しないよ。あの子は優しいんだよ。」
だけど、誰もその話に耳を貸しませんでした。
少女の両親でさえも、そんな少女を嘘はいけません、お前は騙されているか呪いをかけられているんだ、と少女に言いました。

街の人々の恐怖が限界になった時。
ついに街の人々は行動を起こしました。

大勢の人が武器を手に取り、森の入り口に集まりました。
「出て来い!悪魔め!」

男の子は森の奥でその声を聞いていました。
そして、怯えていました。

街の人々はいつまでたっても出てこない男の子に業を煮やし。
「出てこないなら森に火を点けるぞ!」

男の子は、森に住む獣達や植物の事を考えました。
そして、ゆっくりと出て行きました。

「出てきたぞ!」「何て不気味な奴だ…」「殺してやる…」
街の人は全員ギラギラとした目つきを男の子に向けました。

男の子はゆっくりと言いました。
「僕は、何もしていません…」

「嘘をつくな!悪魔め!」
男の子の体に、槍が突き刺されました。
男の子は目を見開いて、その場に崩れ落ちました。

「やった!悪魔を倒したんだ!やったぞー!」
街の人々は、歓喜の声を上げ、男の子の死体を放置して帰っていきました。

それから幾許かの時間が過ぎた頃。
男の子を森の奥へと運ぶ少女の姿がありました。
「ごめんね…ごめんね…」

かつて、男の子がそうしたように
少女は穴を掘り、男の子を埋め、木の棒を組み合わせてお墓を作りました。


数年が過ぎて。
その森には魔女が住んでいるようです。
子供が森に迷い込むと、魔女は子供を優しく落ち着かせ、おいしい物を食べさせて、森から出してあげるそうです。
だけど、もし大人が森に迷い込むと、魔女はその心臓を槍で一突きにして森の入り口に放置するんだそうです。



「大人は…誰も子供の言う事を信じない…信じない…」
「いつの時代も…悲劇を起こすのは…」
「ごめんね…」



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最終更新:2009年11月01日 01:07